米国では普及をしているスマートスピーカーだが、日本や中国では普及率はまだまだ低い。アリババは、コスメミラーと合体したスマートスピーカーを発売する。化粧中に手が離せない女性にとって、スマートスピーカーは利便性が高いため、普及の弾みがつくのではないかと期待されていると新華網が報じた。
米国は41%、日本は6%の普及率
スマートスピーカーの普及率は、米国では2018年にすでに41%に達しているという。一方、日本は、電通デジタルの調査によると6%、利用用途は「音楽」「天気予報」「アラーム」「ニュース」となった。
2018年後半から売行きは伸びてきているが、本格的な普及はまだこれからだ。
▲調査会社カナリスの調査によると、2018年後半から再びスマートスピーカーの売行きが伸びている。
中国も米国に次いで第2位の市場になってきている
スマートスピーカー市場は、アマゾンエコーとグーグルホームが牽引しているが、中国メーカーの製品も伸びてきている。調査会社カナリスの調査によると、2018年の世界市場で、アリババはすでに11.4%、シャオミーは9.1%、百度は4.6%のシェアを占めるようになっている。この3社の出荷台数合計は1960万台。トップのアマゾンが2420万台なので、それに迫りつつある。
アマゾンとグーグルは世界展開をしているが、アリババなどの販売先はほとんどが中国市場。スマートスピーカーの最大の市場は米国だが、中国も第2位の市場に成長してきている(3位は英国)。
▲世界市場でのスマートスピーカーシェアの3位以下にアリババを始めとする中国企業が入ってきて、中国が世界第2位の市場になっている。
女優ミラーとスマートスピーカーが合体した女性向け製品
アリババ人工知能実験室は「天猫精霊Queen」という女性向けのスマートスピーカーの発売をアナウンスした。価格と発売時期は4月に公表される。
このスマートスピーカーは、化粧用ミラーとスマートスピーカーを合体させたものだ。直径8インチのミラーがつき、その周囲にはLEDが配置され、いわゆる「女優ミラー」として使える。環境の明るさをセンシングし、化粧に最も適した明るさで点灯する。
▲ミラーの周囲にはLEDが埋め込まれ、顔を照らしてくれる女優ミラーの機能がある。
美容関連の機能が充実
当然、スマートスピーカーの機能も備えていて、ニュースを聞いたり、音楽を聞いたりすることができる他、その日の紫外線指数などを尋ねることもできる。
開発には10社以上の化粧品メーカーが参加しており、美容に関するQ&Aに答えてくれる他、専用アプリで肌の写真を撮ると、化粧のアドバイスもしてくれる。
▲化粧をしている時は手がふさがっていてスマートフォンを使えない。この状態で、音声で天気予報や交通情報を聞いたり、家電を制御できる。
どこに置くかで使用頻度が違ってくる
この天猫精霊Queenは女性用であるため、売行きは限定的なものになるだろうが、スマートスピーカーの用途を考えるきっかけになるかもしれない。
スマートスピーカーをリビングに置いてしまうと、結局、音楽を聴くぐらいにしか使わなくなってしまう。しかし、手が離せない状況が多いキッチンやダイニングに置くと、タイマーを始めとした別の使い方が生まれてくる。料理レシピ検索なども充実してくれば、料理のガイドから家電コントロール、調味料などの注文なども使われるようになってくるだろう。
▲女性向けであるために、音声は男性の声を複数の中から選べるようになる。
手がふさがっている化粧の時に声で操作
天猫精霊Queenが、「化粧」という手が離せないシーンに注目したことは、スマートスピーカーの新たな需要を発掘することにつながるかもしれない。化粧をしているときは、10分から20分程度、手がふさがってしまい、スマートフォンの操作ができなくなる。この間に、化粧をしながら、天気予報や交通情報を調べたり、家電を制御したり、将来的には通話もできることになる。
スマートスピーカーをリビングやオフィスに置いてしまうと、多くの場合、スマホも使える状況なので、不慣れなスマートスピーカーよりもスマホを使ってしまう。しかし、スマホが使えないキッチン、ダイニング、トイレ、浴室などの場所、シーンではスマートスピーカーの機能が活きてくることになる。
中国では2000万台以上のスマートスピーカーが出荷されているが、それでも人口を考えると、普及率はまだまだ低い。天猫精霊Queenのようなユニークなスマートスピーカーが増えていくことで、普及に弾みがついていくかもしれない。