中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

インドでSNSのデマにより20人以上が殺害

インドでSNSアプリ「WhatsApp」を通じてデマが大量に出回っている。そのデマを信じた人々が無関係な人を殺害するという事件が多発し、わかっているだけで20人以上が殺害された。インド政府もこれといった対策を打ち出すことができず、社会問題となっていると好奇心日報が報じた。

 

SNSで拡散していく数々のデマ

今年5月から、インドでSNSアプリ「WhatsApp」を通じたデマが出回っている。子どもを誘拐しようとする人間がうろついている、あるいは泥棒や牛を殺そうとする人間がうろついているというもので、このデマを信じた人々がまったく無関係な人を殺害するという事件が起きている。この被害に遭い殺害された人は20名を超えている。

7月3日、インド電子情報技術省は、政府はすでにこのデマ問題に対策を取り始めていると声明を発したが、具体的にどのような対策を取るのかは明らかにされなかった。

WhatsApp側では、利用者のプライバシーがあるため、相当の理由がないと個人のメッセージ履歴を提供することはできず、誰がこのようなデマの発信源になっているかについても捜査が難航している。

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▲ニュースの情報源にしているメディア。テレビは依然として高いが、印刷物の低下とSNSの高さが目につく。「2018デジタルニュース報告」より作成。

 

SNSが唯一の情報源になっている貧困地域

WhatsAppにとってインドは大きな市場で、全体のユーザー数の1/8がインド市場のものだ。インドでは、WhatsAppが、最も広く普及しているSNSメッセンジャーアプリであり、多くの人が使っている。

貧困地域や地方では、新聞や雑誌、テレビ、ラジオがほとんど普及をしていないのに、スマホを使いWhatsAppを使っている人がけっこういる。結果的に、WhatsAppが唯一の情報源になっていて、これがデマが起きやすく、拡散しやすい状況を生んでいる。

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▲オンラインニュースを見るときのデバイス。PCとスマートフォンがほぼ同じだが、スマホが増えつつある。「2018デジタルニュース報告」より作成。

 

マスコミからデジタルメディアへ。検索からフィードへ

ロイターのニュース研究所は「2018デジタルニュース報告」を公開している。これは各国の市民が、どのようなニュース情報源を利用し、どの程度信頼をしているかを調査したものだ。誰もが想像する通り、多くの国でテレビ、新聞といったマスコミからオンラインのデジタルメディアに移行し、デバイスの主役はスマホになりつつある。

また、デジタルメディアとの接し方も、検索からフィードへ移行し始めている。検索して何かを探すのではなく、SNSのタイムラインのように半ば受け身で得られる情報を摂取する時間が増え始めている。検索をして能動的に情報を探す場合は、異なる視点の情報が同時に見つかるが、フィード情報はひとつの視点のみで、このような情報に頼りすぎると、偏向したり、デマに踊らされがちになりやすい。

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▲ニュースへの信頼度。日頃使っている常用ソースのニュースに対する信頼度は高い。しかし、信頼度が低いのは、「ニュースを常に疑う」というリテラシーでもある。「2018デジタルニュース報告」より作成。

 

ニュースの信頼度低下はリテラシーでもある

同時に、各ニュースに対する信頼度は低下をしていっている。この信頼度の低下は悪いことばかりではない。SNSなどのフィード情報から得られた情報をすぐに信用しないというのはリテラシーのひとつでもあるからだ。

先進国でインドのような極端な事件が起きるとは考えづらいが、情報源がソーシャルマップに基づくSNSのフィード情報にシフトする中で、デマの拡散の問題はデジタル社会の大きな課題となっている。

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▲オンラインニュースに対する反応。シェアしたことがあるか、コメントしたことがあるかの問い。多くの国で、1/3以上の人がニュースに対して活発に反応している。「2018デジタルニュース報告」より作成。

フェイクニュースの見分け方(新潮新書)

フェイクニュースの見分け方(新潮新書)

 

 

仮想通貨プーアル茶コインで、53億円が蒸発

ブロックチェーン技術を利用した仮想通貨。その仮想通貨だと主張する「プーアル茶コイン」が、被害総額3.07億元(約53億円)、被害人数3000人の大型詐欺事件であることが発覚し、運営していた6人が逮捕されたと財経網が報じた。

 

安易に使われすぎる「AI」「ブロックチェーン

最近「AI」という言葉が安易に使われていることに、もやっとしたものを感じられている方も多いのではないだろうか。AIの定義は「人間の知的活動をコンピューターに代替させたもの」だから、かなり無理はあるが、電卓だってAIだと言い張れないことはない。そのため、何にでもAIをくっつけることができる。「AI投資」「AI SEO」「AI婚活」「AI家電」。単純な判定アルゴリズムを使っているだけで「AI」とうたっても、嘘だとは言い切れないところが苦しい。要は、売れるから、目立つから「AI」という言葉を安易に使っているだけなのだ。

中国では、お金に強い興味があるためか、ブロックチェーンという言葉が大人気だ。

 

仮想通貨「プーアル茶コイン」による大型詐欺

深圳南山区公安は、深圳普銀ブロックチェーン集団が、国家行政部の金融営業許可を受けずに、ネット仮想通貨取引サイトやSNS「WeChat」を利用して、仮想通貨「プーアル茶コイン」を販売し、3000名の投資家に3.07億元(約51億元)の損害を与えたとして、同社の6人を逮捕した。最も大きな被害を受けた投資家の被害額は300万元(約5200万円)だった。

この普銀集団は、ネットなどでプロモーションをするだけでなく、高級ホテルなどでも説明会を開き、投資家たちを集めていた。

彼らの説明はこうだった。まず、普銀集団は10億元(約170億円)相当のプーアル茶の茶葉を保有しているという。検査機関にサンプルを提出し、品質の高いプーアル茶であることのお墨付きももらっていた。

プーアル茶は、日本でも愛好者がいる雲南地方原産の発酵茶。丸いお餅の形で、10年、15年保存した陳年茶に人気があり、希少価値もあることから、価格が高騰している。そもそもプーアル茶そのものが投資、投機の対象になっている。

プーアル茶コインというのは、ブロックチェーンも関係なく、仮想通貨でもなく、この保有しているプーアル茶に紐づいたデジタル通貨。つまり、単なるプーアル茶証券化だ。

このプーアル茶コインは自由に売買できるので、価格が変動する。1コインの価格は、0.5元(約8円)から10元(約170円)まで実際に変動した。

2016年9月からは韓国でもプーアル茶コインの取引を始め、普銀集団はシンガポールと日本でも近々取引が開始するとアナウンスしていた。このような国際化も、投資家を信用させ、値上がりを期待させる大きな要因になったと思われる。

普銀集団は、短期であれば大きな値上がり差益が期待でき、1年定期保有であれば年利12%以上が見込めると宣伝していた。

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▲普銀集団のサイト(現在は閉鎖済み)。ここには「仮想通貨」「ブロックチェーン」とは書いてなく、「本位制デジタル通貨」と書かれている。実体物に基づいたデジタル通貨という意味で、ここでは嘘はついていない。

 

大量の質の低いプーアル茶保有

ところが、すでにお察しの通り、普銀集団は「10億元相当のプーアル茶保有」と主張していたが、実際に保有していたのは、第三者機関に品質評価をしてもらうための高級プーアル茶少量と、大量の質の高くないプーアル茶だった。逮捕時に10万枚のプーアル茶の茶餅が押収されている。1枚100元(中国のECサイトで探すと、7枚98元というのが最安値だった)とすると、1000万元(1億7000万円)相当になる。まったくなにも持っていない詐欺というわけではなく、それなりの量のプーアル茶保有をしていた。そのため、保存庫の写真を公開したり、投資家に保存庫を見学させたため、多くの人が信じ込んでしまった。

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プーアル茶は、このような餅の形で長期保存される。このまま熟成が進むので、古いものほど高値で取引される傾向がある。

 

中国に次々と登場する仮想通貨

中国では、このブロックチェーン詐欺、仮想通貨詐欺が増加していて、各メディアが裁判所の判決から集計した統計によると、2016年以降、180件以上の詐欺事件が起き、被害金額は1000億元(1兆7000億円)以上になっている。有罪判決を受けた被告も100名を越している。

2016年4月には、「ネットゴールドコイン」仮想通貨詐欺があり、被害者は50万人、被害金額は109億元(約1900億円)、逮捕者数は49名。2017年7月には、「アジアユーロコイン」仮想通貨詐欺があり、被害者数は4.7万人、被害金額は40.6億元(約700億円)、有罪判決を受けた被告は37人。2017年8月には、「五行コイン」仮想通貨詐欺があり、40万人が被害受け、被害金額は21億元(約360億円)。この五行コインの主催者は、自称「9歳で大学に入学した神童で、現在は中国政府が秘密裏に人材育成をしている中の1人」というもので、主催者の人物そのものにも三面記事的な話題が集まった。

このほか、「アジアコイン」「中華コイン」「米米コイン」「中富通宝コイン」「恒星コイン」「ドラゴンコイン」「Uコイン」「良心コイン」などの仮想通貨詐欺が報道されている。

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▲仮想通貨取引サイト「DragonB.com」では、なぜかプーアル茶コインの取引が現在でも続いている。以前から、このプーアル茶コインは怪しい、公安が内偵調査をしているという情報がSNSなどで交わされるようになり、価格は低迷をして0.04元まで落ち込んでいた。逮捕が報道されると、さらにそこから下落した。

なお、この取引サイトにアクセスをして、ページ内のリンクをクリックすると、ブラウザが頻繁に「なりすましサイトである可能性」のアラートを発する。ご自分でアクセスするときは、じゅうぶんに注意していただきたい。

 

ニセモノ仮想通貨であっても、初期に投資をすれば儲けられる

なぜ、次々と、このような怪しい仮想通貨詐欺にひっかるのか。それは、初期に投資をすれば儲けられるからだ。プーアル茶コインも1枚1元の元値から、一時期は10元前後と10倍近くまで上っている。運営者も騙す気満々だが、初期に投資する方もそれはわかっていて、儲ける気満々なのだ。運営者と初期投資家の利害が一致しているために、このような怪しい仮想通貨市場が成立してしまう。

なお、仮想通貨取引サイトDragonB.comでは、プーアル茶コインの取引がなぜ続いている。ただし、その価格は0.02元まで落ちているが。中国の仮想通貨詐欺は、まだまだ続きそうだ。

 

ファーウエイが東莞市にお城を建設

ファーウェイが東莞市にお城を建設したと話題になっている。ファーウェイの研究施設なのだが、その規模が半端ではなく、中国に突然ヨーロッパの古都が出現し、すでに観光スポットになろうとしているとテンセント科技が報じた。

 

まるでヨーロッパの古都。ファーウェイの松山湖基地

深圳市近くの東莞市松山湖にファーウェイがお城を建設したと話題になっている。ヨーロッパの古城風の街で、高山列車のような電車まで走っている。

これはファーウェイが2014年9月から建設を進めていた松山湖基地。約130ヘクタール(東京ドーム約28個分)の敷地に、建築面積は126.7万平米。投資額は100億元(約1700億円)に達している。

この松山湖基地には、最終的に3万人の研究者が働き、さらにはファーウェイ大学、研究センターなども建設される。さらに、ここに勤務する人のために、低価格の住宅の提供も計画されている。

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▲松山湖基地はまるでヨーロッパのお城。敷地内を移動するための高山鉄道風の路面電車も走っている。

 


华为东莞基地曝光

▲松山湖基地の空撮映像。建物ひとつがヨーロッパ風というのではなく、ヨーロッパ風の街を建設してしまっている。

 

深圳市北部からであれば通勤圏内

場所は松山湖周辺の環境保護地区に隣接した地域。風光明媚な場所だ。大都市深圳の中心地からは、車で1時間半、列車で1時間ほどかかるが、東莞市は深圳市の北側に位置をしていて、深圳市北部に住んでいる人にとっては、深圳の中心地に通勤するのも、松山湖に通勤するのにも時間は変わらない。むしろ、松山湖の方が通勤ラッシュや渋滞がない分、早く、ストレスも少ない。

すでに2700人が働いているが、駐車場には1500台の車(うち70台は専用バス)が駐車されている。

また、ファーウェイでは8トントラックを40台購入。これを深圳市との間に1日60往復させて、業務に必要な物資などを運搬する。

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▲風光明媚な松山湖の環境保護地区に隣接した場所にファーウェイの松山湖基地がある。緑色部分が環境保護地区。図下部の赤い部分が松山湖基地。

 

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▲敷地内を走る路面電車。飾りではなく、移動のために使われる。

 

研究部門を深圳から松山湖に移転

ファーウェイによると、この松山湖基地は、手狭になった深圳本社を拡張するもので、顧客や協力会社と面会する必要のある職種のみを深圳に残し、研究職など面会の必要が少ない職種を松山湖基地に移すという。部門によっては、協力会社とどもども松山湖基地に移るケースも出てきている。

また、深圳の家賃が高騰していることも影響しているという。深圳市内で新しいオフィスを賃貸したり、建設したりするよりは、郊外にお金をかけて作った方が安上がりにすらなる。松山湖基地ができたことで、「ファーウェイが深圳本社を松山湖に移転するのではないか」という憶測が生まれ、深圳市政府周辺ではファーウェイの引き止めに必死になっているとも言う。

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▲風光明媚な松山湖で、将来は住宅の建設も予定されている。

 

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▲背後の東莞市のビル群を無視すれば、ヨーロッパの古都にしか見えない。

 

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▲遠くに見える高層ビルが東莞市中心部。松山湖を挟んでいるので、松山湖付近はとても静かな環境だ。

 

税収を巡った深圳市と東莞市の綱引き

一方で、東莞市では、ファーウェイの誘致に積極的だ。すでにファーウェイは、東莞市に最も多くの納税をする企業になっているからだ。すでに松山湖基地の建設にファーウェイは100億元を投入しているが、東莞市との間でさらに300億元規模の開発に合意をしている。

東莞市にはすでに高速道路と中国版新幹線が開通している。しかし、全国規模の企業がなく、大きな産業拠点がない。東莞市としては、ファーウェイの松山湖基地を起爆剤に、深圳の衛星都市になることを目論んでいる。

ファーウェイはファーウェイで、全国的な話題になり、「こんなところでじっくりと研究をしたい」と優秀な人材が集まってくることを狙っている。

写真を見ると、突拍子もなく、「本気なのか」と首を傾げたくなるが、例えば日本の企業がディズニーリゾートやハウステンボスに近接した研究オフィスを作ったとしたら、それが理由で応募をする人材というのはけっこういるのではないかと思う。意外に賢い施策かもしれない。

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ティックトックがインドネシアで配信停止に

アジアで流行するショートムービー共有SNSアプリ「ティックトック」。一方で、不適切な動画が問題にもなり始めている。インドネシアでは、死体を映した動画が共有され、インドネシア政府は急遽、ティックトックの動画共有を停止したと中国起業家が報じた。

 

ローティーンに大人気のティックトック

ティックトックはアジア中で大流行をしている。インドネシアも例外ではなく、未成年の女性を中心に人気が高い。2018年第二四半期、ティックトックはインドネシアの動画アプリダウンロードランキングで第1位となり、統計によると12歳から15歳の年齢層で圧倒的に強い。

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▲ティックトック。中国、日本、韓国を中心にアジア圏で流行している。音楽に合わせて踊るところを撮影して共有するショートムービー共有SNS。ティーンの女の子中心に流行している。

 

死体を映した動画に通報12.5万件

しかし、不適切な動画も数多く共有されるようになっている。女性が過度の露出をした未成年には見せたくないような動画、奇をてらっただけの人を生理的に不快にする動画など、利用者からクレームや通報される動画も増えている。

7月の初め、誰もが不快になる動画が共有された。最初は若者がごく普通に踊っているだけなのだが、突然画面が切り替わり、死体が映し出されるというものだった。多くの利用者から通報が相次いだが、動画そのものは拡散し、運営への通報が12万5000件にも達することになった。

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▲中国で配信された不適切動画。小学生か中学生にしか見えない女性が、右腕のタトゥーを見せるために服を脱いでいくというもの。

 

緊急避難として、ティックトックを配信停止

この事態を受けて、インドネシア通信部は、7月3日にティックトックの配信を停止する措置をとった。アプリそのものはダウンロードできるが、起動しても何も表示されない状態となった。

インドネシア通信部では、ティックトック運営者であるバイトダンス社に説明を求め、今後、不適切な動画が配信されない対策を講じることで、配信停止を解除すると通達した(現在、すでにバイトダンス社は対策を講じ、インドネシアでの配信は再開している)。

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▲これも中国で話題になった不適切動画。6歳の女の子が撮影をしていたが、その背後で母親がシャワーを浴びていた。母親も女の子も気がつかず、女の子は動画を公開してしまい、一瞬で人気動画となってしまった。

 

不適切動画発見の自動化が今後の大きな課題

ティックトックでは、独自のアリゴリズムにより、人気のある動画ほど、多くの人のおすすめ動画に出現して拡散速度が速くなる工夫をしている。そのため、悪い意味で人が見たがる動画も瞬間的に拡散してしまう。

一方で、公序良俗に反する動画のチェックは、基本的には人力に頼っている。性的な動画に関しては、画像処理を行い、肌の色が一定面積以上であるとアラートが出されるなどの支援システムはあるものの、最終判断は人の目でやるしかない。

ティックトックは、中国国内では1日に1.5億回起動されている。月刊ユニークユーザーは3億人を超えている。動画共有サイト全体の月間ユニークユーザーの合計が6億程度なので、ティックトックはそのうちの半分を占めていることになる。

簡単に動画を作れることから、アップロードされる動画数も膨大になっていて、人力でチェックをするのは限界にきている。

今後、ティックトックがさらに成長するために、不適切動画のチェックが大きな課題になりそうだ。

 

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中国版新幹線が、来年からチケットレスに

中国版新幹線「高鉄」が、2019年から、SNSスマホ決済アプリ「WeChat」の電子身分証に対応すると発表した。さらに、今年秋からは、電子チケットの試験導入を始め、来年からは、身分証もチケットももたず、スマートフォンだけあれば高鉄に乗れるようになると北京時間が報じた。

 

中国版新幹線のチケット購入には2時間の行列

高鉄のチケット購入は、以前はとてもたいへんな仕事だった。当初はだれでも自由に購入できたが、10年ほど前からチケットの購入については、身分証の提示が必要になった。テロ対策とダフ行為の防止のためだった。チケットが自由に買えた時代は、大量にチケットを購入し、高額転売する業者が現れた。そのため、一般の人は正規チケットを買うことができず、ダフ屋から買わざるを得ないこともあった。

身分証を提示する仕組みにしてからは、大量購入ができなくなり、チケットは買いやすくなったが、駅の販売窓口に行列をしなければならない。週末やハイシーズンには2時間並ぶというのも珍しいことではなかった。

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スマホを持っていない、スマホの使い方がわからない人は未だに駅の窓口に行列をしなければならない。そういう人の人数は減っているが、それ以上に窓口の数が減らされているので、行列時間は以前と同じか、むしろ伸びている。並んでいる人のほとんどがスマホを手にしていないことに注意。

 

今年からスマホで購入できるようになった

そこで中国鉄路総公司では、街中に「代售点」というチケット販売所を開設した。ここであれば、駅に行って長い行列に並ばなくても、チケットを購入することができる。しかし、ハイシーズンになると、この代售点でもやはり行列ができ、時間がかかる。

そこで、今度は各都市に電話番号12306の電話によるチケット予約の仕組みを始めた。行列に並ぶ必要がなく、好評だったが、すぐに利用者から不満の声が上がった。音声のやりとりでチケットを購入するのはかなり面倒で、時間もかかる。そのため、何度かけても話し中ということが増えていった。

そこで、12306はウェブに対応し、今年初めからはスマホ決済に対応した。これでスマホだけでチケットの購入ができるようになり大好評で、半年間で3600万枚のチケットがスマホ決済で販売された。

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スマホ決済アプリ「アリペイ」「WeChat」の中から、列車の検索をして購入することができる。空き座席数もリアルタイムで表示される。支払いはもちろん、その場でスマホ決済できる。

 

スマホで購入、自動発券機で発券

現在、多くの人はスマホから高鉄のチケットを買う。ウェブ、専用アプリもあるが、便利なのはスマホ決済アプリ「WeChat」「アリペイ」の中からチケット購入する方法だ。空き座席のある列車を検索し、購入をタップするだけ。 購入をタップし、そのままスマホ決済でチケット代を支払うことができる。

乗る前に駅に行くと、自動発券機が無数に置いてある。大量に設置されているので、混雑時でも並んでいるのはせいぜい数人。これに身分証をかざすと、チケットが発券される。後は高鉄に乗るだけだ。行列をする必要はまったくなくなっている。

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▲現在は、スマホでチケットを予約し、スマホ決済で支払い、駅の自動発券機で発券をするというのが一般的。

 

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▲駅に置いてある自動発券機に自分の身分証をかざす。これでスマホで予約したチケットが発券される。時間もかからず、大量に自動発券機が置いてあるので、ほぼ並ばなくて済む。

 

身分証、チケットも電子化される

ただし、ありがちなのが、駅に行くときに身分証を持って行くのを忘れてしまったというケース。発券ができないので、どうにもならない。電子身分証が使えるようになると、スマホさえ持っていたら、身分証がなくても発券ができるようになる。さらに、電子チケットが使えるようになると、発券機を使う必要もなくなり、スマホだけで高鉄に乗ることができるようになる。

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▲WeChatペイの中に電子身分証を登録できるようになった。これで身分証を携帯しなくても、高鉄のチケットの発券ができる。

 

スマホが使えなければ今でも2時間の行列

ところで、中国でも全員がスマホを使っているわけではない。そういう人はどうしたらいいのだろうか。駅の窓口に並ぶか、市内の代售点で買うか、電話予約しか方法がない。しかも、利便性は以前よりも悪化している。駅の窓口はいくつもあるのに、閉鎖をされ少数しか開けない。市内の代售点はどんどん閉鎖されている。電話予約はオペレーターが減らされ、なかなかつながらない。結局、ハイシーズンでなくても、2時間から3時間は並ばないとチケットが買えない。

新しく便利な方法を提供しているのだから、古くて合理的でない方法はどんどん切り捨てて行く。旧い方式の利便性や快適さはまったく考えないどころか、以前と同じ程度の不便さを維持するようにリソースを引き上げてしまう。あまりにも情報弱者に対して冷たい仕打ちだが、考えてみればスマホの料金はもはやそう高いものではないし、使い方も誰かに教われば高齢者でも覚えられる。そういう少しの努力すらしない人は、どんどん置いていかれる。それが中国社会を前に進める原動力のひとつになっている。

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▲1995年の広州駅で、春節のチケットを買う人の行列。割り込みされるので、全員が前後の人と密着する。これで2時間から4時間並ぶ。わずか20数年前はこうだったのだ。

 

情報弱者は切り捨てる。それが中国スタイル

駅のチケット購入の行列は、20年前の中国そのままだ。2時間以上並ぶというのに、だれもスマホを取り出さず、虚ろな目をしてただ並んでいる。そして、未だに行われている割り込み。割り込みを防ぐために、前後の人と密着する。そして、割り込みに怒りをあらわにする人とのトラブル。もうドキュメンタリー映画の中でしかお目にかかれない「民度の低い中国」がそこに残されている。

わずかな努力をしない人はどんどん置いていかれ、切り捨てていかれる。高鉄のチケットだけでなく、中国社会のすべてにおいて、こういう切り捨てが行われている。これが中国社会が猛スピードで進化する要因のひとつになっている。

 

 

 

スマートスーパー三国志演義。アリババvs京東vs永輝

アリババが提唱した「新小売」。IT技術を大幅に導入してショッピング体験を大きく変えることを意味している。アリババの「盒馬鮮生」(フーマフレッシュ)、永輝の「超級物種」、京東の7フレッシュと3社のスマートスーパーが売上を競っていると人人都是産品経理が報じた。

 

食事ができて買い物ができるスマートスーパー

2016年から、アリババは「新小売」戦略を提唱している。IT技術を使って消費者のショッピング体験を大きく変えていくと宣言し、2017年から「盒馬鮮生」(フーマフレッシュ)を始め、すでに40店舗に達し、人気を博している。

この成功を見て、国内系スーパーの永輝は「超級物種」、ECサイトの京東は「7フレッシュ」をオープンして対抗している。

いずれも業態としてはグローサラント(グロッサリーストア+レストラン)。生鮮食品を購入できるだけでなく、その食品を使った料理を食べることもできる。買い物のついでに食事をすませてしまう。あるいは食事を食べて、その料理に使われている食材を買って帰り、自宅で料理を作ることを楽しむなど、単なる小売ではなく、体験を重視した店舗になっている。

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▲アリババが運営するフーマフレッシュ。スマホ注文による宅配売上が全体の50%を超えるという常識を超えたビジネスモデルのスマートスーパーだ。

 

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▲永輝スーパーが開店した超級物種。永輝は国内系スーパーとして定評を得ている。超級物種は高級食材を揃えた高級スーパーという位置付けだ。

 

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▲京東が北京に開店した7フレッシュ。IT技術がふんだんに投入されている。今後、宅配サービスなどを始め、アリババのフーマフレッシュと対抗していくことになる。

 

スマホからの宅配注文は最短30分配送

この3つのスマートスーパーは、店舗だけでなく、宅配も重視をしている。フーマレッシュでは、食材、料理とも3km以内であれば30分配送をしてくれる。スマートフォンの専用アプリから注文する。配送料は無料で、理由を問わず返品OKだ。

超級物種は、宅配については現在システムを構築中だが、フーマフレッシュよりも距離は短く、時間も長くなるのではないかと見られている。

7フレッシュは、京東のECサイト物流の仕組みを利用し、フーマフレッシュと同じく、3km以内30分配送を実現している。

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▲フーマフレッシュの店内数カ所にバッグステーションがある。スマホ注文が入るとスタッフがこのバッグを持って商品をピックアップ。右手のリフトでバッグを天井に上げる。

 

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▲リフトで持ち上げられたバッグは、天井のレールを走ってバックヤードに送られる。バックヤードから宅配スタッフが配達をする。

 

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▲7フレッシュはまだ宅配は始めていないが、天井のガイドレールは設置されている。宅配のための準備だと思われる。

 

超級物種はITよりもエコ、健康を重視

IT技術の導入については、各スーパーともそれぞれに特色がある。超級物種は、あまり目立ったITっぽさはない。もともと永輝が運営していた永輝緑標店を継承しているため、エコ、健康、新鮮、有機などのコンセプトを前面に打ち出しているため、過度なIT技術を導入せず、スマホ決済可能なセルフレジ導入程度に収めている。

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▲超級物種のレストラン部分。オープンテラス方式にしている店舗が多いようだ。

 

宅配を重視しているフーマフレッシュ

フーマフレッシュは、スマホ注文による宅配を重視していて、その仕組みが話題になっている。注文が入ると、ピックアップスタッフが、専用のバッグを持って、商品を集める。これを店内にあるエレベーターに掛けると、バッグが天井のレールを走って、バックヤードに送られるのだ。バッグは電子的に管理されているので、そのまま宅配スタッフが配送を行う。

また、当然、セルフレジが導入され、アリペイ決済が可能になっている。

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▲フーマフレッシュのレジは原則セルフレジ。スマホ決済「アリペイ」のみ。現金決済の人はインフォメーションデスクで支払う必要がある。

 

7フレッシュで話題になったレジに並んでくれるカートロボット

京東7フレッシュは、IT技術を前面に打ち出したスマートスーパーだ。話題になっているのがスマートカートだ。専用アプリを起動して、カートのQRコードを読み込むと、そのカートが自分のカートになる。このカートは自走式で、買い物客の跡をついてきてくれるのだ。また、レジにも買い物客の代わりに並んでくれる。自分は喫茶コーナーやレストランで休んでいれば、その間にレジに並んで、スマホ決済で自動決済してくれるので、商品を受け取って帰るだけでいい。

もうひとつが、商品棚の上に設置された鏡だ。商品が見えやすくなるというだけでなく、商品ラベルのQRコードを読み込むと、この鏡に産地や糖度などの詳細な情報が表示されるというもの。

また、買い物客の分布をリアルタイムで計測するシステムが導入されていて、常に買い物客のヒートマップを作成し、その情報から自動的に、スタッフがどの商品棚を商品補充をしなければならないか指示をしてくれる。この情報を元に、どの売り場でセールやイベントをするかなどの判断もできる。

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▲7フレッシュのスマートカートは、QRコードを読み込むことにより、その買い物客専用のカートとなり、自動追尾してくれる。他の買い物客などは自動的に避けてくれる。

 


This is the autonomous shopping cart in 7Fresh

▲7フレッシュのスマートカートは、レジに並んで精算もしてくれるので、買い物客はお茶でも飲んで待っていればいい。

 

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▲7フレッシュの商品棚上部のミラーはモニターにもなっていて、商品の産地や糖度といった情報が表示される。

 

実体店舗とEC店舗のいいところ取りを目指す新小売

「新小売」戦略というのは、IT技術を使って、買い物体験を一新するというだけのものではない。究極の目標は、オンライン購入とオフライン購入の融合だ。スマホからの注文でも、店舗での買い物でも同じ感覚でできるようにすることが目標で、日常の買い物は自宅から、あるいは帰宅途中からスマホで注文し、宅配をしてもらい、週末などの時間がある時は店舗を訪れて、新しい商品に出会ったり、食材の鮮度を体験してもらう。そういう世界を目指している。宅配売上が増えるということは、店舗の単位面積あたりの売上を大きく伸ばすことにつながるのだ。

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▲フーマフレッシュのレストラン部分。フーマは内装に豪華さはないが、物流を改革したことで、新鮮な食材が低価格で購入できる。多くの利用客が「他店の半額ぐらいの感覚」だと口を揃える。

 

悪い体験を減らし、いい体験を増やす

日用品の買い物には、しなければならない「悪い体験」としたくなる「いい体験」がある。牛乳や水、調味料、トイレットペーパーなど不足をしたものを買いにいくのは「悪い体験」の買い物だ。広いスーパーではどこに目的の商品があるのか探し回ることになるし、帰りはレジ袋が手に食い込むのを我慢して歩かなければならない。悪い体験の買い物はスマホ注文による宅配で済ませてしまいたい。

店舗に行って、未知の商品と出会ったり、新鮮な食材を見たり、食事としたりというのは「いい体験」の買い物だ。この時は店舗にきてほしい。フーマフレッシュでは、週末になると、パン焼き教室や試食会など、さまざまなミニイベントを行って、「いい体験」を与えようとしている。

悪い体験を減らし、いい体験を増やす。これが新小売戦略が目指すところだ。

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▲7フレッシュのレストラン部分。7フレッシュで販売している食材を使った料理が提供される。

 

フーマフレッシュは宅配売上が50%以上、単位面積あたりの売上は3.7倍

最もこの新小売戦略がうまくいっているのが、フーマフレッシュで、すでに宅配売上が全体の50%を超えている。店舗によっては60%越えのところもあるという。面積あたりの売上は、既存スーパーの3.7倍を達成しており、最終的に5倍程度にまで高めることを目標にしている。

超級物種はエコ、有機、健康などを打ち出しているため、スマホ注文による宅配で済ませようとするよりも、店舗に行って商品を自分の目で確かめたいという人が多く、宅配売上比率は現在10%程度。これから、この比率をどうやって高めていくかが課題になっている。

7フレッシュは、まだ1号店が開店して半年程度で、宅配サービスをスタートしていない。しかし、京東では、2018年度中に北京に数十店舗を開店し、宅配サービスをスタートさせるとしている。京東は、ECサイトの独自物流を持っているので、宅配そのものは難しくないと見られ、7フレッシュが宅配サービスを始めると、この3つのスマートスーパーの三国志演義が本格的に始まることになる。

 

 

 

指紋認証式電子ロック錠を次々とハッキング。問われるドアロック製品の品質

中国で自宅用の指紋認証式の電子ロック錠が売れている。指紋センサーがドアノブに組み込んでいる例が多く、ドアノブを握りながら指紋認証で解錠ができる。その電子ロック錠の展示会に、ある女性が現れ、小さな黒い装置を使って、電子ロック錠を次々とハックして解錠するという事件が起きた。簡単な装置で破れる電子ロック錠の存在に、業界も消費者も驚いていると北京青年報が報じた。

 

売れている電子ロック錠

中国で進む生体認証。決済時に顔認証を利用することは珍しくなくなっており、指紋認証もごく普通に使われるようになっている。

最近、売れているのが、ドアの電子ロック錠だ。従来の鍵を回して開ける方式ではなく、暗証番号や指紋認証で開けられる。また、顔認証の電子ロック錠も販売されている。鍵を持ち歩く必要がないので、鍵をなくす心配がない。オートロック方式であっても、鍵をいつも持っていないと閉め出されるという心配もなくなる。うまく認証できないときは、スマホからも解錠できる。価格は2000元(約3万3000円)から3000元(約5万円)となかなかいい値段がするが、よく売れているという。

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▲中国では指紋認証式の電子ロック錠が売れている。ドアノブに指紋センサーが埋め込まれているので、解錠も簡単。鍵の紛失などの心配もない。オートロックでも締め出される心配もない。

 

展示会に現れた女性が次々と電子ロック錠をハッキング

ところが、5月末に浙江省永康市で開催された「2018第9回中国国際ドア業界博覧会」で、業界人と電子ロック錠の利用者を震撼させる出来事が起こった。多数の電子ロック錠業者が自社製品を展示する会場に、王と名乗る一人の女性が現れた。彼女は、展示している業者に向かって「あなたの電子ロック錠を、3秒で開けることができます」と宣言して、バッグの中から小さな黒い箱を取り出して、言葉通りに3秒で開けてしまった。彼女の“被害”にあったのは8社だった。

彼女が使ったのは、通称「スモールブラックボックス」と呼ばれている装置で、そこから飛び出た針金のようなものを電子ロック錠のセンサー部分にあて、スイッチを入れると3秒で電子ロック錠が解除されてしまうのだ。

会場の業者もパニックとなり、このことはすぐにネットで報道され、電子ロック錠を使っている消費者の間でもパニックになった。

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ブラックボックスの先の針金部分を電子ロック錠に当てて、高圧電流を流すだけ。3秒で解錠できてしまう製品が多々あった。

 

電磁波防御をしていない低品質の電子ロック錠の存在が露わになる

電子ロック錠のメーカーでは、すぐにこのブラックボックスを入手して、自社製品の試験を行った。「千家恋」という電子ロック錠を販売しているメーカーはこうアナウンスした。「ブラックボックスを試験をしたところ、暗証番号が未設定の状態では確かに解錠されてしまいました。しかし、暗証番号を設定していれば解錠はされません」。

「掌門之星」という電子ロック錠を販売しているメーカーでは、「試験をしたところ、弊社の製品はまったく影響を受けませんでした。電磁波などの影響を受けないように金属筐体に収める設計になっているからです」と北京青年報の取材に応えた。


3秒打开指纹锁!小黑盒已流入市场 微辣Video 梨视频官网 Pear Video

▲電子ロック錠のハッキングを報道するネットメディア。いとも簡単に解錠できる。

 

原理は簡単。高圧電流を飛ばすだけ

スモールブラックボックスの正体は単純で、変圧器を改造し、針金の先から高圧の電磁波が発射される仕組みになっている。これが電子ロック錠を誤作動させる。

このブラックボックスは、「電子ロック錠安全性試験装置」として、タオバオなどのECサイトで数百元で発売されているという。

北京青年報の記者は、タオバオを始めとするECサイトを検索してみたが、すでに出品停止になっているようで、見つけることはできなかった。

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▲問題の装置は、安全試験装置などという名目でECサイトでも販売されていたという。現在は出品停止になっている。

 

検証をしていない低品質の電子ロック錠は淘汰されていく

無数の中国メーカーが電子ロック錠を開発、発売しているが、品質に関してはさまざまだ。ブラックボックスで簡単に解錠できてしまう(ということは、電子着火式の使い捨てライターでも解錠できる可能性がある)というものから、ブラックボックスにまったく影響を受けないものもある。

中国では、ある製品が売れるとなると、あっという間に数十あるいは100を超えるメーカーが製造販売を始めるため、すぐに価格競争のステージに陥ってしまう。その中で売れるのは、やっぱり「質は悪くても安いもの」なのだ。指紋認証ユニットを仕入れて組み立てるだけの、セキュリティ検証をきちんとしていない製品も多く出回ってしまう。

今回の事件で、ブラックボックスで簡単に解錠できてきしまう電子ロック錠の製品名とメーカー名のリストがネットに出回っている。賢い消費者であれば、このリストに載っている電子ロック錠は避けることだろう。

中国の生体認証関連製品も、セキュリティを真剣に考える時期に入ったようだ。