武漢地下鉄が乗車コードシステムを大幅刷新した。最大の改修点は、ネット接続が途切れても乗車コードが使えるようにしたことだ。さらに、改札通過人数も1分間53人と大幅に改善されたと極目新聞が報じた。
ネット接続が途絶えると地下鉄にも乗れなくなる
中国の地下鉄に乗るには、スマホの乗車コード(QRコード)、スマホNFC、NFCカード(チャージ式)、チケット(1回利用のNFCカード)などさまざまな方式がある。現在では、スマホの乗車コードを使う人が増えているが、問題はネット接続が途切れると使えなくなるということだ。
そのような事故も時々起こり、改札から外に出られなくなったり、入場する人の長い行列ができるといったことも起きている。
ネット接続が途切れても使える改修を行った武漢地下鉄
武漢地下鉄では、2月16日に春節休みが明けて、学校の新学期が始まるのに合わせて、改札システムを刷新し、ネット接続が途切れても改札が利用できるようになった。
乗車コードで改札から入場する時、システムは、1:「乗車コードであるかどうか」。2:「入場なのか、出場なのか」。3:「出場の場合は、乗車賃を計算し決済する」ということを行う。このうち、2と3はシステムのデータベースと照合する必要があるため、ネットが途切れると処理ができなくなる。
そこで、新しいシステムでは、ネットが途切れると自動的に非常時モードに移行するようになった。1の乗車コードであるかどうかだけを判断し、2と3の処理はネットが復旧をしてから処理をするようにするというものだ。
通信が途切れても利用できるスマホ決済
スマホのQRコード決済は、元々、ネット接続が途切れても数回は決済ができる仕組みになっている。決済アプリを開いた時に、決済に必要なトークンをネットから取得し、アプリ内に保存をしておく仕組みになっている。決済をする時、ネット接続がなくても、この保存しているトークンを使って決済ができる。
バスに乗車する時や露店で決済をする時、必ずしもネット接続が得られるとは限らない。そこで、元々このような仕様になっていた。
このスマホ決済側の仕組みと、改札システム側の仕組みを変えたことで、ネット接続にも問題なく改札が利用できるようになる。
1分間30人から53人まで向上した改札通過時間
さらに大きいのが、QRコードによる改札の通過時間も短縮されたことだ。QRコードを改札のスキャナーにかざすため、NFCカードのようにはスムーズに行かず、いったん立ち止まって、QRコードをスキャンさせる必要があった。そのため、1分間に改札が処理できる人数は30人程度だった。
日本のSuicaが1分間に60人なので、Suicaの半分程度しか処理能力がなかった。これがシステムの刷新により、スキャン時間を短縮し、1分間に53人まで向上した。ほぼ、日本のSuica並みになったことになる。
提携都市の地下鉄にも乗れる「Metro新時代」
このような恩恵を得るには、武漢地下鉄が運営する「Metro新時代」アプリを入れ、スマホ決済や銀行口座などを登録しておく必要がある。現在、全乗客の約4割がQRコード決済で乗車をしているという。
また、Metro新時代は上海、南昌、蘇州など6都市とも提携していて、この提携都市の地下鉄にはMetro新時代を使って乗車をすることができる。
このネット接続が途切れても入出場ができる改札システムは、他都市でも導入が進んでいる。各都市で、システムの刷新に合わせて導入されると見られている。