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行動制限緩和でもマスク着用者が増える。深圳市が防犯カメラの感染の瞬間映像を公開

ゼロコロナ政策の緩和が続いているが、かえってマスク着用の人が増えている。陽性者が一定程度増加することが懸念されているからだ。深圳市福田区政府は、疫学調査と防犯カメラ映像の関連の調査を行い、感染の瞬間の映像を公開して、市民にマスク着用を勧告したと鄭州晩報が報じた。

 

行動制限緩和で増えるマスク着用者

ゼロコロナ政策の「優化」(最適化)という名目で、行動制限の大幅な緩和が進んでいる。最も大きいのは、省をまたぐ移動で、陰性証明や健康コードの提示が不要となったことだ。これで自由に移動できると、年末や春節の旅行予約が活況を呈している。

しかし、街中では、マスクをする人が増えている。優化後も、屋内や公共交通の利用時にはマスク着用が義務付けられているが、屋外ではマスクをしない、顎マスクにする、手に持つという人も一定程度増えていた。しかし、優化後はほぼ全員が屋外でもマスクを着用するようになっている。

多くの専門家が、優化により、一定程度陽性者が増えることを指摘しているからだ。また、無症状の人については、公的な検査はしないことになったが、無症状でも感染力はあるとされている。優化により、多くの市民が感染リスクが高まるのではないかと心配をしているからだ。

 

防犯カメラ映像と関連づけた疫学調査

その中で、深圳市福田区政府は、疫学的調査と街頭の防犯カメラの映像を関連づける調査を行い、その一部を公開した。マスクを正しく着用していないために、感染を広げたら例を紹介し、市民に正しいマスク着用を改めて求める内容になっている。

 

例1:路上ですれ違って感染

福田区の地下鉄で入り口付近の歩道で、赤枠の女性が陽性になっていたが、本人は気がつかず、顎マスクのまま歩道を歩いていた。そこですれ違った黄色枠の女性がやはり顎マスクをしていたため、感染をした。

 

例2:歩道で複数の人に感染

人通りの多い歩道で、赤矢印の女性が陽性であることに気がつかず、顎マスクのまま歩いていた。後ろを歩いていて、マスク未着用、顎マスクの2人の歩行者(オレンジ色の矢印)に感染を広げた。

 

例3:公園ですれ違った人に感染

公園を歩いていた男性が陽性であることに気がつかず、マスク未着用のまま公園を散歩していた。人通りは多くなかったが、やはりマスクをきちんと着用していなかった、すれ違った人に感染をさせた。

 

例4:コンビニ内で感染

あるコンビニで、赤枠の男性が陽性であることに気がつかず、マスクをせずに買い物をしていた。黄色枠の男性は、赤枠の男性に近づいたわけではないが、マスクをしていなかったために感染をしてしまった。

 

例5:エレベーターの中で感染

あるビルの中で、陽性であることに気がつかず、マスクをせずにエレベーターに乗った女性が、やはりマスクをしていない女性に感染をさせた。マスクをしている人には感染が起こらなかった。

 

例6:病院の中で立ち話をして感染

ある病院の中で、陽性であることに気がつかず、男性(右下)がマスクをせずに、ある女性と立ち話をした。女性もマスクを正しく着用していなかったために感染をした。

 

マスク着用は感染リスクを80%下げる

福田区政府では、防犯カメラ映像で感染の瞬間が確認された事例は、全体の中での一部であり、マスクをしていないから必ず感染するとは限らないことを強調をしている。しかし、マスクをしていない場合、陽性者が咳や会話をした場合、2.5m以内は飛沫感染をするエリアになり、互いがマスクをすることで、感染リスクは80%以上低減させられるとしている。

市民に対して、改めて、屋外を歩く場合であっても、正しくマスクを着用するように勧めている。