中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

中国の主要IT企業の初任給はおいくら万円?

中国人の給与水準は上がり続けている。大都市に限れば、もはや日本と変わらない。特にIT企業は初任給が高いことで、大学生の人気を集めている。実際のところ、IT企業の初任給はいくらぐらいなのか。今日頭条が、主要IT企業の初任給をまとめた。

 

日本の平均初任給を上回る中国IT企業の初任給

成長する中国経済のけん引役となっているIT企業。いったい彼らがどのくらいの給与をもらっているのか、気になっている人も多いのではないだろうか。

未だに中国の物価は、日本よりも安いと思っている人が多い。しかし、そんなことはなく、もはや都市部の物価は東京あたりと変わらない。当然、給与に関しても、日本と同じ程度はもらわないと生活していくことができない。主要IT企業の新卒初任給を見てみると、最低でも330万円、一般職で最も高いのは690万円となった。

日本の大卒初任給の平均は、厚生省の統計によると約20万円。一年目はボーナスも多くはないので、年300万円程度になるだろう。つまり、主要IT企業の初任給は、日本の平均初任給の水準をすでに超えている。

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▲中国主要IT企業の初任給。300万円台から400万円台が多い。研究職では1000万円越えの初任給を出している企業もある。数字は初任給であることに注意。本人の業績次第で、給与はここからさらにあがっていく。

 

会社員よりはアスリートに近い研究者の報酬

特に驚くのが研究職の初任給だ。どこも軒並み1000万円を超えている。現在、ほとんどが人工知能系の研究職だ。

さらに、中国企業の場合、初任給も高いが、その後、業績を上げれば、給与はぐんぐん上がっていく。さらにボーナスも利益に連動する仕組みになっているので、高額のボーナスが支給される例も多い。さらに、自社株の優先割り当てなどもあり、IT企業の中には富裕層と呼んでいいレベルの社員が数多く働いている。

ただし、パフォーマンスが下がる、失敗をするといったことがあれば、給与は大幅に下げられる。経営者の考えひとつで解雇も可能なので、不安定ではある。会社員というよりは、野球選手などのプロアスリートの世界に近い。

 

圧倒的に理系が有利、恵まれない文系出身者

ところで、このようなIT企業に就職できるのは、中国全土の大卒者のごくわずか、おそらく1%以下でしかない。一般の平均的な大卒者はいくらぐらいの初任給なのだろうか。ある調査会社が、学部別の初任給のランキングを発表している。これによると、大卒初任給の平均は月4376元(約7万5000円)になる。年収にして100万円程度だ。一般企業とIT企業は待遇面で数倍の格差が生まれている。

学部別の初任給ランキングを見ても、IT系、理系が圧倒的に強い。1位から10位までのランキングのうち、文系学部はフランス語のひとつしかない。理系学部、それもコンピューター、インターネット関連の学部が圧倒的に有利なのだ。面白いことに、日本で圧倒的に収入が高い医学部、歯学部、薬学部は、50位以内のランキングにも登場しない。

このランキングは、中国全土のものであるため、地方都市の状況も加味されている。大都市と地方で、給与面でもまったく別世界になっている中国の状況がうかがわれる。

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▲学部別初任給ランキング。1位は情報セキュリティ専攻で、5906元(約10万3000円)。地方都市まで含めた平均値なので、大都市だけに限れば、給与水準は日本とほぼ変わらないと推測される。

 

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▲文系学部の凋落ぶりが激しい。上位にくるのはフランス語ぐらいで、20年前まで花形だった金融、国際ビジネス、日本語は、大きくランキングを落としている。