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深圳に登場した「無人」パーキングメーター

深圳に無人パーキングメーターが登場して話題を呼んでいる。設備は監視カメラのみで、人工知能がナンバーを読み取り、スマホ決済の確認をする。利用者は停めて、手元でナンバーによってスマホ決済をするだけ。各地行政の視察が相次いでいると光明網が報じた。

 

人手がかかるから、夜間休日には利用できないパーキングメーター

無人パーキングメーター」と言われて、「どこの国のパーキングメーターだって、無人じゃないか」と思う方もいるかもしれないが、けっこうな人手がかかっている。硬貨を入れる現金決済方式のパーキングメーターでは、誰かが現金を回収して回らなければならない。さらに、時間超過ランプが点灯しているかどうかは、人が巡回して確認しなければならない。

人手が必要なために、夜間や休日はパーキングメーターが利用できない。利用したい人は多いのだが、巡回員を夜間や休日に働かせるわけにはいかないという理由で、利用ができないという本末転倒が起きている。

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▲深圳市の大鵬新区に登場した無人パーキングメーター。駐車スペースをペイントで区画し、監視カメラを設置するだけ。駐車場不足に悩む中国では、手軽に駐車場を設置できるとして各地の行政視察が相次いでいる。

 

人工知能が映像からナンバーと決済を確認

深圳市の大鵬新区に登場したのは、完全に無人パーキングメーター。設備は監視カメラのみで、人工知能がすべてを管理する。

パーキングメーターに近づいてくる車のナンバーを自動識別し、停車位置を確認。スマホ決済で支払いをしたかどうかをクラウド上で照合し、出るときには、時間超過をしていないかどうかをチェックする。

システムを開発したのは、深圳市の迪蒙智慧交通(ディーモン)。読み取り、決済などの処理はすべてクラウド上で行われるので、現地に設置する設備は監視カメラのみで、設備の管理作業も大幅に効率化されている。1台の監視カメラで、約8台の管理ができる。

深圳市はこの迪蒙のシステムを試験運用し、問題がなければ、順次市内全域に展開していく予定だ。

利用をするには、専用アプリかスマホ決済アプリ内のミニプログラムが必要になる。支払いは、アリペイかWeChatペイなどのスマホ決済で可能。

アプリには駐車だけでなく、駐車場の検索、ナビゲーション、駐車の予約などの機能もある。

当然、この無人パーキングは、24時間、365日利用できる。

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▲パーキングに設置するのは監視カメラのみ。この映像から駐車車両のナンバーを読み取り、クラウド上で決済を確認する。

 

遊休地をすぐにパーキング化できる

この無人パーキングメーターシステムは、独立をしているのではなく、市の交通指揮システム、公共交通システム、公安の監視システム、交通警察のシステムなどとも連動をしている。そのため、料金の支払いをせずに勝手に止めた場合は、すぐに交通警察に連絡がいき、駐車違反の処理がされることになる。

中国の都市はどこでも自動車が急激に増えたために、渋滞と駐車場不足に悩んでいる。そのため、全国の行政関係者が毎日のように視察にきているという。駐車場が足りないといっても、土地がまったくないわけではない。土地があっても、設備を整え、人を配置するハードルが高いのだ。

この迪蒙の無人パーキングシステムであれば、遊休地を簡単に駐車場化できるという点が、視察が相次いでいる理由だ。

中国の駐車場問題を解決する決め手になるかもしれない。

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▲利用者は車内であらかじめ登録しておいた自動車ナンバーを使って、専用アプリでスマホ決済をする。超過料金なども自動決済される。去るときは何もする必要がなく、ただ去ればいいだけ。