今年の1月1日、深圳市の大型スーパーで、スマートフォン決済ができなくなるというトラブルが生じた。街頭での決済のほとんどをスマホ決済に依存するようになった中国で、決済ができなくなるトラブルはパニックをも起こしかねない。何が起きたのか、今日頭条が報じた。
スマホ決済への依存を強める中国
中国では、日常消費のほとんどをQRコードを利用したスマートフォン決済で支払うようになっている。現金を持ち歩く人は、急速に減っている。電子決済化することで、シェアリングエコノミー、消費者金融などさまざまなビジネスが生まれ、個人消費は大きく伸びているが、もし、この重要インフラともなってしまったスマホ決済がトラブルを起こしたらどうなるのだろうか。専門家の中には、サイバー攻撃を受けた場合の弱点になるので、対策が必要だと訴える人もいる。
幸い、この数年、スマホ決済が使えなくなるという大規模障害は起きずに済んでいる。スマホ決済は、携帯電話網のパケットネットワークとWiFi経由のインターネットという2つの通信手段を持っているので、その両方が使えなくなるという事態はそうそう起こらないからだ。
散乱するカート、買い物カゴ
今年、1月1日、深圳市の龍華区の大型スーパー「RT-MART」で、突如、スマホ決済ができなくなるというトラブルが生じた。スーパーのレジ側のトラブルだった。決済できなくなったのは、アリペイとWeChatペイで、銀行カード(デビットカード)による決済は可能だった。
店舗側も予期しなかったトラブルで、混乱をし、来店客に対するアナウンスが遅れ、レジには長い行列ができる事態となった。数分後、店舗側が、スマホ決済が決済不能になっていること、そのため、現金か銀行カードによる決済でお願いしたいということをアナウンスすると、行列に並んで来店客の中には困惑をする人が続出した。なぜなら、現金や銀行カードを持たずに買い物にきている人が大半だったからだ。
買い物をやめるにしても、買い物カゴに中に入れた商品を戻すのは一苦労だ。RT-MARTの店舗は広く、1つ1つ商品を元の場所に戻していく作業は簡単ではない。店舗側の判断は早く、すぐに「買い物を中止される方は、商品はそのまま置いたままでけっこうです」とアナウンスした。そのため、レジ付近には、カートや買い物カゴが散乱することになったが、実際の現場は大きな混乱もなく、落ち着いていたという。現金、銀行カードを持っている人は、通常通りレジでの決済ができたが、脇に放置されている買い物カゴの中の商品から、買い忘れた商品を見つけて、自分のカゴに移す人もいた。
▲当初、レジ付近まできてから初めてスマホ決済が使えないことを知った人多く、多くの人が、カートやカゴを放置して去ってしまった。
▲通路にも商品が放置される事態になった。
二重の決済手段があれば、混乱は限定的
原因は、スーパー側の携帯電話ネットワークルーターの呼称だった。数時間後に復旧をし、レジ付近に放置されたカゴ、カートは、スタッフの手により整理された。
RT-MARTでは、当日の売り上げが大きく下がることは避けられないにしても、大きな混乱はなかったと説明している。
おおごとにならなかったのは、中国はスマホ決済も普及をしているが、同時に銀行カード(デビットカード)も普及をしているからだった。実際の決済に銀行カードを使う人はあまりいないが、キャッシュカードと兼用なので、日頃から持ち歩いている人が多かった。こういう事態になって、初めてデビットカードによる決済をしたという人も多かったが、多くの人が代替手段を持っていたというのが、大きな混乱にならなかった理由だ。
電子決済は、現金と違って、決済不能のトラブルが起きるリスクは避けられない。そのリスクがいかに小さいものであっても、トラブルが起きたときに、他の手段がなければ、混乱が生じるだろう。電子決済社会に突き進むことはいいことだが、複数の決済手段を普及させるということが重要なのだということを、この事件は教えてくれる。
▲レジ付近に放置されたカゴ。その中から買い忘れた商品を拾い上げて、購入する人もいた。
▲レジに並ぶのは、スマホ決済以外の決済手段を持っている人。放置された商品は、混乱が収まった後、スタッフにより片付けられた。
MARIO ショッピングバッグ 折りたたみエコレジ ボーダー 容量20L ブラウン M-11996
- 出版社/メーカー: マリオ
- 発売日: 2015/03/01
- メディア: ホーム&キッチン
- この商品を含むブログを見る