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中国のプログラマーはなぜウインドブレーカーばかり着ているのか

中国のITエンジニア、プログラマーたちのウインドブレーカー着用率は飛び抜けて高く、よくネット民からからかわれるばかりでなく、プログラマー自身も自虐的に認める。なぜ、揃いも揃ってウインドブレーカーを着るのか。西二旗生活指北がその理由を解説している。

 

ウインドブレーカー着用率が高いプログラマーたち

中国の街中では、人ごみの中でもプログラマーがいたらすぐにわかる。なぜなら、彼らは揃いも揃ってウインドブレーカー(アウトドアジャケット)を着ているからだ。撥水加工をしたポリエステルやゴアテックスなどでできたフード付きのジャケットだ。

なぜ、プログラマーはウインドブレーカーを好むのか。西二旗生活指北が8つの理由を挙げている。

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▲典型的なプログラマーのスタイル。間違いなく同じチーム。

 

1)服を選ぶのが煩わしい

夏以外の季節であれば、朝起きて、外の天気を見ることもなく、ウインドブレーカーを着ていける。雨であっても、晴れであっても問題ない。暑ければ脱げばいい。寒ければフードをかぶって会社まで我慢をすればいい。プログラマーバックパックを背負っているのが基本なので、脱いだらコンパクトにたためてバックパックにしまえるウインドブレーカーは機能的なのだ。プログラマーは服にも機能性を求める。

 

2)恋愛に振り回されたくない

ウインドブレーカーは撥水加工が施されているので、液体をこぼしても、拭けば跡も残らない。恋人に抱きつかれて泣かれるような状況があったとしても、拭けば涙の跡は消えてしまう。プログラマーは独身でなければならない(と著者は主張する)し、感情に振り回されて、プログラミングの妨げになることを好まないのだ。

 

3)冬の寒さが何よりも嫌い

プログラマーが冬になって思うことは「寒い」。それだけだ。寒いことを何よりも恐れる。中国北部の冬の寒さは厳しく、最もつらいのは耳だ。「冬の寒さは耳をもぎ取る」と言われ、「餃子は寒さで取れてしまった耳なのだ」というジョークもあるほど、寒さで耳が痛くなる。フードのついているウインドブレーカーは耳を守ることができる。プログラマーは耳を覆うことで、寒さをしのごうと考える。

 

4)洗濯をする必要がない

ウインドブレーカーは撥水加工が施されているので、気軽に洗濯をしてしまうと撥水加工が落ちてしまうので、こまめに汚れを拭って手入れをするのが基本だ。プログラマーはこのことを曲解して、ウインドブレーカーは洗濯をしてはならないと言い張る。

プログラマーの中にはジーンズもワンシーズンまったく洗濯をしない人がいて、「味を出すため」だと言い張っている。ウインドブレーカーも洗濯をしないことで「味を出す」のだという。

その代償は、なんとも言えない臭いを放つことだ。どんな臭いかを知りたければ、朝のラッシュ時に、北京の地下鉄13号線(北部の環状線で、IT企業の多い地域を通る)に乗ってみれば知ることができると西二旗生活指北は言っている。

 

5)モールに行くのが嫌い

プログラマーはショッピングモールに行くのが嫌いだ。人が多すぎ、どこに何の店があるかがわからないからだ。案内パネルやマップを見ても、似たような店舗が脈絡なく点在しており、プログラミング言語のようにきちんとクラス化されていない。これは悪いコードの典型であり、プログラマーをイライラさせる。

ウインドブレーカーはモールに行かなくても買える。同僚から「このブランドがおすすめだよ」という話を聞いたら、すぐにECサイトで購入することができる。選ぶべき属性も「色」と「サイズ」ぐらいで構造化されている。しかも、ウインドブレーカーなら、多少サイズが違っても着ることができる。プログラマーは買い物という作業に最小限の労力しかかけたくないと考えている。

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▲ウインドブレーカーは選ぶのが簡単。好きなブランド、サイズ、好きな色。この3つのキーで絞り込みをすれば、買うべきものが自動的に決定する。ここがプログラマーに好まれる。

 

6)価格に大きな差がある

ウインドブレーカーは性能によって価格が大きく違う。高価なものでは1万元(約16万円)もするが、安いものでは800元(約1万3000円)で買える。価格の高いものはそれだけ性能が優れているのだが、それは実際に登山をしてみて初めて意味がある。登山やアウトドアが好きではないプログラマーにとって、そこまでの機能はいらないので、安いもので構わないのだ。それでいて、けっこう高い服を着ているように装える。

 

7)男性用のカジュアルウェアの種類が多くない

中国でも女性の服については、さまざまなブランドが入り、他国と変わらないバラエティがあるが、男性のカジュアルブランドは多くない。また、IT企業でスーツのようなかっちりした服装はそぐわない。オフィスの入り口で、保険の販売員だと勘違いされて排除されてしまうこともある。

結局、カジュアルでプログラマーらしい服装といったらウインドブレーカーぐらいしかないのだ。

 

8)みんなが着ているから

プログラマーは、チェック柄のシャツ、ジーンズ、速乾性素材のTシャツ、黒のライトダウン、ウインドブレーカーといったところが定番になっている。さらに、プログラマーだけでなく、中国人は仲間で同じ服装をしたがる傾向がある。プログラマーのチームで同じデザインのウインドブレーカーを特注することもある。それで帰属意識を確認する。

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プログラマーのクローゼットには、ウインドウブレーカーとライトダウンが入っている。春、秋、冬はウインドブレーカー。ものすごく寒くなるとダウンに切り替える。中はTシャツとジーンズ。これだけで1年を乗り切る。

 

この8つの理由は、西二旗生活指北が感じたこと、Q&Aサイト「知呼」のコメントなどをまとめたもので、正確な分析というよりは、ジョーク寄りの読み物にすぎない。しかし、中国のプログラマーのウインドブレーカー着用率が高いことは間違いない。IT企業の玄関あたりにいれば、ウインドブレーカーを着た人が出入りしていることがわかる。この話が本当かどうか、機会があったら、朝のラッシュ時の地下鉄13号線に乗って確かめてみていただきたい。