テック企業は、採用をする際、応募者を3つのランクに格付けを行い、異なるオファーを提示する。初任給だけでなく、福利厚生条件も大きく異なる。学生たちはこの3つのランクを「白菜」「巫女」「ベルサイユ」と呼んでいるとVOYAGE泛遠求職が報じた。
応募者を3つのランクに分けて採用するテック企業
就職活動支援サービス「VOYAGE泛遠求職」では、新卒生のテック企業就職を支援している。その中で、主要テック企業の初任給を調査しているが、多くのテック企業が3種類のオファーを行なっているという。
卒業した大学、学部卒なのか大学院卒なのか、学生時代の実績などで、3つのクラスに分け、異なる採用をするのだという。当然、提示される初任給も異なっている。
「白菜」「巫女」「ベルサイユ」3つの異なるオファー
学生の間では、3つのオファーは次ような俗語で呼ばれている。
1:白菜価格(Normal)。一般的なオファー。全体の80%から90%。白菜は、安い野菜の代表格で、安いことを表す。
2:巫女価格(Special)。特別な実績を持つ人に対するオファーで、全体の10%から20%程度。神様に近いポジションの意味。
3:ベルサイユ価格(Super Special)。特別に優秀な人に対するオファーで、全体の5%以下。貴族階級の意味。
この3段階のオファーでは、初任給だけでなく、福利条件も大きく異なる。ベルサイユになると、社員株や住居、契約金なども提示されることが多い。
また、同じ企業であっても、職種によって初任給が異なるのが普通だ。大きく分けて「研究」「開発」「営業」の3つに分類することができ、この順に初任給は高くなる。
アリババは研究職SSPの提示額が高い。56万元(約890万円)また、修士以上の卒業であると、契約金が10万元から12万元上乗せされるという。本社である杭州市では物価も安いことも大きなメリットで、勤務2年目で住宅ローンを組めるようになるという。
テンセントはアリババよりも初任給がやや安めだが、どのオファーであっても、5万元から10万元に相当する株式が提示される。
百度(バイドゥ)はBATの中で比べると安めだが、これでも一般的なテック企業から見ればじゅうぶん高給になっている。アリババとテンセントが高給すぎるのだ。
美団(メイトワン)はオファー戦略がはっきりしている。重要視しているのは研究職で、初任給はアリババ、テンセントと遜色がない。一方で、開発や営業は安めになっている。
バイトダンスも研究職に手厚い。研究職には、さらに株式オプションも提示される。また、バイトダンスは、テック企業の中では珍しく残業代が支給される。オファーはあくまでも年棒だが、残業にはそれに応じた時間給が出る。特に、休日残業は1.2倍の計算となる。
滴滴出行(ディーディー)は、他のテック企業から比べると、初任給は安めだ。ネットでは年棒15万元という数字も流布されているが、VOYAGEが行なった滴滴出行に就職をした人のヒヤリング調査ではそこまで低くないという。最も低い営業職でも、スタートは16万元で、そこにさまざまなプラス提示が行われ、多くの人が20万元以上の初任給を提示されているという。
網易(ワンイー)も初任給は低めだ。しかし、ゲーム開発の業務が多いため、それでも働きたいという人が多く、競争率はテンセントやバイトダンスと変わりなく高い。
成長の勢いがある拼多多(ピンドードー)は、研究職の初任給が図抜けて高い。SNSと絡めたソーシャルECであることから、研究内容も人工知能、データサイエンスなどが主になり、人気も高い。
なお、ここで提示した金額は、VOYAGEが就職支援をした利用者からヒヤリング調査をした結果であり、各社が公表したものではないことに注意する必要がある。