中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

電話番号を公開せずに連絡がつくQRコードが大人気

中国の都市部ではどこでも駐車場不足に悩んでいる。他の車の妨げになるような場所に駐車する時は、自分の携帯電話番号を書いたメモを置いておくのがマナーになっているが、プライバシー面の不安があった。これをQRコードを使って解決した「挪車コード」が大人気になっていると快科技が報じた。

 

駐車不足に悩む中国人の工夫

中国の都市部はどこも駐車場不足に悩んでいる。ドライバーにとっては、どこに車を止めるかが悩みのタネになっている。あまりにも駐車場が不足しているので、ちょっとしたスペースがあれば車が止められてしまう。特に企業の駐車場、マンション内の駐車場など、使う人がある程度限定されている状況では、他の車が出られなくなるような通路部分にも止めてしまう。

そのままでは単なる迷惑行為になってしまうので、自分の携帯電話番号を書いた紙を外から見えるように置くことが一般的になっている。その車が邪魔になった人は、まずその電話番号に電話をして「どかしてほしい」と伝えることができる。また、誰かが110番に電話して、交通警察に取り締まりを依頼した場合も、警察官はまずその電話番号に電話をしてみる。そこで解決すれば違反切符も発行しない。

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▲駐車不足に悩む都市部では、こんな迷惑な止め方も日常茶飯事になっている。

 

電話番号の公開は、さまざまな被害に会う危険性も

ところが、自分の携帯電話番号を公開することには、プライバシー上の懸念がある。懸念どころではなく、実害も多い。車に携帯電話番号をつけておくと言うことは、携帯番号、車のナンバー、車種、場所、時間など複数の情報を公開していることになる。携帯番号にショートメッセージで「こちら○○警察。ナンバーxxxxxの方、○月○日、xx区での駐車違反について…」と送られてきたら、詐欺被害に合ってしまうこともある。

また、高級車や特定の車種の携帯番号を集めて、名簿化して販売している業者もある。

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▲従来はこんなカードを置いておくのがマナーだった。カードには車の持ち主の電話番号が記入されている。しかし、電話番号が悪用されるという問題があった。

 

番号公開問題を解決するQRコードによる中間連絡方式

携帯番号を掲示しておくと実害の不安がある。しかし、掲示しておかないと、すぐに警察に通報されてしまう。

この問題を解決したのが「挪車コード」だ。挪車というのは「車を移動する」という意味。現在、複数の企業が同様のサービスを提供しているが、いまでも毎日新規流入が2万人ほどあり、ニッチなサービスとはいえ、隠れたヒットになっている。

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▲そこで登場したのがQRコード。このQRコードをアリペイなどのアプリでスキャンすると、持ち主に電話がかけられる。ただし、電話番号はわからない。

 

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▲アリペイなどのスマホ決済アプリから、QRコードをスキャンすると、そのまま電話がかけられる。

 

スマホ決済アプリのミニプログラムとして提供されている

この「挪車コード」は、アプリではなく、スマホ決済アプリ「アリペイ」や「WeChatペイ」のミニプログラムとして提供されている。ミニプログラムというのは、アリペイの中で利用できるアプリ内アプリのようなものだ。アリペイの中で名前を検索すればすぐに見つかるし、一度使ったミニプログラムは登録をしておくことができ、アリペイアプリの機能を拡張していくことができる。

スマホ決済アプリは、多くの人にとって1日に何度も使うものになっていて、ミニプログラムは、アプリをアプリストアで探してインストールするという従来のやり方に比べて圧倒的に楽なのだ。ユーザー登録のようなものも、アリペイの登録情報が使われるので、アカウント作成や名前の入力などの手間もない。すでに、生活関連のサービスについては、アプリよりもミニプログラムの方が広まりやすい状況になっている。

このミニプログラム方式にしたことにより、電話をかける方はアリペイアプリさえインストールしていれば、特定のアプリをわざわざインストールすることなく、持ち主に電話がかけられることになる。

 

電話番号をQRコード化、相手に番号はわからない

「挪車コード」のミニプログラムを使うと、自分の電話番号をQRコード化してくれる。このQRコードを車に貼っておく。他の人が電話連絡をしたい場合は、アリペイアプリでこのQRコードをスキャンすると、「電話をかける」「ショートメッセージを送る」などのボタンが現れるので、連絡を取ることができるようになる。電話番号は一切表示されないというのがポイントだ。

QRコードは、ミニプログラムの中からプリントする機能があるので、自分でプリンターで印刷をしてもいい。あるいは、申請をすると各社10元程度(約170円)で、きれいにカード印刷したQRコードを送ってくれる。

これを売上とするビジネスモデルだが、各社利用データを取得し、駐車場不足のビッグデータを販売したり、あるいは自動車関連のサービス(事前予約して、車を置いてくるだけでいい車検サービスが受けている)の入り口として利用している。

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QRコードは自分でプリントすることもできるが、10元を支払うと、きれいなステッカーを送ってもらうこともできる。

 

シェアリングエコノミーに応用できる中間連絡方式

また、この「電話番号を知られずに連絡が取れる」方式は、シェアリングエコノミー方面からも注目を浴びている。例えば、現在のライドシェアは、運転手が業として行う単なる白タクサービスになってしまっているが、本来は一般の自動車オーナーが自分が移動するついでに、同じ方向に移動したい人を乗せ、ガソリン代などの一部を負担してもらうという発想のもの。この本来のライドシェアの場合、互いに連絡を取るために携帯番号を教え合うというのはプライバシー上の問題が生じることになる。

このような状況ではQRコードを利用した中間連絡方式が有効で、すでにライドシェアの滴滴出行などでは独自の中間連絡方式を採用している。

他にも、宅配便の配達員と消費者、外売(飲食の出前サービス)の配達員と消費者などの間でも、中間連絡方式が有効なのではないかと注目を浴びている。

活用できる場所が意外に多いことから、このQRコードによる中間連絡方式は、駐車問題だけでなく、他の分野にも広がっていく可能性がある。

 

遅い、途切れると不満だらけの中国版新幹線無料Wi-Fi。ようやく改善へ

中国版新幹線「高鉄」では、2014年から車両内で無料WiFiのサービスを提供していた。しかし、乗客からは「遅い」「途切れる」と不満が続出していた。7月、テンセントとジーリーの民間企業の協力を得て、大規模改善をすることになったと中関村オンラインが報じた。

 

不満続出の高鉄内の無料WiFi

中国版新幹線「高鉄」では、2014年から「復興号」車両内で無料のWiFiが提供されていた。WiFi一覧から高鉄用のSSIDを選ぶだけの簡単操作で、事前にアカウントを取得しておく必要もない。中国鉄路総公司では、4年間で80億元(約1300億円)の資金を投入して、無料WiFiを整備してきた。

ところが利用客からは、不満が続出していた。遅い、途切れる。動画が見られないのは我慢するが、写真やウェブすら見られないことがある。スマートフォンの自前の4G回線の方がはるかにましだというものだった。

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▲高鉄の復興号。不満だらけだった車両内WiFiがようやく改善されることになった。

 

8億人の利用者が民間企業にとっては魅力

高鉄は、現在総延長2.2万km。年間の乗客数は17.1億人(日本の新幹線は、総延長約3000km、年間乗客数は4億人程度)。しかし、高鉄は現在も建設が進んでいる。2020年に総延長は3万kmに達し、中国の人口100万人以上の都市の80%をカバーする計画だ。

現在、無料WiFiは不満が多いため、使う人が少なくなっているが、17.1億人の乗客の半数が使うとしても8億人が使うことになる。民間企業は以前から高鉄の無料WiFiに技術提供をすることでビジネスチャンスを得ようとしていた。

そして、今年7月、IT企業「テンセント」と自動車メーカー「ジーリー」と中国鉄路が協力して、高鉄の無料WiFiを刷新することになった。高鉄は民間の技術力や知恵を借り、民間企業は8億人の利用者に対してビジネスを展開していくことになる。

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▲現在の車両無料WiFiの概念図。一般の携帯電話基地局の電波を車両上部のアンテナが拾い、車内にWiFIで飛ばすというもの。速度が遅い一般列車ではこれで問題なかったが、時速300kmで走行する高鉄では切断、速度低下が頻発した。

 

高鉄は速すぎて従来のシステムでは追いつかない

国鉄路では、高鉄以前から、一部の長距離列車で無料WiFiのサービスを始めていて、こちらは大好評だった。3G/4Gの携帯電話ネットワークを広い、車内のルーターWiFiを提供するという方式のもの。

高鉄でも、このシステムを流用して、無料WiFiを提供した。しかし、高鉄は時速300km以上の速度で走行する。頻繁に携帯電話基地局の切り替えが起こり、また基地局の位置も最適化されてなく、途中で止まる、切断するということが頻繁に起きることになってしまった。

昨年6月には、1人が利用できるデータ量を600メガに制限をしたが、これがさらに不評で、ほとんどの人が無料WiFiを使わず、自分のスマホの4G回線を利用するようになってしまった。

この状態が4年間も放置されていたのは、高速で走行する高鉄に、4G回線で快適なWiFiを提供するには技術的に難易度が高く、飛行機と同じような衛星経由で回線を提供する方式や、4G回線と衛星のハイブリッド方式などが議論されていたからだ。さらに、衛星を利用する場合、投資金額はさらに増えることになり、無料ではなく有料にすることも検討されるなど、議論が混乱して前に進まなかった。

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▲従来から一部の長距離列車で採用されていた無料WiFiサービス。列車の速度が速くないので、既存の携帯電話基地局の電波を捕まえられればじゅうぶんで、乗客からも好評だ。

 

民間企業が加わりサービスが向上することに期待が集まる

このような混乱を収拾するために、中国鉄路は民間企業を引き入れることにした。民間を入れることで、現実的、合理的な判断ができ、なおかつ膨大な数の利用者に対してなんらかのサービスを提供することで、中国鉄路側は利益を得ることができ、乗客の利便性も向上することを狙っている。

テンセントが加わることで、同社が運営するスマホ決済「WeChatペイ」を利用して、スマホで高鉄のチケットを購入し、そのままチケットレスで乗車できる仕組みの開発も始まった。

現在のところ、提携が発表されただけで、具体的にどのような技術的な改善を行うのかは発表されていない。しかし、多くの人は、これでようやく高鉄の中でWiFiがまともに使えることになると喜んでいる。

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▲高鉄で無料WiFiを快適に提供するためには、線路近くに基地局や中継局を設置する、指向性を持たせて車両が電波を拾いやすくするなどの工夫が必要だという。相当額の追加投資が必要になってくる。

 

 

地方の露店でWeChatペイのみ対応の店があるのはなぜ?

都市部の商店はほとんどが「アリペイ」「WeChatペイ」の両方のスマホ決済に対応をしている。しかし、地方に行くと「WeChatペイ」のみ対応という商店、露店が目につく。なぜ、地方ではWeChatペイが強いのか。それは都市と地方の利用者のリテラシーの違いによるものだと雪花新聞が解説している。

 

アリペイ、WeChatペイの利用比率は3:2

中国では、「アリペイ」「WeChatペイ」の2種類のQRコード方式スマホ決済が主流ということは今ではよく知られるようになってきている。そして、都市部のほとんどの商店が両方のスマホ決済に対応していることもよく知られるようになってきた。最近は飲食店で会計をしようとすると「アリペイですか、WeChatペイですか、現金ですか」と判で押したように言われるようになった。

調査会社「易観」の2017年第4四半期の調査によると、スマホ決済額の総額は37.8兆元(約620兆円)、前四半期から27.91%増加し、昨年同時期からは195%も増加をしている。アリペイの市場比率は54.26%、WeChatペイ(テンセントが運営するQQ銭包などを含む)は38.15%となり、比率としては3:2程度の差がついてきている。

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▲調査会社「易観」が公開した2017年第4四半期の金額ベースのスマホ決済シェア。アリペイ(支付宝)とWeChatペイ(騰訊金融、QQ銭包など他の方式も合算)は、ほぼ3:2の割合まで差がついてきている。

 

都市部ではアリペイが好まれる

都市部では多くの商店が「アリペイ」「WeChatペイ」の両方に対応しているので、消費者は自分の好きな方で支払える環境が整っているが、都市の消費者はアリペイを好む傾向がある。

大きな理由は操作がアリペイの方がシンプルだということだ。WeChatペイはあくまでもSNS「WeChat」の付帯機能であり、支払いをするには、WeChatアプリを起動して、そこからウォレットを開くという一手間が必要になる。一方、アリペイは決済専用のアプリなので、起動をすればウォレット画面が表示される。こちらの方が操作が簡単でスマートなのだ。

 

「アリペイは安心安全」というイメージ

また、アリペイアプリの方が「チケット購入」「ホテル予約」などの機能にアクセスしやすく、さらにクレジットカードで言うところの分割払いやリボ払いに相当する機能にもアクセスしやすい。要は、決済に特化している分、決済関連機能が充実しているのだ。

また、アリペイはセキュリティ面でも安心感がある。アリババはことあるごとに自社のセキュリティレベルが高いということを発信し、万が一利用者に損害が生じた場合は全額を補償すると公言をしている。実際、アリペイ側の問題ではなく、利用者が騙されてお金を送金してしまった詐欺事件に対してもアリババが全額補償した例なども報道されている。一方、WeChatペイを運営するテンセントはアリババほど積極的に安全性をアピールしていないため、多くの人が「アリペイの方が安心」というイメージを持っているようだ。

 

WeChatは中国人のマストアプリ

都会に暮らす消費者で、もはやスマートフォンを持たず、スマホ決済も使っていないという人は相当に珍しい存在になっているが、地方にいくとそうでもない。若者は多くが利用しているが、中高年や高齢者になると、まだスマホを使っていないという人も多い。

今、中国人がスマートフォンを持つと、必ずインストールするアプリが「WeChat」だ。WeChatは日本のLINEと同じようにチャットメッセージや音声メッセージをやりとりでき、連絡を取るための基本的なアプリとなっていて、インストール数は10億件を突破している。

特に便利なのが、音声メッセージで、文字を入力しなくても、留守番電話の感覚で音声を吹き込んで送信できる機能。それを聞いた相手も短時間の音声を送ってくる。チャットと電話の中間のような使い方が定番になっている。

中国語の入力は意外に中国人にも敷居が高い。ローマ字表記のピンインを知っている必要があり、小中学校を卒業していれば理解しているはずなのだが、実際に入力をするのは意外に面倒で、ボタンを押して音声でやりとりができるWeChatは非常に便利なツールに映るのだ。

 

中高年、高齢者にとってはWeChatペイの方が入りやすい

WeChatが使えるようになったら、次に使えるようにしたいのがスマホ決済機能だ。しかし、WeChatの使い方でいっぱいいっぱいの中高年や高齢者に、「アリペイというアプリをインストールして、銀行カードを紐づけて、アクティベートをして…」というのはかなり敷居が高い。

中高年や高齢者がスマホの新しい機能を使いたい時は、自分でなんとかするのではなく、周りにいるわかっていそうな若者に教えてもらうことが多い。その時、若者は「アリペイというアプリをインストールして…」などという面倒くさいことをせずに、「WeChatってもう使っているでしょ?あれのウォレットを開いて…」と、WeChatペイの使い方を教えることが圧倒的に多い。

このため、自分でアクティベートできるリテラシーの高い人はより便利で付帯機能の多いアリペイを選ぶが、人に教えてもらうリテラシーの高くない人は必然的にWeChatペイを使うことになる。

つまり、都市の若者はアリペイを使う傾向にあり、地方の中高年、高齢者はWeChatペイを使う傾向にある。これが地方で、WeChatペイのみ対応の小商店が多い理由だ。

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▲地方の露店ではWeChatペイのみ対応のところが目につくようになる。写真は、凍らせたミネラルウォーターを売る露店。WeChatペイで2元と書いてある。

 

同じスマホ決済でも戦略と性格が異なる「アリペイ」「WeChatペイ」

こう説明すると、アリペイの方が優れていて、WeChatペイの方が劣っているかのように見えてしまうかもしれないが、優劣の問題はではなく、両者の戦略の違いだ。日本人にわかりやすい例を出せば、アリペイは「カードやレシートもお札も入る長財布」であり、WeChatペイは「小銭ばかりが入っているがま口」だ。日常の身近な消費には、長財布よりもがま口の方が便利な局面が多く、WeChatペイはそこをカバーしようとしている。もう少し極端なイメージを出せば、日本人のクレジットカードと電子マネーカードの使い分けに似た感覚がある。

一方で、WeChatペイは、SNS「WeChat」と連携をしているので、登録している友人にお金を送ることが簡単にできる。このような特性から、中国版ユーチューバーへの投げ銭や、友人に少額のお金を渡す場合に、WeChatペイがよく使われる。

「アリペイ」「WeChatペイ」は同じスマホ決済として同列に語られることも多いが、実は性格の違い、戦略の違いがあるのだ。

 

地域ナンバーワンの成績をあげた外売ママ

農村から杭州市余杭区で外売配達員をして、飛び抜けた成績で有名になった女性がいる。夫を交通事故で亡くして以来、子どもを育てるために外売配達員となり、地域ナンバーワンの成績をあげた女性だ。その頑張る姿に心打たれた中国人の間で話題になっていると、雪花新聞が報じた。

 

夫を亡くし、子どもと借金が残った

浙江省の農村出身の楊陽(ヤン・ヤン)は、一旗揚げようと夫と一緒に杭州市にやってきた。借金をして朝食専門の店を出し、売り上げはまずまずで、毎日早起きをして、懸命に働いた。農村にいるときは、お腹いっぱいご飯も食べられなかったのだから、貧しいながらも夢のような生活だった。

ところが、ある日、突然に夫が交通事故で亡くなった。夫の葬儀が終わると、楊陽にはもうお金の余裕がなく、お店も閉店するしかなかった。子どもと開店のために借りた借金だけが残った。

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▲外売サービスは、スマホから受けた料理の注文を料理店で受け取り配送するサービス。電動スクーターで配達をするため、交通事故の危険性も高い職業だ。

 

すぐにでも働ける仕事。外売配達員

楊陽は子どもを育て、借金を返済するために、すぐにでも始められる仕事--外売サービス「餓了么」(ウーラマ)の配達員となった。スマートフォンで料理の注文が入ると、その料理を料理店に取りに行き、注文客の自宅まで配達する仕事だ。賃金は低いが、数をこなせば稼ぐことができる。

楊陽はまったく休みなく働いた。休憩時間もほとんど取らず、食事も電動スクーターの上で取る。受持地区の杭州市余杭区には約60人ほどの配達員がいるが、女性は彼女1人だけだ。それでも1日に100件以上の配達をこなして、地域トップの成績を取った。

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▲スクーターを停め、小走りで料理を取りにいく。時間勝負の仕事なので、休む暇はない。

 

朝は早く、帰宅は夜10時

仕事が終わるのは夜10時近くなる。家に帰る前に子どもたちに電話をしたりはしない。子どもたちはもう寝ているので、起こしたくないのだ。朝は忙しく、子どもたちとゆっくり話す時間もない。楊陽は子どもと話ができなくても、子どもの写真を見て、いつかゆっくりと子どもたちと暮らせる日を夢見ている。それには、まず借金を返し、そして朝食の店をもう一度開かなくてはならない。

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▲朝早く、夜遅い仕事のため、子どもたちと言葉を交わす時間もない。子どもの写真を貼ったり、スマホの中の写真で、自分を慰めている。これが、中国人の心に響いた。

 

同僚に助けられるている外売ママ

それでも、楊陽にもいいことがあった。楊陽が地域トップの成績を取ったことが知れ渡り、メディアの取材が相次いでいる。ウェブニュースだけでなく、ウェブ動画サイトも取材にきた。

今では、楊陽が配達しているとわかると、チップをはずんでくれるお客さんも増えてきた。また、周りの配達員たちも協力をしてくれるようになった。配達員たちの間で「孤単」と呼ばれる注文がある。通常は、5件から6件の注文を同時にこなし、道順を考えて、料理店での受取と配達を組み立てていく。しかし、遠くの客に1件だけを届けなければならないこともある。これが「孤単」と呼ばれていて、効率が悪く配達員たちからは嫌われている。夜遅くの「孤単」は女性には危険なこともある。このような「孤単」を代わってくれる同僚も現れている。


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生活が成り立つようになってきた外売配達員の仕事

この楊陽の記事に多くの外売サービスで働いている配達員が反応をしている。そのコメントによると、男性でも1日60件から80件程度が限界だそうだ。低賃金労働の代名詞だった外売サービスも、最近では配達料がジリジリと上がりつつある。消費者の中には反発の声もあるが、このようなルポを目にした消費者は「ある程度の値上げは仕方ない」と考えるようだ。

1回の配達料が10元(約170円)以下、大量の割引クーポン配布で、一気に普及をした外売。生活の中に定着をしたところで、次第に適切な料金になろうとしている。楊陽もこの仕事の将来に希望を持っているという。

中国の労働集約的サービスは、農村出身者の安い労働力を利用して、都市生活者が利便性を享受するという構造で始まるが、普及をしたところで、適正料金に動き始め、生活サービスとして定着をする。楊陽の今の生活は決して楽ではないが、「今日よりは明日はよくなる」確信があるので、続けることができる。

外売サービスは、一時期の流行ではなく、中国社会の中に定着をするステージに入ろうとしている。

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病院に広がるシェアリング車椅子。有償にしたことで利用効率が向上

北京市にある北京協和医院に、シェアリング車椅子15台が登場し、わずか1時間ですべてが借りられるほど好評だったと北京晩報が報じた。従来は無料貸出をしていたが、長時間独占される、扱いが荒いなどの問題があり、管理の手間がかかっていた。低額の有償にすることで、このような問題が解決でき、より多くの患者が利用できるようになった。

 

問題が多かった車椅子の無料貸し出し

北京協和医院は、全国に約1000ヶ所ある最高レベルの医療施設のひとつ。規模も大きく、1日の患者数は1万5000人にも達する。当然、多数の患者が院内で車椅子を使う。

北京協和医院の診療責任者は、北京晩報の取材に応えた。「以前は、車椅子を無料で貸し出すサービスを提供していました。利用は無料ですが、貸出時には一定額のデポジットを預かる仕組みでした。管理上の問題と、できるだけ多くの人に利用してもらうためです。時間内に返却をしてもらえれば、デポジットを返却します。しかし、時間内に返すというのは患者さんにとって難しい場合もあり、規定時間を超えて長時間独占してしまうことがあったのです。病院側も管理、修理などの手間がかかります。このような数々の問題をシェアリング車椅子が一気に解決してくれました」。

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▲折りたたみ式の車椅子がチェーン錠でロックされている。最初の2時間は無料。

 

最初の2時間は無料。以降、最高24時間で500円

シェアリング車椅子は、チェーン錠でステーションに結びつけられていて、ステーションに貼り付けられていてるQRコードを、スマホ決済アプリ「アリペイ」からスキャンすることで、チェーン錠が解錠して車椅子が利用できるようになる。

利用料は最初の2時間は無料。以後、1時間ごとに1.5元(約24円)程度課金され、最高では24時間で30元(約490円)となる。返却は、チェーン錠を車椅子につなぐだけ。

このシェアリング車椅子を運営する健租宝(ジエンズーバオ)によると、15台の車椅子は毎日3回以上利用されているという。

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スマホ決済アプリ「アリペイ」でQRコードをスキャンすると、ロックが解除され、車椅子を使うことができる。返却時間に応じて、自動的に料金が支払われる。

 

有償にしたことで、こまめに返却され、多くの人が利用できる

以前は無料で使えたものが、有料になる。ここに患者からの不満は出ていないのだろうか。北京協和医院によると、患者からは不満どころか大好評であるという。以前は無料だったので、例えば患者がなんらかの検査を受けるとき、ロビーから検査室まで車椅子を使う。そして、検査中は車椅子を近くに置きっ放しにすることが多かった。このため、利用効率が悪く、借りたくてもすべての車椅子が出払っている、一方で院内には、放置されている車椅子がたくさんあるという状態になっていた。

シェアリング車椅子になってからは、検査室に着くと、付添いの家族が車椅子を返しにいく。放置しておくと、料金がかかってしまうからだ。検査室から帰るときには、付添いの家族が再度車椅子を借りにいく。必要な時だけ使うようになり、利用効率が上がり、多くの人が必要なときに借りられるようになった。

健租宝によると、利用者のほぼ半数が2時間の無料時間内で返却をしているという。北京協和医院では、すでに50台を追加導入することを決めていて、病院内各所に設置し、さらに患者の利便性を高めたいという。

この試みが報道されると、他都市の病院も興味を示し、視察も相次いでいる。すでにいくつかの病院で、シェアリング車椅子の試験導入が始まっている。シェアリング車椅子は、中国の病院に広まっていくかもしれない。

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▲現在は試験運用中なので、スタッフが使い方などのガイドをしている。北京協和医院では、すでに50台の車椅子を追加導入し、本格運用することになっている。

 

存在感が薄れていたサムスンが欧、南米などで完全復活

日本、中国のスマートフォン市場からサムスンの存在感が薄れて久しい。しかし、世界全体でみると、サムスンのGalaxy S9は、アップルのiPhone 8iPhone Xと競うぐらい売れ始めている。いったい、世界のどこで売れているのか。調査会社Counterpointの調査によると、欧州や中東アフリカ、南米などでサムスンの強さが目立ち始めている。

 

「高いけど高性能」から「高いのにそこそこの性能」に

日本と中国のスマートフォン市場でのサムスンの存在感の低下が著しい。韓国の中央日報は「日中韓の国民は、自国の技術の方が優れているという自負心があり、お互いの製品を排斥する傾向がある」と論評しているが、韓国市場はそうなのかもしれないが、少なくとも日本と中国にそのような傾向はあったとしても微々たるもので、市場の統計数字にはほとんど影響しないレベルだ。

サムスンスマートフォンが売れない理由は単純で、サムスンは「高いけど高性能」のアップルと「手頃な価格でそこそこの性能」の中国ブランドの中間にポジションをとっているため、「手頃な価格で高性能」と消費者の目に映ることもあったが、ちょっとしたことで「高いけどそこそこの性能」になってしまう危険性があった。

それがアップルがiPhone XiPhone 8というヒットがでて、中国市場ではシャオミー、ファーウェイなど、日本ではファーウェイ、ソニーなどの追い上げが激しく、サムスンは居場所を失った。

日本でも中国でもサムスンの販売シェアはトップ10ランキングから圏外へ消え去っている。

 

世界全体では復権しているサムスン

ところが、Counterpointのスマホ販売調査「May 2018 : Global Top Selling Smartphones」によると、世界市場ではサムスンが完全復活をしている。

機種別売上で首位はiPhone 8であるものの、2位がGlaxy S9 Plusとなり、iPhone XやシャオミーRedmi 5Aを抑えている。

同じ調査の4月分では、Galaxy S9 PlusとS9が1位、2位を独占している。

日本と中国では、サムスンスマホを使っている人を見かけることも少なくなっているほどだが、世界的にはiPhoneよりも、あるいはiPhoneと同じくらい売れているのだ。

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▲Counterpointによる2018年5月のスマートフォン世界ランキング。サムスンが強い。4月分ではGalaxy S9と同Plusが1位、2位を占めていた。

 

拮抗するアジア圏

いったいサムスンはどこで売れているのか。

アジア地域での販売額シェアを見てみると、僅差でファーウェイが首位になっているものの、サムスン、アップルを含めて、主要ブランドは拮抗している。日本と中国で存在感の薄いサムスンも、東南アジアでは売れているためだ。

米国ではアップルが強く、サムスンも2位につけている。韓国のLG、中国のZTE、レノボがそれに続く。「高いけど高品質」の順にほぼシェアを握っている形だ。

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▲アジア圏ではどのブランドも拮抗している。しかし、日本と中国ではサムスンの存在感が薄れている。

 

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▲北米ではアップルが強いが、サムスンもよく売れている。

 

欧州では弱いアップル、強いサムスン

ところが、アジア、北米地域以外では様相が違ってくる。欧州ではサムスンが圧倒的に強い。HMDノキアの元幹部が経営する携帯電話メーカーで、現在はノキアブランドのスマートフォンの販売も行っている。欧州では、消費者保護のルールが厳しく、日本や米国の一部でも行われている「実質機種代ゼロ円プラン」のようなものがやりづらい。メーカーが販売店に対して、インセンティブ(販売助成金)を渡すことにも規制が強いので、割引販売もしづらい。そうなると、iPhoneはかなり高価な端末になってしまうのだ。その代わりに、「手頃な価格で高性能」に見えるサムスンが支持されている。

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▲欧州ではアップルよりもサムスンが強い。中国ブランドも浸透し始めている。

 

南米、中東、アフリカはサムスンが強い

南米、中東、アフリカでも事情は同じだ。極めて高価なアップルは嫌われ「手頃な価格で高性能」のサムスンが売れている。

日中市場では存在感が消えたサムスンだが、欧州、南米、中東、アフリカといった地域ではまだまだ輝いている。

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▲南米ではサムスンが強く、アップルが弱い。

 

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▲中東、アフリカではサムスンが圧倒的に強い。

 

サムスンのライバルはアップルではなく中国ブランド

しかし、これは以前の日中市場とやや似ている。中国市場では「iPhoneは高いから」という理由でサムスンを選ぶ人が多かった。機種代ゼロ円が当たり前の日本市場では「iPhoneという独自OSよりは、Androidがいい」という人たちがサムスンを選んでいた。しかし、以前サムスンを選んでいた人たちが、より安く性能が向上してきたファーウェイ、シャオミーなどの中国ブランドに移動している。

南米、中東、アフリカでもいずれ、中国ブランドが浸透してくれば、サムスンの存在感は低下していくことになるかもしれない。

サムスンはブランド戦略として、アップルを強く意識している。それは、アップルのライバルであることを広く知らしめ、「手頃な価格で、アップルと同じ高品質」であることを強調したいのだと思われる。このマーケティング戦略は間違っていないと思うが、サムスンが本気で警戒しなければならないのは、ファーウェイやシャオミーなのだ。この10年、勢いのあった韓国電子産業も大きな曲がり角を迎えている。


Samsung Galaxy: Growing Up

サムスンが公開したアップルに対する比較広告。「iPhoneでダメなところも、Galaxyなら大丈夫」というものだが、むしろiPhoneユーザーに受けている。iPhoneユーザーにとっては「あるある」の指摘ばかりなのだ。最後に登場するiPhone X発売の行列に並ぶ男性の髪型にご注目。

 


Samsung Galaxy: Moving On

▲同じく比較広告の続編。前編ほどの切れ味はなくなっている。サムスンはアップルを意識して、ライバル関係にあると印象づける戦略をとっているが、本当に警戒しなければならないのは、シャオミーやファーウェイの中国ブランドだ。

 

杭州市から渋滞が消えた!人工知能が交通信号を制御する

浙江省杭州市も渋滞の厳しい街だった。古都であるため、片側一車線という狭い道が多い。そのため、ちょっとした渋滞が瞬時に波及して、市全体の交通が麻痺状態になることがたびたび起こっていた。2012年以前は地下鉄がなく、公共交通はバスのみだったため、都市が抱える最大の課題になっていた。そこで、2017年「ET都市ブレイン」を導入して、人工知能が動的に交通信号を制御するようにしたところ、渋滞が嘘のように消え去ったと上遊新聞が報じた。

 

静かな古都が戻ってきた

浙江省杭州市から交通渋滞が消えた。渋滞はもはや中国都市の風物詩。多くの都市では、ナンバー末尾による市内流入規制をしているが、それでも慢性的な渋滞が当たり前で、ひとたび交通事故でも起これば、その渋滞があっという間に市内全域に波及する。

風光明媚な観光都杭州市も昨年まではそうだった。特に2012年までは地下鉄がなかったので、市民はバスかタクシーを利用するしかなく、市内移動に時間がかかっていた。

ところが、2017年アリクラウドが開発した「ET都市ブレイン」の導入以降、激しい渋滞がほとんど起こらなくなった。クラクションの洪水がなくなり、文人墨客が愛した静かな西湖湖畔の街が戻ってきた。

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▲ET都市ブレインのデモ画面。交通監視カメラの映像がクラウドで一元処理される。


ET大脑详情页 城市大脑

▲アリクラウドの公式プロモーションビデオ。ET都市ブレインの機能がまとめられている。

 

中心部の渋滞ポイントから渋滞が消えた

上遊新聞の記者は、杭州市でタクシー運転手を15年している王先進運転手に取材をした。「私がタクシー運転手を始めた頃、杭州は渋滞の街になりました。生活がよくなり、みな車を持つようになり、車の数が一気に増えたからです。でも、昨年から渋滞が起こらなくなりました」。

王運転手は、最も渋滞のひどい「渋滞王」として莫干山路をあげる。毎日仕事で少なくても2、3回は通り、いつもひどい渋滞に悩まされるので、時間によっては乗車を断ることもあるほどだという。「それがなくなりました。なんでも、都市ブレインのおかげだとは聞いていますが、どうしてそれで渋滞がなくなるのかはよく知りません」。

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▲ある日の昼時の杭州市の渋滞状況。赤い部分が停止をしている車が存在するところ。渋滞がゼロになっているわけではないが、信号待ち、合流待ちがある程度で、渋滞列が波及している様子はない。

 

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▲同じ日、同じ時間の北京市の渋滞状況。信号待ち渋滞が他の道路まで波及をし、街全体に渋滞が蔓延していることがわかる。

 

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▲同じ日、同じ時間の上海市の渋滞状況。やはり渋滞が蔓延している。杭州市と北京、上海では街の規模が異なるので、単純比較はできないものの、杭州市の渋滞はほぼ解消していると、杭州市市民は実感している。

 

22kmの高架道路で平均4.6分の短縮

2017年7月、杭州市は「ET都市ブレイン」を試験導入を始めた。アリクラウドの技術部門責任者によると、試験運用は最も渋滞のひどい莫干山路と中河・上塘の高架道路付近に設定をした。渋滞のひどい地域ほど要求が高いし、導入効果も測定しやすいからだ。

この地域には32カ所の交差点があり、高架道路は約22km、入り口ランプが21カ所、出口ランプが20カ所ある。

導入後すぐに効果は現れた。高架道路の渋滞は15.3%減り、平均して通過時間が4.6分短くなった。莫干山路では渋滞が8.5%減り、通過時間は約1分短くなった。

 

平均速度も20%近く上昇

ET都市ブレインが導入されたもうひとつの地域が蕭山区だ。この地域には国際空港や新開発されたビジネスパークなどがあり、街並みは計画的で整然としている。導入された地域は約66平方kmで、交通信号が208カ所、交通監視カメラが1447個あり、毎日58テラバイトの画像が保存される。

ET都市ブレインは、交通量を把握し、それに合わせて交通信号の点滅を制御する。単に通行量の多い方向の信号を青にするのではなく、機械学習により、地域全体の車の平均速度を高め、平均通過時間を短くなるように信号を制御する。

こちらも導入効果は明らかだった。市心路、通恵路の平均速度は18%上昇し、育才路の平均速度は20%以上あがった。

 


交通事故を自動判別、緊急車両通過信号はオールグリーン

また、交通事故が発生した場合は、停車している自動車、それを避ける自動車の動きから事故の種別、被害度を自動算定、交通警察や救急救命隊に自動的に情報を送信する。また、緊急車両の走行ルートは、一時的にすべての信号が青になるように制御する。

すでに100回以上の実地演習を行っているが、その結果によると、緊急車両の平均速度は50%上昇し、到着までの時間は15分以上短縮し、以前の半分以下の時間で到着できるようになった。

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▲交通事故を自動判別し、事故の種類、被害度を推定。左2台の車が停止をして(赤枠)、その他の車(白枠)が2台を避けるように車線変更をしていることから、追突事故であることを認識。画像解析から、人的被害の度合いを推定し、緊急車両に情報を送信する。

 

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▲緊急車両が通過する道路は、車両の動きに合わせて、信号を次々と青にしていく。現場到達時間は従来の半分程度になった。

 

交通違反も自動判別

杭州市には約3600カ所に交通監視カメラがあり、これを交通警察の1チームが300個から400個を担当して、交通事故と交通違反の監視を行っている。交通違反は監視カメラで認識し、ナンバーを読み取り、違反切符を所有者に送付する。

この仕事をET都市ブレインが担い、事故や違反を人工知能が確認すると、それを交通警察官が確認するようになった。ET都市ブレインは、カメラの監視映像16時間分を1分間で解析ができるという。

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▲ET都市ブレインのデモ画面。交通事故が自動判別され、最短で到着できる緊急車両が自動配車される。緊急車両の通過道路の交通信号は全青になるように制御される。

 

学習データを他都市に水平展開する

杭州市ではET都市ブレインの導入を5年計画で進めている。今後、交通だけでなく、治安、医療、旅行、環境などの分野でもET都市ブレインが活躍することになる。ET都市ブレインは、すでに蘇州市でも採用されていて、他都市でも導入計画が検討されている。杭州市で運用中に、人工知能が学習したデータは、そのまま他都市にも流用できる部分が多いという。

杭州市の導入事例が成功すれば、今後、中国の各都市に導入されていき、「中国の渋滞」は、記録映画の中でしか見られない過去のものになるかもしれない。