小米が自動車製造に乗り出す。その子会社「小米汽車」の幹部が公表されたが、自動車業界を背景にした人が一人もいないことが話題になっている。ネットでは、「自動車づくりをなめている」という批判、「素人だから斬新な発想ができる」という期待の両方の声が上がっていると晩点LatePostが報じた。
小米が自動車製造に参入
スマートフォンメーカーである小米(シャオミ)が自動車製造に乗り出す。2021年1月に、小米の役員会で電気自動車(EV)の研究開発に着手することが決定され、3月にはEV製造をする子会社を100億元(約1700億円)の資本金で設立することが発表された。その子会社には、小米創業者の雷軍(レイ・ジュン)CEOがCEOとなり、雷軍は「私の人生最後の大規模な創業になる」と語った。そして、9月1日に正式に「小米汽車」の設立が発表され、主要メンバーの写真が公開された。
自動車業界出身者がいない新会社幹部
しかし、この中に、自動車製造業界を背景にした人が一人もいないことが話題になっている。
前列左から、
小米副総裁、首席財務官:林世偉。2020年入社。前職は、小米傘下の金融会社「天星数科」副会長。
小米共同経営者、シニア副総裁:張峰。2016年入社。大型家電、ノートPC、テレビの責任者。
小米共同創業者、執行役員、シニア副総裁、組織部部長:劉徳。小米の高級従業員の人事を担当。
小米共同経営者、総裁:王翔。2015年入社。財務、行政対応、人事などを担当。
小米創業者、会長CEO:雷軍。
小米共同創業者、シニア副総裁、金融会社「天星数科」会長:洪鋒。
小米共同経営者、シニア副総裁:盧偉氷。2019年入社。国際部の責任者。
小米シニア副総裁:祁燕。2012年入社。プラットフォーム、政府対応などの責任者。
小米副総裁:何勇。2018年入社。前職は湖北省政府の北京駐在所副主任。現在は小米の地域本部に従事。
このようにすべてが小米の幹部であり、自動車産業を背景にした人はいない。
後列の8人も、ほとんどが小米のエンジニアであり、自動車産業を背景にした人はいない。
小米は、BMW中国のデザイナーでiシリーズのエクステリアを設計していた李田原氏を招聘したことを発表しているが、この人が唯一と言ってもいい自動車業界出身者になる。
素人集団の挑戦に賛否両方の声
つまり、小米は素人集団で自動車製造に挑むことになり、それが話題を呼んでいる。SNSでは、自動車産業関連(と思われる)人たちからは「自動車づくりをなめている。自動車は素人がつくれるほど簡単なものではない」という声があがり、それ以外の人からは「素人だからこそ、自由な発想で斬新な車ができる」という声があがっている。米テスラに対する批判、期待と同じような声があがっている。
ネットメディア「テンセント科技」が3月に行なった読者アンケートでは、「期待をする」が63.1%で、「期待できない」が36.9%となった。
成功した小米家電の手法を踏襲か?
小米は小米汽車についてまだ多くの情報は公表していない。どのような自動車になるのかの予想図も公表してなく、ネットでは小米ファンたちが勝手に想像して作成した完成予想図が出回っている。
しかし、小米はすでに自動運転開発企業「深動科技」(DeepMotion)を7700万ドル(約85.7億円)で買収することを発表している。また、LiDAR(ライダー)の製造企業である「禾賽科技」、4Dミリ波レーダー製造企業数社、自動運転計算チップ製造企業の「黒芝麻」などに投資をしている。小米汽車の従業員数は300人程度になると見られている。
小米は多数の家電製品を製造販売し、家電の領域でもテレビや炊飯器、電動歯ブラシ、スマートゴミ箱などというヒット商品を生み出している。しかし、これらの多くは小米が直接製造しているわけではない。買収した子会社、投資をした企業が製造し、小米の担当者が開発の段階から関わり、小米傘下ブランドとして販売をしている。自動車もこのような家電製品と同じ手法で製造されるのだと見られている。
自動車も、いよいよ家電製品と同じ手法で製造ができるコモディティ製品になってきている。