中国でインターネットが普及して変わったことはいくつもあるが、そのひとつが、市民がアダルトグッズを購入するようになったことだ。今年の避妊具の売り上げは150億元(約2500億円)に達すると見込まれている。中国のアダルトグッズ市場は、どのようになっているのか。21・京東BD研究院が「2017中国ネット成人用品趨勢報告」にまとめ、公開をした。
中国のアダルトグッズ市場は6600億円
インターネットは、私たちに「買い物のプライバシー」をもたらしてくれた。一般的な店舗で買うのはちょっと恥ずかしいものでも、ネット通販を利用すれば、人に知られず手に入れることができる。宅配伝票にも「雑貨」「化粧品」「PCパーツ」などと記載されるので、宅配の配達員にも悟られることなく、購入することができるようになった。
中国でも状況は同じだ。ネット以前は、隠れるように街角の隅にあった成人保健店が唯一の購入場所だったが、ネットが普及してからは、ネット通販が消費の主役に躍り出た。報告書によると、2015年のアダルトグッズ市場は60億ドル(約6600億円)だったが、2020年には90億ドル(約9800億円)に達すると予測している。
▲21・京東BD研究院が公開したアダルトグッズに関する報告書。このような報告書が公表されることはほぼ初めてのことであり、大きな話題になっている。
計画出産用品から趣味用品に
中国のアダルトグッズは、計生用品と情趣用品の2つに分けられる。計生用品は計画出産用品。つまり、避妊具のことだ。中国は長い間、人口増加を抑えるため、一人っ子政策を行ってきた。これにより、夫婦を中心に、避妊具が自治体から支給されることが多かった。そのため、改革開放以前は、成人用品と言えば、避妊具のことを指していたのだ。だから、後のアダルトグッズショップも「成人保健店」という名称になっていた。あくまでも、政府の政策である計画出産に寄与する販売店という建前があったからだ。
しかし、今、売れているのは情趣用品だ。潤滑油や医薬品、電動の道具などだ。すでに、アダルトグッズ市場全体の6割以上が情趣用品になっている。
▲計生用品とは避妊具、妊娠検査キットなど。情趣用品とは大人のおもちゃなど。どちらも市場が大きく拡大しているが、都市化とともに計画出産が必要となり、計生用品の伸びが大きい。
大学内ショップも避妊具から趣味用品に
大学には必ずと言っていいほどアダルトショップがある。それは、趣味のものではなく、避妊具を販売している店舗だ。学生が性行為をすることは、道徳的にも好ましくないものとされ、ましてや妊娠をするようなことは大事件になる。そのため、望まれない妊娠を防ぐために、避妊具を販売している店舗がキャンパス内に設けられている。
しかも、店主は保健関係の有資格者であることが多いという。単に避妊具を販売するだけでなく、学生のカウンセラーの役割もしている。しかし、この学内用品店の傾向が大きく変わってきた。
販売量そのものも2015年頃から急増しているだけでなく、情趣用品の割合が増えているのだ。ここから学生の意識が大きく変わったことが伺える。
その理由については、より深い分析が必要だが、誰でも思いつくのが、スマートフォンの普及によりSNSを常用するようになり、出会いの機会が急増し、学生の交際範囲が大きく広がっているということだ。その中で、性に対しても開放的な考え方をする学生が増えているのかもしれない。
▲上海で開催される国際的なアダルトグッズ展示会では、派手な演出が多いが、実際の中国人の性生活は意外に真面目なようだ。
男女平等社会でも、出産に対する女性の負担は大きい
しかし、中国人はまだまだ性に対して開放的というところまでは達していない。最も好きなアダルトグッズを尋ねたアンケートでも、1位にくるのはやはり避妊具だった。その他、自慰用具、潤滑油、異性のための用具など、性を楽しむためのグッズの名前が上がり、性を楽しんでいる様子がうかがえる。
しかし、実際に売れている商品のランキングを見ると、圧倒的に売れているのが避妊具と妊娠検査キットという実用的なグッズであり、男女用具、潤滑油、趣味の衣服・下着などは下位にくる。
これも理由は、より深い分析をする必要があるが、中国では女性が仕事を持つのが当たり前で、給与や待遇などでも、男女差が極めて少ない社会であることが原因のひとつではないかと思われる。職場で男女格差がないというのは素晴らしいことだが、反面、それは男女ともに同じパフォーマンスを求められるということであり、既婚女性にとっては、どのタイミングで妊娠、出産をするかは、大きな悩みのひとつになっている。
家事、育児はほぼ男女で公平に分担する意識が広まっているが、それでも妊娠、出産は女性の負担が大きい。そのため、仕事の負担が少ない時期に出産をするため、コントロールしようという意識が高い。
▲男性が好きなアダルトグッズ。男性用持久薬品に対する興味が意外に高い。
▲女性が好きなアダルトグッズ。女性は妊娠検査キットに対する興味が高い。
▲ここ4年間のECサイトの売上ランキング。年々、妊娠検査キット、避妊具といった計生用品が売れるようになってきている。
計画出産用品の都市、趣味用品の農村
アダルトグッズの販売量を地域別に見ると、上位5位は、広東省、北京市、江蘇省、浙江省、山東省となる。いずれも沿岸地区の大都市を要する地域だ。ところが、自慰用具だけに限って見ると、上位5位は、青海省、江西省、安徽省、浙江省、雲南省となり、内陸の農村地域が多くなる。
つまり、総合して考えると、都市部の人は、避妊具や妊娠検査キットなどの実用的なグッズを多く購入し、農村部では性を楽しむためのグッズが売れていると見ていいようだ。
中国人の性生活については、世論調査や統計などの資料が少なく、様子がまったくわからない時代が続いたが、ネット通販が登場することにより、商品の購入状況が見えるようになり、そこから中国人の性生活の一面を見ることができるようになった。蓋を開けてみたら、過度に抑制的でもなく、過度に欲情的でもなく、私たちと同じように、人生の一部として楽しんでいるようだ。
▲昔風のアダルトショップ。いかにもいかがわしく、入るのをためらうほどだ。
▲現在のアダルトショップ。自動販売機になっていところが多い。アダルトショップが自動販売機を採用した時期は、かなり早かった
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