中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

中国市場からの撤退が続く外資系小売企業

経営環境が激変している中国の小売業界。いわゆる「新小売革命」でITと小売を結びつけた新業態が登場する中で、外資系の小売企業の撤退が相次いでいる。その理由は、いずれも変化の速度に追いつけなかったことだと亜洲食品産業鏈が報じた。

 

中国小売業界のホットワード「新零售」

中国では今、「新零售」という言葉が毎日にように新聞やニュースに登場する。零售は小売の意味で、「新しい小売」「新小売革命」といった意味だ。その中身については、決まった定義があるわけではないが、一般には「無人スーパー、無人コンビニ」「電子決済による購入履歴からのリコメンド」「物流、宅配の迅速化、無人化」「SNSを利用した個人間売買」など、ITと小売を結びつけた新しい現象を指すことが多い。要は、今、中国の小売業は激変の時代を迎えているということだ。

この変化についていけない小売業は、市場から退場するしかない。実際、伝統的な個人商店の多くが退場を余儀なくされている。さらに、この数年、目立っているのが、外資系小売業の撤退だ。そこに政治的な理由があるというわけではないようだ。過去、何度か反日運動があり、日本系小売に対する不買運動が起きたりしたが、いずれも一過性のもので、商品さえよければ客は戻ってきている。外資系小売りの撤退が相次いでいる理由は単純で、中国の変革のスピードについていけないというものだ。

 

品揃えを変えずに飽きられてしまったマークス&スペンサー

英国の百貨店マークス&スペンサーは、1884年の創業で、英国に約800店舗を展開し、ヨーロッパ、アジア、中東の60地区に約500店舗を展開している。中国では、1988年に香港店が開業してから、2008年の上海店に続き、北京、寧波、武漢、青島と15店舗を展開している。さらに、ECサイト「Tmall」にも進出し、オンライン販売も行っている。

セールスの主体は高級アパレルと高級健康食品で、アパレルの方は価格の問題からなかなか庶民には手が出ないが、中国の経済成長とともに健康志向の高級食品がよく売れている。近年は、売上の半分以上が食品になっている。

中国人の間でのブランド認知は決して低くない。少し経済的に余裕のある都市住人が、高級食品を買いに行く百貨店として認知されている。

しかし、営業収支は悪化を続け、2015年には上海店など5店舗を閉鎖、2016年11月には突如全店舗閉鎖した。Tmallのオンラインストアは営業を続けていたが、最近こちらも閉鎖した。

経営悪化の理由は、全身麻酔をかけられたかのように変化を受け入れなかったことだ。せっかく食品では固定ファンをつかんだのに、ラインナップを変えようとせず、顧客の嗜好を深掘りして、新商品を投入していくということをほとんどしなかった。つまり、商品は評価されているのに、いつも同じものしか売られていないので、飽きられてしまったのだ。その間に、他の小売店が競合する魅力的な商品を発売し、せっかくつかんだ固定ファンを削り取られていくことになった。記事では「創新しないということは競争力を失うことに等しい。中国では、同じ形態を新鮮に感じてくれるのは最長でも10年」と評されている。

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▲英国の高級百貨店マークス&スペンサーは、高級食品で好評を得たが、品揃えを変えようとしなかったため、飽きられてしまった。

 

開店戦略でつまづき、一気に陳腐化したイーマート

韓国の大型スーパー「イーマート」は、韓国国内で70店舗を展開。韓国で業界のトップリーダーとなったイーマートは、1997年、満を辞して中国大陸に上陸し、上海に1号店を開業した。それまで中国のスーパーにはなかった、広々として明るい店内に大量の商品が陳列されているという新しいイメージで、上海店は成功をした。そして、イーマートはその波に乗って「10年で1000店舗計画」を打ち出した。

しかし、理由は不明(おそらく内部的な理由で)、この計画はまったく進まなかった。上海店の開業の7年後に、ようやく上海2号店を開店しただけだった。その後、北京、天津など27店舗を開業したが、この頃には、斬新だったイーマートのイメージは、新しいものではなくなっていて、消費者を惹きつけることはできなくなっていた。

2011年から、イーマートは採算の取れない店舗を閉店するようになり、2016年末には7店舗が残るだけとなっていた。2017年5月、イーマートは中国からの撤退を表明し、9月には完全撤退をした。

記事では「絶好の機会を見逃した」と評されている。最初の上海店は、それまで中国人が見たことのない明るく広い店舗で、商品の種類も国内スーパーに比べてはるかに多かった。上海人にとっては魅力的なスーパーに映った。この時に、「10年で1000店舗」計画を実行していれば、中国大陸に定着をすることができたかもしれない。この動きの遅さが、他小売業にイーマートの長所を学ぶ時間を与えてしまった。

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▲韓国のイーマートは、大型で広々とした店内に大量の商品が並ぶという新しいスタイルを中国にもたらしたが、開店戦略に手間取っている間に陳腐化してしまった。

 

時代の変化に追いつけなかったイトキン百貨

日本のイトキン百貨は、アパレル製造販売業のイトキンが、中国で展開した大型洋品店だ。1995年に中国市場に、製造拠点と大型店舗を設立、上海、天津、瀋陽、大連など流行に敏感な都市を中心に300店舗を展開した。イトキン製品だけでなく、国際的なブランド商品も扱ったため、流行に敏感な若者に、最先端のファッションが手に入る百貨店として受け入れられた。

しかし、同様に流行の最先端を提供する店舗が増え、競争が激化していったのに、イトキン百貨はこれといった対応策を取らなかった。中国が経済成長し、消費者はより多くの選択肢を持とうとする中で、イトキン百貨は次第に流行の最先端ではなく、ちょっと遅れた流行を提供する古臭い店舗になっていった。一方で、経済成長とともに人件費や家賃などの固定費は上がっていき、経営を圧迫するようになる。

2011年には、オンラインに対応するため、ECサイトタオバオ」に出店してみるが、これといった工夫をすることなく、翌年には閉店している。

2016年、イトキン本体が投資会社インテグラルの傘下になるとともに、事業が見直され、中国事業は完全撤退することが決定された。

イトキン百貨も、時代が変わっていっているのに、自ら変化しようとしなかったことが敗因だ。

中国というのは常に変化し続けている国だ。それは最近だけのことだけではなく、華夏から中国文明が始まって以来、激流のように変化をし続けて生き延びてきた。中国人は「同じ場所にとどまっていたら、窒息して死んでしまう」ということがDNAに刻み込まれている。外資系企業は、そのことを頭では理解できていても、その理解には甘さがあるのかもしれず、それが外資系小売の相次ぐ撤退に結びついているのではないかと記事は分析をしている。

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▲イトキン百貨は、各都市の目抜き通りに店舗展開をし、国際的なブランドを扱ったが、流行を敏感に追いかける努力を怠ったために、あっという間に「ちょっと古臭いセンス」の店になってしまった。

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中国人の海外旅行で人気のタイでアリペイが急速普及

中国人の旅行先としていちばん人気のタイでは、スマートフォンQRコード決済「アリペイ」の普及が進んでいる。アリペイに対応するだけで中国人客が如実に増加することから、タイのチェーンレストランなどでアリペイの導入が進んでいると人民網が報じた。

 

いちばん人気はタイ、2番人気は日本

この春節の連休中、650万人の中国人が海外へ旅行すると予測されている。渡航先としては、日本の人気が底堅いが、1位はタイで、日本は2位になる。以下、シンガポールベトナムインドネシア、米国となり、一昨年まで人気のあった韓国は高高度ミサイル配備問題などから圏外に消えてしまった。

中国人のタイ旅行熱は未だに増え続けている。タイの観光スポーツ省の統計によると、観光収入に最も貢献をしているのは中国人で、2017年は2016年よりも11.97%中国人旅行客が増え、中国人による観光収入は5200億バーツ(約1.7兆円)に達している。これは2016年から15.78%の伸びになる。

 

アリペイに対応するレッツリラックス、マンゴツリー

この伸びに貢献しているのが、タイ版アリペイの普及だ。タイで有名なレッツリラックススパでは、アリペイを導入してから、来客数が40%も伸びたという。レッツリラックススパを運営するシアムウエルネスグループの国際市場責任者は、人民網の取材に応えた。「中国からのお客様はほとんど現金を持たず、スマートフォンでお支払いをする習慣をお持ちです。私たちは、中国からのお客様によりよい体験をしていただくために、アリペイの導入を決めました」。

タイで最も有名なタイ料理レストラン、マンゴツリーでも2016年8月からアリペイに対応している。マンゴツリーの運営責任者は人民網の取材に応えた。「アリペイに対応してから明らかに中国からのお客様が増えました。中国のお客様の8割はアリペイでお支払いをされていきます。店頭にあるアリペイのロゴを見ると、安心して入店してくださるお客様が多いですね」。

これだけでなく、2015年12月から導入が始まったタイのアリペイは、昨年一気に普及が進み、コンビニ、ショッピングモール、免税店、レストラン、カフェ、旅行会社など数万店が対応をした。特に、免税店のキングパワー、コンビニのセブンイレブン、化粧品店のブーツ、百貨店のセントラル、モール、ホテルレストランのマイナー、スーベニアショップのナラヤなど、中国人に人気の店が対応したことが大きい。

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▲外国人に人気のスパ「レッツリラックススパ」。アリペイ導入後、客数が40%も増えたという。

 

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▲外国人が必ずいくといっても過言ではないタイ料理店「マンゴツリー」。ここでもアリペイに対応したことにより、中国人観光客が増えた。

 

さらにタイ人向けアリペイもサービス開始

当初、対応したのは中国人旅行者のための人民元建てのアリペイだったが、2016年11月からは、アリババの子会社であるアントフィナンシャルと、タイの決済代行企業アセンドマネーが提携をし、タイ版アリペイのサービスもスタートしている。また、2017年9月には、タイの4大銀行のひとつであるKエクセレンス銀行と提携をし、Kエクセレンス銀行のスマートフォンアプリ内から、直接アリペイのQRコードをスキャンして支払いができるようになった。

大量に押し寄せる中国人旅行客がアリペイを使っている姿を見て、タイ人も次第にタイ版アリペイを使うようになり始めている。

アリペイは、中国人観光客とともに海外に進出し、次にその国用のアリペイサービスを開始するという方法で、海外進出を始めている。タイでは、その戦略が最もうまくいっていると思われる。

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▲タイでポピュラーなKエクセレンス銀行がタイ版アリペイに対応した。ATMでスマホのアリペイにチャージをすることができる。

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中高年のためのSNSが1億円の投資資金を獲得

中国では、朝、公園でチームでダンスを踊ることが流行している。SNSアプリ「舞林大滙」は、このようなダンスチームに特化したSNSアプリだ。20万人以上が利用し、プレAラウンド投資資金として600万元(約1億円)の獲得に成功したと鉛筆道が報じた。

 

中高年向けサービスは立ち上がりが鈍くても離脱率が低い

スマートフォンアプリ、SNSを開発するスタートアップは、若年層をターゲットに定めることが多い。日本で言えば、「女子高生の間で大ブーム」と言われることを狙っている。これは正しい戦略だ。

若年層は、既存のSNSなどでネットコミのネットワークを持っている。また、新しいものに積極的なので、若者に受けるサービスを開発すれば、短期間で利用者が急増する可能性がある。しかし、欠点は引き足も速いということだ。「今はもう○○じゃなくて、××」という台詞とともに、次のサービスへと流行が映っていく。サービスを提供する側は、そうなる前に20代、30代あるいは中高年へと利用者層を拡大しておく必要がある。それができなかったサービスは「話題にはなったけど、消えてしまった」ということになる。

一方で、中高年層は、若年層と逆の性質を持っていて、独立性が高く、ネットコミや口コミのネットワークは極めて小さく機能しない。新しいものに対しては保守的なので、中高年向けのサービスを開発しても、普及するまでには時間がかかり、地道な努力が必要になる。しかし、その反面、一度使うようになったサービスからは、競合するサービスが登場しても、あまり離脱しないというメリットがある。

「舞林大滙」は、この中高年に的を絞ったSNSサービスだ。

 

年々派手さを増し、規模が大きくなる広場舞

中国では毛沢東時代に、朝、公園で運動をすることが奨励された。しかし、当時はダンスや音楽は資本主義の堕落の象徴とされていたので、自然と場所を取らずに楽しめる太極拳や卓球を選ぶ人が多かった。それが、改革開放の自由な時代になり、台頭してきたのが広場舞だ。当初は、リズムに合わせて踊るだけだったが、次第にオリジナルの音楽を使い、衣装も派手になっていった。

2013年頃からは過熱気味の人気となり、全国各地に広場舞のチームが続々と誕生、2015年には国家体育総局が広場舞用の音楽コンテストを開催、優秀作品を無償で広場舞チームが使えるようにした。現在では、さまざまな機関が広場舞コンテストを開催、多くのチームが参加をし、週末だけでなく平日の朝にも公園などで練習風景が見られるようになった。

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▲朝の公園で見られる広場舞。派手な音楽、派手な衣装、派手な小道具を使う創作ダンスだ。コンテストなども頻繁に開かれ、根強いブームが続いている。

 

リアルなソーシャルグラフSNSを載せる

この広場舞ブームに目をつけたのが「舞林大滙」だった。中高年は広い口コミネットワークを持っていないが、広場舞チームは別だった。チームのメンバーとはQQやWeChatというSNSアプリを使って連絡を取るのが当たり前になっていたし、さらに同じ公園で練習する他チーム、あるいはコンテストなどで出会う他都市のチームとも連絡を取り合っている。個人としては、ネットワークを持っていないが、広場舞のメンバーとしては広いネットワークを持っていた。そのため、若年層と同じように、広場舞関連のSNSだったら、爆発的に広がる可能性があると「舞林大滙」の運営元である北京舞林盟主文化伝播有限公司の創設者、趙興斌は考えた。

「舞林大滙」は、このような広場舞のメンバーが連絡を取ることに特化したSNSアプリだ。

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▲舞林大滙アプリ。参加している広場舞チームの活動が写真や動画で公開できる。

 

趣味関連商品をSNS内で販売する

「舞林大滙」は、当初から各街の社区委員会、老齢委員会などの公的機関や中国移動、北京信息網などの企業と提携して、SNS内で音楽や衣装などの販売をするとともに、協賛企業から広場舞チームに活動資金を提供するという方式で、会員数を増やしていった。北京舞林盟主文化伝播によると、SNS内での販売額は1.01億元(約17億円)に達しているという。

会員数の増え方は、若年層向けのアプリに比べて緩やかだったが、他の中高年向けアプリに比べると急速なものだった。狙い通り、広場舞のネットワークを通じて広がっていったからだ。さらに、中高年の中にはスマートフォンやアプリの操作を苦手としている人もいたが、広場舞のメンバーたちは、公園で頻繁に顔を合わせる。その時に操作法などを教えあうのだ。

そして、これも狙い通り、離脱率が低かった。ゆっくりではあったが、「舞林大滙」は確実に会員数を伸ばしていった。

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SNS機能でチームのメンバーや他のチームと連絡を取ることができ、広場舞関係のニュースを読むこともできる。

 

規模は小さくても長続きするSNSサービス

現在、1500の広場舞チームが参加をし、会員数は20万人に達している。1日あたりのアクセス数は12万件だ。

これはSNSとして、決して大きな数字ではない。しかし、サービスを支えているのがSNS内販売だ。広場舞で使われる音楽、ラジカセ、スピーカー、衣装、小道具といったものは決して安くはない。しかし、広場舞チームからすればSNS内で購入すれば簡単に揃えられることから、頻繁に利用されている。

現在、600万元の投資を得て、次は1000万元(約1.7億円)のAラウンド投資計画を立てている。これは株式の15%から20%にあたるという。

スマホアプリは若者だけのものではない。中高年が対象でも適切な市場はある。規模は大きくないものの、「舞林大滙」は長く続くサービスになると見られており、投資家からも好評を得ているという。

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西安市に吸殻で投票する灰皿が登場

陝西省西安市にユニークな街灯灰皿が登場した。吸い殻が投票箱になっており、喫煙した人は吸い殻で投票をする。ポイ捨て防止の効果がある優れたデザインだとして、話題になっていると好奇心日報が報じた。

 

吸い殻で投票し、ポイ捨てを防止するデザイン

投票箱灰皿が登場したのは、西安市碑林区の長安街。南門から南二環まで100あるゴミ箱の上に設置された。さらに、50個の街灯灰皿と10箇所のシェアリング自転車駐輪場が整備された。

投票箱灰皿は、それぞれに出題が違っている。「今日の気持ちは?」というものや「地元歌手で好きな人は?」「麺はどうやって食べる?」「食後に何を飲む?」「泡西安の名物料理)はどうやって食べる?」など、他愛もない内容が多い。それぞれ答えは三択で、タバコを吸い終わったら、一つを選んで、吸い殻を入れる。

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▲麺を食べる時には、座って食べるか、立って食べるか、しゃがんで食べるか。

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▲今日の気持ちは、気持ちいい、乱れている、なんとも言えいない。

 

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▲地元の人気歌手を選ばせるもの。

 

中国でも減る喫煙者

中国も、WHOのたばこ規制枠組み条約に加入しており、今では建物内はほぼ完全に禁煙になっている。レストランもテーブルは全面禁煙になり、廊下の端に喫煙スペースが設けられている例が多い。

屋外の路上は、禁煙指定になっていない場所が多く、特に繁華街などでは10m間隔で、ゴミ箱と灰皿が設置されている。しかし、路上喫煙をする人は、この10年でめっきり減ったというのが実感だ。

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▲食事の時に飲むのは、フレーバービール、凍峰、九度(いずれも、西安市で有名なお酒)。

 

街の景観をデザインする

この投票箱灰皿は、西安交通大学芸術学部とデザイン事務所「貞観工作室」が共同して設置したもの。中心になった西安交通大学芸術学部の大学院生、姚瑶と李京松の二人は、まずイメージカラーとして黄色を採用し、ゴミ箱、灰皿、シェアリング自転車駐輪場といったエコロジー関連の路上設備を黄色にカラーリングする計画を立てた。

ヒントになったのは、英国ロンドンに設置された公共広告だったという。

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▲ロンドンにある公共広告がヒントになっている。世界一のプレーヤーはだれか?ロナウド、メッシのいずれかを選ばせるもの。

 

西安市はでは「タバコ革命」が進行中

西安では、昨年から「タバコ革命」を遂行中だ。街中のポイ捨てをゼロにしようと、様々な施策を打っている。西安の城壁には500個の灰皿を設置、30分間隔で係員が掃除点検をしていたのを15分間隔に短くした。また、500人のポイ捨て監視ボランティアを結成し、主要地区の監視活動を行っている。このボランティアは無償ではなく、吸い殻を10個拾うと、観光センターで粗品に交換してもらえる仕組みもある。

西安市碑林区年管理局では、ポイ捨てを減らすことができるだけでなく、従来バラバラだったゴミ箱、灰皿などを統一的なデザインにすることで、長安街の景観をよくすることにも寄与していると歓迎している。

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西安市の観光資源でもある城壁の上にも灰皿が置かれるようになった。

 

スマホの普及とともに減る喫煙率

中国の喫煙率はさまざまな統計のさまざまな数値があって不明なところも多いが、だいたい50%程度ではないかと言われている。しかし、誰もが感じているのが、都市部での喫煙率の低下ぶりだ。10年前と違って、路上喫煙をする人を見かけることがめっきり少なくなった。

都市部の中高年、農村部は相変わらず、喫煙の習慣を持っているが、若い世代は喫煙する人の方が少ないのではないかと思えるほどだ。話を聞いてみると、「一服したいときはスマホで、ゲームをしたり、ECサイトを見るので、たばこに興味を持つ機会がなかった」という人が多い。

以前の中国は、男性であればほぼ全員が喫煙をし、どこでも吸い放題だった。しかし、その習慣もスマートフォンの登場で変わろうとしている。

Joseph Joseph ゴミを1/3に圧縮するゴミ箱 クラッシュボックス 30030

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アリババの成功の秘密は、社員の49%が女性であること

アリババのジャック・マー会長は、2月7日、韓国ヨンセ大学で、パン・ギムン元国連事務総長との公開ディスカッションを行った。その席で、「アリババの成功は女性社員が49%もいたから」と発言し、聴衆から喝采を浴びたと、快科技が報じた。

 

社員の49%が女性で占められるアリババ

アリババは女性が多い企業だ。社員の49%が女性であり、管理職でも37%が女性だ。ジャック・マー会長は、韓国ヨンセ大学での公開ディスカッションで、「若い人を雇用すれば企業に希望がもたらされる。女性を雇用すれば企業に完美がもたらされる」と発言して、聴衆から大きな拍手喝采を浴びた。

現在、米国のIT企業では、男女比率や人種比率を、母集団人口の比率に近づけようとする努力がされている。それは極めて正しい考え方だが、現実はそれほど簡単ではない。なぜなら、人間は、同じ価値観を持った人だけが集まった集団を心地よく感じるからだ。昭和時代の日本企業がその典型で、男性のみで構成され、若い新入社員も中核となっている中高年の「おじさん的価値観」を持つ必要があった。このような集団の中で、女性が働く場合も、「おじさん的価値観」を身につける必要があった。

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▲韓国ヨンセ大学で公開ディスカッションを行ったアリババ、ジャック・マー会長。女性比率が高いことがアリババの成功の鍵だったと発言して、聴衆から喝采を浴びた。

 

多様な価値観を持つ集団にはデメリットも多い

多様な価値観を持つ集団で生産性を上げていくのはとても難しい。例えば、誰かが単純ミスをし、全員で1時間残業すればカバーできるという場合、古典的な日本企業では全員残業で乗り切ってしまう。それが最も簡単な解決法であり、同時に集団の絆を強めることができる。

しかし、さまざまな人種、年代層からなる多様な価値観を持つ集団ではそうはいかない。「なぜ関係のない私まで残業しなければならないのか?」という疑問が提出され、それに明快に答えなければならないのだ。「空気」「阿吽の呼吸」と言ったものは通用しない。しかも、本質的とは言えない、つまらないことでこのような摩擦が日常的に起きる。現場の生産性はなかなか上がらない。

それでもなぜ、母集団人口比に近づけ、多様な価値観を持つ集団にしようとするのか。異なる価値観が衝突することで、自社サービスや製品がより大きな市場にフィットするように鍛えられ、さらにはイノベーションを起こすことが可能になるからだ。デメリットは決して小さくないが、それ以上に大きなメリットがある。

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▲公開ディスカッションは、ジャック・マーとパン・ギムン元国連事務総長の二人で行われた。企業の社会的責任について意見交換が行われた。

 

女性を選ぶのではない。女性から選ばれる企業になる

質疑応答では、聴衆の中の大学生がこう質問をした。「アリババは、女性に仕事を提供するだけでなく、社内に女性差別のない雰囲気をつくる必要があるのではないですか?」。

ジャック・マーはこう答えた。「私たちは女性に仕事を提供したとは考えていません。むしろ、女性たちがアリババにチャンスをくれたのです。彼女たちは、アリババを信頼して入社することを選んでくれています。そこが他の企業と異なるところだと考えています」。

つまり、単純に女性比率を高めるだけでは意味がなく、女性から選ばれる企業にすることが成功の鍵だということだ。

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▲公開ディスカッションの聴衆の多くは、ヨンセ大学の学生だった。まだ、男性社会の空気が残る韓国にとって、ジャック・マーの発言は新鮮だった。

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中国人はどれだけ歩く?4億人のデータから明らかになった「歩かない中国人」

中国は、街の作りが大きい。1ブロックを歩くのにも5分ほどかかるほどだ。さぞかし中国人は歩くのかと思えば、実際は日本人ほど歩かないことが明らかになった。4億人のクラウドデータと4万3000人のアンケート調査に基づいた「2017中国運動報告」によると、中国人が1日に歩く歩数は5678歩であると36クリプトンが報じた。

 

1万歩越えは当たり前の中国観光

外国人にとって、中国の都市はめっぽう歩かされる街という印象が強い。建物が大きく、道幅も広く、どこに行くにも駅から15分程度は歩くことになる。最も有名な観光ポイントである北京の故宮などは、ざっと見て回るだけでも半日かかり、万歩計はすぐに1万歩を超えてしまう。中国観光をした夜は、足が棒のようになり、帰り道を歩いていると、必ず足裏マッサージの店が見つかる。

ところが、地元の市民はさほど歩かない。市内は、バスが縦横無尽に走り、料金も3元程度(約50円)と安く、数分間隔で運行されているので、バスをうまく使って市内を移動している。

 

中国人は日本人ほど歩かない

テンセントは、「2017中国運動報告」を公開した。スマートフォン用アプリ「QQ運動」でのデータ結果をまとめたものだ。QQ運動は、万歩計やジョギング、自転車での移動距離などを自動収集してくれるアプリで、数値を表示するだけでなく、仲間内、市内、全国などでのランキングも教えてくれる。

この報告によると、中国人の1日の平均歩数は5678歩。一方で、日本人の平均歩数は厚生労働省の「平成28年国民健康・栄養調査報告」によると、男性7779歩、女性6776歩となり、男性で2000歩、女性でも1000歩ほど日本人の方が多い。中国人は歩くのが嫌いな人種ということが言えそうだ。

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スマホアプリ「QQ運動」。アプリを入れておくだけで、さまざまな運動量を自動入力し、グループ内での順位なども表示してくれる。4億人が利用している。

 

日本の大都市は歩く、中国の大都市は意外に歩かない

面白いのは、都市別の歩数比較。日本では、東京都、大阪府など大都市を抱える都道府県が上位にくる。鉄道、地下鉄などを利用しての移動が多いと思われるが、乗り換えや駅構内で意外に長距離を歩かされる。

一方で、中国で上位にくる都市は、北京や上海などの公共交通機関が発達した都市ではなく、公共交通機関が十分とは言えない大都市である重慶西安が上位にくる。日本の大都市と同じように、乗り換えなどでかなりの距離を歩かざるを得ないのだと思われる。

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▲日本の都道府県別歩数(男性)。大阪、東京、京都など大都市がある都道府県が上位にくる。

 

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▲日本の都道府県別歩数(女性)。男性と同じく、大都市がある都道府県が上位にくる。

 

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▲中国の都市別歩数。北京、上海など公共交通機関が発達した都市は意外に上位にこない。大都市だが、公共交通機関の発達が人口増加に追いついていない都市が上位にきている。

 

日本は若者が歩く、中国は年寄りが歩く

日本と中国の歩数の比較で、もうひとつ鮮明なのが、年齢別歩数だ。日本の場合は、若い世代ほどたくさん歩く。ところが、中国では若い世代ほど歩かないのだ。

10代の歩数が極端に少ないのは学生が多いから。学生は家や寮と学校を往復するだけで、基本的に出かけない。19ー27歳が多いのは、男性の場合はスポーツ、女性の場合はショッピングモールが影響しているという。28-36歳が少ないのは仕事が忙しくなるからで、それ以降は年齢が上がるほど歩数が増えていく。時間の余裕ができることと、健康に気を使い、散歩を習慣にする人が多いからだという。

実際、中国人は運動好きで、健康のために毎日何らかの運動をしている人は、報告書によると47.75%と半数近くになっている。

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▲中国の年齢別歩数。年齢が上がれば上がるほどたくさん歩くようになる。10代は学校と家の往復で、ほとんど歩かない。

 

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▲日本の年齢別歩数。年齢が上がれば上がるほど歩かなくなる。中国とはまったく逆だ。

 

移動のためには歩きたくない、健康のためには歩く

この「QQ運動」アプリが広まるにつれ、ジムに通う人、散歩をする人が増えているという。自分の運動量を自動で可視化され、その量の少なさに驚いた人が多かったことと、さまざまなランキングが表示されるので、ゲームとして競い合いたくなる気持ちが生まれているからだ。

実際、生活に余裕が生まれた高収入の人たちの間では、定期的にジムに通うのが人気になっている。マンションなどでもトレーニング室を併設しているケースが増えている。

中国人は、移動のためには歩きたくない。しかし、健康のためには歩くということのようだ。シェアリング自転車が中国で定着をしたのにも、こんな背景があったからなのかもしれない。

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台湾台北市で、セブンイレブンが無人店舗を試験開業

中国本土で続々と登場している無人コンビニは、隣国にも飛び火をし、韓国でも開業、さらに台湾ではセブンイレブン台北市無人コンビニ「X-STORE」を公開したとIT情報局菊長が報じた。

 

台湾で最初の無人コンビニが試験開業

このX-STOREは、正式開業したものではなく、台北市東興路のセブンイレブン本部内に開店したもので、台湾セブンイレブンを運営する統一超商の社員が利用し、テスト運用をしている。店舗面積は22坪。

韓国でセブンイレブンを運営するコリアセブンは、すでにソウル市のチャムシルロッテワールドタワー31階に無人レジ店を開業している。このX-STOREが正式開業になれば、中国、韓国に続いて無人コンビニが開業することになる。入店には顔認証を行い、支払いはiCash(統一超商が運営する電子マネー)で行う。ポイントを付与するOPENPOINT会員が利用することができる。また、清掃は自動ロボットが行う。

冷蔵陳列棚は、来店客が近づくと自動的に空くが、エアカーテンを使って、冷気を外に逃さないようになっている。来店客が遠ざかると、自動的に閉まる。

商品には電子タグがつけられ、これをセルフレジで精算する方式だ。

また、42坪のイートインコーナーが124席設けられ、コーヒーなどを飲んだり、食事を自分で電子レンジを使って温めて食べることができるようになっている。

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台北市東興路にある台湾セブイレブン運営会社「統一超商」の社内に試験開業したX-STORE。スマホで認証して入場し、セルフレジで清算する。

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▲商品には電子タグがつけられている。個人認証もされているので、誰がどのような商品を購入したか、詳細なデータを収集できる。

 

スタッフが常駐する台湾独自の「無人方式」

このX-STOREは、中国の無人コンビニとは違って「スタッフを常駐させる」という点が異なっていて、ここが普及のカギになるかもしれない。店員は、レジ作業はせず、主な仕事は商品の補充、陳列、管理になる。空いた時間を、来店客の補助、そして試食品を勧めるなどの営業活動に充てることになる。

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▲入場するにはスマホ認証、顔認証など複数の認証方法が用意されている。

 

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▲商品はセルフレジで清算する。電子タグで読み取りを行い、支払いはiCash(電子マネー)で行う。

 

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▲購入した食品はそのままイートインコーナーで食べることができる。電子レンジもセルフで利用する。

 

ITと人を組み合わせることで、幅広い世代に利用されるibon

台湾ではibon(アイボン)と呼ばれる自動発券機がコンビニに置かれている。機能としては日本のコンビニに置かれている自動発券機と同じで、新幹線や高速バスのチケットが購入できるというものだ。しかし、台湾のibonは面白い仕組みになっていて、使いやすいことから、若者層だけでなく、年配の人にも利用される広がりを見せている。

例えば、新幹線のチケットを購入したい時、スマートフォンからibonにアクセスして、列車や座席を選んで予約をするが、この時にユーザー登録などは必要なく、匿名で予約ができる。予約番号が発行されるので、コンビニのibon発券機に行き、予約番号を入力(あるいはQRコードをスキャン)して、発券をし、料金はコンビニのレジカウンターで支払うという方式だ。

ユーザー登録が不要という点がミソだ。パスワードを設定したり、決済カードを登録したりする必要がないので、簡単に予約ができる。年配の人が、こういうITシステムをうまく使いこなせなくなってしまうのは、ユーザー登録やアカウント情報の管理が難しいからだ。

しかも、発見はコンビニのibon発券機で行うので、操作がわからなければ、店員に助けを求めることができる。台湾の人は温厚な人が多く、店員は親切に教えてくれるし、それでレジを待たされることになる他の客も嫌な顔をすることはない。このため、スマホの操作が苦手な中高年でも、ibonを使いこなすことができ、生活に定着することになった。

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▲台湾のコンビニに普及しているibon。ネットでチケット予約をして、ibonで発券し、コンビニのレジで料金を支払う。ユーザー登録などの面倒がないので、中高年、高齢者にも利用されている。わからない時は、コンビニの店員が親切に教えてくれるので安心感があるからだ。

 

台湾独自の「IT+人」方式が成否を分ける鍵になる

この「最後は人がフォローするITシステム」という発想は、他の国にはあまりなく、台湾独特のものであるかのように見える。X-STOREも完全無人化するのではなく、最小限のスタッフを常駐させるというのは、台湾人のこのような感覚から出てきているのかもしれない。

中国の無人コンビニは、両手離しで成功しているとは言えない。利用客にしてみれば、便利に使えればそれでいいので、無人であるか有人であるかは重要なことではない。しかし、「無人」とうたうことで投資資金が集まるために、無人コンビニのスタートアップが続々と登場した。

しかし、台湾のX-STOREは、スタッフを常駐させ、より質の高い接客サービスを提供しようと考えているようだ。中国の無人コンビニの客は圧倒的に若者だが、台湾のX-STOREはibonと同じように、幅広い世代に利用されるコンビニになる可能性を秘めている。

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