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新型コロナウイルスで急速に進むテレワーク。アリババのDingTalkが6億ダウンロードを突破

アリババのグループウェア「釘釘」(ディンディン、DingTalk)が突如大量にダウンロードされ、在宅勤務、在宅学習などのテレワークが一気に普及をしている。ダウンロード数はすでに2億件を越え、3万カ所の公的機関、200万カ所の企業、40万カ所の学校で採用されていると快科技2018が報じた。

 

毎日1億人が使うグループウェアDingTalk

アリババのDingTalkは、ビジネス用のグループウェア。チャット、通話、ビデオ通話の他、ビデオ会議、ライブ放送、書類やカレンダーの共有などの機能がある。

このDingTalkが、中国で大量にダウンロードされ、在宅勤務、在宅学習が一気に普及をした。

アリババは、新型コロナウイルスによる新型肺炎の影響を受けて、企業、学校が春節休みを延長をしたことから、DingTalkに健康管理の仕組みを緊急追加した。メンバーにアンケートを取り、集計できる機能を活かして、「健康」「熱がある」などの健康状態をワンタップで報告できる仕組みだ。企業側では自動的にデータを集計することができる。

さらに、「在宅勤務指南」「在宅学習指南」のウェブページを緊急公開。DingTalkを使ったテレワークのやり方を解説した。また、有料だった100人までの電話会議機能や在宅勤務関連機能を無料にした。

このことから、企業などでDingTalkが次々と採用され、毎日1億人がDingTalkを使っている。

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▲DingTalkは、チャットメッセージでQ&Aやアンケートを送ることができる。これを利用して、社員に適切な案内をしたり、健康状態を尋ねて集計する企業が急増している。

 

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▲DingTalkは公的機関でも採用され、職員の健康状態の把握や連絡に使われている。

 

5000万人の生徒が利用するビデオ授業

特に学校では、新型肺炎の影響で、春節に伴う冬休みが延長されたが、「授業は止まっても、学びは止まらない」というスローガンの下、教師たちはDingTalkを使ったビデオ授業を始めた。参加したのは、300都市60万人の教師で、自宅で受講する生徒たちは5000万人にのぼると見られている。

生徒たちは、PCやスマホで、教師のビデオ授業を受け、送信されてくるドリルを解いて、提出をする。わからないところは、チャットや通話で教師に尋ねる。

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▲ライブ放送設備のない学校であっても、教師が自宅からスマートフォンを使って、ビデオ授業をすることができる。多くの学校で、新学期の開始時期を遅らせているが、DingTalkを使ったビデオ授業を行なっている。

 

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▲小学校、中学校では、ライブ放送授業が行われている。生徒は自宅のPC、スマホスマートテレビなどで受講する。

 

生徒たちは怒りの低評価

ところが、このDingTalkのアップストアの評価が5点満点で1.3と低い。高評価をした人が1.1万人であるのに、低評価をつけた人が12.1万人もいる。

低評価をつけたのは、ほとんどが生徒たちだ。あるレビューは「ビジネスツールをなぜ学校で使うのか。冬休みは短いのに宿題も多く、それだけでもストレスなのに、またストレスをかけるのか。ジャック・マーには感謝するけど、このアプリは死んでほしい」と書いている。つまり、せっかく旧正月でのんびりしていて、新学期の開始が遅れて、生徒たちは喜んでいたのに、結局、遊べないとがっかりしているのだ。春節休み期間中、外出もしづらいため、動画ストリーミングサービスやスマホゲームのアクセス数が急増している。春節休みの延長を生徒たちは大歓迎したが、在宅学習が始まると聞いて、ぬか喜びになってしまったからだ。

とは言え、DingTalkのダウンロード数はすでに6億件を越え、新型肺炎の影響により、中国でも在宅勤務、在宅学習のテレワークが定着する可能性が出てきている。

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▲中国のアップストアのDingTalk。低評価が12.1万件もある。冬休みが延長されてのんびりできるとぬか喜びした生たちが、怒りの低評価をつけている。