中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

SNS機能を強化しているTik Tok。テンセントのWeChatと激突

中国版Tik TokのSNS機能が強化され、WeChat並みのSNSに進化をしていく方向が見え出している。Tik TokとWeChatは、弱いSNSと強いSNSという棲み分けがあったが、双方に互いの機能を取り入れ、重なる部分が多くなっている。バイトダンスとテンセントの競争も激化することになると全現在が報じた。

 

Tik TokはSNS機能を強化する

抖音(ドウイン、中国版Tik Tok)の動きが活発になってきている。2021年春節前の除夕(大晦日)に放映される国民的番組「春晩」(チュンワン)では、公式紅包スポンサーとして、ソーシャルEC「拼多多」(ピンドードー)が決まっていた。番組内で紅包(お年玉)の取得方法が解説され、その通りにすると数元のお年玉がもらえるというものだ。テックサービスにとっては、利用者数を大きく拡大するチャンスとなっている。

ところが、拼多多では、過労死の可能性がある従業員の死亡事件、飛び降り自殺事件などが続き、にわかに労働環境に問題があるという疑いが持たれるようになった。このため、公式紅包スポンサーの座を辞退し、その代わりに、Tik Tokを運営するバイトダンスが公式紅包スポンサーに就いた。

春晩は中央電子台だけでなく、ネットでもライブ中継され、日本でもニコニコ生放送YouTubeライブで配信される。中央電子台の視聴率は30%を超え、ネット配信も合わせると世界で10億人以上が見る番組。バイトダンスは12億元(約195億円)の紅包資金を用意し、開始したばかりの抖音支付向けに紅包を配布した。

しかし、バイトダンスの張楠(ジャン・ナン)CEOは、社内メールで「今回の春晩紅包は、抖音支付の利用者数を伸ばすことだけが目的ではなく、バイトダンスが長年挑戦してきたSNSへの道を拓くものだ」と従業員に伝えた。


《中央广播电视总台2021年春节联欢晚会》 1/4 | CCTV春晚

▲中国の大晦日のバラエティー番組「春晩」は、日本でもYouTubeライブやニコニコ生放送で同時中継され、世界で10億人以上が視聴する。この番組の公式紅包スポンサーにバイトダンスが選ばれた。

SNSはバイトダンスにとって大きな目標になっている

張楠CEOは、同じ社内メールの中で、具体例を語っている。今年の春節は帰郷が制限、非推奨となり、実家に帰らず都市で新年を迎える人が多い。そのような人が、新年の挨拶をショートムービーを送り合ったり、ライブ通話で顔を見て話をするいうようなことを促そうとしている。

これにより、従来のショートムービーを不特定多数の人に向けて公開するだけでなく、特定の知人にショートムービーを送るという習慣のきっかけにしたいのだという。つまり、Tik TokをムービーSNSとしても機能するようにするという。

バイトダンス創業者の張一鳴(ジャン・イーミン)は、創業当時から「バイトダンスにはSNSが必要」と言い続け、張楠CEOもTik Tokの日間アクティブユーザー数(DAU)が6億人を突破し、頭打ちになった2000年あたりから、はっきりとさらなる成長のためにはSNSが必要だということを言い始めている。バイトダンスにとって、SNSは悲願とも言える。

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▲Tik Tokに搭載される予定のSNS機能。利用者同士でショートムービーを送り合ったり、ライブ通話で話をすることができる。



スーパーアプリと呼ばれるテンセントのWeChat

Tik TokがSNS化をする上で、明らかにモデルとしているのがテンセントのWeChatだ。WeChatは、日本のLINEとよく似たスタイルのSNSだが、WeChatペイというアリペイに次ぐスマホ決済機能を搭載し、さらにこの数年はミニプログラムで利用時間を大きく伸ばしている。ミニプログラムは、WeChatの中から起動できるアプリ内アプリ(実体はウェブアプリ)で、ECやタクシー配車、フードデリバリーなどの各社がWeChat向けミニプログラムを提供している。

このミニプログラムでは、アカウント登録、ログイン、決済方法の指定などが不要でサービスを利用できる。WeChatのアカウントを流用してログインされ、決済方法はWeChatペイがデフォルト設定されているからだ。

これにより、利用者は、アプリよりも便利にサービスを利用できるようになった。始めて利用するサービスであっても、ユーザー登録などの手順を経ずに利用できる。多くの人が、日常の生活はほとんどすべてWeChatだけで済むようになっており、WeChatは次第に「スーパーアプリ」と呼ばれるようになっている。

TIk Tokもこのスーパーアプリになることを狙っている。そのために必要なのが、独自のスマホ決済とSNS機能だった。

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▲WeChatのミニプログラム。図はテンセントビデオ。使い勝手はアプリと変わらないが、起動が早く、アカウント登録をせずに利用することができる。

 

Tik Tokを遮断し、ムービー機能を追加したWeChat

テンセントも、このバイトダンスの動きを警戒している。以前から、Tik Tokが強力なライバルになると見ていたテンセントは、WeChatからTik Tokへのリンクを遮断する措置に出ている。WeChat内でTik Tokムービーへのリンクを掲載しても、反応しないのだ。また、WeChatは視頻号(ムービーアカウント)という機能を追加した。これは投稿されたショートムービーが次々と見られ、その他、ライブ配信や特定の人にショートムービーを送ることができる機能だ。早い話が、WeChat内にTik Tokと同じ機能が出現した。

この視頻号の機能は歓迎され、2020年末の段階でDAUは2.8億人に達している。Tik Tokのライバルである快手のDAUが3.0億人なので、突然もう一人のライバルが登場したことになる。

バイトダンスは、WeChatからの遮断は、独占的地位の乱用だとして独禁法に触れると、訴訟を起こして一矢を報いようとしている。

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▲WeChatに搭載された新しい機能「ムービーアカウント」。使い勝手や内容などは、Tik Tokほぼそのままだ。

 

Tik Tokからホットスタートする戦術に転換

バイトダンスは、このショートムービーSNSのプロダクトをすでにリリースしている。2018年から、友人同士でショートムービーを送り合える「多閃」(ドゥオシャン)、ショートムービーを知り合いと共有できる「飛聊」(フェイリャオ)のサービスを提供している。しかし、一定範囲で根強いファンを獲得しているものの、Tik Tokクラスの大きな影響力を持つには至っていない。

それでも創業者の張一鳴は、SNSの挑戦をやめなかった。2019年のバイトダンス創業7周年の席上で、従業員に対して、SNSへの挑戦はやめないと宣言をした。そこからTik TokのSNS化が始まり出した。

Tik Tokはすでに月間アクティブユーザー数(DAU)が7.76億人に達し、Tik Tokを開けば、必ず知人の誰かもTik Tokを開いているという状態に達している。あとは、その知人とコミュニケーションができるようにすれば、Tik TokをSNS化していくことができる。多閃や飛聊のようにコールドスタートをするのではなく、Tik Tokの膨大な流量を活かしてホットスタートする方が成功する確率が高いと判断された。

さらに、以前は、WeChatに自分が投稿したショートムービーのリンクを貼り、友人などに送っていたが、テンセントによる遮断措置によってそれができなくなった。Tik Tokのユーザーにとっても、友人にショートムービーを送れるという機能が求められるようになった。

 

友人のタイムライン閲覧、同じ都市内の投稿が見られる機能を追加

2020年3月頃から、TIk TokのSNS機能のテストが活発になってきている。一部の了解を得たユーザーに対して、ベータ版を配布し、ビデオ通話や同じ都市の中のユーザーと知り合える機能などを試している。2020年夏には、正式版Tik Tokに「同じ都市」というタブが新設され、自分の住んでいる都市で投稿されたショートムービーが一覧でき、その投稿者と繋がれる機能が搭載されている。また、9月には「日記スタイル」という名称で、友人の投稿タイムラインが見られるようになった。また、「私の親戚を紹介します」「私の友達を紹介します」というテーマのムービー投稿を奨励するキャンペーンなども実施している。SNS化が着々と進み、ユーザーにSNS的な利用の習慣づけにも力を入れている。

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▲中国版Tik Tokには、すでに上部のタブに「同城」(同じ都市内での投稿)、下のタブに「朋友」(友人のタイムライン)の機能が追加されている。


新年紅包は利用者拡大よりもSNS機能の普及

このようなSNS化を進めるにあたって、今年の春節は大きなチャンスとなった。コロナ禍の影響により、都市に残り、帰郷しない人が多いため、家族、親戚、友人にショートムービーを送って、今の状態を知らせたいというニーズが生まれる。そこに公式紅包スポンサーになることで、実家の両親や親戚もTik Tokを利用してくれるかもしれない。

張楠CEOによると、抖音支付の利用者を伸ばすことよりも、こちらのSNS機能利用を促す目的の方がはるかに重要だと社内メールで語っている。そのため、Tik Tokでは「ショートムービーで新年の挨拶」キャンペーンを行い、50以上の新年向けの特殊エフェクトも公開した。春節の間に、特定の人にショートムービーを送るというSNS的な使い方を体験してもらうというのが、最大の目的だとしている。

Tik Tokのキャッチコピーは「美しい生活を記録しよう」というもので、すでに若い女性がダンス映像を投稿するサービスではなくなっている。利用者も、もはや若者だけではなく、全世代に広がり、国民的なインフラになり始めている。

バイトダンスは、Tik TokをさらにSNS化することで、テンセントのWeChatに対抗できるサービスにすることをねらっている。今年は、WeChatとTik Tokの競争が激化していくことが予想される。

 

 

7日間無理由返品が可能なのに返品できない。問題は開封シールの位置

高額のカメラレンズをECで購入した人が返品をしようとして、京東から拒否をされたことがネットで話題になっている。江蘇電子台も報道番組で取り上げる問題となった。問題の焦点は、開封シールの位置であり、開封したかどうかだと華小曙が報じた。

 

ECを成長させた条件の緩い返品制度

中国のECが成長した理由のひとつが、条件の緩い返品制度だ。ECでは一般に「7日間無理由返品」、さらには「三無返品」(理由なし、現品なし、レシートなし)などが行われている。

ECで商品を購入する時に、消費者が心配をするのは、ちゃんとした商品が届くのかというものだ。アリババが淘宝網タオバオ)を始めた時、この問題がネックとなり取引が成立しないことに気がついたアリババは、担保交易という仕組みを導入した。これは、商品に問題があった場合、アリババが支払った代金を賠償する仕組みだ。

これを現金で行うのではなく、ポイントで行うようにしたのが支付保という仕組みだ。消費者はまずポイントを購入し、そのポイントで商品を購入する。商品に問題があった場合は、すぐにポイントが変換され、販売業者に渡ったポイントも戻される。これが後のスマホ決済「支付宝」(アリペイ)に発展をしていく。

 

返品はひとつの買い物テクニックになっている

このような返品制度がECの利用を促した。クーポン券が配布をされると、適用額まで商品を買い、不要なものを返品する。あるいは、サイズや色違いのある服や靴では、複数の商品を購入し、現物を見てから選び、他は返品をする。11月11日の独身の日セールでは、返品率は30%にも達するとも言われる。

このような返品は、賢い買い物テクニックとして認知されていて、業者側も返品を織り込んで販売計画を立てている。

 

商品によっては開封後返品できないものがある

ところが、なんでもかんでも返品できるわけではない。当たり前だが、開封をして使用したものを返品することができない。ここが業者と消費者の間でトラブルになることがある。

劉さんは、ライカのカメラレンズNOCTILUX-M 75 mm f/1.25を9万9800元(約160万円)で購入した。しかし、劉さんは購入する時に、金額の欄をよく見ていなく、9980元だと思っていた。商品が届いて、初めてそのことに気がつき、カスタマーセンターに返品をしたいと告げた。京東が商品を回収にきたので渡した。ところが、後になって、京東から返品は認められないと連絡があったのだ。その理由は、商品は開封をされ、使用されたものであるからというものだった。

劉さんは気がついていなかったが、商品ページには下の方に小さな文字で「7日間無理由返品対象(開封後は不可)」と書いてあったのだ。

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▲龍さんが購入したカメラレンズ。劉さんは、9万9800元の価格を9980元だと勘違いして購入ボタンを押してしまった。いちばん下に、小さく薄い文字で「7日間無理由返品(開封後は不可)」と書いてある。

 

外箱に貼られていた開封シールが問題に

ところがこの「開封」が問題になった。開封したかどうかは開封確認シールが剥がされたかどうかで判定される。剥がすと、シールの印刷内容が箱などに残り、元に戻せなくなるシールだ。

このようなシールは、通常、商品の内容が確認できる最終包装に貼られる。ところが、劉さんの荷物には外箱にこの開封確認シールが貼られていた。これでは商品は確認できないし、納品書も見ることができない。劉さんは、この開封確認シールを開けて、納品書を見た段階で、金額を勘違いしていたことに気がついて、返品を決めた。

もし、これで開封済みということであるなら、返品するかどうかも決められないことになる。

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▲届いた商品には、銀色の開封シールが外箱に貼られていた。剥がすと印刷面が箱に残り、開封したことがわかるというもの。しかし、これでは、商品に問題がないかどうかを確かめることができない。

 

返品には応じたものの返金がされないことから問題に

京東側で、配送センター内の監視カメラ映像を調査したところ、商品の外箱に開封確認シールが貼られるというミスがあったことが発覚をした。そこで、返品された商品の検査を行い、破損などがないことがわかれば返品に応じると回答した。そして、商品の検査では破損などの問題がないことが判明したが、その後、いつまで経っても返金が行われない。

1ヶ月経っても返金が行われないので、劉さんはどうしたらいいかをネットの掲示板で相談したところ、多くのネット民が京東の対応はおかしいと騒ぎになった。さらに、江蘇電子台の報道番組でも取材されることになった。

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▲劉さんは、返品には応じてもらえたものの返金がされないため、ネットで訴え、江蘇電子台の報道番組でも取り上げられることになった。

 

7日間無理由返品は法律で定められている

国家工商行政管理総局は、2017年に7日間無理由返品に関する暫定法を2017年に公布している(http://www.gov.cn/gongbao/content/2017/content_5216437.htm)。

これによると、すべての商品に対して無理由返品が適用されるわけではない。1つは果物や魚などの腐敗をする生鮮食品。2つ目は音楽、ゲーム、書籍などの消費やコピーしたことが判明しない商品などだ。

また、開封後、使用されると商品としての価値を失ってしまう下着、水着、食品などでは開封後の返品は認められていない。さらに、使用されると商品の価値はなくならなくても、中古品となり、価値が大きく減じてしまうスマートフォン、PC、デジタル製品などでも開封後の返品には応じなくてもいいことになっている。

 

開封シールをどこに貼るかが問題

ただし、この暫定法では、「開封」の定義はされていない。しかし、法律の意図からして、消費者が商品の様子が確認できる最終包装を開封した時と考えるのが妥当だ。今回は、京東側が開封シールの貼り方のミスを認めているが、今後、「開封」の定義が議論されていくことになる。

ECの利用が進んでいるのは、「気軽に買ってみても後で返品できる」という安心感があることが大きく、返品トラブルが増えていくと、ECの利用に対する影響も出かねないからだ。ネットでは、他にも開封シールが外箱に貼られていたことが続々と報告されている。

 

 

再び注目を集める無人小売テクノロジー。非接触と人材採用がキーワードに

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明日、vol. 061が発行になります。

 

2016年後半から2017年にかけて、無人コンビニ、無人スーパーが大きな話題になっているのを覚えていらっしゃるでしょうか。

最も勢いのあった無人コンビニは、繽果盒子(ビンゴボックス)で、2016年8月に第1号店が開店し、1年以内に5000店舗の展開をすると宣言をして大きな話題を呼びました。

しかし、2018年8月に40都市400店を展開したのがピークで、現在では28都市の展開(店舗数は不明)にまで縮小しています。

5000店舗展開は、リアルな計画というより、投資資金を集めるためのアドバルーンにすぎないと当初から見られていました。その華々しい計画と現在の縮小ぶりを見て、「無人コンビニはあだ花」、口の悪い人になると「投資資金を集めるための詐欺まがいのビジネス」とまで言う人もいます。

しかし、28都市とは言え、営業をしているということは無人コンビニに何かあるのではないでしょうか。今回は、まず、無人小売の利点を考えてみたいと思います。世間では、「人件費を省く」というところばかりに目が行きがちですが、実は人件費以外にもねらいがあります。

 

ビンゴボックスは、中型が4.8×2.6m、大型が6.0×2.6mというコンテナ型の店舗です。中型で500種類、大型で800種類の商品陳列が可能です。

利用をするには、まずドアの前でスマホ決済「WeChatペイ」のQRコードをスキャナに読み込ませると、ドアが解錠されます。中で商品を手にしたら、セルフレジでスマホ決済をすると、再びドアが解錠されます。商品には電子タグがつけられているので、セルフレジで簡単に精算ができる仕組みです。

店内では顔認識と画像解析機能がある監視カメラで行動が監視をされ、精算せずに商品を持ちだそうとしたり、店内で開封して食べたりすると、警告が鳴り、精算をするように促されます。

また、スマホ決済であるという点がミソで、スマホの電話番号が取得をされるので、センターから電話がかかってきます。

 

先ほども触れましたが、無人小売テクノロジーの目的は、人件費の節約もありますが、それは目的のひとつにすぎません。

その後の無人コンビニでは、他の長所も注目されるようになりました。例えば、無人であるということは24時間営業ができるということです。特にコンビニの場合、24時間営業は重要です。極論をすれば、閉店時間がないからこそ、スーパーよりも高い商品をわざわざコンビニで買うのです。日本のセブンイレブンが以前は「あいててよかった」という広告コピーを盛んに使っていたこと、現在でもいろいろな問題を抱えながら本部は24時間営業を続けようとしていることからも、24時間営業の重要さがわかります。

夜間の客数は多くなくても、閉店時間がないことから、行きたい時に行ける。せっかく行ったのに営業を終了していたという悪い体験をしなくてすむ。これがコンビニに行く習慣をつけることになり、昼間の売上に大きく影響してくるのです。ところが、深夜勤務はどこの国でも賃金を割増しなければなりませんし、年齢制限などもあります。つまり、夜間は売上は大したことがないのに、高いコストをかけなければならないのです。

これが無人であれば、人件費の増加を考えずに24時間営業が実現できます。24時間無人というコンビニもありますが、昼間はスタッフを配置して、通常のコンビニとして営業し、夜間だけ無人コンビニにするというハイブリッド型も可能です。

 

さらに、コロナ禍で「無接触」というキーワードが浮かび上がってきました。スタッフという人と接触をすることがないので、消毒をきちんと行っておけば、感染対策になるのです。この長所が再評価され、再び、無人コンビニ、無人生鮮販売所、無人ミルクティースタンド無人キッチンカーなど、無人系の店舗を運営するスタートアップが再び登場してきています。

このように、無人小売テクノロジーは浮き沈みを繰り返しながら、今に至っています。

今回は、この無人小売テクノロジーをご紹介します。特に注目をしていただきたいのが、無人小売テクノロジーのねらいは、人件費の節約だけではないということです。

 

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vol.058:再び成長を始めたTik Tok。テンセントのWeChatと正面から激突

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vol.060:ショッピングモールの不振から見える小売業の変革。人と商品の関係性が変わる

 

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フードデリバリーの「付近のお店」検索順位の背後にあるアルゴリズムとは

フードデリバリーで最もよく使われる「付近のお店」検索。この検索順位は一定のアルゴリズムで決定される。そのアルゴリズムは飲食店に公開されているため、飲食店は検索順位をあげる施策をとることで、人気店になれるように設計されていると易旨語餐飲商学院が報じた。

 

フードデリバリー利用経験者は43.7%

美団(メイトワン)、餓了麼(ウーラマ)のフードデリバリーを使うのはすっかり普通のことになっている。特に昨年はコロナ禍による外出自粛もあり、フードデリバリーの利用経験者が4億人の大台を突破し、今年に入って5億人に近づいている。スマートフォンを使っている人の43.7%が利用していることになる。

特に80后、90后と呼ばれる20代から30代の利用が多く、昼は会社に、午後はコーヒーを、夜は自宅にという「1日3回」利用する人も珍しくなくなっている。20代、30代に限れば60%以上の人が利用したことがある。

利用者へのリコメンドになっている「付近の飲食店」表示

頻繁に利用される第1の理由は、もちろん、持ってきてくれるという利便性。さらに、さまざまなクーポンが配布をされ、実質配送料が無料になることが多いことなどがある。

もうひとつの理由が、「付近の飲食店の検索」だ。自宅などの同じ場所で検索をしても、表示される飲食店の内容が変わる。しかも、距離が近い順ではなく、総合格付けが高い順に並ぶため、上から選んでいけばほぼ失敗をしない。付近の検索に新しい飲食店が登場をすると、利用してみたくなるのだ。

この順位は、顧客からの評価だけでなく、さまざまな指標が総合されて決められている。飲食店はこの順位決定アルゴリズムに敏感に反応をする。順位が上になればなるほど、利用者の目に留まり、売上が増えていくからだ。

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▲美団の「付近のお店」検索。単なる距離順ではなく、複雑なアルゴリズムで順位は刻々と変わる。順位が変わることで、利用者は新鮮さを感じ、コンバージョンがあがる。

 

リコメンド指標に使われる5つの指標

この順位は主に5つの指標で決められている。

1:売上と注文数

2:店舗の格付け指標

3:コンバージョン

4:時間帯

5:利用者特性

 

人気のある優良店ほど検索上位になる

店舗指標のうち、最も大きいのがデリバリーの売上と注文数だ。売上が大きく、注文数が大きいことはすなわち人気店と見なすことができるため、最も順位に影響を与える指標になっている。特に直近7日間の売上と注文量が大きく影響する。

次に影響を与えるのが、店舗の格付けだ。味、包装、配送時間などを利用者が星で評価する。全利用者の平均値がその飲食店の格付けとなる。ウーラマでは過去すべての平均ではなく、直近90日間の平均をとっている。この格付け評価は、順位に大きく影響をするため、極端に低い格付け評価をした利用者がいると、飲食店の担当者がメッセージを送り、謝罪などの対応を取り、格付け評価を削除してもらうこともある。

さらに店舗異常率も考慮される。注文の取消率、注文の訂正率、配送の遅延率、クレーム率などだ。また、営業時間は長ければ長いほど有利になる。

さらに重要なのが、クーポンの割引率だ。キャンペーンなどで割引クーポンを配布すると、割引率指標が上がるため、検索順位が上位に移動することになる。

 

コンバージョン、リピート率も順位に影響

コンバージョンも順位に大きく影響する。利用されるコンバージョンは、入店コンバージョンと注文コンバージョンの2つだ。店舗リストを見た人のうち、店舗ページを開いた人の割合が入店コンバージョン、入店した人のうち注文をした人の割合が注文コンバージョンだ。

さらに、同じ利用者が、同じ店舗を再度利用するリピート率も考慮される。

 

時間帯別に検索順位は再計算される

時間帯は5つに分類されている。朝食、昼食、おやつ、夕食、夜食だ。この時間帯によって、順位指標の計算が別々に行われるため、時間帯によって付近検索の順位はがらりと変わる。例えば、朝食時にはおかゆの店が上位にきて、午後にはカフェが上位にくるということが起こる。

さらに、この順位は全員に対して同じではない。利用者の利用履歴などから、格付け評価の高いジャンルの飲食店の指標が高くなるように設計されている。

 

検索順位を上げることが優良店になる目安になっている

このような順位アルゴリズムであるため、利用者から見ると、自分の好きなジャンルで、割引率が高く、評判もいい飲食店が上位にくるようになる。しかも、時間帯によって内容がガラリと変わり、朝食やカフェなど、シーンに合わせたないようになる。つまり、フードデリバリーのミニプログラムを開いて、付近の検索の上位を見て、利用したことのない飲食店を安心して利用することができる。

飲食店にとっても、このようなアルゴリズムは営業の指針となる。フードデリバリーのセミナーなどで、このような指標は詳しく解説されるため、それをKPIとしてそれぞれの指標を高める工夫をしていくことができる。それが検索順位をあげることにつながり、売上を増やすことになるのだ。

消費者がより利用をするようになり、飲食店がより売上をあげられるようになるということは、フードデリバリープラットフォームの売上もあがることにつながる。

フードデリバリーが生活に定着をし、いまだに成長を続けているのは、このような三者ウィン・ウィン・ウィンになるようなアルゴリズム設計がなされていることも大きい。

 

 

1日2万人のPCR検査が可能なPCR検査バスが四川省の各病院で稼働

四川省の各病院にPCR検査バスが納入された。検体採取から検査、結果の5G送信が可能な設備を搭載したバスで、プール方式で1日最大2万人分の検査ができる。小規模クラスターに対する関係者、住人の検査だけでなく、隠れ感染者が潜んでいる可能性のある農村の検査にも活用されると中国客車信息網が報じた。

 

四川省の各病院にPCR検査バスが納入

中国で、PCRバスの開発が相次いでいる。バスメーカー「蜀都客車」(シュードゥー)は、昨2020年9月下旬に「5GスマートモバイルPCRラボ」を開発した。車内にPCR検査設備を備え、どこにでも移動をして、検体採取から検査までを行い、検査結果を5G通信で保健当局などに送信できるというもの。

広い駐車場などに出向き、検体採取会場を広くとる、さらに1/10のプール方式(10の検体を混合し検査。陽性が出たら検体を再検査して陽性者を特定)を行うことで、1日の検査能力は最大2万名になる。検査結果は、検体採取から最速で2時間で判明する。

このPCRバスが成都市の華西医院、四川疾病コントロールセンター、四川人民医院に6台納入された。四川省では、このPCRバスを300台購入する計画を進めている。

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▲納入されたPCR検査バス。濃厚接触者を検査のために移動させるのではなく、地区を封鎖して、そこでPCR検査を行う。

 

BYDはPCR電気自動車バスを開発中

このPCRバスの開発は他のメーカーでも進んでいる。EVメーカーのBYDでは、バイオ企業の華大智造と協働して、P2のバイオセーフティーレベルを有した電動PCRバスの開発を始めている。外部電源のない状態でも、10時間、検査作業が行える仕様になっている。

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▲BYDが開発中のPCR検査電気バス。大型バッテリーを搭載し、外部電源がない状態でも10時間稼働することが可能。

 

最後の掃討戦に活用されるPCR検査バス

中国ではすでに新型コロナは終息をしたと言っていい状態が続いているが、感染予防策は厳しいままで、遠距離の移動制限などが続いている。新規感染者の確認がまったくゼロになったわけではなく、無症状感染者や突発的なクラスター発生も起きているからだ。

今、中国は新型コロナの根絶モードに入っている。無症状感染者、小規模クラスターが発生した場合は、このようなPCRバスを携えたチームが急行し、その地域を封鎖し、住民、関係者全員にPCR検査を実施している。

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▲蜀都客車のPCR検査バスのパンフレット。四川省では、近々に300台を購入する計画だ。1台で1日に2万人分の検査ができる。

 

農村に潜んでいる感染者を掘り起こす

また、もうひとつの懸念が農村であるという。農村にも新型コロナは広がっているが、検査施設まで遠い農村では、検査を受けない隠れ感染者が潜んでいる可能性がある。人が密集をする機会が少ない農村で拡大する危険性は少ないが、その隠れ感染者が都市に移動をすると、感染を一気に広げてしまう可能性がある。

そこで、農村に濃厚接触者が発見された場合は、PCRバスが向かい、一村まるごと検査を行う態勢がとられつつある。

感染の疑いがある人がいたら、その人を検査機関や治療機関に移動させるのではなく、検査機関や治療機関がその人のところに移動して、感染疑いのある人を移動させないことが完全終息にはきわめて重要になるとされている。

中国では新型コロナとの戦いが最終段階に入っている。

 

 

アリババの社員が麺屋を開店したらこうなった。失敗から学ぶアリババ流

アリババの元社員が開店した熱乾麺の店「成碗熱乾麺」が人気となり、激戦区と呼ばれる鄭州市で、支店が100軒に達しようとしている。その成功の鍵は、「失敗から学ぶ」というアリババ流の発想法にあったと億邦動力網が報じた。

 

コロナ禍で人気になる「すぐ食べられる」ファスト中華料理

コロナが終息しても、客足が戻りきらず、苦しむ飲食店が多い中で、ヒット商品になっているのが「熱乾麺」だ。熱乾麺は、麺を茹で、油を和えて置いておく。食前にさっと茹でて熱くし、そこにタレをかけて食べる。汁なしの油そばだ。

中国の五大麺をあげると必ず入る有名な麺料理で、ザーサイ、ネギなど自分で好きな薬味を入れて食べられることも人気の理由になっている。

すぐに出てきて、さっと食べられるファストフード感覚に近く、しかも大人数で食べるものではなく、カウンターで食べる店が多い。新型コロナの感染リスクが低いスタイルであることからも、人気が上昇し、ケンタッキーもこの熱乾麺を発祥地である武漢限定のメニューに加えた。

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▲熱乾麺は、武漢発祥の油そば鄭州市で人気の食べ物となり、4000軒以上の熱乾麺専門店がある。

 

元アリババ社員が熱乾麺の店を開店

熱乾麺は、武漢が発祥と言われているが、人気が高いのは河南省鄭州市で、ここには4000軒の熱乾麺専門店がひしめいている。

その鄭州市に、元アリババ社員が熱乾麺専門店を開き、わずか35平米の小さな店で、創業230日で1日の売上が1万元(約16万円)を突破し、鄭州市の飲食店関係者を驚かせた。2018年に開業し、現在は支店が100店になろうとしている。

 

アリババのECビジネス専門家が目をつけた麺市場

この「成碗熱乾麺」を創業したのは、元アリババ社員の大侠(ダー・シャー)。ECビジネスに従事し、EC関係の書籍も3冊執筆している。その大侠が、熱乾麺市場に目をつけたのは3つの理由がある。

1:大衆に受け、朝食、昼食に食べられるため、来店頻度が高い。

2:まだ大手チェーンと呼ばれるブランドが存在しない。

3:フードデリバリー、テイクアウトなど新小売にも向いている

さらに、中国は麺料理を大量に消費する国だが、麺店舗の数は需要を満たすほど多くなく、成長空間が多く残されているという。そのため、大侠はあえて激戦地である鄭州市を創業の地に選んだ。ここで成功することが、全国展開に直結をするからだ。

 

アリババ流のネット事前プロモーション

大侠は、開店準備をする段階から、ウェイボーを始めとするSNSで、熱乾麺の店を開店することを告知した。アリババ時代に学んだプロモーション手法を駆使して、開店前には大侠のアカウントのフォロワーは8万人にもなっていた。そして、開店直前にフォロワーに対して、店舗で利用できる紅包(ホンバオ)、つまり割引クーポンを配布した。

一般的な店舗では、近所の繁華街などで開店予告のチラシを配り、クーポン券を手渡しする。しかし、大侠はこれをすべてネットの中で行った。8万人というのは、通りすがりの歩行者ではなく、何らかの形で大侠の熱乾麺店に興味を持っている人なのだから、その効果は絶大だった。

当初は「拌調子熱乾麺」というブランド名で開店をすると、大勢の客が押し寄せ、開店初日から人気店になった。その様子は多くの人を驚かし、ますます客がくるという成功ぶりだった。

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▲大侠が最初に開店した拌調子熱乾麺。ネットプロモーションが功を奏し、来店客であふれた。調子に乗って支店を2軒出したところで、失敗に直面する。

 

初期段階での拡大に失敗

しかし、拌調子熱乾麺がそのままの調子で成功したわけではない。大侠にとっても飲食店経営は初めてのことであり、初期の段階で失敗をしている。

開店の成功に気をよくして、すぐに2つの支店を開いてしまったのだ。しかし、ネットプロモーションも不足し、ただの人気店の支店であったため、客は入らなかった。多くの顧客が「突然できた拌調子熱乾麺がものすごく客が入っている。一度食べてみよう」という理由で訪れていただけなのだ。一時期は、従業員の給料の支払いにも苦労するところまで追い込まれた。

 

大侠が失敗から学んだ3つのこと

大侠は、この失敗から3つのことを学んだ。

ひとつは出店場所の問題だ。1号店の出店場所は必ずしも理想的とは言えなかった。それが成功してしまったため、「出店場所は悪くてもなんとかなる」という慢心が生まれてしまった。

支店の出店場所は、いずれもショッピングモールの中で、しかも周りは火鍋で有名な海底撈など、時間をかけて食事をする飲食店ばかりが集まっている場所だった。成碗熱乾麺のようなさっと食べられるファストフードを食べたいという顧客は足を運ばない場所だった。さらに家賃は高く、それで支店の経営が苦しくなってしまった。

2つ目に学んだことは、創業当初のチームは安定をしないということだ。いくら優秀な人材が集まっても、創業してすぐの段階では、ミッションや企業文化のようなものを共有できていない。その段階で、支店を出してチームを分割させてしまうことは、企業文化を構築する上で大きなマイナスだった。支店は支店で異なる企業文化が生まれてしまった。

3つ目に学んだのが、PDCAは自分が見ている範囲でしか回せないということだった。本店については、毎日営業の様子を観察し、来店客の反応を調査し、ネットプロモーションを行い、仮説を立て、施策を実行し、改善していくというPDCAサイクルを回していた。

しかし、支店では自分の目が行き届かないため、本店で生まれた改善策をそのまま支店にも適用しようとした。支店独自のPDCAサイクルを回さずに、本店で得た結果だけを適用しようとしたのだ。まったく的外れな施策を実行することになった。

半年間は経営的にも苦しんだが、このような高い授業料を払って学んだことを改善していき、ブランド名を成碗熱乾麺に変えて再出発をした。それでようやく成功をした。

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▲新たに再スタートした成碗熱乾麺。この時には、過去の失敗から多くのことを学んでいた。

 

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▲成碗熱乾麺の店内。すぐに食べられる、一人で食べられる、美味しいということからコロナ後の食べ物として人気が出ている。

 

SNSとヒヤリングで飲食店の基本である味を改善し続ける

面白いのは、成碗熱乾麺は結局、飲食店の基本である「味」の開発に力を入れていくことになることだ。麺の食感、薬味の改良は常に行われ、わずか3年で、現在の熱乾麺は第4世代にあたるという。

例えば、タレに黒胡麻を入れたところ、味としては好評だった。しかし、一部の顧客から口の中に異物感を感じるというネガティブな感想があり、黒胡麻を粉末状にしてタレに入れるように改良した。

このような顧客の感想は、SNSから拾う。直接のクレームや感想ではなく、思ったことを素直に投稿しているため、大きなヒントをもらうことができる。また、スタッフは少しでも時間に空きができると、客席の中に入り、直接来店客から感想も聞く。社交辞令で褒めてくれても、そこには表情というものがある。心底美味しいと思ってくれているのか、社交辞令で言っているのかという感触をつかむことができる。

目指すのは、多くの人が好む味と他店にはない独自性の高い味のクロスする地点だ。結局は、飲食店が成長するために必要なのは「味」の開発なのだ。

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▲元アリババ社員の大侠。時間ができると客席に入って、お客さんに熱乾麺の感想を聞く。ここから大きなヒントをつかむことができるという。

 

成功の鍵はユーザーコミュニティの構築

さらに成功をしたのが、熱乾麺狂熱官を募集したことだ。SNSのフォロワーから選び、実際に店舗にきてもらい試食をし、感想や提案をしてもらう。つまり、ユーザーコミュニティを育てていった。そのユーザーコミュニティの活動は、SNSで公開をされるため、それを見て、成碗熱乾麺のファンが増えていくといういい循環が生まれている。

当然ながら、フードデリバリー、テイクアウト、調味料の到家サービスなど新小売にも対応をしている。

面白いのは、当初の拌調子熱乾麺1号店の成功は、ネットプロモーションをうまく活かしたものだが、後の成碗熱乾麺では、地道な努力を積み重ねて成功をしている。大侠がアリババで学んだことを活かしたのは、ビジネスを成功させるための即効薬はなく、地道に努力を積み重ねていくということだった。アリババの社内には「平凡な人が集まり、平凡な努力を積み重ね、非凡なことを成し遂げる」という標語が貼られている。

 

五木食品 中華細麺 280g×5個

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  • メディア: 食品&飲料
 

 

美団が直営店方式で社区団購に参入。フランチャイズ方式と直営店方式はどちらが優れているのか

独立系社区団購が成長し、そこに主要テック企業も参入し、競争が激化している社区団購。そこに美団が直営店方式で社区団購に参入した。社区団購の強みは、店主と消費者がご近所の顔なじみであるため、手厚いサービスが提供できること。社区団購にはフランチャイズ方式と直営店方式のいずれが適しているのか、議論が始まっていると億邦動力網が報じた。

 

近所の個人商店を活用する社区団購

社区団購(シャーチートワンゴウ)の競争が激化し、美団(メイトワン)が直営店方式で参入し、フランチャイズ方式と直営店方式の争いが始まっている。

社区というのは中国独特の町内会組織。ここでは「ご近所」「近隣」程度の意味だ。住宅地の中にも野菜や果物、肉などの生鮮食料品を売る家族経営の個人商店=パパママショップがある。社区団購プラットフォームは、このような個人商店とフランチャイズ契約をし、ご近所の生鮮食料品などの注文を取りまとめてもらい、配送をする。翌日、購入をした消費者が近所の店まで受け取りにくるというのが基本だ。日本のコンビニ受け取りECに近い形態だ。

 

ご近所店ならでのは手厚いサービスが強みとなる

社区団購のそもそもは、低温物流が整備されていない地方都市や農村で始まった。地方都市や農村では、野菜や果物などの生鮮食料品を宅配をすることが難しい。そこで、地域にある個人商店の冷蔵庫、冷凍庫を借りて、取りにきてもらうというのがそもそもの発想だった。

しかし、個人商店の店主もご近所の住人であるということが大きな強みになった。消費者と顔なじみであるために、配達もしてくれる。スマホ注文が苦手な高齢者には代わりに注文を代行するなど、ご近所ならではサービスが提供できた。この手厚いサービスにより、次第に大都市の住宅地に広がり始めている。

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▲旧三団の同程生活、十薈団、興盛優選。フランチャイズ方式で、個人商店をミニコンビニ+配送拠点として活用している。

 

旧三団にテック企業が続々参入

この世界には「旧三団」と「新三団」という言葉がある。旧三団は地方都市から始まった独立系の社区団購。興盛優選、十薈団、同程生活の3つ。新三団とは、テック企業が参入した新しい社区団購で、美団(美団優選)、滴滴(橙心優選)、拼多多(多多買菜)だ。さらに、テンセントは興盛優選に出資をし、アリババ、蘇寧は以前から展開をしていた新小売スーパー「盒馬鮮生」、「蘇寧小店」で、社区団購サービスを提供するなど、旧来の独立系と新参入のテック企業系が激しい競争をしている。

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▲テック企業が続々と参入している社区団購。利益は薄く小さいが、消費者が固定されているため、永続的に利用されるロングテールビジネスをねらっている。

 

直営店方式で参入した美団

このうち、独特の手法をとっているのが美団だ。美団は、昨2020年7月に「美団買菜」として直営店方式の社区団購店舗を開こうとして、コストが見合わず計画は進んでいなかった。

しかし、美団は昨2020年12月に「美団優選」として再スタート。さらに、杭州市に直営店を開く計画で、1月現在、杭州市のスタッフを募集している。つまり、美団は、直営店方式にこだわっているため、初動が遅れたところがある。

 

フランチャイズ方式で急拡大する滴滴

一方、個人商店を活用するフランチャイズ方式で急拡大をしているのが、滴滴の橙心優選(チェンシン)だ。昨2020年9月にスタートし、わずか3ヶ月で20都市に展開をし、今年2021年末までには10万店、3年後には100万店を展開する計画だ。

個人商店主から、橙心優選は大きく注目されている。江西省で橙心優選のフランチャイズ店になった張磊さんは、2013年に輸入果物の店舗を開いた。国内果物の粗利は20%程度であったのに、輸入果物は50%から場合によっては60%にもなるからだ。しかし、フードデリバリー、新小売スーパーなどの生鮮食料品の到家サービスが登場すると、経営が厳しくなり、昨2020年12月に橙心優選の加盟店となった。

橙心優選が要求しているのは、店舗面積が20平米以上で、近所の商圏の戸数が1000戸以上とそれだけだった。

店舗のリフォーム費用は1万元から3万元になるが、これは橙心優選が立替をしてくれる。毎月の収益から控除されて返していく仕組みだ。また、現在のところ、橙心優選は利益を度外視して拡大を図っているため、加盟店はロイヤリティーを支払う必要もなく、確実に儲かる状態になっているという。

ただし、その先行者ボーナス期は半年から1年で終わるはずなので、その間にしっかりと地域に密着をして、固定客をつかむことができるかどうかが、生き残りの鍵になるという。

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▲滴滴の橙心優選。資金力を活かして、小型スーパー並みの品揃えをし、当面は利益を度外視した積極策で、急速に店舗数を拡大している。

 

深まる直営vsフランチャイズの議論

このようなフランチャイズ方式に対して、美団は直営店方式で社区団購に参入しようとしている。ひとつのお手本になっているが、アリババの新小売スーパー「盒馬鮮生」(フーマフレッシュ)ではないかと言われている。現在フーマフレッシュは214店舗を展開し、利益率は25%を超えている。社区団購の旧三団の利益率は20%程度と言われているため、直営店方式の方が成功確率が高いと判断しているのかもしれない。

この直営店方式、フランチャイズ方式が議論を呼んでいる。直営店方式であれば、均質でレベルの高いサービスが提供できる。運営効率も高いために利益率も高くしやすい。しかし、一方で、「個人商店主がご近所と顔なじみ」という強みを活かしたきめ細かいサービスは提供しづらい。

新小売スーパーのように、顔の見えない多くの消費者を顧客とするモデルでは、直営店方式によって高いレベルの均質なサービスを提供した方がうまくいくが、社区団購のような顔の見える顧客に対するモデルでは、地域住人をスタッフに巻き込んだ方がうまくいくのではないか。そういう議論がされている。

もちろん、その答えは誰にもわからない。すべては結果が答えを出してくれる。その意味からも、直営店方式の美団とフランチャイズ方式の滴滴の社区団購の競争が注目されている。