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武警も採用した“トランスフォーマー”油圧ショベルカー、変身の実力

中国には、「働くクルマ」好きの人の間で有名な油圧ショベルカーがある。徐工集団が開発したET110で、その見た目から「スパイダーマン」「トランスフォーマー」などという愛称がつけられている。そのショベルカーを武警が採用したことが話題になっていると徐工新聞が報じた。

 

横転事故が怖い油圧ショベルカー

建設現場でよく見かける油圧ショベルカー。ユンボなどとも呼ばれる。一般的には、タイヤではなくキャタピラー式のものが多い。日本などでは、平坦な建築現場で使われることが多いため、キャタピラー式でほとんど問題ないが、海外では起伏のある現場で使われることも多く、横転事故がときどき起きている。障害物を乗り越えようとして、キャタピラーを過信しすぎ、バランスを崩して横転してしまう。

また、ショベルカーは本来、土砂などを掘削する建設機器だが、簡易的なクレーンとして使われることもある。しかし、専門のクレーンほど接地能力があるわけでないので、重すぎる資材を吊り上げようとしてバランスを崩して横転するという事故もある。

また、傾斜のある場所で掘削を行い、横転するという事故もある。


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キャタピラー式のショベルカーは、平坦な建設現場での使用を想定している。しかし、起伏のある場所でも使用されるため、横転する事故が意外に多い。

 

変身する油圧ショベルカー

荒れ野を開拓しなければならない中国では、キャタピラー式のショベルカーではすぐに横転事故が起きてしまう。そのため、徐工集団は「スパイダーマン」「トランスフォーマー」などと呼ばれるショベルカーを開発した。同様のものは、欧州メーカーも開発しており、「スパイダーバックホー」などと呼ばれている。

このショベルカーの特徴は、四輪タイヤであり、なおかつ各タイヤが折りたたみの脚につけられているということだ。この脚を伸ばしたり、折りたたんだりすることで、さまざまな形態に変化する。その様子はまるでクモの足であるかのようであり「スパイダーマン」と呼ばれ、変化する様から「トランスフォーマー」と呼ばれている。

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▲ET110の得意満面のポーズ。このポーズをすることには意味はないが、ここまで変身できるというパフォーマンスで行われる。

 

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▲地面に起伏があっても大丈夫。タイヤだけでなく、金属脚での接地も可能。脚を伸ばしてバランスをとることで、どのような条件の場所でもショベル作業ができる。

 

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▲急斜面でも作業も可能。荒れ野の開拓で、大活躍をしている。

 

武装警察交通部も採用した“トランスフォーマー”ショベルカー

この”トランスフォーマー”を武警が購入して話題になっている。武警というのは武装警察のことだが、警察組織ではなく、人民解放軍の指揮下にある準軍事組織だ。相当程度の火器を使い、テロ対策などで活躍する。

トランスフォーマーを購入したのは、武警の交通部。交通部といっても、交通の取り締まりをするのではなく、道路の建設を行う。特に山岳地帯の道路建設は、命がけであり、普通の建設作業員には手に余る作業が多い。そのような場所に、高いレベルの訓練を受けた武警交通部が”出動”するのだ。

近年では、「道路を補修、復興する」という名目で、大災害などの救援活動などにも出動する。大地震、山崩れ、大洪水などの現場では、土砂を取り除く必要があるが、当然ながら整備された建設現場とは足元がまったく違う。そのような場所で、このトランスフォーマーは活躍をしている。

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▲武警交通部が採用した“トランスフォーマー”ショベルカー。自然災害の救援活動などでの活躍が期待されている。

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