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ベトナム国家銀行が、中国スマホ決済を非合法認定、使用禁止に

中国スマホ決済「アリペイ」「WeChatペイ」は、海外旅行をする中国人旅行者のため、日本をはじめとするアジア各国で、インバウンド商店を中心に加盟店を増やし、中国人旅行者が人民元建てで決済できるようにしている。しかし、ベトナム金融管理機関は、唐突にベトナム国内での中国スマホ決済を違法認定したため、使用ができない状態になっていると金融科学技術頭条が報じた。

 

海外でも人民元建てで決済できる中国スマホ決済

中国スマホ決済の2強「アリペイ」と「WeChatペイ」の利用者数を合計すると10億人を超えている(両方使っている人が多い)。中国人の海外旅行ブームは相変わらず続いていて、日本を含めた渡航先の国で「アリペイ」「WeChatペイ」が使えるようになっている。中国人旅行者にとっては、現地通貨に両替することなく人民元で支払えることから歓迎されている。

しかし、ベトナム金融管理機関が、ベトナム国内のスマホ決済、人民元建てのカード決済を突然非合法化したため、中国人旅行者とインバウンド関連業者が困惑をしている。特にインバウンド関連の商店では、昨年の暮れから中国スマホ決済の導入が進んでいて、半年ほどで非合法化されて、ハシゴを外されたことになる。

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ベトナムでも中国人旅行者、インバウンド関係者に歓迎されていたアリペイは、現在使えない状態が続いている。

 

・税の徴収システムが追いついていなかったベトナム

2017年11月、アリババ傘下のアントフィナンシャルとベトナム国家決済社(NAPAS)が合意をし、中国人旅行客向けのアリペイ決済がスタートした。ベトナム国家旅行局の統計によると、2017年1月から9月までの海外からの旅行者は940万人であり、そのうちの290万人が中国人だったという。国別では中国人が最も多く、しかも昨年同時期から47%も増えている。スマホ決済への対応は、この流れをさらに加速するとして、ベトナムインバウンド関係者からも歓迎されていた。

ところが、ベトナムのメディア「TuoiTre」の報道によると、唐突にベトナム国家銀行のスポークスマンが、「現在のところ、アリペイとWeChatペイの中国スマホ決済方式は、いまだにベトナム政府の許可をとってなく、国家銀行としては中国スマホ決済を規制するように政府に申し入れた」とコメントしたという。

専門家によると、ベトナムのキャッシュレス環境は立ち遅れていて、外貨交換、税収管理などの面で、必ず国家銀行の許可を得る必要があるという。

また、あるベトナム金融関係者によると、中国スマホ決済を非合法化した狙いは、外貨交換や商店の売上への課税システムがスマホ決済に対応していないため、税の徴収ができない状態になっていることが最大の問題だという。

 

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▲中国スマホ決済非合法化を伝えるベトナムウェブニュースメディアtuoi tre。あまりにも唐突な決定に、全員が驚いている。


ベトナムのキャッシュレス決済計画も頓挫することに

本来の計画では、アリペイがベトナムに上陸をし、アリババが決済ネットワークを構築し、ベトナムベトナムで、その決済ネットワークを利用し、ベトナム人向けのキャッシュレス決済を始めるというものだった。中国人旅行客に取ってもメリットがあり、ベトナム人にとっても一気にキャッシュレス決済が利用できるようになるという一石二鳥の計画だった。

決済というお金の流れが国境を超え始める中で、国はどうやって税を徴収すればいいのかが大きな問題になりつつある。スマホ決済がアジアに普及をすることで、人民元がアジアの基軸通貨になろうとしていることに対しても、反発が起こり始めている。テックによる利便性と、伝統的な国という形がコンフリクトを起こし始めている。中国メディアは、ベトナムのような流れが他国にも飛び火することを懸念している。

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