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新型コロナウイルス肺炎専門病院に、24時間無人スーパーが開業。キーワードは「無接触」

わずか10日間で建設された新型肺炎専門病院に、24時間無人スーパーが開業した。アリババ傘下の企業がシステムを提供している。今回の新型肺炎流行で、「無接触小売」「無接触配送」という新しい言葉が生まれていると毎日経済新聞が報じた。

 

新型肺炎専門病院内にわずか5時間で開業した無人スーパー

2020年2月2日、10日間で武漢市に建設された新型肺炎専門の火神山病院が開院した。当日、敷地内に無人スーパーが開店した。店員はいなく、レジもない。商品をそのまま持ち帰れば、スマートフォンで自動的に決済されるというものだ。当然、24時間営業となる。

この無人スーパーは、湖北中百倉儲とアリババ傘下の淘鮮達が協働してオープンしたもので、わずか5時間で商品の搬入、システムの稼働が行われた。

入院患者に必要なものを買い物してもらうためのもので、消毒、衛生関連商品を中心に、インスタント食品、日用雑貨などが揃えられている。初日には、約200人が利用した。

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▲わずか10日間で建設、開業した新型肺炎専門の火神山病院。この中に、患者のために24時間無人スーパーが開業した。

 

地元スーパーとアリババの協働作戦

設備や商品はすべて人手で搬入をした。まず、近くの市内の蔡甸区にある湖北中百倉儲のスーパー店舗に、消毒アルコール、マスク、飲料、インスタント食品など200品目の商品を集積。そこからは、カートを使って、人力で病院敷地内のスーパーに搬入をした。

商品に関しては湖北中百倉儲が揃え、無人スーパーシステムに関してはアリババ傘下の淘鮮達が受け持った。

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▲わずか5時間で設備、商品の搬入が行われた火神山病院内の無人スーパー。ほとんどが人手による搬入だったという。

 

にわかに「無接触」がキーワードに

中国では「無接触小売」「無接触配送」という言葉がにわかに生まれてきている。このような無人スーパーも以前は、省力化、利便性が主眼だったが、新型肺炎の流行によって「無接触」であることが注目されるようになっている。

多くの都市で、市民が外出をしなくなっているため、フードデリバリーの外売に注文が殺到している。飲食店は、店を閉め、外売の出前だけに対応しているところが多い。

配送を受け持つ外売サービス「ウーラマ」では、無接触配送を実施している。人対人で受け渡すときは、互いに2m以内に近寄らないようにしている。商品をバイクのバッグの上に置き、配送員が離れる。それを顧客にとってもらう形だ。

また、宅配をする場合も、レジ袋に入れ、ドアノブに下げる、またはドアの前に置き、配達したことをインターフォンスマホで通知し、配送員と顧客は対面しないというものだ。

また、愛心カードというものもつけている。これには、調理をした人、パック詰した人、配送員それぞれの名前、体温、体温測定時間を記入したものだ。

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▲フードデリバリーでは、無接触配送が標準になった。バイクのボックス上に商品を置き、配送員と顧客は2m以内に近寄らない。宅配の場合は、ドアの前に置く。

 

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▲フードデリバリー「ウーラマ」は、配送する飲食品に「愛心カード」を添付している。調理師、配送員などの氏名、体温、測定時間などを記入したものだ。これをドアの前に置き、配送員と顧客が対面しない無接触配送が行われている。

 

アリババとSARS、MERS。コロナウイルスとの奇縁

アリババはすでに武漢市に対し、10億元(約157億円)の寄付を行なっている。アリババは、不思議なことにコロナウイルスを奇妙な縁がある。

2002年に新型コロナウイルスにより流行したSARSでも、同様に多くの人が外出せずに自宅に閉じこもるようになった。この時に、中国でECの利用が急増し、アリババのEC「淘宝」(タオバオ)が全国的に認知されるようになった。

2015年に新型コロナウイルスにより流行したMERSでも、同様のことが起こり、そこからアリババは無人スーパーの技術開発を進め、2017年7月に、杭州市の杭州博覧センターの中のタオカフェ内に「アリババ無人販売店」を開業した。ほぼ同じ時期に、中国では無人コンビニのスタートアップが続々と生まれている。

そして、現在の新型コロナウイルスによる新型肺炎の流行では、外売に注文が殺到するだけでなく、新小売スーパー「盒馬鮮生」(フーマフレッシュ)にも注文が殺到している。店舗は人影がなくガラガラの状態だが、宅配ECの注文が店舗の限界を超えるほど増えているという。

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SARS流行の頃のアリババ。SARSによりECの利用が急増し、アリババの「タオバオ」が全国的に知られるようになった。アリババは、SARS、MERSの流行に対抗するかのように新しいビジネスを創出している。

 

国難にはテクノロジーで立ち向かう中国

日本でも新型肺炎が経済に与える影響が心配され始めている。しかし、中国では国難とも言える状況の中から、新しいテクノロジーを利用した新しいビジネスが立ち上がってくる。

新型肺炎専門病院をわずか10日で建設、開業してしまうスピード感。建設だけでなく、病院という特殊な施設を開業するためには、検査や承認など、衛生医療当局も相当な努力をしたことは間違いない。そして、その中には、無接触スーパーが5時間で開業し、人々は小さな日常を取り戻そうとしている。中国の底力を感じざるを得ない。