中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

シェアリング鉄塔でスマート都市を構築

中国でも携帯電話のキャリアは、大手だけでも3社あり、それぞれが別々に携帯電話インフラを構築している。しかし、江蘇省では、携帯電話基地局を3社が共有し、共有率が80%に達したと竜虎網が報じた。

 

携帯基地局鉄塔のシェアリングが進む中国

中国でも、日本と同じように、携帯電話キャリアが複数ある。大手3社と言われるのが、中国移動、中国聯通、中国電信。シェアはそれぞれおおよそ7:2:1の感覚だ。複数あるということは、サービスでの競争が行われ、消費者にとってはメリットがあるが、一方で、3社がそれぞれにインフラを構築しなければならないという多重投資による社会コストが問題になる。

そこで、中国では、中国鉄塔という企業を設立し、鉄塔建設を一手に引き受け、キャリアはこの鉄塔に使用料を支払って基地局を設置するという方式を採用してきた。中国ではシェアリング経済が注目を集めているが、携帯電話基地局は早くからシェアリングが行われてきたことになる。

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▲典型的な中国移動の携帯電話基地局。キャリアが独自の鉄塔を建設することは無駄なので、3キャリアで共有する仕組みができあがっている。

 

需要が急増する携帯基地局鉄塔

国鉄塔の江蘇省支社にあたる江蘇鉄塔では、2015年から150億元(約2500億円)を投じて、8万基の鉄塔を建設してきた。これは2015年以前の30年分の建設量に等しいという。4Gスマートフォンの時代になって、基地局の需要が急増しているのだ。

しかし、それでもシェアリングをすることで、総建設数を抑えることができている。

江蘇鉄塔の理葉臻(り・ようしん)副社長は、竜虎網の取材に応えた。「この3年間で、鉄塔の共有率を24%から80%にすることに成功しました。共有率が24%のままの時よりも、約5万基節約できたことなります。建設費は100億元(約1600億円)以上が節約でき、利用する土地も1600ムーが節約できました。政府が推進するシェアリング時代、スマート都市の政策に大いに貢献したと考えています」。

 

携帯基地局鉄塔で、刑務所内を監視する

江蘇鉄塔では、携帯電話の基地局を共有するだけでなく、スマート都市に向けたさまざまなプロジェクトを進めている。その中でも大きなものは、浦口刑務所との共同プロジェクトだ。

浦口刑務所の周囲に携帯電話基地局用の鉄塔を建設し、それだけでなく監視カメラを設置し、刑務所内の受刑者の監視をしようというものだ。さらに、鉄塔にドローン用の基地も設置し、刑務所の敷地内を巡回するドローンでも監視をする。近年では、刑務所上空に侵入する不審なドローンもあることから、巡回ドローンには、侵入してきたドローンを撃墜する機能も持たせるという。

また、江蘇鉄塔では所有している鉄塔のうち、14万基を社会に向けて解放し、スマート都市構築に利する利用を促していく。環境保護、治安、交通、気象などの機関、企業との協働を期待している。

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▲南京市郊外にある浦口刑務所。この敷地の外3箇所に鉄塔を建設し、携帯電話基地局だけでなく、刑務所内の監視システムを設置しようというプロジェクトが進行している。

 

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▲浦口刑務所の内部。最近、中国の刑務所には、不審なドローンが上空に侵入してくることが多いのだという。シェアリング鉄塔に装備される監視ドローンには、撃墜機能を持たせる計画もある。

 

日本でも第5世代携帯網から始まるシェアリング鉄塔

日本でも、携帯電話キャリアが携帯電話基地局を共有しようという動きはある。なぜなら、携帯電話基地局を1つ建設するのに約2500万円、土地利用料が年間300万円かかると言われているからだ。

しかし、現在のところ、各社の思惑、利益が複雑に絡み、ほとんど実現できていない。今から始まる第5世代のインフラでは、各キャリアで共有しようという動きが進んでいるが、まだ公平な負担を巡って、議論されている状態だ。

中国の場合、このような公的資本のシェアリングはスムースに進む。国家政策として位置づけられてしまったら、各社はそれに逆らいようがないからで、これが中国の強さの大きな要因になっている。それが幸せなことであるかどうかはともかく、この中国の強さは意識しておく必要がある。

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ECサイトの統計からわかった中国人の性生活

中国でインターネットが普及して変わったことはいくつもあるが、そのひとつが、市民がアダルトグッズを購入するようになったことだ。今年の避妊具の売り上げは150億元(約2500億円)に達すると見込まれている。中国のアダルトグッズ市場は、どのようになっているのか。21・京東BD研究院が「2017中国ネット成人用品趨勢報告」にまとめ、公開をした。

 

中国のアダルトグッズ市場は6600億円

インターネットは、私たちに「買い物のプライバシー」をもたらしてくれた。一般的な店舗で買うのはちょっと恥ずかしいものでも、ネット通販を利用すれば、人に知られず手に入れることができる。宅配伝票にも「雑貨」「化粧品」「PCパーツ」などと記載されるので、宅配の配達員にも悟られることなく、購入することができるようになった。

中国でも状況は同じだ。ネット以前は、隠れるように街角の隅にあった成人保健店が唯一の購入場所だったが、ネットが普及してからは、ネット通販が消費の主役に躍り出た。報告書によると、2015年のアダルトグッズ市場は60億ドル(約6600億円)だったが、2020年には90億ドル(約9800億円)に達すると予測している。

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▲21・京東BD研究院が公開したアダルトグッズに関する報告書。このような報告書が公表されることはほぼ初めてのことであり、大きな話題になっている。

 

計画出産用品から趣味用品に

中国のアダルトグッズは、計生用品と情趣用品の2つに分けられる。計生用品は計画出産用品。つまり、避妊具のことだ。中国は長い間、人口増加を抑えるため、一人っ子政策を行ってきた。これにより、夫婦を中心に、避妊具が自治体から支給されることが多かった。そのため、改革開放以前は、成人用品と言えば、避妊具のことを指していたのだ。だから、後のアダルトグッズショップも「成人保健店」という名称になっていた。あくまでも、政府の政策である計画出産に寄与する販売店という建前があったからだ。

しかし、今、売れているのは情趣用品だ。潤滑油や医薬品、電動の道具などだ。すでに、アダルトグッズ市場全体の6割以上が情趣用品になっている。

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▲計生用品とは避妊具、妊娠検査キットなど。情趣用品とは大人のおもちゃなど。どちらも市場が大きく拡大しているが、都市化とともに計画出産が必要となり、計生用品の伸びが大きい。

 

大学内ショップも避妊具から趣味用品に

大学には必ずと言っていいほどアダルトショップがある。それは、趣味のものではなく、避妊具を販売している店舗だ。学生が性行為をすることは、道徳的にも好ましくないものとされ、ましてや妊娠をするようなことは大事件になる。そのため、望まれない妊娠を防ぐために、避妊具を販売している店舗がキャンパス内に設けられている。

しかも、店主は保健関係の有資格者であることが多いという。単に避妊具を販売するだけでなく、学生のカウンセラーの役割もしている。しかし、この学内用品店の傾向が大きく変わってきた。

販売量そのものも2015年頃から急増しているだけでなく、情趣用品の割合が増えているのだ。ここから学生の意識が大きく変わったことが伺える。

その理由については、より深い分析が必要だが、誰でも思いつくのが、スマートフォンの普及によりSNSを常用するようになり、出会いの機会が急増し、学生の交際範囲が大きく広がっているということだ。その中で、性に対しても開放的な考え方をする学生が増えているのかもしれない。

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▲上海で開催される国際的なアダルトグッズ展示会では、派手な演出が多いが、実際の中国人の性生活は意外に真面目なようだ。

 

男女平等社会でも、出産に対する女性の負担は大きい

しかし、中国人はまだまだ性に対して開放的というところまでは達していない。最も好きなアダルトグッズを尋ねたアンケートでも、1位にくるのはやはり避妊具だった。その他、自慰用具、潤滑油、異性のための用具など、性を楽しむためのグッズの名前が上がり、性を楽しんでいる様子がうかがえる。

しかし、実際に売れている商品のランキングを見ると、圧倒的に売れているのが避妊具と妊娠検査キットという実用的なグッズであり、男女用具、潤滑油、趣味の衣服・下着などは下位にくる。

これも理由は、より深い分析をする必要があるが、中国では女性が仕事を持つのが当たり前で、給与や待遇などでも、男女差が極めて少ない社会であることが原因のひとつではないかと思われる。職場で男女格差がないというのは素晴らしいことだが、反面、それは男女ともに同じパフォーマンスを求められるということであり、既婚女性にとっては、どのタイミングで妊娠、出産をするかは、大きな悩みのひとつになっている。

家事、育児はほぼ男女で公平に分担する意識が広まっているが、それでも妊娠、出産は女性の負担が大きい。そのため、仕事の負担が少ない時期に出産をするため、コントロールしようという意識が高い。

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▲男性が好きなアダルトグッズ。男性用持久薬品に対する興味が意外に高い。

 

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▲女性が好きなアダルトグッズ。女性は妊娠検査キットに対する興味が高い。

 

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▲ここ4年間のECサイトの売上ランキング。年々、妊娠検査キット、避妊具といった計生用品が売れるようになってきている。

 

計画出産用品の都市、趣味用品の農村

アダルトグッズの販売量を地域別に見ると、上位5位は、広東省北京市江蘇省浙江省山東省となる。いずれも沿岸地区の大都市を要する地域だ。ところが、自慰用具だけに限って見ると、上位5位は、青海省江西省安徽省浙江省雲南省となり、内陸の農村地域が多くなる。

つまり、総合して考えると、都市部の人は、避妊具や妊娠検査キットなどの実用的なグッズを多く購入し、農村部では性を楽しむためのグッズが売れていると見ていいようだ。

中国人の性生活については、世論調査や統計などの資料が少なく、様子がまったくわからない時代が続いたが、ネット通販が登場することにより、商品の購入状況が見えるようになり、そこから中国人の性生活の一面を見ることができるようになった。蓋を開けてみたら、過度に抑制的でもなく、過度に欲情的でもなく、私たちと同じように、人生の一部として楽しんでいるようだ。

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▲昔風のアダルトショップ。いかにもいかがわしく、入るのをためらうほどだ。

 

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▲現在のアダルトショップ。自動販売機になっていところが多い。アダルトショップが自動販売機を採用した時期は、かなり早かった

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武警も採用した“トランスフォーマー”油圧ショベルカー、変身の実力

中国には、「働くクルマ」好きの人の間で有名な油圧ショベルカーがある。徐工集団が開発したET110で、その見た目から「スパイダーマン」「トランスフォーマー」などという愛称がつけられている。そのショベルカーを武警が採用したことが話題になっていると徐工新聞が報じた。

 

横転事故が怖い油圧ショベルカー

建設現場でよく見かける油圧ショベルカー。ユンボなどとも呼ばれる。一般的には、タイヤではなくキャタピラー式のものが多い。日本などでは、平坦な建築現場で使われることが多いため、キャタピラー式でほとんど問題ないが、海外では起伏のある現場で使われることも多く、横転事故がときどき起きている。障害物を乗り越えようとして、キャタピラーを過信しすぎ、バランスを崩して横転してしまう。

また、ショベルカーは本来、土砂などを掘削する建設機器だが、簡易的なクレーンとして使われることもある。しかし、専門のクレーンほど接地能力があるわけでないので、重すぎる資材を吊り上げようとしてバランスを崩して横転するという事故もある。

また、傾斜のある場所で掘削を行い、横転するという事故もある。


ショベル事故動画、泥の中に閉じ込めトップ10で最も驚くべきショベル事故極端2016

キャタピラー式のショベルカーは、平坦な建設現場での使用を想定している。しかし、起伏のある場所でも使用されるため、横転する事故が意外に多い。

 

変身する油圧ショベルカー

荒れ野を開拓しなければならない中国では、キャタピラー式のショベルカーではすぐに横転事故が起きてしまう。そのため、徐工集団は「スパイダーマン」「トランスフォーマー」などと呼ばれるショベルカーを開発した。同様のものは、欧州メーカーも開発しており、「スパイダーバックホー」などと呼ばれている。

このショベルカーの特徴は、四輪タイヤであり、なおかつ各タイヤが折りたたみの脚につけられているということだ。この脚を伸ばしたり、折りたたんだりすることで、さまざまな形態に変化する。その様子はまるでクモの足であるかのようであり「スパイダーマン」と呼ばれ、変化する様から「トランスフォーマー」と呼ばれている。

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▲ET110の得意満面のポーズ。このポーズをすることには意味はないが、ここまで変身できるというパフォーマンスで行われる。

 

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▲地面に起伏があっても大丈夫。タイヤだけでなく、金属脚での接地も可能。脚を伸ばしてバランスをとることで、どのような条件の場所でもショベル作業ができる。

 

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▲急斜面でも作業も可能。荒れ野の開拓で、大活躍をしている。

 

武装警察交通部も採用した“トランスフォーマー”ショベルカー

この”トランスフォーマー”を武警が購入して話題になっている。武警というのは武装警察のことだが、警察組織ではなく、人民解放軍の指揮下にある準軍事組織だ。相当程度の火器を使い、テロ対策などで活躍する。

トランスフォーマーを購入したのは、武警の交通部。交通部といっても、交通の取り締まりをするのではなく、道路の建設を行う。特に山岳地帯の道路建設は、命がけであり、普通の建設作業員には手に余る作業が多い。そのような場所に、高いレベルの訓練を受けた武警交通部が”出動”するのだ。

近年では、「道路を補修、復興する」という名目で、大災害などの救援活動などにも出動する。大地震、山崩れ、大洪水などの現場では、土砂を取り除く必要があるが、当然ながら整備された建設現場とは足元がまったく違う。そのような場所で、このトランスフォーマーは活躍をしている。

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▲武警交通部が採用した“トランスフォーマー”ショベルカー。自然災害の救援活動などでの活躍が期待されている。

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アニメ制作のビジネスモデルを変えた「食神魂」

中国で、ネットで無料で視聴できるグルメアニメ「食神魂」が、累計再生回数1.2億回というヒットになっている。内容についても話題になっているが、もうひとつの大きな話題が「どうやってマネタイズしているの?」というもの。「アニメを作り続けたい」という情熱を持った学生たちが、試行錯誤をしながら、新しいアニメのビジネスモデルを構築したと鉛筆道が報じた。

 

先にマネタイズを考えるアニメ制作、後から考えるITスタートアップ

アニメ制作は、いくらデジタル化をしたところで、膨大な人手がかかることは変わらず、莫大な制作費が必要となる。しかも、公開前に資金が必要となるので、この手当をどうするかという現実的な問題が立ち塞がる。

結局、テレビ放映を前提にした制作、あるいは企業の意向に沿ったアニメ制作をしてその企業のプロモーションに利用するといった「下請け制作」の枠を超えることができない。

一方で、IT系のスタートアップは、先にアプリなりサービスなりを構築して、それからマネタイズを考える。アプリやサービスは、アイディア次第では、アニメ制作に比べれば圧倒的な少人数で制作できるため、わずかなシード資金さえあれば、後からマネタイズをすることを期待して、挑戦することができるのだ。

重力聿画のCEO、朱宇辰(しゅ・うしん)氏は、このITスタートアップの感覚をアニメ制作に持ち込んだ。

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▲「食神魂」は料理の神「伊尹」が、主人公の炎小浪を助け、料理人との対決をしていくというバトル要素のあるグルメアニメ。登場する料理は、すべて提携レストランで提供されている料理。

 

お金がなくてもアニメを作り続けたい!

2016年2月、北京電影学院で動画製作で修士課程の卒業が目前に迫っていた朱宇辰氏は、卒業後も自分たちが作りたいアニメ制作をしたいと考えていた。そこで、同じ学生仲間と「892工作室」を設立、アニメ制作に乗り出した。

先に自分たちが作りたいアニメを制作して、それを持って、放送局に売り込みに行き、同時にネットで販売をするつもりだったが、まったくの失敗だった。無名の学生たちが作ったアニメなど、放送局は買ってくれないし、ネットでも知名度がなければ誰も買ってくれないのだ。

そこで、次に「八九不離2」というコメディアニメを制作して、動画共有サイトに公開、高い評価を受けた。しかし、それだけだった。大人向けの際どいギャグや皮肉、パロディがふんだんに含まれているアニメであったため、放送局と交渉をしても「放送には不向き」と言われてしまい、マネタイズはまったくできなかった。


八九不离2 萌宠靠脸吃人助力计划生育

▲892工作室時代に制作した「八九不離2」。ネットで無料公開をして、高い評価を受けたが、マネタイズはほとんどできなかった。アニメ制作を続けるために、ここからさまざまな工夫をしていくことになった。

 

投資家を募っても、アニメ制作には出資してくれない

オリジナルアニメを作りたい、でもマネタイズができない。この矛盾をどうしたら解消できるか、朱宇辰氏は徹底的に考え抜いた。

その時、目に留まったのがITスタートアップだった。彼らは、最初から投資資金を得て、アプリやサービスを構築する。アニメ制作もスタートアップと同じやり方で投資資金を得られないかと考えたのだ。

こうして、2016年6月に「重力聿画」を設立して、アニメ企画書を持って、投資家の間を駆け回った。しかし、少額のシードラウンド資金であればともかく、アニメ制作に必要な大型投資をしてくれる投資家は皆無だった。

朱宇辰CEOは、投資家の言葉に納得をした。「将来利益が得られると思うから投資をするのだ。まだできあがってもいないアニメが将来売れるかどうかは判断ができない」というものだ。もちろん、アニメがヒットをすれば、テレビ放映、映画化、グッズ制作と展開していくことで莫大な利益を得ることができる。しかし、それはあくまでもヒットをしたらの話だ。

投資家は「ヒットするかどうかを見極めたいから、先にアニメを見せてくれ」と言う。しかし、朱宇辰CEOにしてみれば「資金がなければアニメ制作はできないので、先に投資をしてくれ」と言いたくなる。この矛盾がどうしても解決できない。

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▲重力聿画のスタッフ。中央が朱宇辰CEO。社員数11人、制作スタッフは7人という小さなアニメスタジオだ。テレビ放送、映画といった既存メディアに頼らず、アニメを制作し続けている。

 

グルメなら、アニメそのものが広告媒体となる

この矛盾を解決する突破口となったのが、グルメアニメの持つポテンシャルだった。グルメアニメは、見ていると、その料理が食べたくなる力を持っている。食事が終わってすぐに見ても、なぜかお腹が空いてくるのだ。この不思議なポテンシャルを利用しない手はない。

しかも、グルメアニメは、2005年に日本の「中華一番」が輸入放映されたぐらいで、なぜか手付かずの状態にあった。

そこで、実在のレストランが提供している料理を中心にしたアニメを制作することにした。レストランと交渉し、「そちらの料理をアニメ内に登場させるので、資金を提供してほしい」と交渉したのだ。

これがうまくいった。北京市内の三様菜、辣家私厨など5つのレストランが資金を提供してくれた。

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▲「食神魂」は、二次元っぽさを強調した作画スタイルだが、料理だけはリアルに描いている。そのギャップで、より食欲を刺激するようになっている。

 

レストランとコラボすることで制作が始まった

この「食神魂」には、毎回実在の料理が登場し、その料理を中心にストーリーが展開する。料理の神である伊尹(いいん)が、人間である主人公の炎小浪が料理の世界を学ぶのを手助けし、炎小浪は毎回、料理人との対決を経て、成長をしていく。

作画上、特に気を使ったのが料理の表現だ。「食神魂」では、キャラクターや背景はあえて二次元的な表現で描かれている(これが彼らのアニメの元々の作風)だが、料理だけは超リアルに描かれ、食欲をそそるようにできている。

資金を提供してくれたレストランでは、広告などに「食神魂」のキャラクターを自由に使うことができ、宣伝広告に利用することができる。辣家私厨では、全国150店舗のランチョンマットに「食神魂」を描き、「食神魂」ファンがそのランチョンマット欲しさに訪れ、客数も大幅に増加している。

さらに、ストーリーでは、その料理にまつわる故事、由来などにも触れ、ただのバトルアニメではなく、料理のうんちくも学べるようになっている。

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▲提携レストランでは、「食神魂」のキャラクターなどを、店内で使用することができる。「食神魂」に人気が出ると、この紙製ランチョンマットを持ち帰る客が急増した。

 

すべての目的は、「レストランにお客を呼ぶ」こと

このような仕掛けをして、2016年9月に第1話が完成し、29の動画共有サイトで無料公開をしたところ、反響は予想以上に大きいものだった。「腹が減る!」という狙い通りの感想の他、思いの外、ストーリーやキャラクターにも人気が出て、話題作となり、すでに累計で1.2億回の再生がされている。

朱宇辰CEOは、すべての施策を「提携レストランに客を呼ぶ」という考え方に基づいて行っている。例えば、「食神魂」の人気が出ると、すぐに同人サイトなどでパロディ作品が無数に登場してきた。本来なら権利侵害であり、やめさせなければならない。キャラクターなどのIPの価値が低下してしまうからだ。

しかし、朱宇辰CEOは、そのようなサイトにひとつひとつ丁寧に連絡を取り、「使用許諾を与えるので、提携レストランの優待券を掲載してほしい」と交渉した。これは同人サイトにとっても願ったり叶ったりの話だ。公式の許諾が得られ、しかも優待券目当てにアクセス数が上がることも期待できる。

そのような同人サイトが増えていけば、世の中に「食神魂が流行っている」感が生まれ、なおかつ優待券を使って、提携レストランの客も増える。すべての対応を「自分たちの権利を守るため」ではなく、“自分たちのアニメを守るため”協賛してくれるレストランにいかにお客を呼び込むかで考えていった。


食神魂 第1季 第1集 美食白痴炎小浪

▲ネットで無料公開されている「食神魂」。実在のレストランの料理を扱うことで、制作費を捻出している。ITスタートアップの手法に学んで、新しいアニメ制作ビジネスモデルを構築しようとしている。

 

第1シーズンの成功で、投資家たちの見方も変わった

「食神魂」第1シーンズンは成功し、現在第2シーズンの制作に入っている。すでに6つのレストランと提携し、提携料収入は200万元(約3200万円)に達している。まだ充分な額とは言えないが、制作スタッフがたった7人の重力聿画がアニメ制作を続ける資金は確保できた。

さらに、この様子をみて、投資家たちの風向きも変わり、エンジェルラウンドの投資も順調であるという(額については非公開)。

第2シーズンでは、さらに収益を拡大するための仕掛けを打っている。提携レストランと協力をして、実在しない「黄金真珠蟹」などの架空の料理を登場させている。もちろん、いずれかのタイミングかで、提携レストランのメニューになる。また、料理界の著名なシェフを実名で登場させたり、キャラクターグッズや食器、キッチングッズなどの販売も計画するなど、第2シーズンで、重力聿画を誰もが投資をしたくなる企業に育てる計画だ。

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▲第2シーズンでは、実在しない「黄金真珠蟹」などの料理が登場する。アニメーターが想像で考えたのではなく、提携レストランのシェフの監修の元に考案された料理で、いずれかのタイミングで、提携レストランにこの料理が登場することになる。

 

値段がつかないコンテンツから、お金を生み出す

中国では、音楽、小説、動画といったあらゆるコンテンツに値段がつかない。いくら取り締まりを行っても、違法配信されて、無料で楽しまれてしまうからだ。その環境の中で、コンテンツメーカーはそれぞれに新しいマネタイズ方法を考案しなければならなくなっている。

重力聿画が築き上げた仕組みは、アニメ制作の新しいビジネスモデルとして注目されている。重力聿画が中国のアニメビジネスを変えてしまうきっかけになるかもしれない。

 

 

80人乗りの無人運転バス。公道試験が始まる

湖南省株洲市の公道で、無人運転バスの公開走行が行われた。全長12mの大型バスで、80人の乗客を乗せることができる。最高速度は時速40kmで走行し、車線変更、追い越しなどの試験も行われた。都市交通や観光路線に応用されると澎湃新聞が報じた。

 

大型バスの無人運転技術を開発する中国

中国中車は、鉄道車両を開発、製造している国有企業。その子会社である湖南中車時代電動汽車株式会社では、無人運転バスの開発が行われている。その公道での公開走行が湖南省株洲市で行われた。最高時速40kmの走行で、右左折、車線変更、追い越し、停車なども行われた。80人の乗客を乗せることができる。また、化石燃料は一切使わない完全電気自動車になっている。

安全のため、運転手が運転席に座ったが、公開走行中、発車から停止まで、運転手がハンドルやペダルに触れることはなく、5kmの全行程を無事走行した。


全球首款!中国中车发布12米纯电动智能驾驶客车

▲公道公開走行の取材映像。交通量の少ない道路が選ばれたため、トラブルもなく成功した。今後は、天候、時間、交通量などより複雑な状況での公道試験を進めていく。

 

試験道路では、すでに2ヶ月の試験を経験

この無人運転バスは、閉鎖された試験道路ですでに2ヶ月の走行試験を経ている。中車時代電動汽車の唐広笛(とう・こうてき)社長補佐は、澎湃新聞の取材に応えた。「今日の公道試験は、試験道路よりも条件がさらに複雑です。天候、路面、周辺環境など、複数の要因が無人運転に影響します。この公開走行に成功したとことで、私たちの人工知能運転技術の水準が示されたと考えています」。

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湖南省株洲市の公道で行われた公開公道試験走行。乗っているのは取材に訪れたメディア。運転手も一応乗車したが、途中で運転席を外れてしまった。

 

8000台のバスの運行データを人工知能が学習

この1台の無人運転バスの背後には、全国8000台のバスの走行データが存在している。有人運転のバス8000台のデータを自動収集し、このデータを使って、人工知能を学習させている。

1台のバスが1日に生成するデータは150メガから200メガ程度で、中車時代電動汽車では現在50テラ程度のデータを集積し、現在でもこのデータは増え続けている。

収集されるデータは、ペダルの使用回数、方向、エアコンのオンオフ、電圧、電流、温度、加速度、警告灯など多岐にわたっている。

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▲走行中の運転席。通常のハンドル、ペダルなどが備えられているが、走行中は勝手にハンドルが回っていく。

 

夜間でも安全に無人運転が可能

無人運転バスには、道路の交通規則判断システムと画像解析システムが搭載されている。交通規則判断システムには、各道路の交通規制情報が入っていて、さらにレーダーで前後左右の一般車両を補足し、交通規則に基づいて車線変更、追い越しなどをする。画像解析システムでは、道路の白線を補足し、無人運転バスが車線からはみ出ないように微修正を促す。

また、カメラ、レーザーレーダー、ミリ波レーダー、超音波レーダーなどが前後左右の障害物や歩行者を補足する。レーダー系が前方200m以内に障害物を発見すると、カメラによる画像解析で、その障害物が歩行者であるのか、車両であるのか、信号機であるのか、あるいはそれ以外であるのかを判別する。さらにミリ波レーダーなどを組み合わせ、障害物の正確な位置を割り出し、障害物の種類によって適切な行動が行われる。基本は、減速、停止だが、その時のバスの速度や周辺環境を判断して、回避が適切な場合は、回避行動をする。

また、暗視カメラが採用されているため、この無人運転バスは夜間でも安全に走行できる。

 

都市交通の視点からは、無人よりも「コネクティッド」

中車時代電動汽車では、無人運転バスの車体の開発と同時に、バスの運行をモニタリングするクラウドプラットフォームも同時に開発をしている。無人運転バスは、すべてコネクティッドカーになるべきで、常にプラットフォームがバスの状況を把握している状況が重要だという。

例えば、乗客が突然増えた路線に、臨時にバスを追加したり、渋滞などが発生した場合は、臨時にその場所を迂回させるなどができるようになる。また、将来的にはバス停という考え方はなくなり、スマートフォンから乗車、下車を通知すると、周囲の環境を考えて、バスが停止できる場所に停車するということになっていくという。

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▲中車時代電動汽車が開発した無人運転バス。見た目は普通のバスと変わらない。電動で80人乗り。このような無人運転バスが、プラットフォームがリアルタイムに弾き出す最適ルートを走行するというのが将来の公共交通だ。

 

バス路線という考え方はなくなり、シェア交通になっていく

さらには、路線という考え方も消滅し、スマートフォンから出発地と目的地を指定すると、そのデータを分析して、バスの最適走行ルートをリアルタイムで生成し、都市全体の乗客の移動時間を最小化させることもできるようになる。

大都市用のような乗客が多い地区では、路線がある程度設定されている方が乗客はわかりやすいかもしれないが、過疎地などでは、路線という考えを捨てて、乗客のリアルタイムの要求に基づいて、走行ルートを自動判断するという方が効率的だ。乗客にしてみれば、多少遠回りをされてしまうこともあるかもしれないが、その代わり、バスの待ち時間が減り、乗客全員の移動時間を最小化させることができる。

中車時代電動汽車では、この無人運転技術を中型バス、小型バスにも応用していき、最終的には乗用車サイズの無人運転も実現させたいとしている。このような乗客数の異なる複数のバスがコネクティッドされて走るというのが、スマート都市での公共交通のあり方なのだ。

tamakino.hatenablog.com


全球首例自动驾驶大客车成功运行 / Test of unmanned bus successful

▲2015年8月には、河南省州市で、宇通客車が開発した無人運転バスの公道走行が行われている。都市交通問題に深刻な課題がある中国では、バスの無人運転技術の開発も進んでいる。

 

 

交通違反が1回チャラになる優待券の配布を始めた広州市警察

中国のお役所は、日本と違って意外と融通が効く。各警察では、スマホアプリを開発し、市民に親しんでもらおうと必死だ。広州市警察が警察のスマートフォンアプリを普及させるため、なんと「交通違反が1回チャラになる優待」を始めた。さすがにそれはやりすぎではないかと話題になっているとIT之家が報じた。

 

反則金を稼がないと、自分たちの給料が出てこない

中国のお役所というと、日本よりもさらに官僚的で融通が利かないイメージをお持ちの方もいるかもしれないが、現実は融通が効きすぎて、帰って問題が起きている。末端の公務員でもある程度の決済権を持っているために、それが賄賂や汚職の引き金になってしまっている。

お役所にも独立採算制の考え方が過度に取り入れられたため、交通警察では、反則金で稼がないと、自分たちの給料が出ない状態になっている地域もある。そのため、押収した違反車両をオークションで売却してみたり、軽微な交通違反を摘発して、市民とトラブルになることも起こっている。

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反則金スマホ決済はもはや当たり前

交通警察はこのような融通が効きすぎるお役所であるため、IT技術の利用にも積極的だ。例えば、スマホ決済であるアリペイ、WeChatペイなどは、多くの地域の交通警察が、違反金の支払いに利用されている。

北京市などでは、駐車違反をすると、車に違反キップが貼り付けられるが、そこにはQRコードが印刷してある。このQRコードを読み取って、その場でスマホ決済で違反金を支払ってしまえば、それでおしまい。警察署に出頭する必要もない。

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ハルビン市交通警察が、違法駐車車両の窓ガラスに貼った違反切符。下部のQRコードをスキャンすると、そのままスマホ決済で罰金を支払うことができる。

 

優良市民には交通違反が1回チャラになる優待券

これなどは、単に利便性を高めただけだが、広州市の交通警察がさらに一歩踏み込んだ“優待”制度を始めて、話題になっている。これは広州交通警察のアプリを利用している市民の中で、一定の条件に合致した人は「優待券」がもらえるという制度だ。

この優待券は、減点3点以内、罰金200元(約3200円)以内の交通違反を起こしても、優待券を使うことでチャラになる。ネット民からは「違反の合法的もみ消しだ!」「交通違反も初回無料になったか…」「タオバオで売買されるに決まっている」という批判が上がる一方で、優待券ほしさに交通規則を守るようになるのではないかと評価する声も上がっている。

 

通報5回でもらえる熱心市民券と無事故無違反でもらえる遵法市民券

優待券には2種類ある。ひとつは「熱心市民券」、もうひとつは「遵法市民券」。熱心市民券は、前年に5回、アプリから交通違反の目撃通報をすると1枚もらえる。10回通報すれば2枚になる。遵法市民券は、過去1年間無違反であり、なおかつ2年間死亡事故を起こしていなければもらえる。

いずれの優待券も、アプリの中で、10項目の交通安全に関するクイズに答えると有効になる。

日本で同じことをしようとすると大反発され、おそらくなんらかの法律と整合性が取れなくなるだろう。しかし、中国の役所や中国人はこのような新しいことに対して寛容だ。「やってみて問題があれば修正すればいい。修正しきれない大きな問題があるなら、そこでやめればいい」と考えていて、民間でも役人でも、こういった工夫を次々としている。

もちろん、それは社会を騒がすことになり、整然や秩序といったものは乱されることになる。しかし、それを乗り越えて前に進んでいくのが、中国らしい発展の仕方なのだ。

東洋マーク 駐車違反 ステッカー 1967

東洋マーク 駐車違反 ステッカー 1967

 

 

嫌われる「4」。枯渇する中国の携帯電話番号

中国の携帯電話番号の割り当てが枯渇しようとしている。桁数を増やすことも検討されているが、それには携帯電話網の大掛かりな改修が必要となり、莫大な資金が必要となる。一方で、中国人が4という数字を嫌う習慣があるため、4を含む携帯電話番号が死蔵されている。なぜ、中国人は4という数字を嫌うのか、IT八卦が解説した。

 

縁起の良い番号のお値段は13億円

中国の携帯電話の番号は、キャリアごとに割り当てた3桁+契約した地域の4桁+個別番号の4桁という構成になっている。日本人は、あまり携帯電話の番号にこだわりを持たないが、中国人はものすごくこだわる。特に8が大好きで、8888のように8が並んだ番号は高値で取引をされている。8と「発」の音が似ていて、中国人にとって「発財」(金運に恵まれるの意味)は、新年の挨拶のひとつとなっているほどだ。

その他の数でも、並び数字が大好きで、133-3333-3333、155-5555-5555の番号は、それぞれ1600万元(約2億6000万円)で取引されたことがあり、188-8888-8888はまだ番号が発行されていないのに、予約の権利が8000万元(13億1700万円)で取引された。

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▲連番の携帯電話を販売する業者を繁華街で見かけることができる。ネットでも売買が行われ、縁起のいい連番は高値で取引されている。

 

末尾の4、74は嫌われる

ところが、なぜか144-4444-4444の番号は誰も欲しがらず、売れ残ってしまっている。それだけでなく、キャリアに割り当てられた134-xxxx-xxxxx、144-xxxx-xxxxxは明らかに売れ行きが悪く、各キャリアでは持て余してしてまっているという。日本と同じく、4は死と音が似ているために嫌われるからだ。

また、他のキャリア番号であっても、中に74が入っている番号は嫌われる。74は去死(死んでしまう)と音が似ているために嫌われるからだ。特に末尾が4という番号がことの外嫌われている。

 

日本の習慣が、台湾、香港を経由して広まった

しかし、この4を嫌う習慣は、実は日本から輸入された習慣であるという。それまで中国では、4は決して縁起の悪い数字ではなく、むしろ縁起のいい数字だった。「四通八逹」という成語があり、四方八方に通じているという意味で、交通が便利であることや、ある方面に精通しているなどの意味で使う。東西南北は4つであり、白虎、青龍、玄武(黒亀)、朱雀の4つの神が家や都市を守ってくれていると考える。八の末広がりと似た意味で使われる数字だったのだ。

ところが、1970年代に台湾で、日本の習慣を見て、4を嫌う習慣が広まり始めた。車のナンバー、住所番地などで4が含まれているものが避けられるようになった。これが香港に飛び火し、広州に飛び火し、次第に中国全土に広まっていったのだという。

 

番号を枯渇させないための議論が始まっている

中国ではすでに10億件以上の携帯番号を発行し、桁数を増やす工夫をしないと枯渇をすることが見えてきている。それなのに、4が入っている携帯番号が使われないというのは大きな無駄をしていることになる。

現在は、解約された番号の再利用の期間を短縮してしのいでいるが、今後、どうするのかさまざまな議論が始まっている。最も、有力なのが、契約するときは番号を自動割り当てし、選べないようにするというものだ。その後、個人同士で好まれる番号を売買することは自由なので、気に入らない人は、コストを負担して購入すればいいという考え方だ。中には、「4が入っていても気にしない」という人もいるので、そういう人が増えるうちに、4を嫌う習慣が消えていくだろうというもの。

あるいは、4を含む番号を選んだ人に、キャリアがなんらかの優待を出したらいいという人もいる。

 

そもそも今後も携帯電話の“番号”は必要なのか?

根本的には、携帯番号の桁数を増やさなければならないのだが、現在のIT技術の発達ぶりを見ていると、数年で携帯番号そのものが意味がないものになってしまうかもしれない。

現在でも、電話番号を入力して電話をするということもよりも、WeChatなどのアプリを利用してID番号に基づいて通話をすることが増えている。電話番号は、SIMカードのシリアル番号のようなものになってしまって、ユーザーが意識することはなくなってしまうかもしれないのだ。

それまでに、11桁の電話番号で間に合うか。綱渡りをすることになる。

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