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学食カードの爆改造。iPhoneを分解してケースに入れ、スマホ持ち込み禁止の学校でゲームを楽しむ

高校生の間で、学食カードの改造が流行っている。古くなったiPhone5Sを分解し、ディスプレイと基盤だけを学食カードケースの中に入れるというものだ。スマホ持ち込み禁止の高校でも、教師の目を盗んでゲームやSNSが楽しめる。学校や親は対応に苦慮していると揚子晩報が報じた。

 

学食カードを改造する高校生たち

中国の高校では学食があり、そこでの決済は電子カードであることが多い。学校専用のNFCプリペイドカードで、食事代を親からもらってチャージをし、それを使って学食で食事をする。何を食べたかを記録し、親が閲覧できるようにしている学校もあり、子どもの栄養管理がしやすくなることや、学食のスタッフが現金を扱わず衛生的であることから、多くの高校が導入をしている。

この学食カードは標準サイズであるために、一般的なカードホルダーに入れ、首から下げたり、服につけてポケットに入れたりしている。

ところが、最近、この学食カードを「爆改造」されたものが流行しているという。カードホルダーにスマートフォンを入れ、ゲームを遊んだり、ショートムービーを見ることができる。教師も、生徒が学食カードを手にしているだけなので、不審に思わない。

▲学食では、現金を使わずにプリペイドカードを使うことが広まっている。

▲学食カードケースの中に入れ、画面を消しておけば、普通の学食カードにしか見えない。

 

iPhone5Sを分解して、カードに改造

このような爆改造された学食カードは、「閑魚」(シエンユー)などの個人取引サイトで取引されている。価格は150元から300元(約6000円)程度で購入できるという。

爆改造のベースになるのは、古いiPhone5Sだ。このiPhone5Sを分解し、スピーカーやカメラ、背面パネルなどのパーツを取り外すと、厚みが1cm以下になる。これをカードホルダーに入れると学食カードそっくりになる。

元がiPhone5Sであるために、Wi-Fiが使え、iPhoneと同様にゲームなどを入れて遊ぶことができる。元になるiPhone5Sは今では100元以下で購入できるため、これを改造して差額分の小遣い稼ぎをしている人が増えている。また、SNSには改造の方法を指南する情報も多くあり、腕に覚えがある生徒は自分で爆改造に挑戦したりしている。

▲中身はiPhone5Sなので、ゲームも遊べる。

 

偏向フィルムでステルス化する改造も流行

しかし、学校で、学食カードを手にしてゲームを遊んでいたら、それはすぐに発覚をする。そこで、爆改造では偏光フィルムを貼ることが標準になっている。偏光フィルムを貼ってしまうと、肉眼では白いカードにしか見えない。しかし、偏光メガネをかけるとディスプレイに表示されている内容が見える。

これで教師が咎めても、「普通の学食カードですけど?」でごまかすことができるようになっている。さすがに教師や親も、この爆改造に気がつき出し、この問題にどう対処すべきかを議論するようになっている。

▲中古のiPhone5Sに偏光フィルムを貼り、学食カードケースの中に入れる。