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建築現場にロボ投入。24時間作業で、納期は従来は半分以下に

広州市の不動産デベロッパー「碧桂園」は、開発をした建築ロボ9種類43種類を建設中のマンション現場に投入した。人件費の節約、作業員の安全と健康の確保にも効果があるが、24時間作業が可能となり、納期の短縮につながる効果が大きいと中原建築網が報じた。

 

マンション建築現場で働くロボットたち

広州市の不動産企業「碧桂園」(カントリーガーデン)は、傘下のロボット開発企業「碧桂園博智林」(ブライト・ドリーム・ロボティクス)が開発したロボット9種類43台を、広東省仏山市に建設中のマンション「碧桂園鳳桐花園」の現場に投入した。今後も建築ロボットの投入は続き、最終的に12種類104台になる予定だ。

ロボットを投入することで、きつい、危険、汚い作業をロボットに代替させることにより、作業員の安全や健康を守ることができる。また、人間よりも作業効率が高いため、建築費用の低減にもつながる。そして、なんと言っても大きいのが、24時間建築作業をすることができるようになり、納期の短縮につながることだ。

 

フロア清掃ロボットは人間の4倍の作業効率

投入されたロボットのひとつは「フロア清掃ロボット」。作業後のフロアを清掃するロボットで、お掃除ロボットの建築現場版。しかし、作業効率は人間の4倍であり、さらに舞い上がる粉塵による健康被害も起こらない。

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▲従来のフロア清掃。粉塵が舞い上がり、作業員の健康被害が大きなリスクとなっていた。

 

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▲フロア清掃ロボ。原理はお掃除ロボットと同じ。人間の4倍の作業効率があり、作業員の健康被害も起こらない。

 

内装塗装ロボッも人間の4倍の作業効率

もうひとつが「内装塗装ロボット」。内装の壁材などを塗装してくれる。吹付塗装の場合は、人間の1.5倍の効率、ローラー塗装の場合は4倍の効率になる。

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▲内装塗装ロボット。吹付で人間の1.5倍、ローラーで4倍の作業効率になる。

 

タイル貼りロボットは人間の2倍の作業効率

「タイル貼りロボット」は、床に接着剤を塗布し、タイルを貼っていく。作業効率は人間の2倍になる。

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▲タイル貼りロボ。接着剤を塗り、タイルを貼っていく。人間の2倍の作業効率がある。

 

24時間作業で納期短縮につながるロボット導入

このようなロボットは、カントリーガーデンが施工する現場で利用されていくが、そのうちの10種類程度は商品化をして外部販売する計画も動いているという。最終的にはすべての建設作業を自動化して、人間は監視だけをするという状態を実現するという。

中国では、単純な形態の事務所などであれば、建設用3Dプリンターで建設する技術が確立をして実用化をされている。このような自動化は、人件費の低減よりも作業員の安全や健康被害に主眼が置かれている。作業員が事故を起こしたり、健康被害を受けた場合、監督責任のある企業は賠償金や医療費を支払う必要があり、トータルの人件コストが高くなってしまう。ロボットはこのような問題を回避することができる。

また、24時間作業ができることも大きな魅力になっている。ロボットの多くは視覚情報ではなく、位置情報、接触情報、レーダー情報により作業をする。そのため、夜でも照明なしに作業を続けることができる。24時間作業を続けることで、単純計算で納期は半分近くに短縮できる。

このようなメリットを求めて、他社でも建築ロボットの導入が進んでいくと見られている。

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▲フロア清掃ロボと塗装ロボ。24時間作業ができるため、納期を短縮する効果が大きい。