中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

弾幕動画共有サイト「ビリビリ」で独学する若者が急増中

アニメの違法共有、萌え、サブカル系の動画が多く共有されている「ビリビリ」のユーザー意識が変わりつつある。学習系の動画が増え、人工知能や受験、資格試験のための独学に使う人が増えていると央視新聞が報じた。

 

ナスダックに上場した弾幕動画「ビリビリ」

ビリビリは、2009年に始まった動画共有サイトニコニコ動画のわかりやすいほどのパクリサイトであり、動画の上に弾幕が流れるのが特徴だ。

元々はボーカロイド初音ミク」のファンサイトから始まったが、すぐにアニメの違法配信が増え、若い世代なら誰でも知っている動画共有サイトになった。中国ではビリビリと呼ぶ人は少なく「Bサイト」(B站)と呼ぶことが多い。

開発元の「ビリビリ」が米ナスダック市場に上場するのに合わせて、違法配信を排除し、テレビ局や映画会社などのIPホルダーと契約を結び、公式の動画配信が増えている。今でも、毎月1億人のアクティブユーザーがいて、若者の動画プラットフォームとして影響力を保っている。

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▲ビリビリの典型的な動画。おそらく元はテレビ放送などを違法供給したもの。動画の上に、笑い声やツッコミの弾幕が流れる。現在でもこのような動画が主流だが、徐々に変わってきている。

 

ビリビリは人工知能を学ぶための聖地

もはやビリビリは、アニメや萌え関連の動画ばかりではない。ビリビリの動画によって高校の学科や大学の講義、資格試験の学習をする若者が増えているのだという。

金曜日の午後4時、明君は、ビリビリのアプリを開き、機械学習の講座を見て勉強をする時間にあてている。明君は文系の大学生だが、将来を考え、人工知能の知識を身に付けたいと考えた。しかし、大学にはそのような講義がない。そこでビリビリで独学を始めて、もう半年になる。「Bサイトはもはや人工知能を学ぶ聖地のひとつになっています」と言う。

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▲高校生のための数学復習講座。先生の「円瞼妹妹」先生が可愛いと、男子高校生から人気の動画シリーズになっている。弾幕があることによって、みんなで勉強している感覚が得られる。

 

受験、資格試験対策に使われるビリビリ

この他、大学入試のための共通試験(高考)の準備をする高校生、専攻科目以外の分野を学びたい大学生、資格試験のための学習などにビリビリが使われている。2018年、このような学習系動画を見たユーザー数は、ビリビリによると1827万人に達するという。公開された動画は合計146万時間になり、103万回のライブ配信があった。

ビリビリというと、アニメが違法に共有されているというイメージが強かったが、もはやまったく変わっている。アニメは公式に配信され、その他、グルメ、化粧、デジタルテクノロジー、学習動画などが人気になっている。法律の講義動画も多く、地方の若者が独学で司法試験に挑戦する例もあるという。中国政法刑事司法学院の教授の講義動画が、身近な例を用い、しかもこの教授が湖南地方の方言が強く、わかりやすくて面白いと評判になった例もある。

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清華大学が公式で配信しているビジネス系の公開授業。さすがに弾幕でツッコミを入れる人は少ないが、独学をしたい人から大学の公式動画は人気がある。

 

若者にとってビリビリは動画プラットフォーム

このような状況になったのは、95年代生まれ(20代前半)にとって、ビリビリが高校生の頃にはもはや存在していて、弾幕を特色とするサブカル動画共有サイトというよりも、ごく当たり前にある動画共有プラットフォームになっていることだ。

このような状況を見て、清華大学北京大学などの一流校、資格試験の専門学校、政府機関などが続々と公式チャンネルを開設し、若者を意識した動画を配信するようになった。その中でも、学習系動画の再生数が高いことから、公開講座あるいは授業内容をビリビリで配信するようになっている。

また、第一財経済週刊が公開した「2018年中国Z世代理想生活報告」によると、「1週間の時間があったらどう過ごすか」という質問に対して、95年以降生まれ(20代半ば以上)では「趣味」が最も高く55.51%であったのに、95年以降生まれ(20代半ば以下)では、「学習、自己投資」が74%と際立って高い。

このような3つの要因が重なり合って、ビリビリはサブカルのイメージを脱している。

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▲若者が余暇時間をどのように過ごしているかを調査した結果。95年以降生まれ世代では「学習、自己投資」が圧倒的に高くなる。中国が豊かになった時代の一人っ子世代であることが関係していると考えられている。「2018年中国Z世代理想生活報告」(第一財経済週刊)より作成。

 

Z世代は一人っ子。一人遊びを好み、独学を楽しむ

なぜZ世代がここまで学習を好むのか、その理由は明らかではない。しかし、多くの専門家が指摘するのは、中国のZ世代は一人っ子であるということだ。兄弟と一緒に遊んだ経験がなく、同年代の子どもと遊ぶ経験に乏しい。一人遊びを好むのようになり、その延長線上で独学を楽しんでいるのではないかという。Z世代の独学に悲壮感や打算はなく、学ぶことを楽しんでいるようだ。

ビリビリでは、生徒が弾幕でツッコミを入れたりすることができ、時間的には非同期であるものの、他の生徒と一緒に学んでいる感覚が得られる。そのようなことからビリビリでの独学が増えているのではないかという。

 

サブカル世代が卒業しても、独学世代が流入してくるビリビリ

これはビリビリにとってもありがたいことだった。サブカル感覚のままでは、最初にファンになった90年代生まれ世代以外のファンを獲得することは難しく、90年代生まれ世代が年をとるとともに、ビリビリも年をとっていくことになる。大人になる過程のどこかで、ユーザーがサブカルを卒業してしまい、サイト運営は苦しくなるばかりだったはずだ。しかし、ビリビリは新しい世代のニーズに対応して、若い世代をうまくつかむことに成功した。今後も、ビリビリは新しい世代の流入とともに変化をし続けながら生き残っていくことになる。

 

Forever 21が中国市場から撤退。通用しなくなるファストファッション

2019年4月にファストファッションブランド「Forever 21」が中国から完全撤退をした。その理由はForever 21の戦略的な失敗にもあるが、ファストファッションという「早く買い、早く捨てる」という考え方から、消費者が離れ始めていることもあると華商韜略が報じた。

 

台湾、中国から完全撤退をするForever 21

2019年4月で、中国でZARAH&Mとともに「ファストファッション御三家」と呼ばれたブランドの一角「Forever 21」が完全撤退を決めた。上海旗艦店は、目抜き通りである南京路歩行街にあり、上海最大の観光スポット「外灘」にも近いという好立地。2012年9月にオープンして以来、すぐに上海のランドマークとなった。

Forever 21は、4月になって中国市場からの撤退を公表。北京、上海、南京などの店舗で在庫の整理を始め、上海店では75%オフ、1つ買えば1つ無料などの投げ売りを行った。4月29日になって、展開していた20店舗の営業を完全に停止し、同時にTmallや京東に出店していたEC旗艦店も停止した。

台湾の台北市忠孝店の営業を3月末で停止していて、台湾から完全撤退してから1ヶ月後に中国からも撤退したことになる。

ファストファッションが流行する中国市場を、Forever 21が攻略できなかったのは、ひとえにタイミングの読み違いが大きいと華商韜略は結論づけている。

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▲上海南京路にあるForever 21旗艦店。感度の高い外灘地域にも近く、上海のランドマークとなっていた。これが消える。

 

最初に中国に進出をするも、失敗をして一度撤退している

Forever 21は、軍事クーデターが起こり、全斗煥政権が誕生した韓国から、逃れるように米国に渡ったドン・チャンと妻のジンスク・チャンが創業したアパレルブランド。当初は、在米韓国人の若者のためのファッションブランドだった。現在では48カ国に790店舗を展開する一大アパレルブランドに成長している。

Forever 21が中国に上陸したのは2008年と極めて早かった。ユニクロが2002年に上陸をしているのを除けば、ファストファッション御三家と呼ばれるZARAよりも2年早く、H&Mよりも1年早かった。

しかし、上陸地点となる1号店は、誰も予想をしなかった場所だった。普通は、最も拡散力のある北京、あるいは流行感度の高い上海に1号店を出すのが常道。しかし、Forever 21は、江蘇省の常熟市に1号店をオープンした。

常熟市は典型的な地方都市にすぎない。Forever 21がここに1号店を開いた理由は、中国アパレルの集積地だったからだ。そのため、アパレル系の流通機能が整っており、店舗運営にとっては都合がいい。

Forever 21がなぜこのような戦術をとったかはよくわからない。しかし、4級都市とも言える常熟市に、「最先端のファッションをいち早く安価に」提供するForever 21はまったく合わない。1年後には経営不振から閉店をすることになる。

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▲Forever 21上海旗艦店では、在庫一掃セールが行われ、在庫のほとんどがなくなった。上海のランドマークともなっていた店舗がなくなる。

 

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▲他店でも在庫一掃セール=投げ売りが行われ、殺到した客により混乱が起き、閉店時間を早めた店舗もある。

 

ECサイト「Tmall」を通じて、再参入

その後、Forever 21は戦略を変えて、2011年にアリババのECサイト「Tmall」に旗艦店を開店し、ECを通じて、中国全土にブランドの浸透を図った。さらに同じ年に香港に店舗をオープン。

こうして、海外の感度の高いファストファッションブランドとしてのイメージを高めてから、北京の王府井のショッピングモール「apm」に大陸1号店を開店した。

Forever 21が遠回りをしている間に、ライバルたちは着々と中国市場での地位を固めていた。北京apm店が開店した時には、ZARAはすでに120店舗を展開し、これから二級都市への浸透の準備に入っているところだった。ユニクロはすでにグローバル売上の半分が中国市場というほど、中国市民の間に浸透していた。

Forever 21は、実質的な中国市場参入が遅れただけでなく、拡大速度も遅かった。現在、ZARAは500店舗、ユニクロは700店舗規模になっているのに、Forever 21は20店舗でしかない。中国メディアは「ファストファッションなのに成長はスローだ」と書き立てた。

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▲ウェブサイトでは、ECサイト「Tmall」の旗艦店も4月29日で閉店することが告知された。

 

「早く並び、早く買い、早く捨てる」ファストファッション

Forever 21がぐずぐずしている間に、肝心の中国の消費者の意識が変わっていた。

2010年頃までは中国の消費者はファストファッションを渇望していた。「最新のファッションを身にまといたい。でも、高級ブランド品には手が出ない」ということから、「最新の流行をすぐに商品化し、安価で提供する」ファストファッションはぴったりの存在だった。既存のアパレルメーカーは企画から生産、発売まで6ヶ月から9ヶ月かかるが、ファストファッションは5週間で店頭に並ぶ。

安価な分、品質についてはそこそこだが、翌年には別の流行を追いかけるので、去年の服は着なくなる。ワンシーズン着られる品質であれば問題はなかった。ファストファッションとは「早く店頭に並び、早く買い、早く捨てる」ファッションだったのだ。

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▲北京のapm店。こちらも目抜き通りの王府井にあり、感度の高い地域だ。こちらもランドマークとなっていたが、消える。

 

2015年頃から変わる消費者の意識

しかし、2015年頃から消費者の意識が急速に変わっていく。エコが重要視され、毎年流行を追いかけることは恥ずかしいことになり、自分の個性を主張できるファッションが好まれるようになる。ワンシーズンしか着られない服ではなく、多少高くても気に入ったデザインで長く着られる服が好まれるようになっていく。

さらに流行の発信源は、アパレル店舗のショーウィンドウではなくなっていた。自分のお気に入りの網紅(ワンホン)=インフルエンサーのライブや動画を見て、網紅と同じファッションを身にまとおうとする。網紅の数だけファッションがあり、流行は細分化していった。流行を生み出して、大量生産し、大量に販売をするというファストファッションの方程式が崩れ始めてしまった。

ZARAユニクロはこのような変化に対応し、品質を向上させる努力や長期にわたって着られるオーガニックな素材、デザインを取り入れていった。さらに自社ブランドと合致する網紅と契約をし、自社製品を拡散してもらうような努力もしている。それでもZARAH&Mは伸び悩みを見せている。Forever 21はこの点でもじゅうぶんだったとは言えない。

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▲2018年の「ZARA」「H&M」「ユニクロ」の中国での店舗数。これに比べてForever 21は20店舗しかなかった。

 

崩れるファストファッションの方程式

中国市場から敗走をしたファストファッションは、Forever 21だけではない。英国のTopshopは、上海に店舗を出店する計画を放棄して、2018年8月に撤退することを表明した。

2018年12月には、3年で500店を展開する計画を進めていた英国のNew Lookが撤退を決め、すでにオープンしていた100店を閉店した。

ZARAでさえ、店舗展開の計画を修正し、三級都市の店舗を閉店し調整をしている。このような撤退、調整の理由は「早く買って、早く捨てる」という旧来型のファストファッションが通用しなくなり、流行の拡散チャンネルが小売店の店頭から網紅に移ってしまったことだ。

ユニクロはすでに品質を向上させ、機能性をアピールする実用ファッションを主軸にしている。「ファストファッション」という考え方そのものから、中国の消費者は離れようとしている。

 

小銭がなくて地下鉄に乗れない? キャッシュレス時代の歪みが起きている北京地下鉄

北京地下鉄の駅で、小銭がなくて困っている人が続出しているという不思議な現象が起きている。なぜこのキャッシュレス時代に小銭が必要なのか。複雑になる公共交通の決済方式に歪みが起きていると北京日報が報じた。

 

便利な交通カードは他の都市では使えない

中国の地下鉄に乗る方法は、大別して、「NFC交通カード」「スマホQRコード」「現金でチケット購入」の3つがある。

現金でチケット購入がもはや煩わしいというのは説明するまでもない。日本のSuicaと同じようなNFC交通カードも便利だが、問題は発行が都市ごとであり、他都市では使えないということだ。日本の交通カードのように統一、相互乗り入れされていないのだ。

そこで、他都市にも行くことが多い出張族などは、スマホQRコードを使うようになる。

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スマホ決済のアプリ内で乗車用QRコードを使うのが最も簡単。使う都市のカードを入れておくだけで、面倒な設定は必要ない。しかも、GPS情報から自分が今いる都市の乗車用QRコードが自動的に表示される。北京市はこの乗車用QRコードに対応せず、専用アプリのみ対応している。

 

専用アプリは設定が面倒

しかし、QRコードにも2種類の方法がある。ひとつはアリペイ、WeChatペイの乗車用QRコードを使う方法。決済アプリから、各都市の交通カードを簡単に開通でき、設定などは不要。乗車コードと呼ばれるQRコードが表示できるようになる。これで地下鉄やバスに乗車する。支払いは、アリペイ、WeChatペイから直接行われる。一度入れておけば、GPSなどの情報により、自分がいる場所の都市の乗車用QRコードが自動的に表示されるようになる。

もうひとつは、その都市専用の公共交通アプリをインストールする方法。設定方法の複雑さは都市によって異なるが、一般的には氏名などの個人情報を入力し、スマホ決済や銀行口座に紐付けを行う必要があるなど、手間がかかる。

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北京市QRコード乗車をするには、専用の「易通行」アプリを使うしか方法がない。セットアップがけっこう面倒。携帯電話番号を入力して、ショートメッセージで送られてくる検証コードを入力する。

 

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▲さらに開通をして、銀行口座がスマホ決済に紐付けを行わなければならない。セットアップが面倒だし、口座を紐づけたまま使わないままにしていると、ハッキングされてしまう恐れもある。

 

スマホ決済の乗車用QRコードなら、カードを入れておくだけ

専用アプリの場合でも、その都市の市民にとっては、設定の面倒さは大きな問題にはならない。しかし、旅行や出張にとっては数回しか利用しないのに、いちいちセットアップするのはわずらわしく感じる。また、使わないアプリに銀行口座などを紐づけたままにしておくのは、情報流出によるハッキングの恐れもある。

そこで、多くの旅行者、出張族が使うのが、スマホ決済のQRコードを使う方法だ。インストールする必要があるといっても一瞬で、しかもほとんどセットアップの手間はない。また、最近では、WeChatペイを運営するテンセントが200都市で利用できるNFC乗車決済カードミニプログラムを公開して、これであればセットアップ不要で、多くの都市でスマホをかざすだけで乗車できるようになる。

 

北京市は設定が面倒な専用アプリにしか対応していない

北京地下鉄の問題は、スマホ決済の乗車用QRコードには対応してなく、専用アプリしか利用できないということだ。このため、旅行者や出張族は、「1日乗車NFCカードを購入する」「面倒であっても、北京市の専用アプリをセットアップする」「現金でチケットを購入する」のいずれかの方法をとるしかない。

地下鉄やバスを使って、あちこちに移動するのであれば、1日カードを購入するか、専用アプリをセットアップするが、数回乗るだけで北京を離れてしまうという場合は、現金でチケットを買って乗車する人もけっこういる。

 

チケットを買おうにも小銭がない!

ところが、問題は、中国ではすでに現金を財布に入れて持ち歩く習慣が消えようとしていることだ。チケットを買いたくても現金そのものを持っていない。そこで、スマホ決済から10元を送金して、10元の現金を戻してもらう、現金化両替をしてほしいのだが、駅ではそのようなサービスは受け付けていない。

そこで多くの人が、駅構内にいる「携帯保護フィルム貼り」「花売り」「果物売り」などの個人業者にスマホ決済から送金をして、硬貨にしてもらう「現金化両替」を頼むことになる。

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▲駅構内にいるスマホの保護フィルム貼りなどの業者。この業者に、現金化両替を頼む人が多いが、業者もそもそも現金をそんなにたくさん持っていないため、両替を断られる。

 

個人業者も小銭を持っていない!

この個人業者に対する「両替」が頭の痛い問題になっている。北京日報の記者が地下鉄10号線の国貿駅(オフィス街)のC出口付近にる20の業者に「スマホ決済から硬貨への両替」を頼んでみたが、応じてくれたのは2つの業者だけだった。しかも、1元の両替手数料を要求された。

「たくさんの人が両替を頼んできます。商品を買ってくれるのは1日に7、8人なのに、両替を頼んでくる人は27、8人もいます。私も手元にそんなに多くの釣り銭を用意しているわけではありません。私は商売をしているのであって、両替をしているわけではないのですから」とある業者は語った。

またある業者は、商品を買う人にはサービスで両替もしているという。「ペットボトルの水などの商品を買ってくれた人には両替もします。ご理解ください。私たちはそんなにたくさんの釣り銭を用意するわけにはいかないのです」。

スマホ決済が普及をして、このような個人業者での買い物もほとんどがスマホ決済になっている。業者も以前と違って、釣り銭はほとんど用意をしていないのだ。

 

タバコ屋には両替希望者ばかりがやってくる

海淀黄庄駅近くのタバコ屋に取材をすると、店主は「店が地下鉄駅出口の近くで迷惑をしている」と言う。昨年あたりから、商品も買わずに両替だけをしてくれという客が増えているのだという。

しかも、手元に硬貨がなく、1元札、5元札、10元札といった小額紙幣しかない場合、折り跡のあるような古い紙幣ではなく、きれいな新札を要求される。チケットの自動販売機は多くが紙幣にも対応しているが、新札でないと吐き出されて使えないことが多いのだ。

商売にもならない、客でもない人のために、硬貨や新札を用意しておくことはできない。

 

各地方の既得権益者たちが阻んでいる利便性

北京市が専用アプリのQRコードにしか対応しない理由はよくわからない。ひとつは、アリペイ、WeChatペイの乗車用QRコードを使うと、手数料やネットワーク利用料が取られるためではないかと指摘する人もいる。専用アプリのQRコードであれば手数料は自分たちの収入になる。

中国の公共交通の決済手段が、チケット、交通カード、QRコードNFC、最近では顔認証決済と複雑化しているのは、NFC交通カードの計画が途中で頓挫してしまったことが大きい。

本来は、各都市でNFC交通カードのインフラを整えていった後、全国統一をして、どこのカードでもどこの都市ででも使えるようにする計画だった。ところが、これが利害関係の衝突によってほとんど進まず、不便さを感じた市民たちはどこの都市でも使えるスマホ決済の乗車用QRコードを使うようになった。

本来はNFC交通カードの全国統一→スマホNFC決済と進めばよかっただけなのだ。高速道路のETCでもまったく同じことが起きている。長距離移動の場合は、ETCで入っても、出るときは有人料金所で精算ということがけっこうある。

中国の公共交通決済テクノロジーは進歩していっているが、地方政府の既得権益者たちがその足を引っ張っているようだ。多くのネット民は、中国の首都である北京ですら、そのような要因があると感じていて、「中国の首都の公共交通として恥ずかしい状況」とコメントしている。

 

スマホ決済が急速に普及する東南アジア。約8割がキャッシュレス決済の利用経験あり

VISAが「デジタル消費者の勃興」と題したレポートを公開した。東南アジア各国では、スマホ決済の利用経験者が8割に登っているという。その理由は銀行口座がまだ普及をしていないことと、ライドシェア、フードデリバリーなどのオンデマンド経済が日常的なものになっていることだ。

 

約8割がキャッシュレス決済の利用経験あり

このVISAが公開したレポートは「Rise of the Digitally Engaged Consumer」(デジタル消費者の勃興)と題したもので、2017年7月に、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの東南アジア各国の消費者4000名に対する調査をまとめたもの。

国によって違いはあるが、東南アジアの消費者のほぼ1/3がスマートフォンを使い、急速にスマホ決済が普及をしてきている。すでに約8割の人が端末決済(キャッシュレス決済)の利用経験がある。

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すでに約8割の人がキャッシュレス決済の経験がある。その背景にはVISAコンタクトレス、VISAチェックアウト、VISAトークンなどのプラットフォームサービスの普及があった。

 

ベトナム人の57%が「3日間キャッシュレス決済だけで暮らせる」

驚くべきは、消費者たちのスマホ決済に対する意識の高さだ。この調査では「24時間キャッシュレス決済だけで暮らせるか」「3日間をキャッシュレス決済だけで暮らせるか」との問いに、24時間では最高のインドネシアで76%の人が、3日間ではベトナムの人の57%が「はい」と答えている。

さらに「5年以内に自国がキャッシュレス化100%になると思うか」という問いには、43%の人が「そう思う」と答えている。

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▲24時間キャッシュレスで暮らせるか(左)、3日間キャッシュレスで暮らせるか(右)の回答。多くの国で半数前後の人がキャッシュレスだけで暮らせると答えている。

 

日本では利便性よりもお得感が牽引するキャッシュレス決済

同じ質問を日本でしたら、ここまで高い数字にはならないのではないだろうか。コンビニやチェーン飲食店だけを使うのであればともかく、いわゆる日常消費にあたるスーパー、個人飲食店、個人商店ではキャッシュレス化がまだまだ進んでいない。

やはり問題は3%から5%の決済手数料を商店が負担をするというところにあるようだ。面白いのは、多くのスーパーでクレジットカードなどにも対応をしているが、客寄せのための「ポイント5倍デー」などでは「現金のお客様のみ」とすることがけっこうあり、多くの消費者は「ポイントもらった方が得か、キャッシュレス決済のポイントを貯めた方が得か」と考え、時と場合によって現金とキャッシュレスを使い分けている。

日本の場合、キャッシュレスの利便性よりも、お得感が先行している。

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▲1ヶ月に1回以上、ECを利用した人の割合。ECが生活に定着していることがわかる。

 

キャッシュレス決済を牽引したのはオンデマンド経済

VISAのレポートでは、東南アジアのスマホ決済が進展したのは、オンデマンド経済が成長したからだとしている。オンデマンド経済とは、「必要な時にどこでもいつでもサービスが提供される」もので、「ライドシェア」「ミールデリバリー」「ストリーミングサービス」の3つが主なものだ。

このようなオンデマンド経済を利用するには、スマホ決済が最も相性がいい。オンデマンド経済の成長とともに、スマホ決済が普及をしていっている。

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東南アジアで普及するオンデマンド経済に対するニーズ。ライドシェア、フードデリバリー、ストリーミングサービスへの需要が強く、これがスマホ決済を普及させる原動力になっている。

 

「走るATM」GO-PAYのユニークな展開

その最たるものが、インドネシアスマホ決済「GO-PAY」だ。このGO-PAYを運営しているのはGO-JEKというライドシェア企業。2010年に創業したGO-JEKは、当初バイクタクシーの配車サービスだった。バイクの後部座席に客を乗せるタクシーだったのだ。これが渋滞の多いインドネシアで受け、自動車のタクシーに手を広げるだけでなく、飲食、荷物のデリバリーから果てはネイル師やマッサージ師のデリバリーまで行うようになった。

2016年から、GO-JEKのサービスの決済用にスマホ決済「GO-PAY」を始め、これが他の業種にまで拡大している。

普及の理由は「走るATM」だ。チャージ(トップアップと呼ばれる)や現金化は、GO-JEKのドライバーが行ってくれる。現金しかなくても、GO-JEKのサービスを利用する時に現金で支払って、ついでにチャージをしてもらうことができるのだ。逆に現金が必要な時は、ドライバーを見つければ現金化をしてくれる。

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バイクのライドシェアGO-JEK。ドライバーがATMとなり、チャージ、現金化を行なってくれる。「走るATM」として有名になっている。

 

銀行口座がなくてもコンビニチャージが可能

また、スマホ決済OVOは、コンビニ「アルファマート」でチャージができる。レジで現金を渡し、専用端末に自分の電話番号を入力するだけという簡単さだ。

通信キャリアTelkomselが運営するスマホ決済「t-cash」もコンビニでチャージができ、銀行ATMで銀行口座がなくても現金化ができる。さらに、中国のアリペイを運営するアントフィナンシャルがインドネシア版アリペイ「Dana」で参入している。

インドネシアでは銀行口座を持っている人が50%程度、クレジットカードを持っている人は5%以下と言われている。そのため、身近なところでチャージができ、簡単に現金にも戻せるスマホ決済が受け入れられている。

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スマホ決済「OVO」は、コンビニ「アルファマート」でチャージが可能。

 


TCASH - T-WALLET

インドネシアスマホ決済t-cashのプロモーションビデオ。コンビニでチャージができ、銀行のAMTで銀行口座を持っていなくても現金化ができる。銀行口座が普及していないインドネシアでは、身近なところでチャージ、現金化ができることが鍵になっている。

 

課題があるから普及する。オンデマンドサービスがあるから普及する

キャッシュレス決済が爆発に普及するのは、お金に関する課題が大きいからだ。クレジットカードが限定的にしか普及していない。高額紙幣の額が小さく、現金の持ち運びが不便。決済のベースとなる銀行口座を持っている市民が少ないなどだ。そう考えると、東南アジアでキャッシュレス決済が急速に普及をするのは不思議なことではないのかもしれない。

アジア圏は、中国、韓国を筆頭に、東南アジア各国もキャッシュレス社会となり、日本だけが「現金を使い続ける国」になるかもしれない。現在の日本のキャッシュレス決済推進はポイント誘導でしかなく、日本には解決すべき決済上の課題がさほどないからだ。それは喜ぶべきことなのだろうか、憂慮すべきことなのだろうか。

 

 

小米がテレビシェアのトップに。音声で操作ができるスマートテレビがヒット中

小米の「小米電視4」がヒット商品になり、小米がテレビシェアランキングを独走している。その理由は、音声でほとんどの操作ができるスマートテレビであるからだと科技小解が報じた。

 

中国テレビ市場でトップに躍り出た小米

「4Kテレビ」という新しいセールスポイントがあるのに、中国のテレビ市場に活気がない。テレビという大画面よりもスマホタブレットという小画面で映像を見る習慣が定着をしたからだ。映画や連続ドラマという長尺ものの映像を見るよりも、Tik Tokや動画共有サイトのショートムービーを見る習慣が定着したからだ。

そのようなテレビ市場で、小米(シャオミー)が2019年になって、オンライン売上ランキングのトップに躍り出た。2018年は前年比300%を超える成長をし、2018年第4四半期には300万台を売り上げた。小米は原則、直販サイト「小米有品」での販売のみなので、これは驚異的だ。

調査会社「北京中怡康時代市場研究」による調査結果では、2019年になってオンラインの売上では小米がトップを走り続けている(小米はオンライン販売が基本。昨年から小米直販店も展開し始めた)。

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▲20194月のテレビ販売台数シェア(オンライン売上)。2019年になって小米が独走している。

 

超薄型のDIY可能壁掛テレビ「小米電視4」

小米は2013年からテレビの製造販売を始めているが、なかなか軌道に乗らなかった。それが突如、昨年の第4四半期になってシェアが伸び始めた。新製品「小米電視4」がヒットしたからだ。

ひとつはフラグシップの75インチモデル(8999元)が厚み11.4mmという超薄型で重量が35.1kgと軽く、簡単な設置工事で壁掛けテレビが実現できることがある。4か所のフックを壁に埋め込めばいいだけなので、DIYでも十分できるし、購入時に壁掛け設置工事(190元)を同時に注文することもできる。

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小米電視475インチでも厚みは11.4mmDIYでも壁掛工事ができる。

 

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小米電視4。価格も手頃で、スマートテレビの決定版としてヒットしている。

 

音声だけでほぼすべての操作ができる「小愛同学」

しかし、小米電視4が売れている理由は、その操作のしやすさにある。小米が独自に開発をしたPatchwallと呼ばれるパネル形式のインタフェース、数字ボタンが消えたリモコン。さらにAI音声アシスタント「小愛同学」(同級生の愛ちゃん)により、音声だけでの操作が可能になっている点だ。

「テレビをつけて」「テレビを消して」などだけでなく、「1時間後にテレビを消して」「朝7時にテレビをつけて」なども可能。さらに、「ヒーローものの映画を探して」と言って、リストが表示されたら、そこから「◯◯という女優が出演しているものは?」「無料で見られるものは?」と音声でどんどん絞り込んでいくことができる。また、視聴中にも「30秒早送り」「5分巻き戻して」「54分12秒までジャンプ」という命令も可能。

小米電視4にはブルートゥースが搭載されていて、小米のIoT家電のコントロールセンターにもなる。テレビリモコンから「お掃除ロボットを動かして」「リビングの明かりを暗くして」などの操作も可能。

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小愛同学は、小米が開発した人工知能。テレビだけでなく、小米製のスマホスマートスピーカーにも搭載されている。

 

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小米電視4付属のリモコン。どこかで見たようなデザインだが、十字キーぐらいしか使わない。ほとんどの操作は音声でできるようになっている。

 

チャンネル数が多く、番組表感覚が薄い中国のテレビ事情

中国でのテレビ事情は、日本とは大きく違う。日本はテレビをつけると番組表を表示して、そこから番組を選ぶという感覚だが、中国では番組表を見るよりも、とりあえずつけてみて見たい番組を探すか、番組予告でチャンネルと時間を知り、見ることが多い。

地上波インフラが貧弱であった中国都市部では、アンテナによる受信に問題があることが多く、多くの人がケーブルテレビを使っていた。また、地方では地上波が届かない地域が多いため、パラボラアンテナを使い衛星放送を受信するのが基本になっている。

このためチャンネル数が異常に多い。地域によって異なるが、少なくとも30チャンネル、多くの場合50チャンネルほどが見られる。しかも、放送時間がよくわからない。日本の場合、連続ドラマの放送は、撮影をしながら、毎週同じ時間に放送するのが普通だ。しかし、中国では1クール分をあらかじめ撮影して、それからテレビ局に販売をする。テレビ局では、視聴率を稼ぐため、毎日3話ずつ毎日放送するなどというやり方をする。それが終わると、別のチャンネルでやはりまとめて放送される。

 

チャンネルではなく、番組志向の中国

かといって、DVDやハードディスクに録画をするというのもあまり主流にならなかった。なぜなら、近所のお店で驚くほど安い値段で、ドラマや映画のDVDが販売されているからだ。多くの場合、違法コピーで、これを買ってきて、自宅で楽しむということが多かった。

つまり、日本のようにチャンネル志向ではなく、見たい番組を見る番組志向だったのだ。

これがケーブルテレビがブロードバンドに変わり、番組DVDが映像配信サービスに変わった。

小米電視4を起動すると、番組表ではなく、過去の視聴履歴から分析された番組、ドラマ、映画などのリコメンド一覧が表示される。この中からリモコンで選んで、見たい番組を見るというスタイルだ。

中国のテレビ習慣は、そもそもスマートテレビのスタイルに親和性があった。

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小米が開発したインタフェース「Patchwall」。番組表が表示されるのではなく、テレビをつけるとおすすめの番組が表示される。これを声で検索して番組を選んでいく。本格的なスマートテレビになっている。

 


PatchWall - Mi TV Artificial Intelligence System

 

本格的なスマートテレビ時の時代に入った

小米では、小米電視4の購入者に向けて、小米の動画配信サービス「小米映像会員」(年498元)と中国で人気のある動画配信サービス「愛奇芸」(年198元)のふたつのサービスをまとめて年249元で見られる優待特典をつけている。

ライブのテレビ放送は、ライブ放送アプリがプリインストールされているので、無料で見ることができる。

小米電視4を購入すると、もはやケーブルテレビの加入も必要なく、インターネットに接続して、年249元(約3900円)の映像サービスを利用するだけでほぼ見たいものは賄えるようになっている。

ある意味、スマートテレビの完成形が登場してきたと言える。これが小米電視4が売れている理由だ。ただし、スマートテレビが人気になる背景に、そもそも中国人の視聴スタイルが番組志向というスマートテレビ向けの習慣があったことが大きい。

このヒットにより、他メーカーもスマートテレビを強く意識した製品を投入してくるものと思われる。

TCL  43V型 4K液晶テレビ HDR搭載 鮮やかな色彩 裏番組録画対応 2019年モデル 43K601U

TCL 43V型 4K液晶テレビ HDR搭載 鮮やかな色彩 裏番組録画対応 2019年モデル 43K601U

 

 

交通違反を見かけたら、スマホで即通報。最高100元の報奨金

2019年5月から天津市で「天津市文明行為促進条例」が施行されている。これに合わせて交通違反スマホ通報を奨励したところ、わずか2日で8種類の違反で合計1775件以上の通報があったと人民日報が報じた。

 

わずか2日かで1775件の通報が

天津市では、「天津市文明行為促進条例」と同時に、「天津市道路交通違反行為通報奨励法」も施行された。これに基づき、スマホ通報システムがスタートした。

5月1日から2日昼までの統計では、この通報システムに1万7181名の市民が実名登録をし、写真付きの通報が1775件あった。

通報の仕方は、スマホで写真を撮影し、WeChatミニプログラムの「天津市交通違反通報」または「天津公安」アプリから送る。96%の通報はWeChatミニプログラムからのものだった。

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▲市民が警察官となり、交通違反を撲滅していこうという天津市の試みは、他都市からも注目をされている。

 

通報すると最高100元の報奨金がもらえる

いずれの場合でも、事前にユーザー登録が必要で、実名の登録のみ可能。さらに銀行口座情報なども入力しなければならない。

けっこう面倒なのに、なぜ多くの市民が登録をして、通報をするのか。それは通報をすると、違反の重要度によって20元(約300円)から100元(約1600円)の報奨金がもらえるからだ。一般の違法行為の場合は20元、ナンバープレートの隠蔽、偽造については100元がもらえる。いずれも人民警察が捜査をして、検挙に結びつくと報奨金が銀行口座に振り込まれる。ただし、1月で最高1000元(約1万6000円)までとなっている。

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天津市交通違反通報ミニプログラム。SNS「WeChat」で検索をするだけで見つかる。アプリをインストールしておく必要はない。通報に対しては、最高100元までの報奨金がもらえる。

 

最も多かったのは高速道路の路側帯走行

最も通報が多かったのは、高速道路の路側帯走行だ。ちょうど5月1日から始まる連休中であり、高速道路はどこも大渋滞だった。それで路側帯を走ってしまう人が続出する。一方で、走行車線で渋滞で止まっている人は暇なので、写真を撮影して通報したのだと思われる。

路側帯走行は、中国では珍しくない違反だが、公安交通管理部門では重要な違反と考えている。万が一の場合、救急車などの緊急車両が通行できなくなり、人命に関わる可能性があるからだ。罰金は200元、減点6とかなり重大な違反になっている。

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▲2日間の間にあった通報の内訳。ナンバーの隠蔽、偽造の通報がけっこうな数あるのが中国らしい。

 

次はドライブレコーダー映像を送信できるようにする

天津市交通管理局では、公共バスやタクシーなどのプロドライバーからの通報を受け付けられるようにする予定だ。運転中にスマホ操作をすることはできないので、音声で操作できるようにし、ドライブレコーダーの映像を直接交通管理局に送れる仕組みを構築する。すでに、3社のドライブレコーダーメーカーがこの仕組みに参加することを表明している。

これが実現すると、ドライバーは乗車前にスマホで、ドライブレコーダー上のQRコードをスキャンして、紐付けを行い、運転中に違反行為を発見したら、ウェイクワードを声に出し、違反の内容を声で言うだけで、位置情報、ドライブレコーダー映像などが交通管理局に送れるようになる。

交通違反がなかなか減らない中国各都市で、この天津市の試みが注目されている。

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▲路肩走行通報のやり方のガイド。「ナンバーをはっきりと写す」「路肩を占有していることを写す」「時間をおいて、路肩を走行していることを写す」などけっこう面倒くさい。このガイド通りに通報しているかはともかく、2日間で1万7181名の市民が実名登録をした。

 

地下鉄改札で起きているQRコード渋滞。ようやくNFCに向かい始める中国

地下鉄のラッシュ時に改札で渋滞が起きる現象が起きているという。改札前まできてから、スマホを取り出し、アプリを起動し、QRコードを表示するという人が多いからだ。普及し始めたNFCスマホ決済に移行する人が増えていると科技小解が報じた。

 

チャージが面倒なNFC交通カード

中国の地下鉄に乗るには4種類の決済方法がある。

ひとつはNFCの交通カードを使う。事前にチャージをしておき、料金はそこから引き落とされる。タッチするだけいいので最も便利で、外国人も購入できる。ただし、面倒なのは、チャージをしなければいけないことだ。最近では現金やスマホ決済でチャージができる自販機も設置されるようになっているが、多くの場合、有人の窓口に行かなければならない。

もうひとつ不便なのは、交通カードは市単位で発行されるもので、北京市の交通カードで西安市の公共交通を利用することが基本的にできない。本来は、統合を進めていき、全国で統一される予定だったが、利害関係が絡み、都市ごとの連携は進んでいるものの全国統一にはほど遠い状況だ。旅行者や出張族には不便だ。

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QRコードはNFCと比べて反応速度が遅い。一度立ち止まってからかざす感覚だ。しかし、それよりも改札前になってQRコード表示の操作をする人が渋滞の原因になっている。

 

QRNFCどちらがいいのか?

2つ目が現金またはスマホ決済で自販機を使って切符を買う方法。面倒であるために使う人は少なくなっているが、出張族、旅行者などがその都市で1回だけ乗るときなどには使われる。紙の切符ではなく、磁気カード、1回だけ利用できる交通カードの形式になっているところが多い。

3つ目は、スマホ決済「アリペイ」「WeChatペイ」などのQRコードをかざして乗車する方法。チャージをする必要がなく、対応している都市であれば、どこでも利用することができる。その利便性から、出張族だけでなく、多くの人に使われている。

4つ目がNFCスマホ決済。スマホ決済され、スマホをタッチするだけでいいので利便性は高いが、NFC対応のスマホの普及率がまださほど高くないために、一部の人に使われるにとどまっている。

 

改札前渋滞の原因となっているQRコード

どの決済方法を使う人が多いかは、都市によって大きく異なるが、交通カードとQRコード決済の人が主流になっている。

しかし、最近、QRコードをやめて、交通カードに戻ったり、NFCスマホ決済を利用する人が増えているという。QRコード決済のどこに問題があるのだろうか。

QRコード決済の人が増えると、ラッシュ時に改札で渋滞が起きてしまうのだ。QRコード決済の反応速度は遅い。NFC交通カードであれば、歩きながらタッチをすれば改札を通れるが、QRコードの場合はいったん立ち止まって、かざす必要がある。

といっても、この時間差はわずか。最も大きな問題は、改札の前に来てから、スマホを取り出し、アプリを立ち上げ、QRコードを表示する人が多いというのが渋滞の最大の原因だ。つまり、事前にQRコードを表示しておかなければならないのを忘れて、改札の前でやるために渋滞が起きてしまう。スマホの機種によっては、QRコード表示のショートカット機能があるが、それを設定している人は多くはない。駅によっては、駅員がラッシュ時にはQRコードの使用を控えるように呼びかけることもあるという。

また、QRコード決済は、各スマホが認証のための通信を行うため、多くの人がスマホを利用するラッシュ時の駅では、この認証のための通信の遅延が起きることもあり、これも渋滞に拍車をかけているという。

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ラッシュ時に地下鉄改札前で渋滞する様子。改札の前でスマホを取り出す人が多く、さらには、QRコード決済時にはスマホが通信をするため、回線容量を超え、認証の遅延による改札前渋滞が起きている。

 

分離改札では、ラッシュ時に交通カードに戻る人も

多くの都市で、QRコード乗車と交通カード乗車の改札は分離されていることが多い。このような改札では、QRコード改札と交通カード改札の流れがまったく違い、これを見て、通勤時には交通カードを再び使い出す人が増えている。

ただし、大勢がQRコードから交通カードに戻り始めているとまでは言えないようだ。なぜなら、各決済方法は、さまざまなキャンペーンをやっているからだ。多いのは「1分銭乗車」と呼ばれるものだ。1分とは1/100元のことで、約0.16円。実質タダで乗車できるというもので、新しい決済方法を定着させるためによく行われている。

また、バスなどの場合、30分以内に乗り換えると、乗り換えた先のバス代が無料になるなどの仕組みもあるが、都市によって、交通カードのみ、QRコード乗車のみなどさまざまに異なっている。

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銀聯がキャンペーンをしている「1分乗車」。0.01元で乗車できるというもの。銀聯はシェアを落としていたが、アップルペイなどのNFCスマホ決済に対応をして、シェアをじわじわと伸ばしつつある。

 

最終的にはタッチするだけのNFC方式が本命か?

このような割引キャンペーンがあると、多少の不便さに目をつぶっっても、安い方の決済方法を利用する。そのため、現在はQRコード乗車をする人が多く、今日も改札の前まで来てからスマホを操作する人がたくさんいて、改札は渋滞をしている。

科技小解は、この問題をみんなで議論してほしいと訴え、記事には多くのコメントが寄せられている。利便性だけを考えたら、QRコードよりも、交通カード、NFCスマホ決済だが、さまざまな割引キャンペーンがあるのでQRコードを使うという意見が多い。また、最終的にはロック解除せずにスマホをタッチするだけで改札を通ることができる方式に集約されるという人が多く、「アリペイ」「WeChatペイ」に押されてシェアを落としていた銀聯が「銀聯スマホペイ」でNFC乗車を始めて、好評を得ている。また、アップルペイやサムスンペイ、ミーペイ(シャオミー)などのNFCスマホ決済に対応する都市も増えつつある。

現在は、混沌としている乗車の決済方法だが、NFC対応機種が増えるとともに、NFCスマホ決済に移行をしていくとコメントしている人が多い。切符、交通カード、QRコードとさまざまな方式を試してきて、ようやくNFCスマホ乗車に向かおうとしている。