中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

ロボット導入に反対するフォクスコン女性工員たちが美しい抗議

世界のIT企業の製品の委託生産を行う中国フォクスコンは、たびたび労働問題を起こしている。そのフォクスコンは、工員からロボットへの転換計画を進めている。工員は、反発をし、反対運動を行っているが、杭州工場の女性工員たちが、水着を着て作業をするというユニークな抗議活動を行ったと今日頭条が報じた。

 

「冷酷無情」と呼ばれるフォクスコン

ホンハイグループのフォクスコンは、中国で電子機器の生産委託を請け負うEMS企業だ。有名なところではアップル、任天堂、HP、デルなどの製品を受託生産している。本社は台湾だが、生産拠点の多くは中国にあり、中国を代表する企業のひとつになっているが、中国人からの評判はあまりよくはない。たびたび労働問題を起こし、冷酷無情な企業というイメージがあるという。

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4万台のロボット導入、6万人のリストラ計画が進行中

昨年、ホンハイの郭台銘会長は、4万台の製造ロボットを導入して、工員をリストラすると発表した。すでに鄭州、崑山、喜善の3工場にはロボットの導入が始待っている。同時にグループ全体で6万人以上の行員のリストラ計画が始まっている。

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▲フォクスコンの工員は、以前は貧しい農村の実家を支えるために働いていたが、今は、自分の人生を謳歌するために働いている。

 

残業するように仕向けるフォクスコンの報酬体系

フォクスコンの工場で働くのは女性が多く、その仕事は過酷だ。以前のような長時間労働の強制、過大なノルマの設定は緩められてきたが、実質的にはほとんど変わっていない。基本給の引き上げは見送られ、残業代の単価をあげるている。工場の多くは郊外にあり、街に遊びにいくにも交通機関がない。多くの工員が、仕事が終わっても寮でぼうっとするよりも残業をしてしまう。

結果的に手取り給与は年々上昇しているが、それは長時間の残業をしているからで、この残業は強制ではなく、あくまでも「工員自らの意思によるもの」になっている。

 

私たちは、タバコの吸殻ではない

フォクスコンで働く女性たちも以前とはだいぶ違ってきている。以前は、現金収入がない農村の若い女性がフォクスコンで働き、実家に仕送りをするというパターンが多かった。そのため、どんな過酷な労働にも耐えていた。

しかし、今では、農村出身者が多くことは同じだが、都市の生活を楽しむために働く女性が増えている。フォクスコンの厳しい労働に耐えてきたのは、年々待遇が良くなり、給与も上がっていくと信じていたからだ。しかし、その結果、ロボットに置き換えていく方針が発表された。「私たちは、まるでタバコの吸い殻のように、吸えるところを吸われたら捨てられてしまったのです」と、ある女性工員はSNSに発言をした。

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▲フォクスコンで働く女性たちは、10年前と様変わりしている。単なる工員ではなく、専門技術を身につけた技能士になっている人も多い。

 

水着を着て出社するアピール

杭州のフォクスコン工場では、女性工員たちがユニークなアピールをした。全員が水着を着て、作業を行ったのだ。「私たちは水着を持っているのに、海にいく時間もない」というアピールだという。

このアピール自体にはさほどの効果はない。ネットでも「男性工場長は大喜び」という声や、「単に目立ちたいだけ」という批判もある。しかし、この話題がネットで拡散することにより、多くの人がフォクスコンの労働問題に目を向けたことは確かだ。

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杭州の工場では、女性工員たちが「海に遊びにいく暇もない」と、水着を着て作業に就くというアピールを行った。

 

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▲一見、目立ちたいだけのアピールにも思えるが、これでフォクスコンの労働問題に目を向ける人が増えたのは事実だ。

 

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▲「男性の管理社員がなんとなく楽しそう」とネットでも話題になった。

もっとなかよしRobi Jr.

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