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自動運転可能な水陸両用車「海トカゲ」。最長8カ月間の潜伏が可能

世界初の自動運転可能な水陸両用車が公開された。無人運転が可能だけでなく、最長8カ月間の「潜伏」が可能で、島嶼の防衛任務などに投入されると123軍事観察室が報じた。

 

自動運転可能な水陸両用車「海トカゲ」

世界で初めてとなる無人運転が可能な水陸両用車が公開された。無人運転が可能な快速艇は各国が開発、運用をしているが、無人運転可能な水陸両用車は中国独自のものものだ。

通称「海トカゲ」と呼ばれるこの無人運転水陸両用車は、民間企業の青島無疆技術と国営の中船重工武船集団が共同開発したもの。全長12m、幅4.14m、高さ1.65m、喫水線の高さは0.55m。ウォータージェット推進器を3基備え、海上での50ノット高速航行を可能にするだけでなく、船体を安定させながら航行することができる。また、船底には陸上走行を可能にするキャタピラが装備されている。

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無人運転可能な水陸両用車「海トカゲ」。最長8カ月までのスリープ機能があり、潜伏をさせておくことが可能になる。

 

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海上でのテストをする「海トカゲ」。最高50ノットで航行できる。

 

戦闘員は不要、50km先からリモコン操作

火器としては、2基のマシンガンと1基の小型誘導弾を備え、近距離の戦闘に威力を発揮する。操縦、戦闘に戦闘員が乗り込むことは不要で、すべてリモートコントロールでの操作で行われる。リモコンの届く距離は50km以内だという。リモコンで指示をするのは移動先の地点のみで、自動で障害物を避け、最適なルートを自分で選択する。

測位にはGPSではなく、中国独自の測位システム「北斗」が利用されている。

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▲リモート操作は50km先から可能。島などに潜伏をさせ、攻撃時には一斉に目覚めて攻撃をする。島嶼防衛などに投入される予定だという。

 

最長8カ月の「潜伏」が可能

従来、このような戦闘車は、近隣海域まで大型輸送船で輸送し、そこから輸送艇に乗せて上陸をさせなければならなかった。しかし、海トカゲでは、輸送船から直接自力で航行して、そのまま上陸をして作戦展開をすることが可能だ。

さらに注目されているのがスリープ機能だ。この海トカゲは、8ヶ月の間、スリープすることができる。つまり、事前に無人走行で展開をし、隠しておき、8ヶ月後にリモートコントロールで起動し、作戦投入することが可能だ。

無人運転技術を採用したのは、戦闘員の人命を守るためもあるが、この「潜伏機能」を可能にするためでもあったという。

戦闘員の上陸作戦、島嶼の防衛任務、沿岸部の巡回などの作戦に投入されることが考えられている。