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明日、vol. 043が発行になります。
みなさんは、中国スマートフォンメーカーの名前をいくつぐらいご存知でしょうか。
米中貿易摩擦などの報道で、華為(ホワウェイ、ファーウェイ)はよく知られるようになったのではないかと思います。また、いわゆる中華スマホに興味がある方は、小米(シャオミ)、OPPO(オッポ)などの名前を耳にしたことがあるかもしれません。
でも、ここまで知っていれば、もはや中国スマホ通です。現在、中国でシェアの高いメーカーのことを「華米ov」と略されることがあって、今触れた3社にvivo(ビーボ)を加えた4社が、中国のシェアのほとんどを握っているからです。
しかし、混乱をしてしまうのは、中国のスマホ関係の記事を見ると、あたかもスマホメーカーであるかのような名称がいくつも登場します。例えば栄耀(honer、オナー)、Realme、OnePlus、iQOO、Redmiなどです。
▲中国スマホメーカーのサブブランド一覧。4強と呼ばれるメーカーすべてがサブブランドを展開している。それぞれに狙っている価格帯が異なっている。
これらはスマホメーカーなのでしょうか?答えは華米ovのサブブランドなのです。中国のスマホメーカーが発展をするのに、このサブブランド戦略が大きく貢献をしています。
日本ではスマホメーカーではなく、キャリアがサブブランド戦略をとっています。ソフトバンクはワイモバイルを、auはUQコミュニケーションズを経由してUQモバイルという格安SIMキャリアをサブブランドとして展開しています。
このサブブランドの狙いはわかりやすいと思います。もし、ソフトバンク本体が格安SIMを販売したとしたら、ソフトバンクユーザーのほとんどが格安SIMプランに乗り換えてしまい、収益は一気に悪化してしまいます。格安SIMは料金が安い代わりにさまざまな制約があり、そこをわかっている人がうまく使いこなすのであればいいのですが、多くの人がソフトバンクと同じように使えないといってクレームを入れ、混乱することになるでしょう。いわば、「別働隊」を作って、既存ユーザーを混乱させないようにしながら、従来SIMの収益を温存し、格安SIMでのシェアを獲得する戦略です。
さらに、サブブランドの仕組みをよりうまく利用しているのがカジュアルウェアのユニクロとGUです。
1998年に低価格のフリースが話題となり、ユニクロが世間に広く認知された頃、「価格破壊の低価格の割に品質は悪くない」と言われ方をすることがよくありました。当時は、まだユニクロの品質に、世間が懐疑的であったことがよくわかる言い回しです。
しかし、生活の中にユニクロが定着してみると、周りのアパレルメーカーが価格を下げてきたこともあり、現在では「普通の価格に、普通の品質のベーシックラインを提供するアパレルメーカー」という感覚になっています。特にこの数年は、品質も上がっていますが、価格も上がっています。
それでも値上げに対する不満があまり出てこないのは、サブブランドのGUがあるからです。GUは昔のユニクロを彷彿とさせる低価格で、しかも、ベーシックライン以外に攻めたデザインのウェアも用意しています。
ユニクロの利用者が、若者から中高年へと広がるにつれ、品質を高め、その分価格はあげる。一方で、それが高いと感じる若者はGUで受け止めるという仕組みです。
ここで重要なのは、GUというサブブランドがあったために、ユニクロは価格と品質を上げていくことができたということです。もし、サブブランドがなければ、「最近のユニクロは高い」というユニクロ離れを起こしていた可能性もあります。
サブブランドは、単なる別働隊というあるだけでなく、サブブランドとの組み合わせで、メインブランドの特性もシフトさせていくことが可能になるのです。
中国のスマホメーカー、特にファーウェイと小米はこのサブブランド戦略をうまく使い成長をしていきます。
中国の携帯電話市場は「中華酷聯」時代が長く続いていました。これは中興(ZTE)、華為(ファーウェイ)、酷派(coolpad)、聯想(レノボ)の4強のことです。この時代の中国メーカーの携帯電話は、見るべき点は少なく、いわゆる「中華クオリティ」そのもので、安さだけが唯一の長所でした。そのため、スマートフォン市場はノキア、アップル、サムスンの独壇場でした。
しかし、2011年8月に小米が「小米1」を発表したことで、すべてが動き出します。最も刺激を受けたのはファーウェイで、ここからファーウェイは目を見張る性能の製品を投入し、小米と激しい競争をしながら、ノキア、サムスンという外国勢を駆逐していくことになります。
この競争の鍵を握っているのが双方のサブブランド戦略でした。今回は、中国のスマホメーカーのサブブランド戦略についてご紹介します。
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