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同時に10人まで体温をリモート測定。新たな人工知能防犯カメラを開発した深蘭科技

新型コロナの感染拡大後、深蘭科技(シェンラン、ディープブルー)が開発した「猫頭鷹」(ふくろう)が全国に普及している。猫頭鷹は防犯カメラと体温測定を兼ねた機能を持っている。設置しておくだけで、一度に最高10人まで体温測定を行い、同時に顔認証などもすることができる。学校、駅、空港などを中心に導入されていると紫金山科技が報じた。

 

体温測定と防犯カメラ機能を兼ね備えた「猫頭鷹」

猫頭鷹は赤外線と可視光を感知し、さらに画像解析を行うことで、体温測定と防犯カメラの機能を備える。360度回転することができ、13m以内の人物を検知して、体温を計測する。人は、止まることなく、普通に通路を通るだけでいい。また、体温に異常を感知した人を発見すると、30秒間追跡をして、精密な体温測定をし、最終的に0.1度の誤差で計測する。

さらに、オプションで顔認識などもできるので、発熱の疑いがある者、部外者が通ろうとすると警告通知を出すことができる。また、屋外環境でも正確な体温測定ができる。5G接続にも対応しているので、管理画面とケーブル接続をする必要はない。

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▲深蘭科技公式サイトにある猫頭鷹の紹介。可視光と赤外線を同時感知し、人工知能による画像解析で体温などを計算する。深蘭科技は人工知能技術をさまざまに応用する企業。

 

公共空間、オフィス、マンションなどの標準装備に

すでに公安部第三研究所の防犯機器としての認証も取得したため、武漢、上海、北京、重慶山東省、内モンゴル自治区などの学校、駅、空港、地下鉄駅、さらにはオフィスビル、マンションなどに設置され、防犯、防疫の決定版になろうとしている。

見た目はやや大き目の防犯カメラと変わらないため、ヒット商品となり、普及が進んでいる。現在のところ、入り口にスタッフが控え、額にあてる非接触体温計により体温測定を行うのが一般的になっている。しかし、あまり評判はよくない。「額に銃口を突きつけられるようだ」と不快感を感じる人が多いという。また、専任のスタッフを配置しなければならず、しかもそのスタッフは感染者と接触をするリスクもある。

猫頭鷹は、このような問題を一挙に解決してくれる。人は以前と同じように通過をするだけでよくなり、同時に防犯カメラによる監視ができ、体温測定もできる。さらに、顔認証機能が搭載されれば高いセキュリティが確保される。

すでに猫頭鷹と同様のデバイスも登場してきていて、中国のオフィスビルやマンション、学校の入り口には標準されていく可能性がある。

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武漢市のマンションに設置された猫頭鷹。マンションに入る人の体温測定を行う。発熱している人が入ろうとすると、管理人に通知が送られる。戸外に設置されても、体温が正確に測定できる。

 

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上海市の嘉定第一中学に設置された猫頭鷹。学生は普通に通学するだけで、自動的に体温測定されることになる。

 

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武漢市新華江北社区に設置された猫頭鷹。ひとつの通りに町内会のような組織があるが、現在はドアを設置して、部外者を入れないようにしているところが多い。その入り口に猫頭鷹が設置された。左手にこの社区の事務所があり、猫頭鷹の管理を行っている。

 

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武漢漢口駅に設置された猫頭鷹。体温測定だけでなく、防犯カメラとしても機能している。

 

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▲猫頭鷹の管理画面。顔検知機能で人を捉え、体温測定をする。近日中に顔認証機能も搭載される。

 

原沢製薬工業 非接触型体温計 イージーテム HPC-01

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