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大規模マンション内を走る自動運転バス。広州市のマンションで初めて採用

中国の都市郊外では、4000戸規模の大規模マンションが開発をされている。あまりに広いため、ゲートを入ってから自宅まで歩いて15分などというケースもある。そこで、広州市の実地常春藤マンションでは、L4自動運転バスを巡回させていると愛范児が報じた。

 

規模が大きい中国都市のサイズ感

中国では、「移動の最後の1km問題」という言葉がある。中国の都市は、日本の都市と比べてサイズが大きく、1ブロックのサイズが大きい。都市内の幹線道路も片側5車線も6車線もあったりする。横断歩道よりも地下横断道が多く、地下鉄の駅間も長い。

そのため、日本の都市の感覚で地図を見て、駅から歩けばいいなどと簡単に考えると、15分や20分はしっかり歩かされることになる。

このため、シェアリング自転車が普及をした。地下鉄駅から目的地まで歩くよりは、自転車を使った方が快適だし、早いからだ。

 

4000戸+規模の大規模マンションも登場

しかし、シェアリング自転車でも解決ができない場所がある。それは小区と呼ばれる大型マンションだ。

一般的な大規模マンションでは、門があり、顔認証ゲートや守衛がいて、関係のない人は入れないようになっているところが多い。マンション内の安全と静寂を保つためだ。また、敷地内には公園のようなスペースばかりでなく、コンビニやスーパー、クリーニング店、カフェといった商業施設まであることが少なくない。マンション内で、生活の用事が済むようにすることが、そのマンションの付加価値となっている。

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広州市郊外に建設が始まっている実地常春藤マンション。高層マンションエリアと、戸建てエリアがあり、総面積は東京ドーム11個分になる。総戸数は4237戸という大規模マンションだ。一般に、1000戸を越えると、敷地内に居住者専用の商業施設を入れても、経営が成り立つと言われている。

 

広州市のマンションは東京ドーム11個分の広さ

このマンションの大規模化がどんどん進んでいる。広東省広州市にある「実地常春藤」マンションは、敷地面積52万平米(東京ドーム11個分)、総戸数4237戸という大規模マンションだ。

主力の部屋は、3LDKの99平米。不動産サイトによると、1平米の平均価格が26900元となっっているので、3LDKは、266.31万元(約4100万円)となる。

中国では、この実地常春藤のように、郊外の広い土地を使った大規模マンションが増えている。行政も協力をして、マンションに隣接をするように、地下鉄駅やバスターミナルを設置しくれる。

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▲実地常春藤マンションの主力の部屋は3LDK。99平米なので、日本のマンションと比べるとゆったり目だ。これで約4100万円。ただし、広州市中心部からは30分ほどかかる。

 

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▲現在開発が終わって発売されている第1期部分には、バスターミナル、食品市場、幼稚園、中学高校などが隣接している。市場、バスターミナル、幼稚園は、マンション敷地内に整備されている。地下鉄の駅も開通予定。

 

マンションの正門から自宅まで歩いて15分

しかし、問題は、マンションの門を入ってからだ。自分の家の場所にもよるが、門を入ってから自宅まで、歩いて15分などということも珍しくない。

そのため、シェアリング自転車を使う人も多かったが、放置自転車の問題が起こり、多くのマンションでシェアリング自転車での侵入を禁止している。

巡回バスを走らせているマンションも多いが、人が運転をするためコストがかかるため、本数は少なく、夜間まで営業ができないため、結局、歩いて自宅から門まで行くことも多くなるという。

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▲マンション内を走る自動運転バスhachi auto。6人乗りで、マンション内の5つのバス停を巡回している。


マンション敷地内を巡回する自動運転バス

そこで、実地常春藤では、自動運転の巡回バスを導入した。実地が自社開発をしたhachi auto無人運転通勤車だ。6人乗りの小さなバスだが、マンション内を巡回する。マンション内という閉鎖区間内の運転なので、安全も確保しやすく、運行免許などの取得もしやすい。

マンション内に5つのバス停が設置され、バス停で待っているとバスがやってきて止まるので、乗るのであればボタンを押して、ドアを開け座る。車内のパネルで、降りるバス停を指定すると、そのバス停に着くと、自動的にドアが開いて降りることができる。

多くの住民は、専用アプリを利用している。アプリから乗車を指定すると、バスの到着時間が分かり、満員の場合は、次のバスを増発してくれるからだ。乗車時は、顔認証かQRコードで乗車ができる。

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▲マンション内には5つのバス停が設けられ、無料で乗車することができる。アプリからバスを呼ぶことも可能。

 

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▲車内のパネルで降車位置を指定すると、そのバス停に止まってくれる。

 

安全を配慮して、最高時速を制限

hachi autoそのものは、時速25kmで走行できるように設計されているが、安全性を考えて、最高速度を時速10kmに制限している。

マンション敷地内で最も恐れるのは、子どもやペットの飛び出しだ。hachi autoは、最高速度を時速10kmに制限することで、突然目の前に人が飛び出てきた場合でも、停車をすることができる。避ける行動ではなく、いったん停車をして、それから避ける行動をとることで、歩行者の安全を確保している。

hachi autoは、L4自動運転車であるため、運転手はいないが、監視員が乗車している。

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▲hachi autoは、障害物を認識すると、回避する前にいったん停止をする。これでマンション内を走行中に、子どもやペットの飛び出しに対応する。

 

自動運転バスが、マンションの付加価値となる

将来は、規制がなくなれば、監視員不要の無人運転にすることも考えている。現在、運行は朝夕の通勤時間帯と昼間に限られているが、無人運転になれば、夜間など、居住者の求めに応じて運行できるようになる。

公園内、企業の敷地内といった閉鎖区間では、自動運転車の運行が各地で始まっている。しかし、大規模マンション内の移動に応用されたのは、この実地常春藤マンションが初めてではないかと愛范児は報じている。今後、実地グループの大規模マンションを始めとして、他の大規模マンションにも自動運転車が、敷地内移動の道具として使われることが増えていきそうだ。

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▲実地常春藤マンションが行った自動運転バスの試乗体験の広告。大規模化するマンションにとって、自動運転バスの設備は、マンション価値を高めるアイテムのひとつになりそうだ。