中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

万引きし放題だった無人コンビニWell Goが、2.0になってリベンジ

今年夏、深圳市に開店した無人コンビニ「Well Go」は、メディアから酷評された。すべてが杜撰で、消費者にサービスを提供するレベルに達していないと評されてしまったのだ。そのWell Goが、2.0になって再オープンした。その実力はいかに。雷峰網が取材した。

 

中国スタートアップの評価が二極化する理由

中国のスタートアップに対する評価は人によってまったく違う。「素晴らしい、学ぶべきことがたくさんある」という人もいれば、「あいつら、デタラメ。ビジネスってレベルじゃない」という人もいる。なぜ、そのように見方が分かれるのか、理由は単純だ。

中国のスタートアップには、「やってみなければわからないことを考えているよりも、まずやってみよう」という感覚がある。そのため、ビジネス設計が不十分のまま、事業をスタートさせてしまうことが多い。当然、しっちゃかめっちゃかの状態になる。そして、多くのスタートアップはそのまま空中分解をしてしまう。ここを見れば、「あいつら、デタラメ」になる。

しかし、そのカオスの中で、問題点をひとつひとつ解消して、形を成していくスタートアップもあり、そのような企業が、ユニコーン企業となったり、株式公開に成功をすることになる。ここを見れば、「素晴らしい。学ぶべきことがたくさんある」になる。

これは、中国だけのことではない。「まずやってみる」は、米国でも日本でもスタートアップの基本だ。シリコンバレーにも「ビルドファースト、メンドレイター」(先に作って、後から直す)という言葉がある。

 

万引きし放題のダメダメ無人コンビニだったWell Go

今年夏に深圳市で開業した無人コンビニWell Goは、各メディアから酷評された。商品の品揃え設計が合理的でないために、補充がうまくいかず、品切れ商品が多い。レジで同じ商品を精算しても、精算するたびに合計金額が違ってくる。商品そのもの価格が、有人コンビニよりも高い。きわめつけは、風で自動ドアが閉まらないので、商品を万引きし放題。あまりにもずさんすぎると、消費者からもメディアからも酷評されることになった。

しかし、それから3ヶ月半。無人コンビニWell Goは、Well Go 2.0として帰ってきた。その実力はいかに。各メディアが早速体験記を掲載している。

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入口と出口を分離して、万引き問題を解決

Well Goを運営する天虹は、なかなか強気だ。酷評されたWell Go 1号店は、深圳市の天虹本社ビルの1階に設置された。Well Go 2.0は、その1号店を撤去して、まったく同じ場所でオープンしたのだ。

最も大きく改善されたのが、入口と出口を別にしたことだ。以前は、出入り口が共通だったため、精算をしていない人であっても、誰かが外から入ってきたら、その隙に商品を持って外に出てしまうことができた。2.0では、出入口は一方通行となり、精算をしなければドアが開かない。もちろん、風で閉まらない問題も改善されていた。

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▲大失敗だったWell Go1号店と同じ場所に再オープンしたWell Go 2.0。内部は、さまざまな改善がされ、Well Go2.0に対しては、どのメディアもおおむね好評な記事を掲載している。

 

ニーズを分析し、1日5回の食事時間に合わせて計画配送

さらに大きく変わったのが、品揃えだ。無人コンビニの場合、人手をかけないために、足の速い生鮮食料品、おにぎり、サンドイッチ、生菓子といったものを置かないケースが多い。このような商品を扱うには、配送回数を増やし、消費期限がくる前に古い商品を棚から撤去する必要がある。

配送回数を増やし、店内作業をするのであれば、無人にする意味がなくなる。店員が常駐をすればいいじゃないかということになってしまう。

Well Go 2.0では、過去の売り上げ分析から、消費者は1日5回食事をとることを発見した。朝方、昼、午後、夕方、深夜だ。この時間に合わせて、品揃えを適切なものに変えながら、配送計画と陳列計画を立てる。そのため、人的コストを上昇させずに、同時に、時間帯に合わせて適切な品揃えを実現している。

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無人コンビニには珍しく、消費期限の短いサンドイッチや生菓子なども置いている。食事時間に合わせて計画配送することで、人的コストを上げずに、その時間に最適な商品を陳列できるようにした。

 

無線タグだけでなく、画像解析も併用して、精度を上げる

また、レジの誤認識問題も改善された。従来は商品に付けられたRFID無線タグの情報のみに頼っていたが、画像解析も併用することで、精算ミスを減らしている。同時に、店内にもカメラを設置し、利用客から顧客センターに問い合わせがあった場合も、映像からすぐに状況を把握できるようになった。

また、入り口での認証もWeChatペイのQRコードで行う方式だったが、すでに顔認証の技術を確立しており、順次、顔認証システムを導入していく。

 

コンビニ運営ではなく、技術開発にビジネスをシフト

また、天虹のプロジェクト責任者によると、ビジネスデザインを大きく変え、無人コンビニの運営ではなく、無人コンビニ技術を確立して、その技術を販売するという方向に大きく舵を取ったのだという。つまり、現在のWell Go店舗は、利益を上げるための店舗ではなく、実験をするための研究店舗ということになる。現在、Well Goは深圳市に3店舗が開業している。当面は、店舗数を増やさずに、データを集め、システムを改善していくことに集中する。

「Well Goでは、万引きが多発した。だから、人がどのようにして万引きをするかは、Well Goが最も詳細なデータを持っている」と、本気か冗談かわからない評をするメディアもある。しかし、それもまた事実。マイナスの経験をプラスに転化できるかどうかが、Well Goに問われている。

 

32年前に借りた食事代を返したジャック・マー

アリババの会長ジャック・マーは、オーストラリアのニューカッスル大学に個人資産から2000万ドルを寄付し、「マー・モーリー奨学金」を設立した。それは、マーが32年前、オーストラリを訪れた時に借りた食事代200元を返したものだと今日頭条が伝えた。

 

ホラを次々と実現していくジャック・マー

アリババのリーダー、ジャック・マーは、今、最も乗っている経営者だ。「銀行を変える」「Amazon Goより先に無人スーパーを開店する」「顔パスで利用できるレストランを開店する」「スマホも使わない決済社会を実現する」といった宣言を次々とし、世間からは「ジャック・マーはホラ吹き」と嘲笑された。しかし、この5年で、そのすべてを実現して、多くの中国人を驚かせた。

そのジャック・マーは、2000万ドル(約22億7000万年)の個人資金を供出して、オーストラリアニューカッスル大学に「マー・モーリー奨学金」を設立した。ニューカッスル大学開学以来最大の寄付金になるという。

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▲再会した現在のジャック・マーとデビッド・モーリー。32年前に借りた食事代の200元が、2000万ドルの奨学金資金となって返ってきた。

 

自転車で英会話の練習相手を探し回ったマー少年

1980年、中国はオーストラリアの訪中団を迎えた。訪中団は、中国各都市を回り、16歳のジャック・マー少年が暮らしていた杭州市にもやってきた。この訪中団の中に、エンジニアであるケン・モーリー氏がいて、彼が3人の子どもを帯同していた。

訪中団が杭州市を訪れたことを知ったマー少年は、自分の英語力を高めるために、どうにかして本場のオーストラリア人と話をしようと、風光明媚な西湖のあたりを自転車でうろついていた。

その時、偶然モーリー一家と出会ったのだ。マーは、躊躇なく英語で話しかけた。「こんにちは、僕はジャック・マーといいます。英語を学び始めたばかりです。友達になってくれませんか?」。

モーリー氏の息子であるデビッドがすぐに答えた。「こんにちは、僕はデビッド。こっちはお父さんのケン。友達になれて嬉しいよ!」。

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▲西湖で初めて会ったジャック・マーとデビッド・モーリー。16歳のジャック・マーは、ボロボロの自転車で英会話の練習をさせてくれる外国人を探していた。

 

長い交際が始まるジャック・マーとモーリー一家

父親のケン・モーリー氏は、まだ経済発展をする前の中国で、英語を学ぶためにボロボロの自転車で外国人を探しているジャック・マー少年の情熱に打たれた。息子のデビッドは、まったく文化の違う東洋の国に友達ができたことを喜んだ。

それから、ジャック・マーとモーリー家の友達づきあいが始まった。ジャック・マーとデビッド・モーリーは、頻繁に英語の手紙をやり取りするようになった。

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▲ジャック・マーが学生時代に、デビッド・モーリーに書いた手紙。ジャック・マーは、自分の目を世界に向けて開かせてくれたモーリー一家と生涯にわたる友情を育んだ。

 

海外を見たい。戦うジャック・マー、支援するケン・モーリー

5年後の1985年、ジャック・マーは進学した杭州師範大学で、学生の主席に選ばれ、杭州市の学生連合の主席にも選ばれた。ジャック・マーは海外に行き、世界の最先端都市を自分の目で見たいと願ったが、当時の中国では、ただの学生がパスポートを取得することは不可能に近かった。

そのことをデビッドの手紙に書くと、父親のケンは励ました。「諦めるな、挑戦してみようよ」。

その言葉に励まされて、ジャック・マーは、旅費を親戚から借りて、パスポートを取得しようとした。しかし、親戚はお金を貸すのを断った。当時の旅費は、中国人の財力から見ると、とんでもなく高額に映ったのだ。役所ももちろんパスポートの発行を拒絶した。

 

8回目の挑戦で、ようやく降りたパスポート

ジャック・マーは、パスポート取得を中央政府に直接訴えるため、北京にいき、窓のない地下室に泊まり、役所に通い詰めた。その時、オーストラリアでは、ケン・モーリーが駐中国のオーストラリア大使館に連絡を取り、ジャック・マーにビザを発行するように運動をしていた。

しかし、相変わらず、パスポートは降りない。ジャック・マーは北京の滞在費もなくなり、諦めて杭州市に帰らざるを得なくなった。しかし、帰る前にもう一度だけ、役所に行ってみようと思った。

「僕はもう7回もパスポート申請を拒否されている。せめて、その理由だけでも教えてくれませんか?」。そして、昔、西湖のほとりで友人になったモーリー一家のことを話し、今でも手紙をやり取りしていて、その友人に会いにいきたいのだと懇願した。その役人は、ジャック・マーの情熱に感じるところがあったのか、オーストラリア大使館に連絡をしてみると、確かにケン・モーリー氏が、ジャック・マーのビザ申請に助力してほしいと連絡してきているということが判明した。

「あと3日、北京で待つことはできない?」

「無理です。もうお金がまったくありません」

「そうか。じゃあ、30分なら待てるかな?」

そういうやり取りがあって、中国政府は、ジャック・マーに対するパスポートを発行した。

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シドニーを観光するジャック・マー。この始めての海外体験が、ジャック・マーの考え方を大きく変えた。

 

モーリー一家と再会するジャック・マー。食事代200元を借りる

ジャック・マーのオーストラリ旅行が実現した。しかし、持っていけるお金はたった100ドル。ジャック・マーにとって、もちろん初めての海外体験だった。オーストラリでモーリー一家と再会した。ケン・モーリーとデビッド・モーリー親子は大興奮をし、ジャック・マーにオーストラリの料理をご馳走した。しかし、お金のないジャック・マーには自分の分を出すことができない。ご馳走するのだからお金のことは気にしないでいいよというケン・モーリーに対して、ジャック・マーは「では、貸しておいてください。いつかきっと、食事代の200元をお返しします」と答えた。

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▲8回目の申請でパスポートを取得して、オーストラリアのニューカッスルを訪問した21歳のジャック・マーとモーリー親子。当時の中国で、パスポートを取得するのはきわめて難しいことだった。

 

自分の頭で考え、自分で決断をする中国人

ジャック・マーは後年こう語っている。「オーストラリアが僕を変えた。自分のことは、自分の頭で考え、自分で決断しなければいけないということがわかったのです。」。

今年、ジャック・マーは、3度目のオーストラリア旅行をし、デビッド・モーリーと再会した。父親のケン・モーリーはすでに10年前に他界をしていた。ジャック・マーはあの時借りた200元を返そうとした。そして、デビッド・モーリーと相談をして、地元のニューカッスル大学の奨学金にすることにした。32年前に借りた200元は、多少の利息がついて2000万ドルになっていた。

ジャック・マーは、もしあの時、西湖でモーリー一家が友達になってくれなければ、自分は海外に目を向けることもなく、あの当時の中国では簡単に海外に行くこともできなかっただろう、ケン・モーリーが僕の人生を開いてくれたのだと語っている。

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中国の富二代知名度ランキング

富豪の子女は、中国では「富二代」と呼ばれる。中には経済力に甘えて遊びまわっているだけの富二代もいるが、一方で、自分でも努力をし、親を越えようとしている人もいる。今日頭条は、その富二代中でも知名度の高い4人を紹介している。

 

中国の上級国民=富二代

日本でも最近、冗談交じりに「上級国民」という言い方があちこちで使われるようになっている。富裕層の家庭に生まれ、豊かな経済力と多彩な人脈を生かして、人生をイージーモードで生きているという嫉妬と批判が込められた言葉だ。

中国でも同じような意味で「富二代」という言葉がある。富裕層の子弟のことで、生まれながらにして人生が約束されている人という意味だ。

しかし、中国では「富二代」は、2つのクラスターに分かれている。ひとつは、侮蔑の対象で、もうひとつは憧れの対象だ。

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▲ダメな富二代の例。高級車で交通事故を起こした富二代が、中国のメディアではたびたび報道される。

 

恵まれていても、それ以上に努力をする富二代が庶民から評価される

侮蔑の対象となる富二代は、富裕層の子弟に生まれたのに、努力をせず、遊びまわっている人たち。よく、高級車を乗り回し、事故を起こしている映像や写真が報道されている。

一方で、憧れの対象となるのは、親を上回る努力をし、親の財力と人脈を活かして、さらに豊かになっているような富二代。

日本では、親の財力や人脈を利用するのは、ともすると不公平というような目で見られることがあるが、中国ではそのような感覚は薄い。「あるものは利用すればいい。むしろ、利用しないのは愚かなこと」という感覚がある。

もうひとつは、大学受験が、科挙の伝統もあって、暗記物中心の受験勉強であることも大きい。暗記物は、確かに「頭のよさ」を問うものではないかも知れないが、努力をしなければ高得点が取れない。一方で、頭のよさを問う応用問題は、出題者がいかに工夫をしても、パターンを分析されたり、攻略法が開発されたりする。受験産業がこのような分析を行うので、それをお金で買えば、要領よく攻略できる。

つまり、暗記物中心の試験というのは、親の経済力でなんとかできる部分が少なく、本人の努力を測定することができるのだ。

名門校に進学をした富二代は、少なくても大学入試に関しては、本人が努力をしたということになる。中国の人は、そこは素直に認めるのだ。

 

第4位:劉亦菲(りゅう・えきひ)

父親は大学教授だったが、母がある富豪と再婚したため、富二代となった。父親が中国富豪番付27位の北京通産出資集団の会長。本人は、エンターテイメントコンテンツを供給する事業を行っていて、国内の映画からハリウッド映画までを扱っている。

父親からビジネス上のアドバイスはしてもらっているが、人的支援、経済的支援は受けてなく、本人の力で現在のビジネスを確立したことが多くの人から評価されている。

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第3位:王思聡(おう・しそう)

父親がアジアでも有数の富豪である王健林。その一人っ子であるため、「銀の匙をくわえて生まれてきた」というフレーズをもじって、「金の匙をくわえて生まれてきた」と言われる。すでに中国の大手映画館チェーン「ワンダ・シネマ・ライン」の1000万株をもつ大株主。

ウェイボーで大胆な発言をすることでも有名。

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第2位:楊成瑞(よう・せいずい)

父親が石炭関係の会社の社長であるということ以外、家族については本人も語らず、謎に包まれている。本人は、歌が好きで、歌手として活躍している。ステージ衣装として、高級ブランドの服や装飾品を使うことで有名。

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第1位:柳青(りゅう・せい)

北京大学コンピューター学部を2000年に卒業し、その後、ハーバード大学に留学。現在、ライドシェア、タクシーサービスの滴滴出行の総裁を勤めている。「富二代でありながら、本人も努力している人」として、多くの若者から支持を集めている。父親は「中国のITの父」と呼ばれるレノボの柳伝志董事局主席。親子ともども、中国のIT界のキーパーソンとなっている。

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送電線監視のドローンは、鉄塔に「巣」を作り、そこで充電する

中国では、送電線鉄塔の故障発見の巡回監視にドローンが使われるのが当たり前になってきている。人工知能による解析を取り入れるのはもちろん、鉄塔に巣を作り、そこで充電する技術開発が進められていると36クリプトンが報じた。

 

電気とテレビは隅々まで普及している中国

中国は、政策として、過疎地の隅々まで衛星放送を普及させている。プロパガンダを含め、中央の情報を伝えるためだ。それに伴い、電力も隅々まで供給されている。場所によっては独自に小型の水力発電所などを設置することもあるが、多くは大型の火力発電所などから供給をしている。そのため、送電線の総延長が約118万kmに達していて、これは世界一位だ。日本は、約1.4万kmなのでまさに桁違いだ。

しかし、その80%から90%は、人を寄せ付けない山地の中にかけられている。そのため、メンテナンスに莫大なコストがかかってしまう。もし、月に1回、監視員が鉄塔を巡視するとすると、全体でのコストは年200億元(約3400億円)を超えるという。

そのため、早くからドローンによる自動監視が行われてきた。

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2011年からドローン監視を始めているエアウィング社

中国の電力会社から最も多く採用されているのが、北京市のエアウィング社製の無人機、ドローンだ。充電式で、30分から90分の飛行が可能で、高解像カメラだけでなく、赤外線やレーザーなども搭載し、さまざまな情報を取得する。取得したデータは、自動的に解析され、問題点を自動抽出する仕組みだ。

エアウィング社は、2009年創立、2010年から国家電網北京超電圧と共同で、ドローン及び解析ソフトウェアの研究開発を始め、2011年には河北省、山西省チベットで、試験運用を始めた。その後、各地の送電企業と共同し、現在では20の省で、鉄塔の巡回監視に使用され、年の売り上げは2000万元(約3億4000万円)に達している。

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▲ドローンが鉄塔を高解像度撮影し、これを解析することでボルトの緩みなどを発見する。現在は、人による目視、簡単な画像解析で行っているが、深層学習で自動発見する技術を開発中だ。

 

鉄塔に巣を作り、そこを基地とする

エアウィング社の巡回監視ドローンは、さらに進化を続けている。ひとつは深層学習の採用だ。鉄塔のボルト緩みなどの物理的な問題点は、自動の画像解析ではなかなか発見しづらく、人間の目視に頼っている部分がまだ大きい。これを画像を深層学習させることで、人工知能に自動検出させようというものだ。これはすでに学習が進み、近々試験運用を経て、実用化の段階に進めるという。

もうひとつは、鉄塔に「巣」を設置する技術開発を行っている。ドローンを基地から発進させた場合、鉄塔までの往復の飛行が無駄になる。そこで、鉄塔自体に「巣」を作り、そこに帰還をさせ、発進させる。巣では自動的に充電が行われるというものだ。鉄塔に発進基地を設置すること自体は難しくないものの、自動的に充電を開始させることに技術的な課題が残されており、現在研究開発中であるという。

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▲RX-400。最高速度時速54km。幅1.1m。航続時間60分。

 

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▲エアウィングRX-600。最高速度時速54km。幅90cm。航続時間30分。

 

人よりも効率的、人よりも正確

人間が鉄塔巡視を行なった場合、山岳地帯では危険もあるため、2人一組で行動するのが基本になるという。それで、2つの鉄塔を巡視するのが限界。また、鉄塔上部の目視監視は、双眼鏡などで行うため、どうしても見落としが生まれる。

一方で、ドローン監視は、1日に20程度の鉄塔の検査を行うことができ、見落とし率は人間の1/20であるという。強風、強雨、急激な天候悪化で、ドローンが故障してロストすることもないわけではないが、鉄塔が設置されるような無人地帯では、人的被害を与えることもない。送電線鉄塔の巡視は、ほぼすべてがドローン監視になっていくと見られている。

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▲飛行機型の無人機FE-200。最高速度時速100km。幅1.6m。航続時間70分。

 

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無人機FE-300。最高速度時速100km。幅2.1m。航続時間100分。

 

 

 

電子決済は、経済を血液サラサラ体質に変える

電子決済は、便利、効率的というだけでなく、消費者の消費マインドを刺激し、個人消費経済が円滑に回すようになるというメリットがある。中国で、今、クレーンゲームビジネスが伸びているが、これもスマホ決済の影響が大きいと36クリプトンが報じた。

 

毎年50%成長しているクレーンゲームビジネス

通貨は、経済の血液に例えられることがある。電子決済が普及をするということは、消費が円滑になり、経済が血液サラサラ体質になるということだ。アリペイ、WeChatペイのスマホ決済が普及をした中国では、この血液サラサラ体質が効いて、あらゆるビジネスに新たな可能性が生まれている。

例えば、ぬいぐるみやフィギュアなどをクレーンでつかむクレーンゲームは、現在の日本のゲームセンターでも稼ぎ頭で、平成25年度の売上は1886億円、設置台数14.7万台となっている。しかし、ここ10年は、ぬいぐるみやフィギュアの人気により上下をしながら、減少していく傾向が続いている。

一方で、中国は2013年ごろからクレーンゲームが設置されるようになり、毎年50%成長をし、現在は全国で200万台を超えているという。ゲームセンターという施設がほとんどない中国では、クレーンゲームは、地下鉄の地下通路、ショッピングセンター、大型レストラン、公園の入り口、映画館など、人通りの多いところであれば、どこにでも置かれている。

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▲先玩后付機能のついたクレーンゲーム。スマホ決済のQRコードをかざして遊ぶ。ゲーム機の中にも、硬貨投入口がないものが増えていっている。

 

スマホから遊んで、景品は宅配

なぜ、中国のクレーンゲームは好調なのか。答えは、スマホ決済対応とネットワーク化にある。

歓楽抓娃娃、天天抓娃娃の2社は、ネットワーク対応のクレーンゲームを提供しているスタートアップだ。リアルなクレーンゲーム機を、人通りの多いところに設置をし、そこで遊ぶこともできるが、スマホアプリを通じて、遠隔地からクレーンゲームを楽しむこともできる。

アプリを起動すると、ぬいぐるみなどの景品の一覧が表示され、自分の欲しい景品を選ぶと、遠隔地のクレーンゲームに接続される。クレーンの操作タイミングがずれると、操作感が悪くなるので、回線状況も考慮して、適切なクレーンゲームに接続するようになっていて、遅延は平均76ミリ秒に抑えられている。

景品を取った場合、ネットから遊んだ場合は、クレーンゲームの回収ボックスに自動的に落ちるようになっていて、利用者には宅配便で景品が送られる。

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スマホからクレーンゲームを遊ぶには、先に、自分の撮りたい景品を選ぶ。すると、待ち時間の少ない空いているクレーンゲームに自動的に接続される。


スマホからなら24時間遊べて、場所を問わない

現在、このネット経由の利用が好調だ。クレーンゲームをショッピングモールなどに設置した場合、営業時間はショッピングモールの営業時間に制限を受けざるを得ない。しかし、クレーンゲームだけは、24時間営業が可能だ。昼の人通りが多い時はリアルのお客、夜の人通りの少ない時はネットからのお客を受け入れることができる。また、人通りがあまりない不利な場所でも、ネットからの利用で、売り上げを立てることができる。中には、従来のクレーンゲームの5倍以上の売り上げを上げているケースもあるという。

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▲実際のクレーンゲームの映像を見ながらプレイする。操作の遅延が起きないように工夫をされている。

 

先に体験させ、後から請求

また、遊戯具メーカー数娯科技は、スマホ決済に対応しただけでなく、先玩后付(先に遊んで、あとで払う)機能をつけたクレーンゲーム機の販売を始めている。

中国の都市住民の多くは、現在、ほとんどの支出をスマホ決済を利用し、現金はほとんど使わなくなっている。これは、特定個人の支出状況がデータとして取得できるということだ。これを利用して、アリペイを運営するアリババと、その子会社であるアントフィナンシャルは、芝麻信用という社会信用スコアを算出するサービスを行っている。アリペイの支出状況、残高などの行動履歴、そもそもの社会信用度などを勘案して、個人の信用スコアを計算するサービスだ。これに基づいて、サービス提供企業は、高スコアの利用者にさまざまな優待を提供している。

数娯科技のクレーンゲームの場合、信用スコアに基づいて、50元(約850円)または100元(約1700円)の利用枠が与えられる。スマホをかざして、クレーンゲームを遊んでも、プレイ代が累積で50元または100元に達しないと、料金が引き落とされないというものだ。言い換えれば、49元まで、または99元まで遊んで、その後遊ばなければ、無料でクレーンゲームが楽しめることになる。

数娯科技では、先玩后付機能を搭載したことにより、通常よりも売り上げが30%以上は伸びたという。

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▲先玩后付の機能。50元の枠があれば、50元遊ばないとお金は引き落とされない。49元までは無料で遊べる。現金社会で、同じことをするのは難しい。電子決済社会では、このような消費刺激策が可能になる。

 

「お試し無料」はリアルの世界でも通用する

人は、新しいゲーム機を見かけた時、なかなか試してみようとは思えないものだ。しかし、数回であれば無料、しかもうまく景品が取れたら持って帰れるとなると、多くの人が「お試し」感覚で、遊んでみる。遊んでみて面白ければ、お金を払ってでもやってみようと思えるようになる。しかし、現金社会で、このような先玩后付サービスを提供することは難しい。このような工夫が簡単にできることが消費を刺激し、ビジネスを回していくことになっている。まさに、電子決済の血液サラサラ効果だ。

さらに、スマホ決済を利用して遊ぶということは、その人の属性もデータとして収集できる。どのような人が、どのような景品であれば遊ぼうと考えるのか、それを分析することで、さらにニーズの高い景品を揃えていくことができるようになる。

数娯科技のクレーンゲームは、現在29省、128都市に約1000台程度が導入されている段階だが、この先玩后付機能をプロモーションして、一気に広げていきたいとしている。すでに、月に3000台から4000台を生産できる設備が準備済みだという。

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独身の日セールから1週間。疲弊する宅配便配達員の1日

大盛り上がりだったECサイトのセール「独身の日」。この日1日だけで、10億件を超える宅配便が発送されたという。宅配便の配達員は、一年で最も忙しい日を迎える。今日頭条に、配達員の一日を密着したレポートが投稿された。

 

今年30歳になる郝路軍(かく・ろぐん)は、山西省晋城市の郵政宅配便の配達員だ。炭鉱で5年働いた後、郵政の宅配便配達員となった。11月11日、郝路軍の一年で最もハードな日が始まった。

 

朝6時、まだ薄暗い中、郝路軍は起床して、手早く朝食を済ます。6時40分には、出社をし、1日の仕事が始まる。

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郵政の配送車が到着すると、配達員が群がって、自分の受け持ち地区の荷物を受け取っていく。郝路軍は言う。「この仕分けがいちばん重要な仕事です。荷物を受け取りながら、どの地区に何軒の荷物があるのかを把握し、頭の中で、最も効率のいい巡回ルートを描き出します。それに従って、後で届ける荷物は下に、先に届ける荷物を上に積んでいかなければならないのです」。

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積んだ荷物はすべてQRコードを読み込み、コンピューターに登録をしなければならない。8時、ようやく準備が終わる。この日、郝路軍は午前中に126件の配達をしなければならない。これは普段であれば、1日の仕事量だ。郝路軍はすでに焦り始めている。

9時半、郝路軍は路肩に三輪車を止め、配達先の家庭に電話を入れる。不在の家に届けるのは無駄な時間を取られるので、在宅であることを確かめてから配達するのだ。「時は金なりです。毎日100件から200件の宅配便を配達します。1つの荷物で1分余計に時間を使うと、1日で、1時間、2時間の無駄な時間になってしまうのです」。

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不在であっても電話に出てくれば、郝路軍は大いに助かるという。「相手の了解を得た上で、ドアの前に置くということができるからです。不在であって電話にも出ないとなると、持ち帰り、翌日再配達をするしかありません」。

 

11時、いよいよ郝路軍の受け持ち地区で、最も難関な地区に差し掛かった。5階建ほどのマンションが並ぶが、古い建物であるため、エレベーターがないのだ。まず下から電話をかけて、在宅であることを確かめてから、荷物を持って階段を登る。息が上がって、郝路軍の1日分のヒットポイントは、ここでほとんど残りがなくなる。

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宅配便は、なぜかこういった建物の4階、5階宛のものが多い。そこに住んでいる人も、重い荷物を自分で買ってきて、階段を上るのが嫌なので、ECサイトに注文するのだ。100件の荷物が、平均3階だとすると、郝路軍は1日で300階を登って、300階を降りることになる。

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12時50分。まだ数十件の配達が残っているが、朝食を食べた時間が早く、水しか飲んでいないので、昼食をとることにする。配送センターでは昼食を支給してくれるが、センターまで戻る時間がもったいない。そこで、近所の料理店に入り、麺を食べる。

郝路軍はびっくりするほどの早食いだ。なぜなら、午後2時をすぎると、配達の効率がぐっと下がってしまうからだ。この辺りの家庭では、遅い昼食を食べた後、午後2時頃から昼寝をする家庭が多い。昼寝中は、出てきてくれないし、電話をしても出てくれない。たまたま出てくれても、文句を言われることもある。

配達員としてはできれば避けたい時間帯だ。いつもであれば、昼食をとってから1時間ほどは休憩する。しかし、今日は昼食の時間が遅れたこともあり、休みを取らずに、残りの配達を始めた。

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午後2時30分、残りの配達を終えて、いったんセンターに戻った。しかし、郝路軍には休憩する時間はなかった。なぜなら、もう午後の配送車が到着しているからだ。午前と同じように、配達員が群がって、自分の受け持ち地区の荷物を仕分けしていく。郝路軍は、午後分として100件の荷物を受け取った。

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午後4時、郝路軍はようやく配達の準備が終わり、配達に出かける。通常時の退社時間である午後6時までに配達を終えるのはまったく不可能。今日は、遅くまで残業をせざるを得ない。

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午後7時、配達はまだ終わらない。終えるのは午後10時ぐらいになりそうだ。この時間に帰宅をすると、自分の子どもはすでに寝ている。独身の日から1週間、子どもの寝顔しか見られない日が続く。

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午後9時、ようやくすべての配達を終える。伝票の整理をして、帰宅をすると、午後10時を回っている。子どもはすでに寝ていた。夕食をとっていない郝路軍は、妻に簡単な麺を作ってもらい、流し込むように食べて、シャワーを浴びて寝る。明日も、朝6時に起きて、配達をしなければならない。

それでも、配達は遅れがちで、荷物を届けると、面と向かって文句を言われることも多い。まったく割りに合わない仕事だが、郝路軍は疲れた顔で言う。「仕方ありません。いい仕事だと思っています。家族を養うために頑張らなければ」。

独身の日のセールでは、妻もいくつもの商品を注文した。その商品は、郝路軍の仲間が配達をしている。矛盾を感じながらも、郝路軍は今日も三輪車に乗って、荷物を配達し続けている。

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ネットからリアルへ広がる「独身の日」セール

ECサイトがこぞってセールを行う11月11日「独身の日」。その翌日、リアル店舗である銀泰百貨店チェーン51店舗が半日休業をして話題になっている。独身の日セールがネットからリアルに広がった影響だと杭州網が報じた。

 

リアル店舗に広がる「独身の日」セール

アリババが運営するECサイト「T-mall」が始めた「独身の日」セールは、ネットだけでなく、リアル店舗にも波及し始めた。アリババの最高マーケティング責任者、董洪氏は杭州網の取材に応えた。「独身の日は、もはやネットショッピングのセールではありません。ネットとリアルが融合し始めているからです」。

アリババは、百貨店チェーン「銀泰百貨店」と提携をし、独身の日販売会場を百貨店内に設置した。銀泰百貨店全国の51店舗で、来店客は前年同時期の159%になり、売り上げは154%になった。杭州市の銀泰百貨店では、杭州市の成人の19人に1人が銀泰百貨店を訪れた計算になる。

51店舗で、150万件の商品が売れ、その中で人気だったのが金塊と化粧品で、金塊は156kg売れ、化粧品は30万個売れた。

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杭州市の銀泰百貨店武林店に設置された「独身の日」セールの会場。多くの人が詰めかけ、金塊や化粧品が大量に売れた。

 

セール翌日は、疲れて半日休業

独身の日の翌日11月12日、銀泰百貨店は51店舗で午前中休業をした。杭州網がその理由を銀泰百貨店に尋ねると、答えはなんと「疲れてしまったから」というものだった。

銀泰百貨店は、この独身の日セールのために、1ヶ月前から準備を始めていた。特命チームは、毎日午前2時か3時ごろまで残業する日が続き、最後の1週間は、ほとんどの社員が事務所に寝泊まりすることになった。銀泰百貨店の陳暁東CEOは、この状況を見て、セール翌日の12日を半日休業にすることにした。

銀泰百貨店は、11月16日に開店記念日のセールを控えていて、2週続けて大型のセールをすることになった。半日休業は、従業員の疲労を蓄積させないための措置だったという。

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▲全国展開する銀泰百貨店。リアル店舗として「独身の日」セールに参加した。あまりに盛況で、翌日は従業員の体力を回復するために半日休業した。

 

ネット通販が安く便利だとは限らない。リアルとの融合が鍵

杭州網は、ECサイトのセールにも転換点がきていると論評している。現在は、ECサイトの方が購入体験がまだ新鮮であり、ECサイトの方が価格が安いという思い込みがあるため、人はECサイトへ流れていた。しかし、銀泰百貨店の場合、会員カードを作ると、常に1割引となり、365元以上を利用すると、利用額に応じて大量のポイントが還元される。結果的に、ECサイトよりもお得に買えることが多いのだ。

また、注文をして宅配してもらえることが便利だということになっているが、不在で持ち帰られてしまうと、連絡を取ったり、宅配便が指定する時間に家にいなくてはならず、単身者にはかえって不便なケースもある。一方で、リアル店舗であれば、そのまま自分で持ち帰ることができる。

独身の日セールに限らず、ECサイトに傾きすぎていた消費が、少しずつリアル店舗に戻りつつある。ネット消費とリアル消費を対立的に捉えるのではなく、いかに融合するかがポイントになると論評している。

来年の独身の日は、今年以上の盛り上がりになるのだろうが、それはECサイトだけではなく、リアルの世界も巻き込んだものになるのかもしれない。

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