中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

早くも淘汰が始まった中国カーシェアリング。抱える3つの課題

EVシフトが始まっている中国で、カーシェアリングサービスが次々と起業しているが、早くも倒産やサービス停止をする企業が現れ、淘汰整理の時期が始まったのではないか。カーシェアリング企業は3つの課題を抱えていると億欧網が報じた。

 

淘汰整理が進んだシェア自転車。シェアカーは?

この1、2年、中国ではシェアリング自転車企業の淘汰整理が進んだ。シェアリング自転車は複数都市に展開した企業だけでも数十、ローカルなものまで含めれば100社近い企業が創業されたが、現在、主だった企業はofo、Mobike、Hellobikeの3社に絞られている。生存率数%というのが、中国の新しいIT系サービスでは当たり前になっている。

同じようにして、中国の政府主導によるEVシフトの波を受けて、この数年、無数のカーシェアリング企業が創業されている。当然、シェアリング自転車と同じように、淘汰整理の時期をいつか迎えて、有力企業数社に絞り込まれていくことになる。

その淘汰整理の時期はまだ先だという見方がある一方で、すでに淘汰整理が始まっているのではないかと億欧網は見ている。

 

撤退が相次ぐ小規模カーシェア事業者

そのきっかけとなったのは、北京の巴歌出行(バーガー)が倒産したのではないかという騒ぎが起こったことだった。コールセンターの電話が繋がらなくなり、利用者が支払ったデポジットの返還時期が未定になっているという噂が流れた。また、南京市でのサービスを停止したという噂も流れた。

各メディアが巴歌に問い合わせをしても返答がなく、メディアが巴歌の従業員に取材をすると、数ヶ月分の給料の支払いが滞っており、社員が経営陣に詰め寄るというトラブルも起きているという。

すでに小規模のカーシェアリング企業は撤退を始めている。今年5月、麻瓜出行(マーグア)が企業戦略を転換するという理由で、サービスを停止した。6月には山東省済南市でサービスを提供していた中冠(ジョングアン)がサービスを停止し、利用者が支払っていた2000元(約3万3000円)のデポジットの返金を巡ってトラブルになっている。

そもそもカーシェアリングビジネスは、利益が出せないのではないかと不安視されていた。「カーシェアリングは、周囲の企業が儲かるだけで、一人赤字になる」と言われていた。

億欧網は、それだけでなく、カーシェアリング企業が抱える3つの課題を指摘している。

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▲問題となった巴歌出行。サービスは継続しているようだが、問題が多数発生しているという報道が続いている。

 

1)利益が出せるビジネスモデルの確立

カーシェアリングは、初期に車両代という大きな投資をすれば、運用コストはさほど高くないと言われるが、そんなことはないと億欧網は言う。車両価格10万元(約165万円)程度の自動車でも、1年に保険費用が3000元以上、メンテナンス費用が1000元程度、駐車場代が6000元程度、ガソリン代、充電費用が6000元程度かかる。つまり、10万元の初期投資をした後、毎年1.6万元(約26万円)の運用コストがかかるということだ。このため、各車両をどれだけ効率よく利用してもらえるかどうかが決め手になる。

しかし、カーシェアリングの需要というものは先には存在しない。まずカーシェア企業側が大量に車両を市場投入して、利用者に「近所に気軽に利用できるシェアカーがある」と認識してもらって初めて需要が生まれてくる。そのため、初期に大量に車両を投入しなければならない。コストを抑えて、投入車両数が少なければ需要が生まれない。このジレンマがある。

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カーシェアリング企業で多いのが、超小型車や小型EVを使ったもの。トレンドはどのステーションにも乗り捨て可能で、タクシーよりも安上がりという点をアピールしているものが多い。

 

2)投資資金の継続な獲得

大きな初期投資が必要で、運用コストも必要となれば、投資資金を継続的に獲得していく必要がある。ライバル企業が脱落していく中、投資資金を継続的に獲得して、最後まで生き残った企業が果実を手にすることができる。

しかし、多くのカーシェアリング企業が、投資ラウンドはシリーズA(ビジネスモデルを確立するための資金)であり、事業を拡大するためのシリーズB投資を獲得している企業はほとんどない。

この状況で、カーシェアリングビジネス自体の先行きが不安視されるようになると、投資資金が集まりづらくなる。資金がショートして経営が続けられなくなり、それがまた投資熱を冷やすという悪い循環に陥ってしまいかねない。

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▲主なカーシェアリング企業。これは、複数都市に展開しているもので、一都市展開の企業を含めると何社あるかわからない。多くの企業はシリーズA投資を受けている段階で、これから成長しなければならない。

3)政策の後押しが弱い

中央政府は、2017年8月に「小型乗用車レンタルの健全な発展を促進する指導意見」を発布し、カーシェアリングを促進する政策を打ち出している。しかし、業界関係者からは不足だという声が強く、駐車スペースや充電ステーションの確保についても、政策の後押しは限定的だという。

中央政府がより強力な促進政策を打ち出す必要もあるが、カーシェア企業が、政策に頼らない自律的なビジネスモデルを構築していく必要がある。

 

淘汰整理は必ず経なければならない段階。問題はその後

億欧網は、それでも悲観をしていない。資金力がなく、ビジネスモデルの甘い小規模企業が淘汰されていくのは、どのビジネスでも必然であり、こういった時期は必ず通過しなければならない。退場する企業もあるが、現在も新たに登場する企業もある。今は冬の時期で、いちばん苦しい時期ではあるが、ここで淘汰が進めば、優良企業に成長空間が生まれ、再び成長が始まる。この冬が終わった時が、本当の競争が始まるのだとしている。

 

オフラインでも決済ができる「アリペイ」の仕組み

キャッシュレス決済をするには、消費者、商店ともにネット環境が必要になる。しかし、バスの乗車賃決済などの場合、場所によってはネット接続ができないこともありえる。このようなオフライン状況でも、アリペイには「オフライン決済」機能がある。その仕組みを、找靚機科普が解説した。

 

オフラインでも決済ができる「アリペイ」「WeChatペイ」

キャッシュレス決済をするには、ネット接続がどうしても必要になる。しかし、露店や行商、バスといった移動する商店の場合、たまたまネット環境が得られないということもある。そのような場合でも、「アリペイ」「WeChatペイ」などのスマホ決済には「オフライン決済」という仕組みが用意されている。

しかし、消費者、商店ともにこの「オフライン決済」を意識する必要はない。なぜなら、そもそもがオフラインでも決済できるように設計されているからだ。

 

支払QRコードは毎回異なっている

消費者が支払い時に表示するQRコードは、毎回違っている。利用者IDが含まれているのはもちろんだが、それ以外にタイムスタンプも含まれている。さらに重要なのがトークン情報だ。これも毎回違う。

つまりQRコードは、使うたびに内容が異なることなり、タイムスタンプがあるために1分後には使えなくなってしまう。これにより、他人にコピーをされて支払いをされるなどの事故を防いでいる。

トークン情報は、各決済ごとに異なる処理番号のようなものだ。これはアリペイのサーバーがアリペイアプリに送信をする。ここでネット接続が必要になる。

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スマホ決済で表示されるQRコードには、利用者IDの他、トークン情報、タイムスタンプなどが含まれている。毎回QRコードの内容が変わるので、撮影しても不正利用することができない。

 

トークンを取得、確認するのにネット接続が必要

商店側では、レジ付属のスキャナーなどで、QRコードを読み込む。このQRコードをアリペイのサーバーに転送し、トークンが真正なものかをチェックする。利用者IDの人に確かにそのトークンが発行されているということを確認する。これで資金が移動され、決済が完了する。このトークンの確認にネット接続が必要になる。

結局、トークンの発行、確認にネット環境が必要になるので、このトークンの処理を工夫することで、ネット環境がない場合にも対応ができる。

 

アプリ起動時にトークンを取得、アプリ内に保存しておく

利用者がアリペイアプリを開いた時、実はアリペイサーバーからトークン情報が送られている。このトークン情報はアプリ内にストックされることになる。この時点ではネット接続が必要だが、利用者のスマートフォンが長時間ネット接続が得られないという状況はまずあり得ない。

トークン情報のストックができていれば、あとはネット接続を必要としない。支払い用のQRコードを生成する時は、アプリ内に保存されている利用者ID、同じく保存されているトークン情報、そして現在時刻のタイムスタンプを使って、一定のアルゴリズムに従ってQRコードを生成する。

QRコードの生成そのものはオフラインでもできるようになっている。決済はQRコードを見せるだけなので、もちろんネット接続は必要ない。この時点で、見かけ上の残高は支払った分減るので、利用者はネット接続されている状況での決済となんら違いがないように感じる。

唯一の違いは、決済履歴のショートメッセージが届かないことだが、これは、スマホがネット接続した段階で送られてくる。

 

商店側は仮決済をし、ネット接続が得られてからチェック

では、商店側がネット接続できない場合はどうなるのか。QRコードを読み込んだら、トークン情報をサーバーに送り、真正なものであるかどうかのチェックをしなければならないが、これができない。

そこで、QRコードを読み込んだ時点で、残高を増やし、見かけ上決済が済んだかのようにしてしまう。そして、ネット接続ができた段階で、トークン情報のチェックをして、決済を完了する。

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▲バスの運賃もスマホ決済可能なところが増えている。しかし、場所によっては圏外になり、ネット接続ができないケースもあるはずだ。そのような場合でも、「アリペイ」「WeChatペイ」は普段と同じように決済ができる。

 

セキュリティ的にも問題は生じないオフライン決済

鋭い人は、ここにセキュリティの穴があることに気がつくはずだ。その通りで、偽造したQRコードを使って、オフライン決済を行えば、商店側は見かけ上、お金を詐取することができてしまう。例えば、利用者とグルになって、偽造QRコードを生成。オフライン状態にした商店側レジで決済を何度も繰り返せば、残高をいくらでも増やすことができる。

しかし、それは見かけ上であることに注意してほしい。実際の残高は、オンラインになった時点で決済処理が完了しないと増えないのだ。

 

オフライン状態も織り込んでデザインされている決済処理手順

アリペイのオフライン決済機能のポイントは、そもそもの決済処理の流れがオフラインになることも想定してデザインされているため、利用者、商店ともにオンラインであるかオフラインであるかは意識せず決済ができることだ。

オフラインでも決済可能なデザインであるために、バスやタクシー、露店など決済が利用できるシーンが大きく広がった。

目立たない機能だが、アリペイ、WeChatペイが普及をした理由は、こういうところにもある。

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深圳に登場した「無人」パーキングメーター

深圳に無人パーキングメーターが登場して話題を呼んでいる。設備は監視カメラのみで、人工知能がナンバーを読み取り、スマホ決済の確認をする。利用者は停めて、手元でナンバーによってスマホ決済をするだけ。各地行政の視察が相次いでいると光明網が報じた。

 

人手がかかるから、夜間休日には利用できないパーキングメーター

無人パーキングメーター」と言われて、「どこの国のパーキングメーターだって、無人じゃないか」と思う方もいるかもしれないが、けっこうな人手がかかっている。硬貨を入れる現金決済方式のパーキングメーターでは、誰かが現金を回収して回らなければならない。さらに、時間超過ランプが点灯しているかどうかは、人が巡回して確認しなければならない。

人手が必要なために、夜間や休日はパーキングメーターが利用できない。利用したい人は多いのだが、巡回員を夜間や休日に働かせるわけにはいかないという理由で、利用ができないという本末転倒が起きている。

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▲深圳市の大鵬新区に登場した無人パーキングメーター。駐車スペースをペイントで区画し、監視カメラを設置するだけ。駐車場不足に悩む中国では、手軽に駐車場を設置できるとして各地の行政視察が相次いでいる。

 

人工知能が映像からナンバーと決済を確認

深圳市の大鵬新区に登場したのは、完全に無人パーキングメーター。設備は監視カメラのみで、人工知能がすべてを管理する。

パーキングメーターに近づいてくる車のナンバーを自動識別し、停車位置を確認。スマホ決済で支払いをしたかどうかをクラウド上で照合し、出るときには、時間超過をしていないかどうかをチェックする。

システムを開発したのは、深圳市の迪蒙智慧交通(ディーモン)。読み取り、決済などの処理はすべてクラウド上で行われるので、現地に設置する設備は監視カメラのみで、設備の管理作業も大幅に効率化されている。1台の監視カメラで、約8台の管理ができる。

深圳市はこの迪蒙のシステムを試験運用し、問題がなければ、順次市内全域に展開していく予定だ。

利用をするには、専用アプリかスマホ決済アプリ内のミニプログラムが必要になる。支払いは、アリペイかWeChatペイなどのスマホ決済で可能。

アプリには駐車だけでなく、駐車場の検索、ナビゲーション、駐車の予約などの機能もある。

当然、この無人パーキングは、24時間、365日利用できる。

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▲パーキングに設置するのは監視カメラのみ。この映像から駐車車両のナンバーを読み取り、クラウド上で決済を確認する。

 

遊休地をすぐにパーキング化できる

この無人パーキングメーターシステムは、独立をしているのではなく、市の交通指揮システム、公共交通システム、公安の監視システム、交通警察のシステムなどとも連動をしている。そのため、料金の支払いをせずに勝手に止めた場合は、すぐに交通警察に連絡がいき、駐車違反の処理がされることになる。

中国の都市はどこでも自動車が急激に増えたために、渋滞と駐車場不足に悩んでいる。そのため、全国の行政関係者が毎日のように視察にきているという。駐車場が足りないといっても、土地がまったくないわけではない。土地があっても、設備を整え、人を配置するハードルが高いのだ。

この迪蒙の無人パーキングシステムであれば、遊休地を簡単に駐車場化できるという点が、視察が相次いでいる理由だ。

中国の駐車場問題を解決する決め手になるかもしれない。

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▲利用者は車内であらかじめ登録しておいた自動車ナンバーを使って、専用アプリでスマホ決済をする。超過料金なども自動決済される。去るときは何もする必要がなく、ただ去ればいいだけ。

 

アジア大会で存在感を示す中国企業

インドネシアジャカルタパレンバンで開催されたアジア大会2018。中国が289個のメダルを獲得し、圧倒的な存在感を放った。しかし、中国が存在感を見せたのは、競技だけでなく、大会を支えるインフラや用具を納入する中国企業もだったと千島日報が報じた。

 

中国製品の見本市と化しているアジア大会

インドネシアで開催されたアジア大会では、大会を支える技術の多くに中国企業が関与した。アジア大会はすでに中国企業の見本市とも化しており、中国企業にとっては自社の製品やテクノロジーを宣伝するのに絶好の機会になっている。その中でも、インドネシアアジア大会では5社の中国企業が話題になった。

 

1)低空守衛者

中国航天科工(元国防部所属の宇宙開発組織)の二院207所と同物資部が共同開発した低空守衛者。開会式や屋外競技場に設置され、不審なドローンが侵入した場合、自動で発見をし、追尾し、その映像を自動でジャカルタ警察とアジア大会安全指揮コントロールセンターの大型モニター上に映し出す。

中国航天科は、インドネシアの気象条件や地理環境に適合させるため、以前からインドネシア軍と政府関係者と協力して実証実験を進め、最終的に採用に至った。

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▲中国航天科工が納入した「低空防衛者」。不正に侵入したドローンを自動補足し、ジャカルタ警察やアジア大会セキュリティセンターに設置された大型モニターに映し出す。

 

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▲低空防衛者は、インドネシア軍と政府関係機関との共同実験を経て、正式採用された。

 

2)スポーツ器具

今回のアジア大会の中継ではあちこちに「泰山」のロゴを見ることができた。泰山体育産業集団は、中国最大のスポーツ用品メーカーで、2008年の北京五輪の時に多くの器具を納入して急成長した。

アジア大会でも指定器具メーカーの常連となっており、今回のインドネシア大会でも武術、トランポリン、柔道、体操などの試合用器具やトレーニング器具を提供し、さらに数百名のメンテナンススタッフを現地に送り込んだ。

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アジア大会中継で目立ったのが「泰山」のロゴ。北京五輪で急成長をしたスポーツ用具メーカー。

 

3)エコ、省エネシステム

インドネシア熱帯雨林気候で、試合をする選手、観戦をする観客にとって、気温と湿度の条件が厳しい。暑さ対策が、アジア大会組織委員会の最大の関心事になっていた。

広州の紐恩泰新エネルギー発展有限公司は、ヒートポンプを提供した。試合会場のプール、さらには選手村、メディアセンターなどにも設置され、一定の温度を維持し、ゴミなどをろ過し、消毒を行い、試合に適した水を提供する。また、選手村などの生活温水としても提供され、アジア大会中に数万人が利用した。

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▲紐恩泰新エネルギー発展が納入したヒートポンプ。プールの水の濾過などの他、水温を一定に保つ。

 

4)都市交通システム(LRT

アジア大会中は、多くの観客がジャカルタパレンバンを訪れ、交通が混雑する。その混雑を緩和するために、パレンバン国際空港からパレンバンのジャカバリンスポーツシティまでの45kmを結ぶ。途中には高架式の駅が13設置される。このパレンバンで初となるライトレール(LRT)の建設は中国港湾が行なった。

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パレンバン国際空港からジャカバリンスポーツシティまでの45kmを結ぶLRT

 

5)ボランティアとスタッフのユニフォーム

アジア大会のボランティアとスタッフのユニフォームは、中国ブランドの361°が提供している。361°は、アジア大会では3回連続してユニフォームを提供している。その他、中国で開催されるユースオリンピックなどの国際大会では、ユニフォーム提供の常連となっている。

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▲アパレルブランド361°がデザインした大会ボランティアユニフォーム。アジア大会のユニフォーム納入企業の常連となっている。

 

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▲ボランティアユニフォームのTシャツ版。


アジア大会中国企業の見本市にもなっている

この他、放送設備、自動車、会議システム、スマート家電、電子機器など、至るところで「中国企業提供」の製品が見られ、アジア大会中国企業の見本市になっている。日本製品ポカリスエットキヤノンのカメラぐらいになってしまっている。

 

早くも出現した「シェアカーの墓場」

自動車メーカーに一定割合のEV(電気自動車)の製造と販売を義務付けるという強引な方法でEVシフトを進める中国。すでに各都市でEVカーシェアリングサービスが始まっている。しかし、すでに故障した自動車が捨てられる「シェアカーの墓場」が出現したと話題になっていると車聞百暁生が報じた。

 

強引にEVシフトを進める中国

中国は政府主導でかなり強引な形でEVシフトを進めている。2019年から、各自動車メーカーに一定割合の新エネルギー車の製造と販売を義務付けるというとものだ。しかし、まだ個人でEVを買おうという人は少ない。今年の1月から7月まで新エネルギー車の販売台数は49.6万台でしかない。今年上半期の自動車全体の販売台数は1406万台で、新エネルギー車の割合は3.5%にしかすぎない。しかも、その多くは配達系企業やカーシェアリング企業などの法人需要ではないかと見られている。

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▲新エネルギー車のカーシェアリング「GoFun」。すでに50都市以上でサービスを展開している。

 

シェアカーの墓場が誕生する不安

このような事情を受けて、各都市で新エネルギー車のカーシェアリングサービスが続々と始まっている。一般の消費者にとっては、扱いの難しいEVをいきなり所有するよりは、短時間レンタルをして試してみたいという需要があるということを見越したものだ。

ところが、当初から不安視する声があった。それは中国で一気に普及したシェアリング自転車と同じことが起きるのではないかという心配だ。シェアリング自転車は当初「どこでも乗り捨て可能」にしたので、道路のあちこちに自転車が放置されることになった。そして、故障なども放置され、市当局が違法駐輪や廃棄同然の自転車を回収して、遊休地に集積する「シェアリング自転車の墓場」が各地に出現している。

本来は、シェアリング自転車企業が経費を払い引き取るべきだが、膨大な数であるために資金が捻出できず、放置されたままになっているのが現状だ。

シェアリング自転車というサービスそのものは、市民の間に定着し、今でも便利に使われているが、ofo、Mobikeともに経営状態は苦しく、現状のサービスを維持することで精一杯になっている。

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▲全国各地に出現したシェア自転車の墓場。シェアカーでも同じことが起きるのではないかと心配されている。

 

ネットにアップされたシェアカーの墓場の写真

シェアリング自転車の墓場が出現した最大の理由は、各企業が競争に勝つために需要を無視した過剰な台数を供給したことが原因だ。EVカーシェアも似たような状況になりつつあり、自動車の墓場が出現するのではないかと心配されていた。

そして、山東省煙台のネットワーカーが、自動車の墓場を発見し、その写真をネットにあげたことが話題になっている。

その写真は、林の中に乱雑にシェアカーとともに一般の車も止められているもので、人通りの少ない寂しい場所だからか、タイヤが外されて盗まれてしまっている車もある。

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▲発見された「シェアカーの墓場」。タイヤが持ちされてしまっている車もある。

 

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▲乱雑にシェアカーが停められているが、実はここは公共駐車場だった。駐車場としての整備が追いついていない。

 

荒れ果てている公共駐車場

ところが、これは自動車の墓場ではなく、公共駐車場であり、シェアカーをここで乗り捨てていいことになっている場所なのだという。中国の都市はどこでも市内の駐車場が圧倒的に不足をしている。そのため、町外れに空き地があれば、とにかく公共駐車場にしてしまい、需要を満たし、駐車場としての整備は後から考えるしかなくなっている。

しかし、管理もまったくされていないため、タイヤが盗まれたり、車が荒らされたりしてしまう。

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▲汚れ、へこみがあるのは、シェアカーでは当たり前になりつつある。

 

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▲中も汚い車が増えている。なぜかシートカバーが破かれている。

 

問題続出のカーシェアリング

カーシェアリングに対する利用者の印象は悪い。シェアカー企業は、駐車ステーションを確保して、そこに自動車を配置した後は、ほとんど管理をしない。シェアリング自転車やシェアリング雨傘感覚なのだ。

そのため、外装の汚れ、凹みがある車は当たり前。それはまだ許せるものの、内装も汚れていたり、破れていたりする。さらに整備まで丁寧ではないので、高速道路で故障してしまい、レッカーを要請するという事態まで、ネットで報告されている。しかも、そのレッカー費用を、カーシェア企業が支払うか、利用者が支払うかでトラブルになっている。

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▲あるネットワーカーが、公開した写真。3月18日にGoFunを利用し、高速道路を走行中に、突然、ボンネットが開き、前が見えなくなり緊急停車。閉めようと思っても、ノッチが壊れていて閉まらないという事態になった。

 

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▲コールセンターに連絡をすると、交通警察を呼んでくれという一点張り。交通警察は民間のレッカー業者を呼んで、近くのカーシェアステーションまでレッカーをした。その料金が410元(約6700円)。利用者は当然カーシェア企業が支払うと思っていたが、カーシェア企業側は、なぜか利用者に請求をしてきた。

 

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▲カーシェア企業は、スマホ決済で勝手に410元を引き落としてしまった。投稿者は納得がいかないと怒っている。

 

良心を引き出すデザインが必要になる

日本のカーシェア企業では、車内がきれいであったかどうかのアンケートを乗車後に実施し、回答するとポイントが付与されるなどの仕組みがある。きれいであったということは、その直前に乗った利用者のマナーがよかったわけだから、その人にもポイントが付与される。こういう仕組みがあると、前の人のゴミですら放置せずに処分をするようになっていく。

中国のカーシェアのマナーが悪い理由を、「中国人の民度」に求めるのは簡単だが、良質のマナーを引き出すには、日本のカーシェア企業が行なっているような「良心を引き出すデザイン」が必要だ。

中国のカーシェア企業がそのようなデザインをしていけるかどうか。カーシェアによりEVのイメージが悪くなると、来年以降のEVの個人購入が伸び悩む。個人需要が伸びなければEVシフトそのものが失敗に終わることになるので、中国のEVシフトにとって、今、とても大切な時期になっている。

 

自分でエレベーターに乗り、電話で知らせてくれる出前ロボット登場

上海市オフィスビルで、自分でエレベーターに乗り、電話をかけて配達を知らせてくれる出前ロボットが登場して話題になっている。セキュリティを重視するオフィスビルでは、出前の配達員を自由に出入りさせたくない。そういうオフィスビルでの導入が進んでいると上観新聞が報じた。

 

到着を電話で知らせてくれる出前ロボット

上海市虹口区北外灘の国投ビルの8階にいた解放日報、上観新聞の記者の携帯電話に電話がかかってきた。「こんにちは、エレベーターの前までロボットが出前をお届けにまいりました。携帯電話番号を入力してお食事をお取りください」という合成音声が聞こえる。

10数分前、記者たちは出前サービスである外売アプリを使って食事を注文していたのだ。記者が8階のエレベーターのところまで行くと、そこには出前ロボットが待っていた。

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▲扉が開いて、食事を取り出す。以前は、注文客の方が1階ロビーまで取りにいかなければならなかった。利用客にも外売配達員にも好評だ。

 

配達員の出入りはセキュリティ上問題がある

上海市オフィスビルでは、出前ロボットの導入が始まっている。すでに虹橋万科、国投ビル、金橋国際センターなどで導入されている。虹橋万科では、3台の出前ロボットを導入していて、1日に少なくても300件の出前の配達をこなしている。国投ビルでの導入は1月ほど前だが、それでも毎日20件から30件の配達をしている。

オフィスビルが出前ロボットを導入する理由はセキュリティだ。外売配達員だからといって、オフィスエリアに自由に出入りさせるわけにはいかない。かと言って、受付で登録処理を行い、パスを発行してという通常のゲスト処理をするのでは時間がかかりすぎる。そのため、以前は外売配達員はロビーから、注文客に電話をし、取りにきてもらうというやり方をしていた。しかし、大型のオフィスビルでは、注文客が取りにくるのにもけっこうな時間がかかっていた。

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▲セキュリティゲートとはワイヤレス信号でやり取りをし、出入りができる。

 

配達員がロボットに渡す。ビル内はロボットが配達する

そこで、ロビーに出前ロボットを配置し、外売配達員は、出前ロボットに食事を入れ、ビル内部は出前ロボットが配達する。

出前ロボットは、ビルのゲートを通過することができ、自動でエレベーターに乗り降りすることができ、さらに注文客に電話をかけ、合成音声で、食事が到着したことを連絡する。

注文客はエレベーターホールまで取りに行き、スマホQRコードを読み、携帯電話番号の下4桁を暗証番号として、食事を受け取る。すべての食事が受け取られると、出前ロボットは1階のロビーに自動的に戻り、充電ステーションに自ら戻り、待機をする。


机器人送快递来了!

▲エレベーターとは音信号でやり取りをして階数を指定する。乗り降りする際には、周りの人に注意を促す音声も発する。

 

音信号で階数を指示

ゲートはワイヤレスで反応するので、出前ロボットが通ろうとすると自動的にゲートが開く。エレベーターは音声で反応する仕組みになっているので、出前ロボットは音信号で階数を指定する。

エレベーターに乗り込むときは、周りに注意を促すために「こんにちは、ロボットです。現在エレベーターを利用中です。ご注意ください」という音声を出す。また、頭部の液晶モニターに「出前ロボット配達中。ご注意ください」という表示をする。

 

障害物も認識、音声で警告

記者は、エレベーターから降りる出前ロボットの前に立ちふさがり、わざと邪魔をしてみた。すると、出前ロボットは前進せず、「すみません。どいてください」という音声を発した。記者が避けると、出前ロボットは前進をする。

出前ロボットの内部は、3段の収納があり、一度に3件の配達ができる。また、何階に配達するのかも理解し、最も効率のいいルートを自動で計算して配達する。

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▲エレベーターに乗る出前ロボット。左の男性のように邪魔をすると、自動認識し、停止をし、音声で警告を発する。

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▲出前は各階のエレベーターホールまで届ける。到着すると、注文客の携帯電話に連絡。QRコードを読み取り、スマホに自分の携帯電話番号を入力すると、扉が開く。

 

最初の戸惑いはすぐに消える

この出前ロボットは、上海のYogo robotが開発したKago3。上海市オフィスビルでの導入は、オフィスビルのセキュリティを重要視したビル運営側が導入をした。いわば「歩く宅配ボックス」の感覚だ。そのため、導入当初は配達にきた外売配達員にいちいち使い方を教えなければならなかった。また、人間の安全に配慮するために、出前ロボットの移動速度の調整にも試行錯誤が必要だった。

しかし、多くのオフィスビルで「すぐに慣れてしまう」と感じている。言わば、家庭の中でのお掃除ロボットと同じで、最初は戸惑うこともあるが、すぐに日常の風景になってしまう。各オフィスビルでは、出前だけでなく、小包荷物の配送や床面の清掃など、ロボット化できるのではないかと考え始めているという。

 

新手のQRコード決済ハッキング。肩越しにスキャン

中国で普及をし、そして日本でも普及し始めたスマホQRコード決済。しかし、新手の、しかも簡単なハッキング手法がニュース番組で報道され話題になっていると広州日報が報じた。

 

レジに並んだだけで999元が消えてなくなる

8月26日に陝西衛星テレビの報道番組「新聞午報」が報道したニュースが全国的な話題になり、各地の公安も注意喚起をする事態になっている。

山西省晋城市の郭さんがあるファストフード店で注文レジに並んでいた。アリペイ、WeChatペイなどのQRコードスマホ決済で支払いをするときは、あらかじめ決済アプリを起動し、自分のQRコードを表示しておく必要がある。郭さんは手にスマートフォンを持って、レジで注文をしていた。

すると不思議なことが起こった。突然、スマホバイブレーターが振動し、支払い通知がショートメッセージで送られてきたのだ。それをみると、あるビリヤード場へ999元(約1万6000円)を支払ったことになっている。残高も当然999元減っている。もちろん、郭さんはそんなビリヤード場に行ったことがなかった。

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▲被害にあった郭さん。郭さんが警察官であったということが犯人にとっては不幸だった。

 

監視カメラ映像を確認すると、背後に不振な男

犯人にとって不幸なことに、郭さんは警察官だった。郭さんは、お店に協力を求めて、監視カメラの映像を見せてもらった。すると、レジに並んでいる郭さんの後ろに怪しい男がいて、郭さんの肩越しに、郭さんのスマホの写真を撮るような素振りを見せ、すぐにその場を離れている。郭さんのスマホに支払い通知が送られてきたのはその直後だった。

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▲郭さんはレジで注文をするときに、手にしたスマートフォンに、支払い用のQRコードを表示していた。背後から犯人が近づいている。

 

肩越しにQRコードをスキャンされていた

支払い通知の情報と監視カメラの映像から、犯人はすぐに逮捕をされた。手口は簡単だった。犯人は商店向けの決済アプリ「銭方好近」をインストールしていた。これは、アリペイでもWeChatペイでも、読み込んだQRコードを自動解析して、決済をしてくれるというものだ。客にいちいち「アリペイですか、WeChatペイですか」と聞かなくても決済ができることから、レジを入れていない小規模店舗でよく利用されている。

最近は、CCDカメラの性能やQRコードの画像解析機能が上がってきているので、数10cm離れたところから撮影をしても、QRコードを読み込むことができる。犯人は、これを使って、肩越しにQRコードを読み込み、999元を請求して、盗んでいたのだ。

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▲犯人が肩越しに郭さんのQRコードを撮影している。最近のカメラ性能が上がっているため、数10cm離れてもQRコードを認識できる。

 

999元までは認証不要で決済できる

ところで、なぜ犯人は999元を盗むのか。それは、1000元以上になると指紋やパスワードなどでの認証が必要になるからだ。逆に言うと、999元までは認証なしで支払いが成立してしまう。

各地の公安は、このような事件が他にも起きているとして、「レジに並んでいるときにQRコードを表示せず、支払う直前に表示するようにする」「999元以下でも認証を必要とする設定にしておく」の2点を注意喚起している。

また、「銭方好近」では、登録審査がきちんと行われてなく、誰でも勝手に商店として登録し、口座を作れてしまうことも問題視され、すでに一般のアプリストアからは削除されている。

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▲郭さんのスマホに送られてきた支払い履歴。この情報と監視カメラの映像から犯人が逮捕された。

 

よりセキュアな顔認証などの生体認証へ

QRコード方式の決済は、POSレジが不要で、スペックの低いスマホでも利用できるという大きな利点があったため、スマホ決済の普及の大きな原動力となった。一方で、セキュリティ面では問題が多く、印刷されたQRコードをシールで差し替えるなど偽造による犯罪も多発している。そこで、中国では顔認証などの生体認証を利用する方式への移行が始まっている。

最初は、リスクを承知で簡便な方法で普及をさせる。普及したら、セキュアな方式を導入していく。そういうシナリオで中国のキャッシュレスは進んでいる。


背后“黑手机”对准二维码,一秒盗刷999元

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