中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

話題の新小売スーパー・生鮮ECを使って比べてみた

中国の都市部では、毎日買う生鮮食料品は、買い物に行くものではなく、自宅に配送してもらうものになりつつある。新小売スーパー、生鮮ECの他、既存スーパーも宅配に力を入れているからだ。しかし、誰もが気になるのが野菜などの鮮度や品質。天下網商が4つのサービスを実際に使ってみて、評価をした。

 

生鮮食料品は買いに行くものではなく、届けてもらうもの

中国では、日々食べる肉、野菜、魚といった生鮮食料品は、スーパーに買いに行くものではなく、自宅に届けてもらうものになりつつある。3km圏内に30分配送をしてくれるアリババの新小売スーパー「盒馬鮮生」(フーマフレッシュ)の他に、店舗を持たない生鮮ECも普及し始めているからだ。

どれを利用すればいいのか。天下網商では、フーマフレッシュと合わせて4つの生鮮ECに実際に注文をし、比較評価をした。

 

4つのサービスに同じものを注文してみた

実際に評価の対象にしたのは、「フーマフレッシュ」(アリババ)、「毎日優選」(テンセント系)、「聯華鯨選」(杭州聯華華商、チェーンスーパー企業)、「ディンドン」(上海のスタートアップ)の4つ。それぞれに「空芯菜」(野菜)、「ライチ」(果物)、「玉子」(壊れやすい)、「アイスクリーム」(温度管理が必要)の4つを注文し、結果を評価した。

 

配送時間はいずれも合格

配達時間は、いずれも時間内の早いうちにきた。ただし、「30分配送」といっても、注文を入れてから30分ではなく、注文を入れてから「次の30分」の間に配送という点に注意する必要がある。例えば、フーマフレッシュには8時32分に注文を入れているが、この時点で配送時間は9時から9時半の間以降しか選べない。それでも実際は9時ちょうどにきたが、混雑時には9時半になることもあり得る。

毎日優選は、「次の1時間」を選ぶ方式なので、配達までに最悪1時間半かかることもあり得る。

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▲配送時間については、いずれのサービスも合格。ただし、注文してから30分ではなく、注文を入れてから次以降の配送時間帯を選ぶ方式であることに注意。

 

重量は多め、価格はばらつきがある

商品に表示している重量と実際の重量を測定して比較すると、どの業者も表示重量よりもわずかに多めになっている。表示重量以下であれば返品をされてしまうため、どこも多めに入れているのだと推測される。中国では「理由なし」「レシートなし」「現物なし」の「3ナイ返品」が一般的になっている。

価格に関しては、大きな差があるとは言えない。アイスクリームと玉子は品質が異なるので、価格差が生じているが、空芯菜、ライチはフーマフレッシュがやや高めということぐらいでほぼ横並びだ。

聯華鯨選は空芯菜が安いが、アイスクリームと玉子は高め。フーマフレッシュは野菜類がやや高いが、大量購入を生かしてアイスクリームなどは安いというそれぞれに違いがある。

以下、天下網商による評価と講評。

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空芯菜、ライチともに、表示重量よりもやや多めに入っている。重量が足りない場合、返品の対象となってしまうからだ。

 

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▲商品の価格はそれぞれにばらつきがあり、品質との兼ね合いもあるので、どこが安いとは一概に言えない。価格を気にするよりも、優待クーポンなどを賢く使った方がよさそうだ。

 

☆☆☆☆フーマフレッシュ:配送料無料、鮮度も高い。

利点:配送料は無料で、豆腐ひとつでも無料で配送してくれる。店舗注文でもスマホ注文でも、価格は同じで、優待クーポンなども共通している。配送は早く、アイスクリームはまったく溶けていなかった。空芯菜やライチも新鮮で、ラベルの入荷日は当日のものだった。玉子は紙製のパックに詰められ、ポリ製のパックに比べて割れづらいと思われる。玉子ひとつひとつにラベルが貼られている。

欠点:配送地域が3km圏内と限られている。たまたまかもしれないが、アイスクリームのスプーンが入っていなかった。5点評価で4点。

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▲フーマフレッシュから配送されたもの。玉子が紙パックに入っているため、割れる不安が少ない。入荷日などの表示もあり、品質的には信頼できる。

 

☆☆☆☆ディンドン:小ネギがおまけについてきた

利点:ディンドンのアプリで商品をカートに入れていると、「小ネギもお入りようではないですか?」というウィンドウが現れて、タップすると小ネギが無料でもらえる。買い物の内容に対して、おまけの商品が提示されるようだ。価格は安いものばかりだが、消費者にとっては嬉しい。

鮮度に関しては、入荷日などの表示はないが、見たところ空芯菜、ライチともに新鮮であることがわかる。送料は無料で、30分配送というのもいい点。

欠点:アイスクリームが保冷されていないた。時間内に届けてくれれば問題ないが、配送が遅れた場合にどうなるかが不安。5点評価で4点。

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▲ディンドンから配送されたもの。空芯菜の中におまけの小ネギがひと束入っていた。消費者の心に響くサービスだ。

 

☆☆☆毎日優鮮:きわめて普通

利点:空芯菜、ライチとも新鮮。特定の商品が安くなることがある。アイスクリームはアルミ箔の保冷袋に入れられていた。

欠点:フーマフレッシュやディンドンが30分配送であるのに対して、毎日優鮮は1時間配送。アイスクリームは保冷袋に入れられていたものの、配送時間が長いため、少し溶けていた。配送料は無料ではなく、購入金額が39元以下の場合は、配送料が10元必要になる。全体の印象としては、可もなく不可もなくといったところ。5点評価で3点。

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▲毎日優鮮から配送されたもの。可もなく不可もなくのサービス。以前は商品品目が少なかったが、倉庫の大型化を進めていて品目は増えている。ただし、配送時間は1時間と長め。40元以上買わないと配送料も無料にならない。アイスクリームは6個パックしか購入できない。

 

☆☆聯華鯨選:果物は熟しすぎ、野菜の品質にも問題

利点:配送は早い。アイスクリームもアルミ箔の保冷袋に入れられていただけでなく、袋に入れた氷も入っていた。

欠点:最も大きな問題は品質だ。ライチは、今回テストした4業者の中で最も価格が高いのにも関わらず、品質は最も悪かった。等級も揃っってなく、新鮮とは言えず、いくつかは熟しすぎて黒いスポットが現れていた。空芯菜以外は、他の業者より価格が高めなのに品質にも問題がある。

3km圏内に1時間配送なのに、20元以上購入しなければ配送してもらえず、10kg以内が配送料4元、以降1kgごとに2元ずつ配送料が増えていく。5点評価で2点。

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▲聯華鯨選から配送されたもの。野菜類は明らかに新鮮ではなかった。天下網商の評価は低いものとなった。

 

やはりフーマを軸に競争が進んでいく

天下網商のテスト結果でも、多くの中国人が口にする「フーマフレッシュ」「ディンドン」が優れていることがわかった。ただし、ディンドンは現在上海市内でしかサービスをしていないので、多くの都市ではやはりフーマフレッシュを使うということになるだろう。

テンセント系の生鮮EC「毎日優鮮」も悪くないが、以前は商品点数が少なく、最近「毎日優鮮2.0」として大型倉庫を設置し、野菜などの品目を増やしている。そのため、配送時間をフーマフレッシュ並みの30分配送にできていない。

生鮮ECは、新小売スーパーのフーマフレッシュを軸に、ディンドンの他都市展開、毎日優鮮の配送時間短縮などを巡って競争が激化していくことになる。