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中学、高校の学食にも顔認証決済。目的は利便性だけでなく食育教育も

福建省泉州市の泉州科技中学の学生食堂に顔認証決済が導入された。カード忘れ、チャージの手間などの問題を解決する利便性だけではなく、親のアリペイとひもづけることにより、子どもが何を食べたかが親に通知される。食育教育に役立つということも大きな導入理由だと台海網が報じた。

 

専用カードで進む学食のキャッシュレス決済

一般的な中学(日本の中学、高校にあたる)、大学の学生食堂の決済は、今では現金や券売機ということは珍しくなっている。多くの学校が、NFC電子マネーカードを導入していて、これに現金をチャージして決済をする。また、学生証にこの決済機能を入れているところも多い。食堂スタッフが現金を扱うのは衛生的に問題があるからだ。

ただし、アリペイやWeChatペイなどのスマホ決済に対応しているところは少ない。学生食堂というのは、可能な限り利益を圧縮して、低価格で食事を提供している。そのため、外部の人が食事をするためにこられてしまうと、経営的にも安全面でも問題がでる。専用の決済カードを導入することで、外部の人は利用できないようにしておく必要があるからだ。

 

カード忘れ、チャージ行列の課題が顔認証で解消

しかし、学食用電子マネーカードにも問題がある。それは生徒たちは、しばしばカードを忘れて登校してきてしまうことだ。この時は、友人に食事を買ってもらい、後で返すしかない。

また、カードにチャージをする機器の前にはいつも長い行列ができ、生徒たちから不満が出ていた。

これを一気に解決したのが、顔認証決済だった。生徒たちは、食事を選んだら、カメラの前に立ち、顔認証。本人確認のダイアログが現れたら、ボタンにタッチするだけで支払いが完了する。カードを忘れても決済ができるし、チャージをする必要もない。顔を登録していない外部の人が利用することも防げる。

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▲顔認証決済をする生徒。料理を注文し、スタッフが料理名を背面にあるタッチパネルでタップすると、自動的に顔認証が行われる。生徒は手ぶらで決済ができ、学食スタッフは現金に触れる必要がなくなる。また、外部の人間が勝手に学食を利用することも防げる。

 

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▲顔認証で映し出された顔が自分のものであることを確認したら、本人確認のボタンを押す。これで決済が完了する。スマホやカードなどを持たずに決済ができる。

 

保護者に購入した食事の通知を自動送信

この「スマート学食」システムは、単に利便性を求めただけのものではない。決済は、保護者のアリペイと紐づけることになっている。つまり、生徒が食事を買うと、保護者のアリペイにどの食事を買ったかが通知が行く。保護者は、子どもの食事の管理をしたいが、今まで学校で何を食べたかは子どもに尋ねるしかなかった。それが自動的にわかるようになり、親子でどのような食事をとるべきか話し合えるようになった。泉州科技中学では、顔認証決済は食堂スタッフや生徒たちに利便性を提供するだけでなく、食育教育にも役立つということから、スマート学食システムの導入を決めた。

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▲スマート学食の顔認証決済は、アリペイアプリの中から登録をする。基本的には保護者のアリペイアプリから、子どもの顔写真を使って登録する。これで、親のアリペイから決済が行われ、購入した食事の内容が保護者のアリペイアプリに表示されるようになる。

 

親子で食生活について話し合うきっかけになる

泉州科技中学によると、このシステムは今後も改良を続けていくという。現在、検討されている機能は、生徒が食べている食事に使われた食材の産地などのトレーサビリティ情報を表示する機能だ。食の安全を確保するとともに、食育教育にも役立てたいという。

また、生徒が食堂や食事に対して、満足度評価ができる仕組みの導入も検討中だ。

すでに44台の決済端末が3つの食堂に配備され、生徒全員の顔登録も終わっている。

ある中学2年生の保護者は、台海網の取材に応えた。「子どもが何を食べているかいつでもわかるようになりました。ありがたいのは、子どもの食習慣について話し合うきっかけが生まれたことです」。スマート学食が顔認証などのITテクノロジーを導入するのは、単なる利便性だけが目的ではないようだ。