中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

バスに乗ると、卵がもらえるキャンペーンで、500万人が卵をゲット

スマホ決済「アリペイ」は、アリペイを使ってバスに乗車すると0.01元で乗ることができ、さらに卵がもらえるというキャンペーンを実施した。低炭素社会をアピールするユニークなキャンペーンで、500万人の人が卵を手に入れたと南京潮生活が報じた。

 

クーポンの効果が薄れ始めたスマホ決済

中国のスマホ決済「アリペイ」「WeChatペイ」が急速に伸びたのは、サービスそのものの利便性が高かったこともあるが、大量のクーポンを配布したことも大きかった。「現金で支払うよりも得ができる」というところから始まって、次第に「現金で支払うのは損だ」という感覚になり、スマホ決済する習慣を浸透させていた。

ところが、最近、こういったポイントバックや割引手法の効果が薄れてきている。

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銀聯スマホ決済を始めていて、バスに0.01元で乗れるキャンペーンを実施している。しかし、曜日や回数の制限があり、新規利用者の獲得にはうまく結びついていないようだ。

 

伸び悩むスマホ決済乗車

今、各都市でスマホ決済で、地下鉄やバスに乗れるようになりつつある。しかし、乗客から見たら、スマホ決済にしても利便性はさほど上がらない。なぜなら、以前から地下鉄やバスは、交通カード(IC乗車券)で乗れるようになっていて、それをスマホ決済にするには、交通カードアプリをダウンロードしなければならないからだ。そもそもスマホ決済で地下鉄やバスに乗れることを知らない人も多い。

そこで、多くの都市で「1分銭乗車」というキャンペーンを展開しているが、効果はじゅうぶんとは言えないようだ。通常3元程度の乗車賃が、0.01元で乗れるというものだが、あまり話題にもならないし、新規ユーザーは伸び悩むなど、一定の効果はあるものの、目覚ましい効果があったとは言えない状況になっている。

 

バスに乗ると卵がもらえるユニークなキャンペーン

そこで、アリババが運営するスマホ決済「アリペイ」では、12月17日から12月31日までユニークなキャンペーンを始めた。アリペイを使って地下鉄やバスに乗ると、新鮮な卵がもらえるというキャンペーンだ。

地下鉄やバスに乗るときに、アリペイを使うと、アリペイアプリの中に卵券が送られてくる。この券を6枚集めると、アリババ系列のスーパーRT-Martで、卵に引き換えてもらえるというものだ。

また、卵との引換券は、卵と交換せず、懸賞に応募することもできる。当選すると、金の卵(20グラム)などが当たる。

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▲アリペイでバスに乗車をすると、卵券がもらえる。これを集め、スーパーに持っていくと新鮮な卵がもらえる。全国で500万人が卵を手に入れた。

 

大気汚染が進むと新鮮な卵が食べられなくなる

中国では、10年ほど前までは卵は栄養価が高いが高価な食品だった。そのイメージはまだ残っている。ポイントという「お得感」よりも、卵というモノの「お得感」の方が効果があるのか、注目をされている。

さらにこのキャンペーンは、低炭素社会の実現とも結びつけられている。自家用車に乗らず、公共交通を利用することで、排出ガスを減らし、大気汚染や温暖化を防ぐことができるというものだ。

卵は自然食品で、大気汚染の影響を受けやすい。空気が汚いと、安全な卵が食べられなくなるということも訴えている。

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▲アリペイのキャンペーンの説明。卵がもらえて、低炭素社会の実現に貢献できると訴えている。

 

天津市では、バスの中に養鶏場を設置

天津市では、実際にニワトリが乗ったバスも登場した。バスの客席の前半分にニワトリが乗っていて、卵を産んでいる。都市部では、養鶏場なども珍しくなり、子供たちは大はしゃぎだという。その姿はメディアによって報道され、SNSでも拡散をしている。

新規ユーザーを獲得するための優待策は、ポイントバックやクーポンではなく、体験に移ろうとしている。今後も、社会課題を提起するような内容で、なおかつメディアやSNSで拡散をしやすいキャンペーンが増えていくことになるだろう。

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天津市では、バスの中に養鶏場を作り、卵を生む瞬間を見ることができる。子どもたちは大喜びで、教育効果も高いと話題になっている。

 

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▲中国では、大気汚染が進むと、卵に汚染物質が混入すると言われている。新鮮な卵を食べるには、公共交通を使って低炭素社会を実現しなければならないというのがこのキャンペーンの趣旨。