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中国を中心にしたアジアのテック最新事情

「京東」が物流センターにリニア駆動を導入。狙いはスマート包装

ECサイト「京東」(ジンドン)の物流を担当する京東物流は、物流センターの仕分けラインにリニアモーター駆動のコンベアを導入した。その目的は、仕分け効率アップもあるが、中国独特の問題として包装素材の節約という目的があると中関村オンラインが報じた。

 

物流の世界で採用されるリニアモーター駆動

物流の世界では、仕分け設備にリニアモーター駆動を採用する例はもはや珍しくない。カートと呼ばれる台をリニア駆動させることで、扱える荷物の大小、重い軽いの幅が広がり、さまざまな荷物に対応できる。また、機械式駆動に比べて接触部分が少ないので、メンテナンスが楽で、騒音も少ない。

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リニアモーター駆動の内部。物流の世界で、リニア駆動自体はもはや珍しいものではなくなっている。

 

処理件数は従来の10倍に

カートを浮上させて荷物を移動させる方式なので、高速かつ定速度で荷物を移動させることができる。京東では、リニア駆動方式の導入で、1ラインで1時間に1000件の荷物を処理することができ、これは従来方式の10倍だという。

また、カートは重い軽いに関係なく、最高毎秒5mの高速で移動する。

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リニアモーター駆動が導入された京東の物流センター。処理件数が大幅増加をすることもあるが、画像解析がしやすくなり、スマート包装が実用化できるということが京東にとっては最大のメリットだった。

 

京東の狙いは画像処理によるスマート包装

リニア駆動であれば、速度を自由自在に調節できる。荷物の大きさ、重さに関係なく、どの荷物も同じ速度で移動させることができ、検査区間などでは速度を落とすことも簡単だ。この速度調節が可能ということが京東にとっては重要だった。なぜならスマート包装の導入を進めているからだ。

スマート包装とは、荷物を画像処理し、大きさや種類などを判別、最適な大きさ、素材、形状の包装を自動で行う仕組みだ。中国では、ECがあまりにも普及しすぎて、包装素材の不足に悩んでいる。最適な包装を行うことで、包装素材を少しでも節約をする。また、人に判断させる方法では時間がかかり、処理件数が落ちてしまう。これを自動化することで、処理件数が上がる。

このスマート包装の画像処理を行うのに、荷物が低速で移動することが重要で、今回、リニア駆動式を導入したいちばんの目的は、スマート包装の効率を上げるためだったという。

京東物流設備計画部責任者の王琨氏は、中関村オンラインの取材に応えた。「現在スマート包装は、スマートフォンルーター、スマートウォッチなどの商品に限られていますが、書籍や化粧品などにも拡大したいと考えています。国内の物流業界では、スマート包装を実用化したのは初めての事例だと思います」。

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▲梱包セクション。包装種別により分類された荷物が流れ、その荷物に最適の梱包をしていく。中国では、梱包材の節約が大きな課題になっている。

 

物流センターの無人化を目指す京東

また、段ボール箱などの包装の封緘にも従来の粘着テープを廃止し、熱溶解接着剤を利用するようにした。これにより、段ボール箱や包装の再利用が可能になるという。

さらにピックアップもロボットによって自動化を進めるなど、「仕分けの無人化」を推し進めている。

京東がこのような包装素材の節約や無人化を急いでいるのは、今年も11月11日がやってくる。中国最大のECサイトのお祭り「独身の日」だ。この日1日で、4兆円を超える売上があり、10億件を超える荷物が発送される。今回のリニア駆動、スマート包装も、今年の11月11日の準備のためだ。

中国のECサイト運営企業は、すでに臨戦態勢に入っている。

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▲仕分けもロボット化し、物流センターの無人化を進めている。

 

長期休暇を自宅で過ごす百歩青年。変わり始めた休みの過ごし方

10月1日からまるまる1週間休みとなる国慶節休暇。中国人はどのように過ごすのか。WeChatが行動データをまとめてみると、約2100万人が自宅内で過ごし、1200万人が1日100歩も歩かない日があった「百歩青年」だと観察者網が報じた。

 

のべ7億人が旅行に。自宅派も2100万人

WeChatが発表したのは、アプリWeChatから取得した国慶節休暇中の行動データをまとめたもので「中国人のインドアとアウトドア」というレポートにまとめられている。これによると、相変わらず中国人の外へ向かっての行動力は旺盛で、約7億人が国内旅行をし、約700万人が海外旅行をした。

しかし、今年注目されたのは、自宅で過ごした人も2100万人に達したということだった。しかも、1200万人が1日100歩も歩かない日があった。そのうちの56%が、80年代生まれ(40歳前後)、90年代生まれ(30歳前後)だった。外に出ない人が増えていて、WeChatはこれを「百歩青年」と名付けた(中国の「青年」は男女を含む)。

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▲WeChatの発表で話題になったのが「百歩青年」。1日に100歩も歩かない日があった人のことだ。実際、都市部では日用品は無料30分配送、食事、コーヒーは外売(出前)が利用でき、本、音楽、映画などはスマートフォンで見ることができる。外に出かけないインドア派が増えている。

 

自宅派地域では出前も大幅増加

このような百歩青年が多いのは、広東省江蘇省山東省、浙江省などで、この地域の都市では、外売(出前)の注文量が急増した。外売サービス「餓了么」(ウーラマ)によると、今年の国慶節休暇期間、注文量は昨年同時期より48.8%増え、注文金額は40.7%伸びたという。

 

7日間で26回出前を注文し、13万円を使った人も

ウーラマのデータによると、最も外売に消費をした利用者は、北京の人で、その額は8031元(約13万円)だった。この利用者は、7日間の間に26回も外売を注文している。野菜炒め、サラダ、果物、菓子類を中心に注文した他、536元(約8600円)のシンガポールカニ料理を3回も注文し、1580元(約2万5000円)の高級干しナマコも購入している。

外売全体としては、ピータン入り肉がゆがいちばん人気となり、ジャガイモの細切りサラダ、チキンハンバーガー、チャーハン、おかゆなどの注文が多かった。

 

近隣外食も好調な伸び。特に50歳以上の伸びが目立つ

百歩青年といっても、1週間毎日自宅にこもっているわけではない。近隣の飲食店の消費も好調だった。アリババ系の生活情報サービス「口碑」(コーベイ)によると、外食は通常期間よりも50%増となり、最も人気だったのは火鍋店だった。

また、50歳以上の中高年の伸びが著しく、昨年の国慶節よりも消費額が16%増加した。しかも、中高年が若者文化に属する飲食を楽しみ始めたという。今、中国では若者の間で、ミルクティーが流行している。タピオカとミルクを入れた中国茶などで、見た目も楽しいことから、SNSを通じて人気になっている。このような店にも中高年が行くようになり、50歳以上の来店客は、通常期間の68%増となり、昨年同時期からも30%近く増加した。

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▲自宅派が増えているのに、映画館は低調だった。国慶節休暇期間いちばんの話題作だった「李茶のおばさん」も初日を除けば、空席が目立ったという。

 

映画館は低調、自宅読書が好調

近隣で楽しめる娯楽の代表である映画は低調だった。国慶節休暇期間の国内の映画館の売り上げは17.11億元(約277億円)で、昨年同時期から35%も減じている。国慶節期間の目玉映画であった「李茶のおばさん」は公開初日こそ満員だったものの、次第に満席率が下がっていった。

一方で、自宅で本を読む人が着実に増えている。WeChatには図書の読み放題サービスがあり、国慶節期間にこの読み放題を使った全員の総時間は1987万時間にも達した。最も読書をした利用者は84時間で、毎日12時間読書をしていたことになる。人気だったのは「青春小説」「社会学」「SF」「歴史軍事」「エッセイ」などだった。

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▲WeChatによると、休暇中に自宅で読書をする人も増えているという。最も人気のジャンルとは、都市恋愛小説だが、社会学や歴史など固めの本も読まれている。

 

仏系青年、百歩青年は新しいライフスタイル

人口の多い中国で、2100万人の自宅派、1200万人の百歩青年というのは小さな数字にすぎない。国内旅行の延べ人数が7億人ということを見れば、多くの中国人は相変わらず意識が外に向かって活動的であることがわかる。

しかし、一部とは言え、着実に中国人のライフスタイルは変わりつつある。「仏系青年」(強い欲望を持たないあっさりとした若者)は当初、揶揄する文脈や珍しがられる意味で使われる言葉だったが、今では肯定的な意味合いも増してきて、自ら「仏系青年」を名乗る若者も現れてきた。「百歩青年」も今は、揶揄する言葉だが、そのうち肯定的に使われるようになるかもしれない。

首都圏発 日帰り 大人の小さな旅 紅葉美景 (昭文社ムック)

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スマートフォン。7つの失敗デザイン

2007年1月に米国でiPhoneが発売されて10年余り。その歴史の中で、さまざまなデザインが登場してはい消えていった。粑粑数碼科技が、7つの失敗デザインを挙げている。

 

スマホ7つの失敗デザイン

スマートフォンが登場して10年余り。その間、さまざまなデザインが登場しては消えていった。粑粑数碼科技は、その中から7つの失敗デザインを紹介している。ただし、それを勇気ある挑戦と見るか、失敗と見るかは人それぞれだ。そんなデザインもあったと懐かしむ、そんなお気軽な気持ちで思い出していただきたい。

 

1)3Dディスプレイ

2011年にHTCのEVO 3Dが3D表示を搭載し、LGがOptimus 3Dなどで追従した。ただし、粑粑数碼科技は、2002年にシャープが発売したmova SH251iSが擬似3Dを搭載したのが最初であるとしている。

3Dは裸眼で立体画像が見られるというもので、発売当初は大きな話題になり、EVO 3D、Optimus 3Dなどの売れ行きも好調だった。しかし、それきりで、消費者は次第に3Dのことを忘れていき、大きなトレンドにはならなかった。

映画やテレビなどでも3Dが登場し、それなりの市場を得たものの、結局今では生き残っていない。なぜ3Dが受けないのか、その理由は誰にもわからない。1950年代にも3D映画が米国で製作された(ヒッチコックの「ダイアルMを廻せ」も3D映画だった)が結局一過性のブームで終わっている。今後も、ことあるごとに3Dブームが登場しては消えていくのかもしれない。

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裸眼立体視ができる3Dディスプレイ。面白い試みだったが、コンテンツ不足から長続きしなかった。

 

2)内蔵プロジェクター

2012年に登場したサムスンのGalaxy Beamは、プロジェクターを内蔵していて、最大50インチの大きさに投影できた。悪くない機能だが、定着しなかった。仕事の打ち合わせや会議などでは活躍することは間違いないし、出張での仕事終わりでのホテルや、寝室でちょっとドラマを見たい時などには重宝をするはずだ。画面が明るくない、バッテリーがもたないなどの不満もあったが、それは内蔵プロジェクターが定着すれば解決されていく問題だ。これも、なぜ消えたのかわからない失敗デザインだ。

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スマホ内蔵プロジェクターも悪くない試みだったが、これも追従するメーカーが現れなかった。

 

3)2画面折りたたみ

中国のZTEなどが挑戦した折りたたみの2画面スマホ。これは逆に何を狙っているのかがよくわからない。「画面が広く使える」ということなのだと思うが、スマホのUIは画面が狭くても必要十分なデザインで設計されている。本体価格が高くなる割に、そのメリットがあまり感じられなかった。トレンドは、多画面化よりも大型化に向かっている。

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▲折りたたみの2画面スマホ。ヒンジ部分が切れてしまうので、大画面として使うにも問題がある。これだったら、スマホと小さなタブレットの2台持ちの方がいいかもしれない。

4)組み立てスマホ

2016年にグーグルが始めたプロジェクト・アラ、さらにはオープンソースプロジェクトであるPhoneblockなど。本体はフレームのみで、そこにモジュール化されたバッテリーやカメラなどのパーツを組み立てていき、ユーザーが自分好みのスペックのスマホを作れるというもの。ハードウェアの性能が上がったら、そのパーツだけ交換して使い続けることが可能だ。

しかし、モジュール化する設計が難しく、結局CPU、アンテナ、センサー、バッテリー、ディスプレイは分離モジュールではなく、一体モジュールとして提供されることになってしまった。これでは、ほとんどモジュール化ができず、プロジェクトの存在意義がなくなってしまい、2016年にプロジェクトは終了している。

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▲組み立てスマホPhoneblocksのコンセプト図。自分好みのスマホが作れ、劣化したパーツだけを交換できる。

 

5)イヤホンジャック廃止

iPhoneが始めたイヤホン用のミニプラグ穴をなくす設計。これにより本体をより薄く、バッテリー容量をより大きくできる。しかし、多くの人にとってイヤホンジャックなしは不評だ。ワイヤレスイヤホンは、ペアリングや充電などの面倒があり、古い製品では遅延、途切れるなどの問題も起きている。イヤホンの価格が高くなることを嫌う人もいる。

「安価なイヤホンを穴に挿すだけ」という簡単な手順を、ここまで複雑にした割に、音質がものすごくよくなるなどの恩恵があまり実感できないというあたりが不満の理由のようだ。

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▲イヤホンジャック廃止にも不満を持っている人は多い。イヤホンがワイヤレスになるのはいいとしても、音質がよくなるなどそれ以外のメリットが見えづらいのが原因だ。

 

6)ノッチ

画面枠がほとんどなくなるベゼルレスデザインは好評だが、セルフィーカメラなどを設置するために、画面上部にM字ハゲ、ノッチなどと呼ばれる部分ができてしまう。中国では劉海と呼ばれる(特徴的な前髪で人気の女優の名前から)。

案の定、評判は悪い。アップルもiPhone XSの広告では、惑星の壁紙を使って、このノッチが目立たなくなる姑息な手法を使っている。アップル自身も弱点だと認識しているのだろう。

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▲問題のノッチ。セルフィーカメラを搭載するにはどうしても必要だが、ユーザーからの評判はよくない。

 

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▲アップルのiPhone XSの広告。惑星の図案を巧妙に使い、ノッチ部分がわからないようにしている。ちょっと姑息なやり方で、アップルらしくない。

 

7)Bixbyボタン

Galaxy S8以降には、側面にBixbyボタンと呼ばれる物理ボタンが搭載されている。PCでいうファンクションキーのようなもので、カレンダーやニュース、通知などを表示するBixby Homeアプリを起動できる。ただし、音量ボタンと間違えて押してしまう人が続出して、無効化している人も多いようだ。トレンドは、明らかに物理ボタンを減らす方向。Galaxy以外には広がらないだろうと粑粑数碼科技は指摘している。

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サムスンが始めたファンクション物理キーBixby。ネットでは、Bixbyを無効化するノウハウが交換されているほどで、むしろじゃまになっている。音量ボタンを押そうとして、間違えてBixbyボタンを押してしまう人が続出しているからだ。

 

求められる「スマホの次」

最初にも述べたが、この7つすべてが失敗かどうかは受け取り方次第だ。残念ながら定着に至らなかった挑戦だったと捉えることもできるし、イヤホンジャックやノッチは現在進行形のデザインだ。

いずれにしても、以前のようなスマホの本質的な機能で競争するのではなく、このような枝葉末節のデザインで競争するしかなくなっている。それだけ、スマホという製品が成熟してきたということだ。そろそろ、「スマホの次」の製品が求められる状況になってきている。

 

スマホ決済「アリペイ」「WeChatペイ」「銀聯」それぞれの国慶節

国慶節の大型連休が終わり、各スマホ決済「アリペイ」「WeChatペイ」「QuickPass(銀聯)」が、国慶節期間での海外での利用状況をまとめて発表している。その発表内容はそれぞれの特色があると新零售支付が報じた。

 

海外旅行をする人も多い国慶節の大型連休

10月1日は国慶節。毛沢東天安門中華人民共和国成立の宣言をした日で、いわば建国記念日だ。10月1日から3日までが休日となるが、前後の週末を挟むことで、7日から8日の大型連休となる。

同じ大型連休の春節旧正月)は、実家に帰る人や親戚、家族と会う人も多いが、国慶節はそれぞれがそれぞれにレジャーを楽しむ休暇だ。海外旅行に行く人も多くなる。それは、中国のキャッシュレス決済が海外で大量に使われる時期でもある。

国内では、アリペイとWeChatペイに押されっぱなしの銀聯だが、大型連休期間は息を吹き返す。5年ほど前まで、中国人にとって海外での決済手段と言えば、銀聯カードしか事実上なかったため、海外のツーリストエリアでは銀聯対応が進んでいた。日本でも、アリペイやWeChatペイ対応の店舗は増えているとはいうものの、圧倒的に銀聯対応の店舗数が多い。銀聯は、中国人が海外にいく大型連休後は、利用率の統計などを発表して、存在感をアピールするのがいつものことになっている。

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▲WeChatペイが利用できることを知らせるノボリ。日本でも観光地を中心にアリペイ、WeChatペイへの対応が進んでいる。

 

カードだけではなく、スマホにも対応している銀聯のQuickPass

銀聯カードというのは、本来はデビットカードなのだが、そこに審査をした上で、分割払い、リボ払いなどの機能をつけるケースが多く、使い勝手はクレジットカードと変わらない。実際、中国人は「信用カード(クレジットカード)」と呼んでいる。

銀聯カードは、IC付きのプラスティックカードだったが、現在ではQuickPassと呼ばれる新方式の普及を急いでいる。これはカードにNFC機能をつけ、リーダーにタッチするだけで済む非接触決済だ。さらに、スマートフォンに専用アプリを入れ、カードとひもづけることで、非接触スマホ決済やQRコード決済にも対応する。Apple Payだけでなく、ファーウェイペイ、Miペイ(シャオミー)、サムスンペイなど各種スマホ決済プラットフォームにも対応している。

つまり、プラスティックカードとして非接触決済を実現しただけでなく、多様なスマホ決済に対応することで、アリペイに対抗しようというものだ。

 

国内では低調でも、海外では存在感がある銀聯

銀聯は、例年通り、国慶節期間に利用額が大幅に伸びたという発表を行った。銀聯の発表によると、国慶節期間の利用額は1.58兆元(約25兆円)、決済数は7.94億回、それぞれ昨年同時期よりも31.9%、24.5%の伸びになった。

QucikPassも大幅に伸び、スマホによるQRコード決済の利用額、決済数は、それぞれ昨年同時期の6.9倍、36.8倍になった。また、ファーウェイペイ、Apple Payなどのスマホ決済プラットフォーム経由での決済額、決済数とも昨年同時期から70.1%、102.8%の伸びになった。

 

アリペイの海外利用は急増中

アリペイは、現在海外での対応を進めている状況で、海外でのアリペイ決済が急増しているということをアピールした。海外でアリペイが利用できる観光地の人気ランキングを発表している。

このうち、1位のイギリスバイチェスターでは昨年の90倍、2位の日本の大阪道頓堀では70倍、オーストラリアのシドニー国際空港では55倍のアリペイ決済が行われたと発表している。

今年のアリペイは、欧州での展開に力を入れていて、すでに100以上の欧州の銀行と提携をし、欧州20カ国でアリペイが利用できるようになったという。

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▲アリペイが発表した海外でアリペイが利用できる人気観光地ランキング。バイチェスターアウトレットでは、昨年の90倍もアリペイが使われた。

 

アリペイの海外利用は中高年が中心

また、面白いのが利用者のデータ分析で、海外でアリペイを使った世代で最も増えたのはなんと60年代生まれ(60歳前後)で、9割も利用人数が増えた。一方、海外での消費額が増えたのは70年代生まれ(50歳前後)と80年代生まれ(40歳前後)でいずれも35%の増加だった。

一方、90年代生まれ、00年代生まれの若い層は、海外での消費が増えていない。つまり、海外旅行をして海外で消費をするのは40歳以上が主力であり、90年代生まれ(30歳前後)が消費の中心になる数年後に、中国人の海外旅行事情に大きな変化が生じるかもしれない。

 

テンセントが発表した「百歩青年」は1200万人

WeChatペイを運営するテンセントは、ユニークな発表を行った。それは、国慶節期間、100歩しか歩かない日が1日でもあった人が1200万人もいて、80年代生まれと90年代生まれがそのうちの56%を占めているというのだ。つまり、まったく外出をせずに、自宅で過ごしているということで、このような若者は「百歩青年」と呼ばれるようになり始めている。

 

一級都市市民は自宅で過ごし、二級都市市民は旅行に行く

国慶節期間、海外に出国した中国人は約700万人。その中で目立つのが二級都市市民の躍進だ。海外消費の伸び率は、北京市民が45%、上海市民が60%と依然として高いが、深圳市民は28%、広州市民は27%とそろそろ頭打ち感が出始めている。しかし、二級都市では福州市民の70%、杭州市民の50%、武漢市民の31%、天津市民の30%、成都市民の26%、重慶市民の21%と、大幅に伸びる、あるいはこれから伸びていく様子が見て取れる。

中国の海外旅行者数、海外消費は、これからもどんどん伸びていく。しかし、その中心は二級都市の中高年になりつつある。一級都市の若い世代は、むしろ自宅でくつろぐ「百歩青年」が増え始めている。都心の便利な地域では、ECサイトや外売(出前)、新小売(宅配スーパー)などが充実していて、必要なものは30分で配送してもらえる環境が整っているからだ。

「長期休暇に海外旅行をする中国人」のイメージは変わらないが、その中身はかなり変化をしてきている。 

 

アリババが数学コンテストを開催。優勝賞金は220万円

アリババがアリババグローバル数学コンテストを開催している。優勝賞金は2万ドル(約220万円)。さらに、冬休みに2週間の数学特別セミナーに参加できる権利が与えられる。

 

すべてがネットで行われる数学コンテスト

アリババの数学コンテストは、参加資格に特に制限はないようだ。登録には学校名を入力させる欄もあるが、会社名を入れる欄も用意されており、年齢制限もないようだ。

このコンテストの特徴は、すべてがオンライン化されていることにある。参加申し込みは9月14日から9月20日の間に、公式サイトで登録。予選は9月18日9時からの48時間以内にオンラインで解答する。問題は3題出題され、それぞれに3つの小問が設定されている。第1題は30分、第2題は40分、第3題は30分という時間制限がある。

この予選で、成績上位300名が決勝に進出できる。決勝は11月中旬に予定されており、幾何、代数、方程式、応用数学の4ジャンルから出題される。

成績上位40名には、冬休み2週間の特別数学セミナーに招待され、最上位の4名には2万ドル(約220万円)、次位6人には1万ドル(約110万円)、次位10人には5000ドル(約55万円)の奨学金が給付される。

 

内容は大学生レベル

この予選の模範解答がすでに公開されている。内容は、相当にレベルが高く、高校生で全問正解できる人はそうは多くない。大学レベルの数学知識が必要だ。それに加えて、時間が圧倒的に少ない。得点分布は公表されていないが、全問正解をした人はそう多くないのではないかと思われる。

オンラインで解答するため、カンニングを懸念する声もあるが、数人がかりで挑んでも全問正解は難しいと思われる。ここでは、算数レベルで解答できる一部の問題をご紹介するので、計算が得意な方は挑戦してみていただきたい。

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▲公式サイトより、英語版の模範解答をダウンロードすることができる。数学に覚えのある人は、ぜひ挑戦してみていただきたい。

 

問題1:

アリババは11月11日に、ショッピングフェスティバルを開催する。店舗Aは、重複使用可能な「60元購入すると5元割引」のクーポンを発行した。重複使用可能とは、1回の注文で何度も使えるということだ。例えば、120元の商品を購入した場合、クーポンを二重に使って、110元で購入できる。

店舗AはECサイト「Tmall.com」の店舗だ。Tmallでも「299元購入すると60元割引」のクーポンを発行しているが、このクーポンは1回の注文で1度しか使えない(複数の商品を買った場合でも、全体に対して1回のみ)。例えば、299元の商品を購入した場合、60元割引されて、239元になる。合計購入金額が299元に達しない場合、ポケットティッシュのような低額の商品を他のTmall内の店舗から購入して、合計金額を299元以上にすれば、このクーポンが利用できるようになる。

 

問題a

ミンさんは、Tmallで250元のヘッドフォンと600元のスピーカーを購入した。ミンさんは、いずれのクーポンも無限に持っているとして、いちばん支払額を少なくした場合、支払金額はいくらになるだろうか(1元単位で別の低額商品を買ってかまわない。その代金は別に計算をするので、ヘッドフォンとスピーカーに対する支払額を解答する)。

解答:709元。

 

問題b

あなたはTmallに自分の店舗Bを開店しようと考えた。販売するものは、店舗Aと同じヘッドフォンとスピーカー。表示価格も同じにした。さらに、注文1回につき1回使える「99元購入でx元割引」クーポンを企画した。xに入るのは整数のみ。Tmall全体では「299元購入で60元割引」のクーポンが配布されていて、このクーポンとも併用ができる。

このクーポンを利用して、店舗Bよりもあなたの店舗Aで250元のヘッドフォンとと600元のスピーカーを購入した方が支払い金額が1元でも少なくするようにするには、xをいくつにしたクーポンを配布すればいいだろうか。

解答:21元。

問題cは、問題aと問題bを踏まえて、商品価格、仕入れ価格、クーポンなどを一般化し、店舗の利益を最大化する一般式を導きださせるもの。難問とまでは言わないが、解答に時間がかる設問。

 

問題2:

次のダイアグラムで、丸の中の数字はノードに割り振られた番号で、直線上の数字はノード間の距離を表している。

アリババの新小売スーパー「フーマフレッシュ」の配達員が、B1、B2、B3の店舗からの注文をそれぞれC1、C2、C3の顧客に配送する。配達員の電動バイクは、一度に2つの注文しか運ぶことができない。

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▲問題2のダイアグラム。アリババの新小売スーパー「フーマフレッシュ」での配送手順を最適化させる問題だ。

 

問題a

Aから出発して、店舗に行き、商品をピックアップして、顧客に配送する最短経路を求めよ。なお、B1の商品はC1の顧客に、B2はC2に、B3はC3に配送する。

解答:A→B2→C2→B1→B3→C3→C1

問題b、問題cは、このようなダイアグラムの経路を一般化して求めるもので、かなりの難問。

 

英語版の模範解答もダウンロード可能

また、問題3は論理学の出題で、専門的な内容。なお、全体を知りたい場合は、アリババグローバル数学コンテストから英語版の模範解答をダウンロードできる。ぜひ挑戦してみていただきたい。

ふたたびの高校数学

ふたたびの高校数学

 

 

町がまるごと圏内。アリクラウドが始めた無線ステーション飛行船

IoTの本格活用時代が始まっているが、問題は無数に設置されるIoT機器にどうやって電力とネット接続を供給するかだ。そこで、低電力で広範囲に無線ネットワークを提供するLoRaが注目されている。アリクラウドでは、このLoRaを飛行船から提供して、700平方キロをカバーする実験を始めたと科技天天侃が報じた。

 

低電力で半径10kmをカバーするLoRa

これからはIoTの時代になり、さまざまなIoT機器がさまざまな情報をセンシングする時代になっていくと言われている。しかし、問題は、そんなたくさんのIoT機器にどうやって電力とネット接続を供給するかという問題だ。

そこから、技術的にはLPWA(Low Power, Wide Area。低電力、広範囲)ネットワークが鍵になると言われていて、その中で現在最も有望視されているのが、LoRa(Long Range)規格だ。低電力で最大10kmほどの到達距離がある無線ネットワークだ。低電力であるため、各IoT機器のバッテリー寿命は10年という長時間にすることが可能だという。

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▲アリクラウドが開発した天空物聯網。LoRa無線ネットワークのステーションを飛行船に搭載することで、東京23区をほぼ同じ面積をカバーする。

 

LoRaを飛行船に搭載して、町をまるごと圏内に

アリクラウドは、このLoRaを飛行船に搭載した。杭州市で開催されたアリババ開発者会議「2018杭州雲棲大会」では、この「天空物聯網」の公開実験が行われた。地上数十mに飛行船を浮かべることで、地上4万mから地下20mまでをカバーすることができ、地上に接する場所では半径10kmのエリアをカバーできるという。実際に会場の277カ所にセンサーが設置され、温度、湿度や通行人や通行車両の数を送信した。

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杭州市で開催されたアリババ開発者会議で、公開実験が行われ、277個のIoT機器に無線通信によるネット回線を提供した。

 

東京23区と同じ面積をカバー

ステーションを飛行船に搭載することで、地上の半径15kmをカバーすることを目指しているという。これは約700平方キロをカバーすることになり、東京都23区の面積よりも広い。もしかすると、ひとつの都市にひとつの飛行船が浮かび、都市中のIoT機器をカバーする時代がやってくるかもしれない。

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▲空中に浮かぶ天空物聯網の飛行船。将来、ひとつの町にひとつの飛行船が飛んで、町をまるごと圏内にする時代がやってくるかもしれない。

飛行船シリーズ 1/1000 グラフ・ツェッペリン LZ-127 C001

飛行船シリーズ 1/1000 グラフ・ツェッペリン LZ-127 C001

 

 

根強い中国人の日本旅行人気。しかし、交通、食事に課題も

旅行情報サイト「馬蜂窩」は、2018年上半期に海外へ自由旅行をした旅行者へのアンケート結果をまとめた「2018中国出国自由旅行ビッグデータ報告」を公開した。これによると日本旅行の人気は相変わらず高いものの、交通と食事に課題があることが見て取れる。

 

国内旅行者数50億人、海外旅行は半年で7000万人

中国の旅行ブームが止まらない。中国の海外渡航者数、渡航先での消費金額は、ここ数年世界一で、しかも伸び続けている。中国文化・旅行部の予測によると、2017年の中国国内旅行者数は延べ50億人を超え、2020年には延べ64億人に、2022年には80億人に達するという。人口が15億人だとしても、一人平均で年に5回以上も国内旅行に行く計算になる。

中国文化・旅行部が公表した2018年上半期の海外渡航者数は7131万人となり、昨年同時期の6203万人から15%も増加している。

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▲海外渡航先のランキング(個人旅行)。団体旅行まで含めると、日本が1位になっている統計もあるが、個人旅行に限ると、まだまだタイに負けている。

 

団体旅行から個人旅行へ

中国の海外渡航者が増え続けているのには2つの理由がある。その根本にあるのは、中国人の経済力が上がってきていることだが、すでに大都市住民は団体旅行に見向きもせず、個人旅行を楽しむようになっている。チケットからホテルなどの手配はスマートフォンでできるようになっているので、一度の旅行で複数国を訪ねる、短い休みが急に取れた場合でも、すぐに海外旅行に行けるようになった。

もうひとつは、今まで二級都市と呼ばれながら、経済成長をし、新一級都市とも呼ばれるようになった西安成都などの地方都市の住民が海外旅行に行き始めたことだ。

今後、中国がますます豊かになれば、今度は三級都市の住人も海外旅行に行き始めることになり、しばらくの間は、海外渡航者数は毎年伸びていくと思われる。

内陸の都市では、沿岸部の国際ハブ空港がある都市に、1日がかりでまず出てから出国するというパターンであるため、チャーター機などを利用した団体旅行がまだまだ多いが、新一級都市でも個人旅行をする人は着実に増え続けている。

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▲海外旅行者数の伸び率ランキング。西安成都などは200%以上、つまり2倍以上になっている。新一級都市と呼ばれる都市で海外旅行者数が急増している。

 

日本の観光には満足、宿泊先と食事は不満

中国人の海外渡航先は、統計によっては日本が第1位になっているものもあるが、個人旅行だけに限ると、僅差でまだタイを追い越せていない。一方で、中国から行きやすい東南アジア各国の追い上げも激しくなっている。

実際の旅行をした人に尋ねた項目別満足度ランキングを見ると、日本の観光地としての課題が見えてくる。日本は渡航者数では第2位であるのに、総合満足度は7位。観光では5位とまずまずだが、宿泊先や買い物では満足度が低く、特に問題なのは食事で、満足度ランキングでは圏外になってしまっている。

これは日本に中華料理店が多いということが関係している。東京には3682軒の中華料理店がある。シンガポールは1658軒、ソウルでは471軒にすぎない。あまりに多いために、東京の中華料理店に行く中国人も多いが、多くの場合、本場の味とは違い違和感を感じる。その土地の名物料理を食べるわけでもなく、ちょっと微妙な中華料理を食べて帰ることになる。これが満足度が低い原因ではないかと思われる。食事の満足度が高いのは、オランダ、モルディブなど中華料理店が少ない国であることも興味深い。

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▲海外旅行者数の項目別満足度ランキング。日本は観光以外では低い評価。特に食事の満足度が低い。

 

不満の多い交通

もうひとつの課題が交通だ。ほぼ全国で利用できる交通カードのスイカなどは、中国の日本旅行者の間でも有名で、無記名のスイカをかなりの人が持っている。しかし、タクシーは主要事業者のみしか対応してなく、地方に行った時に交通カードでの支払いができずに面食らうという話もよく聞く。

また、中国人にとっては、アリペイやWeChatペイから直接交通カードにチャージする手段が望まれている。ホテルや銀行で、日本円に両替、それから駅に行き現金でチャージというのは、中国人にとって、もはや相当に不便で煩わしい手順になっている。

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▲日本国内の人気渡航先。東京、大阪を中心に広域を周遊するスタイルが好まれている。

 

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▲日本国内の人気観光地。京都、東京、大阪に集中している。

 

日本旅行は、長期広域周遊型

日本旅行者は、滞在日数が比較的長い。最も多いのは5-6日で35%、9日以上という人も23%いる。これは中国人が長期滞在を好むというわけではなく、日本だから長期滞在するのだ。例えば、アクセスがいいシンガポールや韓国ではいちばん多いのは4日以下で、週末+有給を利用する。日本には、ゴールデンウィーク+有給を利用してやってくる(中国はゴールデンウィークが年3回ある)。

その理由は、日本には観光スポットが多いからだ。「東京に滞在をして、都内観光+ディズニーランド、横浜、鎌倉」「大阪に滞在して、京都、奈良+USJ」という広域移動型が定番になっている。

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▲滞在日数のタイ、日本、シンガポールの比較。日本旅行はタイ、日本は長期滞在型。シンガポールなどは短期旅行が多い。

 

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渡航先での消費額。日本では圧倒的にお金を使う。シンガポールよりも高いというのは驚異的だ。

 

中国人が戸惑うJRと私鉄という複雑さ

ところが、その移動に使うJR、新幹線、私鉄、地下鉄などが別の運営であるということがわかりづらい。観光客が利用したいのが「フリーパス」「一日乗車券」だが、これも原則運営主体ごとの発行になっている。JR、東京メトロ都営地下鉄、都バスなどが乗り放題になる「東京フリーきっぷ」もあるが、私鉄や民営バスに乗車することはできない。

中国の公共交通は、原則地方政府が一手に運営しているので、複数の運営主体があるということがピンときづらいのだ。日本旅行に関するFAQランキングでも交通に関係する質問がいくつかあり、これは他の国ではあまり見ない質問だ。

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▲馬蜂窩に寄せられた日本旅行に関する質問ランキング。交通に関する質問があるのが、他の国と違っている。

 

子連れで行きたい日本旅行

そのため、旅行サイトで「日本」というキーワードとともに検索される言葉でも、「交通カード」という言葉が上位にきている。

もうひとつ、他の国にない特徴が「子連れ旅行」だ。日本は清潔で、設備も整い、治安もいい。そのため、小さな子どもを連れた海外旅行でも安心できると考えている人が多い。子どもが好きなアニメキャラクター関連の観光スポットもある。

今までインバウンドというと「爆買い」ばかりに目がいっていたが、この「子連れ旅行」というのはもっと注目されてもいいのではないだろうか。

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▲「日本」と一緒に検索されるキーワードランキング。「子連れ旅行」というキーワードは、他の国にない特徴だ。