中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

パスワードの要らない優しい世界。始まる

中国でほとんどの人が使っているメッセージアプリ「WeChat」。このWeChatのログインに声紋パスワードが採用された。パスワードを覚えておく必要がなくなるという画期的なものだ。使い方がさまざまなヘルプサイトで紹介されている。

 

まったく進化をしていない“パスワード”

インターネットが登場して以来、最も進化が見られないのが、パスワードだろう。本人確認をするのに、本人しか知らない文字列を入力するという点はこの30年、ほとんど進化していない。スマートフォンが登場して、パスワードに加えて、ショートメッセージ(SMS)で一回限りの確認コードを送り、これをウェブのログイン画面に入力させるという2段階認証も広く使われるようになったが、ユーザーからすれば面倒なステップが増えただけにすぎない。

とにかく面倒なのは、パスワードの管理だ。普通に生活をしていれば、10や20のウェブサービスを利用することになるので、そのパスワードをすべてどこかにメモして管理しておかなければならない。同じパスワードを使い回すのは危険なので、すべてではなくても、金融関係のサービスぐらいはパスワードを個別に変えておく必要がある。これを管理しておくというのは結構なストレスになる。おそらくウェブサービス側も「パスワード忘れ」のサポートに相当なリソースを取られているはずだ。

 

生体認証がパスワードを不要にしていく

パスワードを不要にする技術で、すでに実用レベルに達しているのが、指紋認証、声紋認証、顔認証だ。ただし、指紋認証は指紋読み取りのデバイスが必要になるため、指紋認証を本人確認のメインにすることはできない。あくまでもパスワードのショートカット的な扱いだ。

しかし、声紋認証はマイク、顔認証はカメラという、スマホであれば必ず搭載されているデバイスを使うので、メインの本人認証として使うことができる。中国で多くの人が使っているメッセージアプリ「WeChat」では、早速声紋認証を採用し、高齢者を中心に使う人が増え始めている。声紋パスワードを利用すると、パスワードを覚えておく必要がなくなるからだ。

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表示された数字を読み上げてログイン。パスワードを覚える必要なし

声紋パスワードを登録するには、表示される8桁の数字を声で読み上げる。これだけで声紋が登録される。ログイン時などパスワードが必要な時は、8桁の数字が表示されるので、これを読み上げるだけでログインができるようになる。

この8桁の数字に意味はないので、数字を人に見られてもまったく問題がない。重要なのは、登録をした声と読み上げている声の声紋が一致しているかどうかだ。

そのため、パスワードを覚えることは不要となり、もちろん管理をしておく必要もない。必要な時は、表示された数字を読み上げるだけでいい。

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▲WeChatの国際版にも「声紋でログイン」機能が搭載された。パスワードを管理する必要がなくなる。

 

中高年に使いやすいと歓迎されている声紋パスワード

セキュリティ強度についての検証はまだこれからになる。例えば、声紋を登録した音声データが流出をしてしまえば、ログイン時にその音声データを再生すれば、他人でもログインできてしまうようになる。また、声紋の識別率は100%ではないので、偶然他人がログインできてしまうということも起こるだろう。

しかし、現実問題として、スマートフォンの指紋によるロック解除を突破し、さらに声紋照合も突破するというのはかなり難しい作業になる。それが、国家機密や企業秘密であるならともかく、一般人のスマホをハックするのであれば、作業のコストが見合わない。一般的なウェブサービスとしては、声紋パスワードで十分必要なセキュリティが得られる。

特に歓迎をされているのが、リテラシーがない中高年やお年寄りだ。中国では、WeChatはメッセージとスマホ決済WeChatペイのプラットフォームになっているので、リテラシーの低い人も使い始めている。そういう人にとっては、覚えておかなくていい声紋パスワードが使われ始めている。

運営側も、「パスワードを覚えるのが面倒だから」という理由で、「012345」のような簡単にハックされてしまうパスワードを使われ、それがハッキングされて運営側の責任を問われるよりは、声紋パスワードを使ってくれた方がありがたい。

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▲表示された数字を読み上げるだけ。登録した声紋と照合される。この数字には意味がないので、数字が流出をしてもまったく問題がない。

 

「パスワードを覚える」は必要のない時代が始まった

声紋パスワードとともに、顔認証パスワードも使われ始めている。特に、スマホでは何かの操作をしている時は、インサイドカメラが本人の顔の方向を向いているため、顔認証のステップをなくしてしまうことができる。わざわざログインステップを設けなくても、利用者が操作をしている間にカメラを起動し、顔認証を並行して行ってしまえば、利用者はログイン操作をいちいちしなくても、サービスがすぐに利用できるようになる。

この声紋と顔認証による本人認証は、ユーザー体験を大きく向上させることができるので、一部の金融サービスや高度な個人情報を扱うサービスを除けば、思ったより早く広まっていくだろう。数年で、「パスワードを入力する」という操作をしなくなっているかもしれない。

 

夢の超特急は時速4000km。北京・上海1400kmがわずか20分

中国航天科工集団は、最高時速1000kmの高速飛行列車の研究開発プロジェクトをスタートさせた。中国の技術の粋を集めて、さらに高速化を図り、時速4000kmを目指すと央視新聞が報じた。

 

北京と上海を20分で結ぶ夢の超特急プロジェクト

現在、中国版新幹線「高鉄」の営業最高速度は時速350km。上海のリニアモーターカー「トランスラピッド」は時速430km。次は、一気に時速1000kmを目指し、さらに最終的には時速4000kmを達成する計画だという。

理屈としては、すでにさまざまな国で考案されているものと同じで、真空チューブの中に、車体を浮かすリニアモーター方式になる。いわば、チューブの中を飛ぶ飛行機だが、飛行機に比べてエネルギー消費は大きく節約できるという。

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▲時速4000kmの夢の超特急。真空のチューブの中を高速で疾走する。Space X社のハイパーループとそっくりだ。

 

中国と欧州を結ぶ新シルクロード超特急

中国航天科工集団三院高速飛行列車プロジェクト技術責任者の毛凱(もう・がい)氏は、中央電視台の取材に応えた。「私たちは3段階に分けて開発を行います。第1段階は時速1000kmを達成し、都市を結ぶ飛行列車網を築きます。第2段階は時速2000kmで、5つの経済圏、北京、上海、成都、広州、武漢を結ぶ国家級の飛行列車網を築きます。第3段階は時速4000kmを実現し、一帯一路(中国西部と中央アジア、ヨーロッパにまたがる経済圏)を結ぶ飛行列車網を築きます」。

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▲中央電視台の取材に答える中国航天科工集団三院高速飛行列車プロジェクト技術責任者、毛凱氏。時速1000km、2000km、4000kmの3段階で開発を行い、最終的には中国と欧州を結ぶ国際路線になるという。

 

変わりゆく市民の反応

この高速飛行列車は、研究開発がスタートしたばかりで、営業時期など具体的なスケジュールや見込みについては明らかにされていない。

面白いのは、市民の反応だ。このようなプロジェクトに対して「偉大な中国を世界に示そう」「強国としての中国を建設しよう」といった社会主義時代以来の威勢のいいコメントが並ぶ中で、否定的なコメントも散見される。「効率化ばかりが、国の目指すべき方向なのだろうか」「上海は日帰り出張の時代になるのか。ますます仕事のプレッシャーが強くなる」といったコメントも数は少ないが存在する。

また「安全性は大丈夫なのか?」といった不安や、「制動距離が長くなるので、密に運行することができない。1日の輸送量は飛行機よりも劣るのではないか」といった冷静な疑問も見られる。

 

中国人の意識を変えた温州高鉄衝突脱線事故

おそらく、誰も口にはしていないが、頭の中に浮かんでいるのは、2011年の温州市の高鉄の衝突脱線事故だろう。あの事故で、それまで経済成長一辺倒だった中国市民の中に、「経済ばかりではなく、幸福度も」という感覚が生まれた。10年前であれば、この夢の超特急のニュースはお祭り騒ぎの大ニュースになったはずだが、現在では翌日にはほとんど話題に登らない程度のニュース価値しかなくなっているようだ。当然ながら、「イーロン・マスクのSpace X社のハイパーループのパクリではないか」という冷めたコメントもつけられている。中国社会は確実に変わりつつある。

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▲2011年に起きた温州市高鉄衝突脱線事故。遺体も回収できていない車両を埋めてしまうという処置を取ろうとし、海外からは驚かれ、国内の市民は怒りを爆発させた。ここから中国市民は、経済発展よりも幸福や人権を尊重する意識に変わった。

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農村のユーチューバー、半年で8万元を稼ぐ

四川省の農民が、農村の生活を動画中継して、半年間で8万元(約134万円)を稼いだとして話題になっている。特別なことをしているわけではなく、誠実に農村の生活を紹介している動画に、多くの人が心を打たれ、すでに10万人のファンを獲得している。動画を制作している劉金銀(りゅう・きんぎん)氏を、成都商報が取材した。

 

人口160人の村から、動画中継をする農民

四川省瀘州市合江県の三塊石村六組は、四方を山で囲まれ、重慶から150km、成都から300kmの都会からは隔絶された場所にある山村で、人口は160人しかいない。ここに、動画中継で10万人のファンを獲得し、半年で8万元を稼いだ26歳の農民がいる。

劉金銀氏は、ネット名「四川金牛」という名前で、動画中継チャンネルを主催、毎日1000元(約1万6000円)の収入を得ている。

その内容は、特に変わったものではなく、農村の生活をそのまま紹介したものだ。掃除をする、食事を作る、豚の世話をする、田植えをする、魚をとる、ウナギをとる、そういった農村の日常生活を動画に撮影し、自分のチャンネルで放送している。

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▲自宅の中で、農民の生活の動画を撮影し、それを共有サイトにアップする。四川金牛はこの仕事で、農村ではありえない高収入を得るようになった。

 

投げ銭方式が質の高い動画制作を促す

ユーチューブの場合、利益は動画に添えられる広告料になる。再生回数が多ければそれだけ利益が上がる。そのため、再生回数を上げようと、内容は扇情的な方向に走りがちだ。

一方で、中国の動画中継は、投げ銭方式だ。動画を見た人が面白いと思えば、任意の額のお金をスマホ決済で送る。そのため、再生回数が少なくても、内容が視聴者の心に響けば利益が上がる。質の高い動画が登場しやすい。

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▲四川金牛が主催をする四川金牛TV。近所の子どもたちが、家事を手伝う様子の動画をアップしている。

 

初めての動画は再生回数たったの5回

四川金牛は、この村で唯一の若者だ。中学を卒業後、村の中でアルミサッシ窓を作る仕事を始めた。しかし、まったく楽しくなかった。1日300元(約5000円)ほど稼ぐことができ、農村の中で見つけられる仕事としては高収入だったが、そのほとんどを家に入れなければならない。唯一の慰めが、スマートフォンで動画を見ることだった。

中には、同じような農村の若者が中継をしている動画もあった。しかし、そのほとんどが自虐的なものだった。農村はこんなに文化程度が低い、農村はこんな不便。都会の若者にへつらうような内容のものばかりだった。

四川金牛は、農村の生活を素直に紹介した動画を配信してみたいと思うようになった。今年の2月、自分のスマホで、田んぼでエビを捕まえる光景を撮影して、放送してみた。しかし、再生回数はたったの5回だった。誰も投げ銭をしてくれなかった。それどころか、動画をアップするのに、通信費が50元(約840円)もかかってしまった。

納得がいかず、再度別の動画をアップした。数十回再生されたが、投げ銭は誰もしてくれなかった。しかし、視聴者の一人が応援するメッセージを残してくれた。

それに励まされて、動画の配信を続けると、2ヶ月目にはファンが1万人に達した。始めてから半年、現在ではファンが10万人、1日に1000元(約1万6000円)の投げ銭が入るようになった。

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▲四川金牛が撮影するのは、農村ではごく当たり前の生活ばかりだ。それが都市の若者にとっては新鮮で、10万人のファンを獲得している。

 

親から理解されなかった動画配信の仕事

1日1000元の収入というのは、農民にとっては驚くほどの高収入だ。地域によっても異なるが、農村の現金収入は年で数千元というのが一般的だ。四川金牛は、農民の1年分の収入を、わずか1週間で稼いでしまう。

それでも、四川金牛の両親は、この仕事を認めていない。高収入の仕事だったアルミサッシ窓作りをやめてしまったことを心配している。両親の願いは、今12歳の娘を高校に行かせることだ。その学費に、四川金牛の稼ぎをあてにしている。しかし、スマホばかりいじくっていて、仕事にいかない。両親は、息子がおかしくなってしまったのではないかと思い心配し、その心配を打ち消すために動画で稼いだお金を現金にして渡したところ、息子は気が狂って、悪事を働くようになったと、病院に入院させる相談を始めてしまったほどだ。

四川金牛の元には重慶成都から、メディアが取材にくるようになった。そういうメディアの人と会ううちに、両親もようやく息子が悪事ではない、今風の仕事をしているのだと理解するようになった。

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▲近くの町で動画共有サイトのイベントが開催された。三脚とスマホを持って取材をする四川金牛。

 

夢は点心を出す料理店を持つこと

しかし、今の動画配信で、いつまで儲けられるかどうかはわからない。四川金牛は、今の内に人脈を作り、お金を貯め、数年後には街に出て、料理学校に通いたいという。そして、四川の点心を作る技術を身につけ、どこかで店を持ちたいのだという。

ただ、今のところは、動画を撮ることに熱中をしている。ネット回線は、農村まで届いている。ネットがあれば、チャンスは自分で作り出すことができる。もし、四川金牛が20年前の三塊石村に生まれていたら、毎日、アルミサッシ窓を作りながら生きていくしかなかっただろう。ネットは、多くの人の人生を変えていっている。

 

キーボードはもういらない?音声入力の時代がやってきた

中国大手調査会社「易観」が、「中国携帯入力市場分析2017百度編」を公開した。目を引くのは、音声入力を主に使う人が18.85%に増加したことだ。キーボード入力、手書き入力の時代は終わり、中国では音声入力が主流になっていく可能性が出てきた。

 

日本ではなぜかあまり使われない音声入力

日本では、スマートフォンの音声入力はあまり使われていないように見える。iPhoneのSiriやAndoroidのOK GoogleなどはテレビCMなども放映され、認知度はそれなりにあるはずなのだが、街中で実際に使っている人を見かけるのは稀だ。

「人前で使うのは恥ずかしい」と言う人もいるが、人前で電話をするのは平気なのだからあまり理由にならない。おそらくは何回か試しで使ってみたときに、誤認識に遭遇し、悪い印象を持ってしまったのかもしれない。ただ、この1、2年の音声入力の認識率の進歩は目覚ましく、現在では、誤認識に遭遇することの方が稀になっている。

 

1年で3倍以上になった音声入力

易観の分析報告書は、百度Googleのような検索サイト)の検索入力にどのような入力法が使われているかを調べたもの。ピンイン入力が67.53%、手書き文字入力が28.61%、音声入力が18.85%となっている。音声入力はまだ少ないように見えるが、昨年の報告書では5%だったので、めざましく増えていることになる。

ピンイン入力は日本のローマ字変換入力のようなもので、最も一般的に使われるもの。ところが、ピンイン入力をするには、その漢字の読み方がわからなければならない。そのため、読み方がわからない漢字については手書き入力するというのが一般的だ。

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▲現在でもいちばん多いのはピンイン入力。しかし、音声入力が1年で3倍に増えるなど、入力方法の主役が変わりつつある。

 

女性が好む音声入力。若年層と中高年層が好む音声入力

面白いのは、各入力法の男女比、年齢だ。男性はピンイン入力を好む傾向があるが、女性は音声入力を好む傾向がある。

また、年齢別の統計も興味深い。ピンイン入力を最も多く使うのは25歳から34歳、手書き入力を使うのは35歳から44歳。これはおそらく英文字キーボードへの慣れの問題だ。ピンイン入力はローマ字入力なので、英文字キーボードを使って入力する。中年は大人になってコンピューターやスマホを使い始めた人が多く、キーボードに不慣れな人が多い。そのため、手書き入力を好む。一方で、若者はキーボードに慣れているので、最も効率的な入力方法であるピンイン入力を使う。

ところが、音声入力になると、35歳から44歳が最も高いが、もうひとつ18歳から24歳にもピークがあるのだ。

中年にピークがあるのは理解しやすい。キーボードが苦手な人が、手書き入力か音声入力を使っているのだ。しかし、若い世代も音声入力を使い始めているのはどういうことだろうか。

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▲各入力方法の男女比。女性が音声入力好んでいることがわかる。ある人によると、女性は爪を伸ばしているため、スマホのタッチがしづらいからだという。それも理由のひとつではあるだろう。

 

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▲音声入力を主に使う人の年齢分布には、2つのピークがある。中年はキーボードに不慣れだからという理由、若年層は音声入力に慣れ親しんでいるからという理由ではないかと推測される。「中国携帯入力市場分析2017百度編」より。

 

若い世代は音声メッセージに慣れている

理由は、若い世代は音声メッセージに慣れているからなのだ。中国人のほとんどが使っているSNSメッセージアプリWeChatには、音声メッセージを送ることができる機能があり、これがよく使われている。

SNSには、ツイッターのように外に開いているものと、LINEのように内に閉じているものがある。ツイッターで交流する人は、多くは現実での面識はなく、SNSだけで繋がっている人が多い。一方で、LINEの場合は、家族や友人など現実の面識がある人が中心になる。このような内に閉じたSNSの場合、テキストだけでなく、より身体的な音声メッセージも使われるようになる。

中国のWeChatは、まさに日本のLINEに近い使い方がされていて、音声メッセージのやり取りも盛んだ。短めの留守番電話メッセージ的な使い方をされている。

また、ゲームアプリなども音声で交流できるものが多く、中国の若い世代は音声メッセージに慣れているということがある。

 

音声入力の誤認識よりもタイプミスの方がはるかに多い

世界的に見ても、入力方法は、テキストから音声に移行しつつある。今、注目されているのは、Amazon Echo、Home Pod、Google Homeなどのスマートスピーカーだ。商品のジャンル名として「スマートスピーカー」という名称が使われているが、実態はスマートマイクで、音声でさまざまなことができるのが特徴だ。現状でできるのは、アマゾンで買い物をしたり、音楽を再生したり、ピザを注文したりといった「音声命令」のレベルだが、いずれ人工知能が会話を判断する執事のような存在になっていくだろう。

この報告書は、あくまでも百度の入力にどの方法が使われているかというもので、スマートフォン全般になると、音声入力を使う人の割合は10%以下になる。百度は、このような入力方法の進化がどこに向かっているのかを把握して、この数年、音声入力の改良に力を入れている。そのため、実際に使っている中国人に言わせると「キーボードで打ち間違いをする割合よりも、音声入力の誤認識の方が少ない」そうだ。食わず嫌いにならず、ぜひスマホの音声入力を試してみていただきたい。

 

中国の高速道路はETCからスマホ決済ITCに転換

中国の高速道路はETCの普及の途上にあり、内陸部では有人のみの料金所もまだ多い。ところが、ETCではなく、ITC(Internet Toll Collection)の導入がもう始まってしまった。次世代ETCという位置付けで、今後ITCの導入を進めていく予定だと済魯晩報が報じた。

 

広がる高速道路網。進まないETCの普及

中国の高速道路網は13万kmを超えた。国土の大きさが異なるので、比べることは無意味だが、日本の高速道路の総延長が9000kmであることを考えると、どれだけ高速道路があるのかがわかる。しかも、未だに毎年6000kmペースで伸び続けている。

週末に渋滞が起きることは当たり前で、春節などの大移動の時期には100km以上の渋滞というのも珍しくない。実家まで距離がある人は、車の中で寝泊まりしながら3日かけて帰るなどという人もいる。

この大渋滞の原因のひとつが、ETC普及の遅れだ。ユーザー数は4000万人程度と、3台に1台程度の普及率でしかない。導入が始まって8年が経っているのに、なぜ利用者はETCを使おうとしないのだろうか。中国のETCも仕様は日本と同じもので、違いはクレジットカードではなく、事前チャージ式であるということぐらいしか違いはない。それでも、ETC利用者が増えない。

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▲中国の高速道路の渋滞は、ノロノロ運転ではなく、ピタリと動かなくなってしまうことが多い。渋滞になると、みな車から降りて、体操をしたりして過ごす。

 

専用機器の取り付け不要のスマホ決済ITC

ETCの普及が限定的であるのに、もう次世代ETCとされるITCの導入が始まってしまった。まず、山東省済南市周辺の12箇所の料金所がITCに対応し、順次全国の料金所に広げていく。

ITCとはスマホ決済と車のナンバー認識を利用するものだ。事前に、アリペイ、WeChatペイなどのスマホ決済と自分の車のナンバーをアプリ上で紐づけておく。料金所にはカメラが設置され、車のナンバーを読み取り、自動的にスマホ決済から料金を徴収するというもの。

ETCと同じ感覚で、通過するだけで料金が支払えるというものだが、車の中に機器を取り付ける必要はないというのが最大の利点だ。料金所側も簡単なシステムとカメラを設置すればいいだけで、ETCのような大掛かりな設備は不要。それで、ETCとほぼ同じ効果が得られる。また、有人料金所でも、スマホを提示してスマホ決済ができるようになった。

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▲ITCが導入される済南料金所。カメラでナンバーを読み取り、紐付けたスマホ決済口座から自動的に料金が引き落とされる。ETCと同じように、ノンストップで料金所を通過できる。

 

各地ばらばらで、互換性がなかったETC

ETCの最大の問題は、地域間の互換性がなかったということだ。高速道路は用地買収の問題などがあり、国が計画を立て、実際の建設は各省、自治区、市が行う。そのため、ETCカードも各地域が独立して仕組みを構築し、発行をしていた。これは、利用者にとって極めて不便なことだった。市内から空港のように、同じ省内を移動するときはETCカードが使えるが、省を跨いで移動するときは現金で支払うしかなかったのだ。

もちろん、中国政府は最初からETCカードの全国共通化を頭に置いて、標準仕様を定め、共通化を進めていた。しかし、この共通化に時間にかかったため、ETC利用率がなかなか上がらなかった。

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▲ETCは、ある程度普及はしていたが、省、自治区、市で異なるETCカードが発行され、互換性がなかった。現在は、ようやくほぼ全国共通化ができたが、不便さからETCの普及は遅々として進まなかった。

 

利権が絡み合い全国共通化ができなかったETC

2016年9月に、ETCの全国統一はようやくほぼ完成したが、それでもETC利用者は4000万人。中国の保有自動車台数は約1億2500万台、免許保有者が3億2700万人なので、1/3程度しかETCが普及していないことになる。

なぜ、統一に時間がかかってしまったのか。いろいろ理由はあるが、一言で言えば、利権を手放したくない人がたくさんいるからだ。各省、自治区直轄市といった当事者の数が多く、それぞれに自分の利益を主張するために話がまとまらない。

これは、バス、地下鉄の交通カードでもまったく同じだった。全国共通化ができないので、出張や旅行で行った人は現金で支払うことになり、せっかく電子化をしても現金支払いが減らない。交通カードの場合は、NFCカードによる全国共通化をあきらめて、全国的に普及したスマホ決済を導入することで、共通化を実現しようとしている。高速道路も同じように、利用率があがらないETCではなく、スマホ決済を導入することで、全国共通化を達成し、完全電子化を目指すことになる。

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導入して半年で7割がスマホ決済を利用

ETCと同じようにナンバープレートの認識で、ETCと同じようにノンストップで支払いができる料金所が済南市を皮切りに広がっていくが、スマホ決済ができる有人料金所はすでに広がっている。

湖北省では今年の1月に304の料金所でスマホ決済に対応をした。それから半年で、有人料金所を利用する約70%がスマホ決済を利用するようになったという。

これがノンストップスマホ決済のITCが導入されれば、利用者は事前にアプリで自分のナンバーを登録しておけばいいだけなので、有人料金所を現金で利用する人はごく一部になるだろう。

利用者側は車内に機器を取り付ける必要がなく、料金所でも簡単な設備ですむスマホ決済ITCは、ETC以上の速度で普及し、利用者は中国のどこの料金所でもITCで自動的に料金が支払えるようになる。

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▲有人料金所では、すでにスマホ決済に対応している料金所が増えている。

 

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▲自動車での支払いを考えて、ある程度の距離からでもQRコードを読み取りできるスキャナーが導入されている。

 

無人コンビニの次は、無人販売機。止まらない中国の雨後の筍スタートアップ

中国では、無人コンビニ、無人スーパーが続々と開店している。投資資金が集めやすいジャンルだからであり、中には計画倒れになりそうなスタートアップもある。無人コンビニが過当競争となったと見るや、今度は無人販売機のスタートアップが続いている。無人販売機はほんとうに利益が出るのか。騰訊創業が検証した。

 

投資資金を集めやすいシェアリングとO2O

中国で今話題になっている言葉は「シェアリング」と「O2O」だ。シェアリングはシェアリングエコノミーのことで、自転車ライドシェア、自動車ライドシェア、民泊を筆頭に、携帯充電器や雨傘、睡眠カプセルなどさまざまなものが登場している。

O2OはOnline to Offlineのことで、中国では日本での使われ方と少し違っていて、IT技術を積極的に活用した実態店舗のことを指す。無人コンビニ、無人カラオケ、無人バーなどが登場している。

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先行者利益を獲得するためのBuild First、Mend Later

しかし、いずれも、スタートアップが多すぎて、中には泡沫スタートアップとしか思えない杜撰なものも見受けられる。例えば、睡眠カプセルは宿泊所としては避難経路などに問題があるとされ、現在も営業を停止中だ。コンテナ型の無人コンビニも、地面に基礎を打っていない建築物は違法建築になるという指摘を受けるなど、事前に調査をしておくべきことをせずに事業を始めてしまい、つまづいているスタートアップも増えてきた。

なぜ、このような杜撰な例が生じるかというと、中国人特有の「まずやってみて、後から直せばいい」という楽天的、積極的な性格もあるが、今、このシェアリングとO2Oに投資資金が集まりやすいということがある。つまり、早く始めて、業界のリーダーになれば、生き残っていける確率が高くなるのだ。

では、なぜこの2つの分野に投資が集まるのかといえば、他の分野の成長が頭打ちになり、投資効果が得られなくなっているからだ。そのため、シェアリングとO2O関連のスタートアップは、これからもまだまだ登場し続けるだろう。

 

無人コンビニから自動販売機へ

現在、始まっているのが、無人スーパーではなく、無人販売機のスタートアップだ。日本人にとっては珍しくもなんともない、要は自動販売機のことだ。

このようなスタートアップはほんとうに成功するのか。騰訊創業では、記者が各自販機にそれぞれ50時間張り付いて観察をし、客数などをカウント。そのデータを元に、このビジネスがほんとうに利益を出せるのかを計算した。

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騰訊創業が調査をした3つの自動販売機スタートアップ。企業規模の割には、すでに数千万元単位の投資資金が集まっている。

 

1日30杯しか売れないコーヒー

調査したのは、3つのスタートアップ。天使之橙はオレンジジュースの販売機だが、生のオレンジを目の前で絞るというもの。ショッピングセンターに置くことを想定している。珈琲零点吧はコーヒーの販売機で、豆からコーヒーを淹れてくれる。ショッピングセンターの他、オフィスビルにも置かれる。飯美美は弁当の自動販売機で、熱々のおかずが出てくる。主にオフィスビルに置かれる。

騰訊創業が平日24時間、休日24時間の観察を行い、売れた個数を記録、独自に販売データを作った。これによると、コーヒーの成績が圧倒的に悪い。記者は、ライバルが多いからだと分析する。オフィスビルでは、近くにスターバックスがある。価格はスターバックスの半分程度ではあるが、多くの人が「スターバックスのコーヒーの方が美味しい」と考えているため、そちらに行ってしまう。自動販売機は、席が用意されていないというのも痛い。また、ショッピングセンターでは、コンビニで5元のコーヒーが販売されている。やはりそちらを利用する人が多い。

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▲4台の自動販売機を24時間監視、平日と休日に分けて調査した。飯美美は休日は自動販売機も休止する。

 

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▲販売量のまとめ。平日1日と休日1日の合計(飯美美は平日1日分)。ずいぶん、小さな販売数字だが、自動販売機はコストがかからないので、これでも十分利益が出ている。

 

 

オレンジジュースは1日12杯で儲けが出る

騰訊創業では、これだけでなく、それぞれの業界で事情に詳しい人間に取材をし、おおよそのコストを算出し、それぞれの採算ラインを割り出した。

オレンジジュースの場合、1杯のジュースに3個から5個のオレンジ約800グラムが使用され、原材料費は3元程度。また、自動販売機は3年使用し、3.5万元。スタッフは、一人で3台から5台を担当し、人件費は月6000元。ショッピングセンターの場所家賃が1平米2000元。

これを総合すると、1杯のコストは5.6元となり、利益は9.4元。1日12杯から15杯が採算ラインとなる。騰訊創業の調査結果では、これを大きく上回っている。

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▲オレンジジュース自動販売機の天使之橙。生のオレンジを目の前で絞ってくれる。原価は1杯5元程度。

 

コーヒーは1日7杯売れれば儲けが出る

珈琲零点吧では、アラビカ種のコーヒー豆を採用していることを公言していて、最も一般的なアラビカ豆は1kgあたり25元で、1杯のコーヒーに10gを使用する。スタッフは10台を担当することができ、豆と水を補充する。

これから計算すると、1杯のコストは1元となり、人件費、自動販売機コスト、場所コストなどを総合しても、1杯で14元の利益があり、1日7杯程度が採算ラインになる。コーヒーの販売数は少ないが、原価が極めて安いので、十分に利益が出る。

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▲コーヒー自動販売機の珈琲零点吧。1杯分のコストはわずか1元だと推測される。コーヒーは原価が安いので、利益の大きい商品だ。

 

弁当は1日24個が採算ライン

飯美美は、弁当自体は製造を委託していて、それを1個10元で購入している。自動販売機のコストは高く5万元から10万元だと推定される。これで計算すると、1個のコストは10元で、1日24個が採算ラインとなる。騰訊創業の調査では、これも大きく上回っている。

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▲弁当の自動販売機「飯美美」。ちゃんと加熱されて出てくる。

 

意外に採算ラインが低い自動販売機ビジネス

こうして見ると、無人販売機=自動販売機はあまり数が出ていないように見えるが、意外にも固いビジネスであることがわかる。

しかし、現在はいずれもサービスが始まったばかりで、自動販売機の前に宣伝スタッフが立ち、利用を促している。この宣伝が終わってからでも、同じ販売量を維持できるかどうかはわからない。また、現在はライバルがいないが、利益の出るビジネスであるということがわかれば、ライバル自動販売機も登場するだろう。

また、飯美美は騰訊創業が調査対象にしていた無人販売機の近くにある別の販売機が10時間の間に4回も故障し、加熱がうまくいかず、冷たい料理を出していた。これを買わされた人は二度と買おうとは思わなくなるだろう。

 

硬貨不足で普及しなかった自販機。スマホ決済が変えた

騰訊創業の結論としては、確かに無人販売機ビジネスは、泡沫スタートアップではなく、利益の出る堅実なビジネスだという。しかし、今後、規模を拡大し、ライバルとの競争が始まった時に、生き残る努力ができるかどうかにかかっているという。

中国はつい最近まで、自動販売機がほとんど存在しなかった。硬貨の供給量が極端に少なかったので、自動販売機があっても利用されなかったからだ。また、日本のように街頭に置くと、破壊、盗難の恐れもある。それが、アリペイ、WeChatペイというスマホ決済が普及することで、ようやく自動販売機ビジネスが成立するようになった。今後、中国の町では、日本以上に無数の自動販売機で溢れることになるかもしれない。

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サドルの下からお金がざっくざく。現金の存在感が増す無現金都市

自転車ライドシェア大手のofoが、面白いキャンペーンを行った。自転車のサドルの裏に1元硬貨を入れておくというものだ。この硬貨を発見した人は、ofoの自転車が1元で1ヶ月使い放題になる。つまり、無料で1ヶ月使えるというものだ。しかし、硬貨だけを集める人が続出し、北京の駐輪場はゴールドラッシュ状態になっているとIT之家が報じた。

 

市民生活に定着をしてきた自転車ライドシェア

中国各都市で浸透をする自転車ライドシェア。駐輪場に止めてある自転車を、スマートフォンで解錠して、利用料はスマホ決済というレンタル自転車だ。日本の報道では、盗難や破損、放置という負の面ばかりが強調されるが、それはごく一部の話であり、多くの都市が駐輪可能な場所を区画するなどの対応を行い、状況は落ち着いてきている。倒産する自転車ライドシェア企業も出てきているが、それは自然な淘汰プロセスであり、大手のofo、Mobikeは市民生活に定着をしたと言ってもいいだろう。

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サドルの裏に1元硬貨を入れておくキャンペーン

そのofoが、面白いキャンペーンを行った。8月23日から27日までの5日間、自転車のサドルの裏に1元硬貨を入れておくというものだ。毎日1万枚が入れられ、5日間で5万元(約83万円)規模のキャンペーンとなる。

サドルの裏を探って、この1元硬貨を発見した人は、そのままその自転車を使うと、1元で1ヶ月自転車が使い放題になる権利が与えられる。1元硬貨を手にしているのだから、要は1ヶ月無料で使い放題キャンペーンということになる。

ところが、当然と言えば当然なのだが、サドルの裏に入れられた硬貨は、誰でもとることができるため、大量にofo自転車が止めてある駐輪場に行って、硬貨だけを漁るという人が続出した。駐輪場はちょっとしたゴールドラッシュの状態となり、硬貨を大量発見した人は、SNSのウェイボーに写真を上げ、それがまた人を引き寄せるというお祭り騒ぎになった。

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▲サドルの裏に貼り付けられた1元硬貨。見つけた人は、自転車が1ヶ月乗り放題になるというキャンペーン。

 

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▲最も拡散した写真。たかだか100元程度のことなのだが、なんとも言えない満面の笑顔。現金には何か特別なものがある。

 

SNSで拡散することが狙いのプロモーション

この件に関して、ofoは特にコメントを発していないが、硬貨だけを取られて、自転車は利用されないということは、おそらく想定していただろう。ofoの自転車を使ってもらえれば最高だが、それよりも、ofoの名前が拡散し、中にはこの件で初めてofoの自転車に手を触れてみた人も多いはずだ。ofoの狙いは、その1元でofoを利用してもらうということよりも、この楽しい騒ぎがSNSで拡散することによりofoの知名度をさらに高め、なおかつofoの自転車に触れてもらうことだったに違いない。

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▲1元は日本円で16円程度。見つけたからといって、大した金額ではないのだが、なぜか微笑んでしまう。みな、写真を撮ってSNSにあげたくなる。極めてうまい、そして中国でなければ成立しないバイラルマーケティングだ。

 

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▲硬貨だけ集める人が続々と登場。駐輪場はゴールドラッシュの現場となった。

 

無現金都市だからこそ、存在感が増す現金

中国では、無現金都市化が進んでいる。ほとんどのサービスが、スマホ決済で利用できるようになり、現金を持ち歩かない人が増えている。多くの人が、スマホを落としたり、電源がなくなった時のことを考え、50元紙幣をカバンなどに入れておき、あとは財布を持たないという。実際、今の中国の大都市で、現金決済をしているのは地方出身者と外国人旅行者がほとんどになってしまっている。

しかし、だからなのか、今度は現金の存在感が増している。今回のofoのキャンペーンにしても、「ofoの自転車を利用すると、毎日1万人に1ヶ月無料使用権があたる」でも同じことだが、それではここまで話題になることはなかっただろう。わずか1元とは言え、現金であることが人を惹きつけたのだ。最も拡散した写真の女性は満面に笑みをたたえているが、手にしているのは数十枚の硬貨、つまり数十元程度のことなのだ。現物の硬貨であるということが気持ちを高揚させている。

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割引クーポンではなく、紙幣をホチキス止めした街頭チラシ

最近、中国で時々見かけるのが、街頭で配布しているレストランのチラシに、1元紙幣がホチキスで留めてあるというもの。通常は、1元分のクーポンが印刷されているところを、現実の1元紙幣をつけてしまう。そのチラシをもらった人は、そのレストランに行かずに、別のことに1元を使ってしまうかもしれないが、レストランにとってはそれでいい。多くの人が拒否せずにチラシを受け取るし、SNSに投稿され、大きな話題となる。

街角に大量の1元効果が入った箱が置かれるというシェアリング硬貨の現象も起こったりしている。無現金都市化が進むと、かえって人は現金に惹き寄せられるようだ。それは単なるノスタルジーなのか、それとも硬貨や紙幣には電子マネーにはない何かがあるのか。現金には、特別なポテンシャルがあるのかもしれない。

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