中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

ロボット導入に反対するフォクスコン女性工員たちが美しい抗議

世界のIT企業の製品の委託生産を行う中国フォクスコンは、たびたび労働問題を起こしている。そのフォクスコンは、工員からロボットへの転換計画を進めている。工員は、反発をし、反対運動を行っているが、杭州工場の女性工員たちが、水着を着て作業をするというユニークな抗議活動を行ったと今日頭条が報じた。

 

「冷酷無情」と呼ばれるフォクスコン

ホンハイグループのフォクスコンは、中国で電子機器の生産委託を請け負うEMS企業だ。有名なところではアップル、任天堂、HP、デルなどの製品を受託生産している。本社は台湾だが、生産拠点の多くは中国にあり、中国を代表する企業のひとつになっているが、中国人からの評判はあまりよくはない。たびたび労働問題を起こし、冷酷無情な企業というイメージがあるという。

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4万台のロボット導入、6万人のリストラ計画が進行中

昨年、ホンハイの郭台銘会長は、4万台の製造ロボットを導入して、工員をリストラすると発表した。すでに鄭州、崑山、喜善の3工場にはロボットの導入が始待っている。同時にグループ全体で6万人以上の行員のリストラ計画が始まっている。

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▲フォクスコンの工員は、以前は貧しい農村の実家を支えるために働いていたが、今は、自分の人生を謳歌するために働いている。

 

残業するように仕向けるフォクスコンの報酬体系

フォクスコンの工場で働くのは女性が多く、その仕事は過酷だ。以前のような長時間労働の強制、過大なノルマの設定は緩められてきたが、実質的にはほとんど変わっていない。基本給の引き上げは見送られ、残業代の単価をあげるている。工場の多くは郊外にあり、街に遊びにいくにも交通機関がない。多くの工員が、仕事が終わっても寮でぼうっとするよりも残業をしてしまう。

結果的に手取り給与は年々上昇しているが、それは長時間の残業をしているからで、この残業は強制ではなく、あくまでも「工員自らの意思によるもの」になっている。

 

私たちは、タバコの吸殻ではない

フォクスコンで働く女性たちも以前とはだいぶ違ってきている。以前は、現金収入がない農村の若い女性がフォクスコンで働き、実家に仕送りをするというパターンが多かった。そのため、どんな過酷な労働にも耐えていた。

しかし、今では、農村出身者が多くことは同じだが、都市の生活を楽しむために働く女性が増えている。フォクスコンの厳しい労働に耐えてきたのは、年々待遇が良くなり、給与も上がっていくと信じていたからだ。しかし、その結果、ロボットに置き換えていく方針が発表された。「私たちは、まるでタバコの吸い殻のように、吸えるところを吸われたら捨てられてしまったのです」と、ある女性工員はSNSに発言をした。

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▲フォクスコンで働く女性たちは、10年前と様変わりしている。単なる工員ではなく、専門技術を身につけた技能士になっている人も多い。

 

水着を着て出社するアピール

杭州のフォクスコン工場では、女性工員たちがユニークなアピールをした。全員が水着を着て、作業を行ったのだ。「私たちは水着を持っているのに、海にいく時間もない」というアピールだという。

このアピール自体にはさほどの効果はない。ネットでも「男性工場長は大喜び」という声や、「単に目立ちたいだけ」という批判もある。しかし、この話題がネットで拡散することにより、多くの人がフォクスコンの労働問題に目を向けたことは確かだ。

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杭州の工場では、女性工員たちが「海に遊びにいく暇もない」と、水着を着て作業に就くというアピールを行った。

 

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▲一見、目立ちたいだけのアピールにも思えるが、これでフォクスコンの労働問題に目を向ける人が増えたのは事実だ。

 

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▲「男性の管理社員がなんとなく楽しそう」とネットでも話題になった。

もっとなかよしRobi Jr.

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デジタル時代でも生き延びる広告付きポケットティッシュ

デジタル広告の時代になっても、街頭で配るポケットティッシュは生き残っている。転換率が高く、広告効果が高いからだ。中国広東省のスタートアップ「ZHO」は、この転換率の高さに目をつけ、自動配布機で広告付きポケットティッシュを配布するというシェアリングティッシュビジネスで業績を伸ばしていると36クリプトンが報じた。

 

転換率が高いことから生き残る広告付きポケットティッシュ

インターネットが登場して、多くの広告がネットに移行する中で、時代錯誤とも思える広告ポケットティッシュ配りは不思議なことになくならない。答えは簡単で、ネット広告並みの効果があるからだ。

最も大きいのは、広告の持続時間が長いことだ。一般の紙チラシのようなものであれば、もらっても広告の内容が必要ないと感じれば、すぐに捨てられてしまう。しかし、広告ポケットティッシュは、広告の内容が無関係だと思っても、ティッシュが使えるので、しばらくの間は持ち歩くことになる。もらった時は必要のない広告だと思っても、しばらくした後で、広告の内容に反応することがあるからだ。わかりやすいのは、消費者金融や出会い系サイトの広告で、もらった時は不必要だと思っても、自宅で寝る前にティッシュを使った時に、その広告にピンとくるということがある。

また、配布員が人を見ることによって、広告ターゲットだけに渡すことも可能で、広告ポケットティッシュは、ネット広告よりも転換率が高いという人もいる。

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▲広告付きポケットティッシュを無料配布するビジネス「ZHO」。ニッチなところに目をつけた賢いビジネスとして注目されている。写真は創設者の鄭品氏。

 

手を一切触れることがないニーハオトイレ

中国の衛生観念は、日本とはまったく考え方が違っている。中国の伝統的な公衆トイレは、俗にいうニーハオトイレで、個室にドアがない。トイレットペーパーも備え付けられていない。観光地などのトイレなどは、日本と同じように個室のドアがあり、トイレットペーパーが備え付けられているが、下町の無料の公衆トイレは、今でもニーハオトイレだ。

日本人にとっては、このニーハオトイレを使うのはなかなか難しいが、公衆衛生的には極めてよく考えられている。なぜなら、トイレに入って、用を足し、外に出るまで、どこにも手を触れないからだ。感染症の多くは、手を触れることによって感染をする。消毒などの公衆衛生の知識が乏しい時代、手を触れることがないニーハオトイレは、感染症予防に大きな役目を果たしていたと思われる。

トイレットペーパーも備え付けられていないが、逆に備え付けのペーパーは、誰が手を触れたのかわからないので、不安なのだ。紙は自分で持ち込み、手を触れることなく用を足す。そうすることで、感染リスクを避けている。

 

トイレにトイレットペーパーは置いていない

そのため、中国の公衆トイレには、ほとんどの場合、ポケットティッシュ自動販売機がついている。ここで、新品のティッシュを買って、使うのだ。

ここに目をつけたのがZHOシェアリングティッシュだ。広東省中山市で起業したZHOは、500万元(約8600万円)のエンジェル投資を受け、現在では60都市に7000台の配布機を設置し、毎日20万個のポケットティッシュを配布している。

このティッシュは、会員登録をすると1日1個まで無料で手に入れることができる。ティッシュには広告が印刷され、会員登録時のプロフィールから最も適した広告が印刷されたティッシュが出てくる。

ZHOの創設者、鄭品氏は36クリプトンの取材の応えた。「公衆トイレの75%にはトイレットペーパーが備え付けられていません。しかも、80%の男性、62%の男性はティッシュを持ちあかず、トイレで購入しています。ZHOの会員になれば無料で手に入るのです」。

このZHOシェアリングティッシュは、トイレだけでなく、病院やレストランにも設置されている。

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スマートフォンで会員登録をした後、専用アプリからQRコードを読み込むと、1日1個無料でポケットティッシュがもらえる。会員のプロフィールに合わせた広告付きのポケットティッシュが出るようになっている。

 

転換率は驚異の20%

スマートフォンアプリから会員登録をし、配布機のモニターに表示されるQRコードを読み込むことで、ポケットティッシュ1つが無料で出てくる。1台の配布機には、5種類のティッシュが入れられ、会員のプロフィールに合った適切な広告が印刷されたティッシュが出てくる。このため、主要な広告の転換率は、ZHOによると20%という高いものになっているという。

ティッシュの原価は3元から5元程度で、転換率を考えると、街頭でチラシを配布する手法や、ネットを使った広告よりも効率がいい。

ティッシュは1日1個無料だが、2個以上欲しい場合は、1個0.5元で購入することもできる。ティッシュの販売価格としても安価なので、ZHO会員はコンビニなどではなく、ZHOでティッシュを購入するようになり、こちらの売り上げも無視できない。

シェアリングティッシュというと、あまりITテクノロジーっぽさがなく、軽く見てしまいがちだが、旧来のマーケティングとITテックをうまく組み合わせ、効果をあげている事例として、注目され始めている。

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▲様々な企業が広告出稿をしている。中には、割引クーポンをつけるなど、より積極的な広告を展開している企業もある。

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北朝鮮で公衆WiFiサービスが始まっていた

国際的にさまざまな問題を起こしている北朝鮮平壌空港の出発ロビーで公衆WiFiサービスが始まったとAP通信が報じた。AP通信北朝鮮担当の記者エリック・タルマッジが体験した。

 

ネットアクセスが制限されている国、北朝鮮

北朝鮮は、世界でも最もネットアクセスが制限されている国のひとつだ。北朝鮮市民は、WiFI接続が可能な機器を携帯しているだけで、罰金か、最悪の場合拘束される危険性がある。

外国人の場合は、このような制限はないが、そもそもWi-Fiどころか、インターネット回線が大きく制限されている。公衆WiFiサービスなどどこにもなく、ホテルや空港に有料の有線ネットサービスがあるのみ。アクセスできるサイトは大きく制限されている。詳細はわからないが、特定のサイトへのアクセスを遮断するブラックリスト方式ではなく、政府が認めたサイトにしかアクセスができないホワイトリスト方式の制限であると推測されている。

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平壌空港の出発ロビー。一応売店などもある。有線のインターネットコーナーは2015年から設置されていたが、最近、WiFiサービスが始まったという。

 

平壌空港にWiFiコーナー誕生

ところが、平壌空港の出発ロビーのインターネットコーナーに突如WiFiのロゴが掲示をされ、話題を呼んでいる。

宣伝のための風船も飾られ、エリック・タルマッジによると、この風船はプエルトリコの空港で使われていた風船と同じものだという。

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平壌空港出発ロビーのインターネットコーナー。どうやって使ったらいいかがわからず、利用する人はまったくいない。

 

料金は30分2ドル、カフェでも利用可能

このインターネットコーナーは、外国人旅行者のために2015年から設置されているが、利用する人はほとんどいない。なぜなら、説明員もいないので、利用料金を誰にどうやって支払ったらいいかがわからないからだ。近くを通りかかる職員に尋ねても、首を振られるか、怖い目で睨まれるだけだ。

しかし、WiFiロゴが掲示されて、まったく雰囲気が変わった。女性の担当者がインターネットコーナーに常駐し、そばを通りかかる人に笑顔で公衆WiFiの利用を勧めてくる。その女性によると、30分で料金は2ドルだという。

料金を支払い、パスポートを見せると、引き換えにユーザー名とWEPキーが書かれた紙が渡される。係員の女性によると、WiFiルーターはインターネットコーナーではなく、カフェに設置しているので、カフェで利用した方が電波状況は良好なはずだという。

 

結局つながらないWiFiサービス

ところが、どうやっても接続することができず、タルマッジは結局ネットを利用することができなかった。しかし、担当者は親切で、接続設定を変えながら、何度もトライするのを手伝ってくれた。さらに、上司に連絡を取るなどしたが、飛行機の出発の時間となり、結局、アクセスすることをあきらめた。担当者は、申し訳なさそうに利用料の2ドルを返却してくれたという。

結局、アクセスできなかったので、どのような制限が書けられているかを確かめることはできなかったが、北朝鮮もゆっくりではあるが、変わり始めている。

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中国の主要IT企業の初任給はおいくら万円?

中国人の給与水準は上がり続けている。大都市に限れば、もはや日本と変わらない。特にIT企業は初任給が高いことで、大学生の人気を集めている。実際のところ、IT企業の初任給はいくらぐらいなのか。今日頭条が、主要IT企業の初任給をまとめた。

 

日本の平均初任給を上回る中国IT企業の初任給

成長する中国経済のけん引役となっているIT企業。いったい彼らがどのくらいの給与をもらっているのか、気になっている人も多いのではないだろうか。

未だに中国の物価は、日本よりも安いと思っている人が多い。しかし、そんなことはなく、もはや都市部の物価は東京あたりと変わらない。当然、給与に関しても、日本と同じ程度はもらわないと生活していくことができない。主要IT企業の新卒初任給を見てみると、最低でも330万円、一般職で最も高いのは690万円となった。

日本の大卒初任給の平均は、厚生省の統計によると約20万円。一年目はボーナスも多くはないので、年300万円程度になるだろう。つまり、主要IT企業の初任給は、日本の平均初任給の水準をすでに超えている。

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▲中国主要IT企業の初任給。300万円台から400万円台が多い。研究職では1000万円越えの初任給を出している企業もある。数字は初任給であることに注意。本人の業績次第で、給与はここからさらにあがっていく。

 

会社員よりはアスリートに近い研究者の報酬

特に驚くのが研究職の初任給だ。どこも軒並み1000万円を超えている。現在、ほとんどが人工知能系の研究職だ。

さらに、中国企業の場合、初任給も高いが、その後、業績を上げれば、給与はぐんぐん上がっていく。さらにボーナスも利益に連動する仕組みになっているので、高額のボーナスが支給される例も多い。さらに、自社株の優先割り当てなどもあり、IT企業の中には富裕層と呼んでいいレベルの社員が数多く働いている。

ただし、パフォーマンスが下がる、失敗をするといったことがあれば、給与は大幅に下げられる。経営者の考えひとつで解雇も可能なので、不安定ではある。会社員というよりは、野球選手などのプロアスリートの世界に近い。

 

圧倒的に理系が有利、恵まれない文系出身者

ところで、このようなIT企業に就職できるのは、中国全土の大卒者のごくわずか、おそらく1%以下でしかない。一般の平均的な大卒者はいくらぐらいの初任給なのだろうか。ある調査会社が、学部別の初任給のランキングを発表している。これによると、大卒初任給の平均は月4376元(約7万5000円)になる。年収にして100万円程度だ。一般企業とIT企業は待遇面で数倍の格差が生まれている。

学部別の初任給ランキングを見ても、IT系、理系が圧倒的に強い。1位から10位までのランキングのうち、文系学部はフランス語のひとつしかない。理系学部、それもコンピューター、インターネット関連の学部が圧倒的に有利なのだ。面白いことに、日本で圧倒的に収入が高い医学部、歯学部、薬学部は、50位以内のランキングにも登場しない。

このランキングは、中国全土のものであるため、地方都市の状況も加味されている。大都市と地方で、給与面でもまったく別世界になっている中国の状況がうかがわれる。

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▲学部別初任給ランキング。1位は情報セキュリティ専攻で、5906元(約10万3000円)。地方都市まで含めた平均値なので、大都市だけに限れば、給与水準は日本とほぼ変わらないと推測される。

 

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▲文系学部の凋落ぶりが激しい。上位にくるのはフランス語ぐらいで、20年前まで花形だった金融、国際ビジネス、日本語は、大きくランキングを落としている。

 

 

老人介護施設にスマートスピーカー。活用実験始まる

話題になっているスマートスピーカー。アマゾン、グーグルからだけでなく、様々な企業が発売をしている。しかし、「すでに飽きた」という人もいる中、中国では老人介護施設での利用が始まっていると科技行者が報じた。

 

使い道がまだ見えてこないスマートスピーカー

昨年暮れから日本でも販売が始まったスマートスピーカー。未来を感じさせるアイテムだが、まだ具体的な用途が見えていないところもあり、買ってはみたものの、ただの音楽スピーカーになってしまい、すでに持て余しているという人も多いかもしれない。スマートスピーカーは、今後スマートフォンに取って代わるかもしれないポテンシャルを持っているが、現在のところは、提供する側も使う側も用途を模索している段階だ。

中国では、老人介護施設スマートスピーカー「天猫精霊」を利用するという試みが始まっている。

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北京市の老人介護施設「北京普楽園」に導入されたスマートスピーカー「天猫精霊」。

家電の操作や入居者の安全のために使われるスマートスピーカー

スマートスピーカーを導入した老人介護施設は、北京市南六環外にある北京普楽園。180名のお年寄りが暮らし、7割以上が80歳以上。自立生活ができるお年寄りは10%に満たない。

現在、スマートスピーカーは9種類の利用がされている。

・照明、カーテンの開け閉め

・室内の温度をセンシングし、エアコンを自動調節する

・照明の時間による自動オンオフ

・エアコン、テレビなどのオンオフ

・人の位置をセンシングし、どこに人がいるかを知らせる

・ドアや窓が予定外に開いた場合、知らせる(徘徊防止のため)

・緊急通報

・カメラと連動し、室内から外にテレビ電話がかけられる

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▲入居者たちは、テレビや照明、カーテンの操作を音声で行っている。京劇などの娯楽ラジオ放送を聞くという使い方も好評だ。

 

安全、補助、娯楽、省力化で活用

北京普楽園では、4つの観点で、スマートスピーカーの機能を進化させていきたいとしている。

・安全監視:室内外を音と映像で監視し、入居者の徘徊や事故を察知する

・生活補助:窓、エアコン、テレビなどを入居者自身で音声で操作できるようにする

・娯楽:音声で必要なものを購入できたり、外に電話ができるようにする

・省力化:スタッフの作業を軽減し、人件費を抑える。

 

アリラボが想定する入居者の1日

このスマートスピーカーとシステムを提供しているのは、アリババ傘下のアリラボ。アリラボでは、老人介護施設向けのシステムを開発するため、北京普楽園と共同で試験を行っている。

アリラボでは、北京普楽園に入居しているお年寄りがどのようにスマートスピーカーを活用しているか、典型的な1日を紹介している。

06:00:眼が覚める。システムがタイマーで自動的にカーテンを開け、灯りをつける。

06:30:起床。自動的にその日の天気と温度、衣服のアドバイスを伝える。

07:30:朝食。飲むべき薬をお知らせし、ニュースを読み上げる

09:30:娯楽。京劇の中継など、入居者の好みに合わせた番組を放送する。

10:30:介助。なにかあったときは、その場で「助けて」と口にするだけで、ナースセンターに通知がいく。

12:30:昼食。音声で出前を注文することもできる。

18:30:日記:音声で日記を書くことができる。

20:30:消灯。自動的に灯りが消える。

21:30:睡眠。眠りに入りやすい音楽を流す。

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▲開発者向けのセミナーの資料。決済は、声紋識別で、誰の支払いであるかがわかるようにするという。

 

スマホ決済がベースにあるため生活サービスに使われるスマートスピーカー

現在、天猫精霊は、すでに100万個以上が販売され、中国の家庭で使われている。主な使われ方は、出前、タクシーの注文、ECサイトでの日用品の購入など、生活補助関連が多いという。中国では、スマホ決済が普及をしたため、スマホで簡単に決済ができるようになり、スマホからタクシーを読んだり、出前を注文したり、ECサイトで日用品を購入するということが定着をした。そういう人たちにとっては、スマートスピーカーは「スマホを使うより便利」と感じるのだ。

この「決済の電子化、スマホ化」が進んでいないと、せっかくスマートスピーカーがあっても、いちいち決済操作が必要となり、「スマホの方が便利」と感じ、スマートスピーカー普及のブレーキとなってしまう。ただの音楽スピーカーとしてしか使い道が見出せず、すぐに飽きてしまうことになるだろう。

スマートスピーカー普及の鍵は、「生活に役立つ機能」をどこまで充実させることができるか。アリラボは、老人介護施設という場所で、どのような機能が必要かを探り出そうとしている。

Amazon Echo (Newモデル)、チャコール (ファブリック)

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アリババの自動車自動販売機が絶好調。高級車288台が売れる

12月13日、アリババのECサイト「Tmall」が運営する自動車の自動販売機が上海に登場した。わずか75秒で、ボルボXC60、288台がすべて売れるという好調ぶりだったと中国新聞網が伝えた。

 

アリババが始めた自動車の自動販売

アリババのECサイト「Tmall」は、自動車の自動販売機を中国各地に出店する計画を発表している。現在予定をされているのは、香港、北京、上海、広州、天津など。12月13日、その第1位号店が上海に登場した。

常時、数十のメーカーの自動車を扱う。現在、購入可能のは、フォルクスワーゲンアウディBMWメルセデスベンツ、ランドローバー、ビュイックボルボプジョー、フォード、ホンダ、トヨタマツダなど。

また、特定のメーカーの自動車のみを販売するキャンペーンも展開する。12月20日からは、ボルボのCX60のキャンペーンが行われた。

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▲Tmallが想定しているのは、車も立体駐車場に入れてしまう店舗デザイン。こうなると自動販売機らしさが出てくる。3号店になる広州店は、この立体駐車場デザインが採用される予定。

 

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▲キャンペーンで販売されたボルボのXC60。高級車であるにも関わらず、288台すべてが完売した。


ネットで試乗予約。顔認証で鍵を受け取れる

購入希望者は、まず個人間取引サイト「タオバオ」で、試乗の予約をする。試乗は、最高3日間まで可能。

試乗の予約をしたら、予約時間に店舗に向かう。大きなモニターの前に立つと、顔認識で、予約をした顧客であることが認識され、鍵が入ったロッカーの扉が開く。その鍵を持って、目的の自動車に乗り込み、試乗を楽しむ。

試乗中に、その車が気に入ったら、そのままスマホから購入手続きをすることができる。購入したくない場合は、そのまま店舗に返却をすればいい。

店舗は、管理者が常駐するものの、接客スタッフは存在せず、まさに自動販売機だ。このキャンペーンでは、開始後わずか75秒で試乗予約がいっぱいになり、42.99万元(約750万円)のボルボCX60が、用意された288台すべてが売り切れた。

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▲ネットで試乗を事前予約しておけば、店舗では顔認証だけで自動車の鍵が受け取れる。

 

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▲ロッカーから鍵を取り出し、裏手の駐車場に入って、指定されたナンバーの車に試乗する。

 

年内に数十店舗を開店予定

現在、このTmall自動車自動販売機は、2018年中に数十店舗の出店を計画している。1月には上海に2号店が開店する予定で、またほぼ同時期に広州市に3号店が開店予定だ。この3号店では、計画図にあるような立体駐車場が建設され、ますます「自動販売機」感が増すことになる。

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▲上海1号店の様子。タッチパネルで顔認証をすると、左のロッカーが自動的に開き、自動車の鍵を取り出すことができる。あとは、駐車場にいって、自由に試乗することができる。

 

 

ニセモノビットコインで5200億円が騙し取られる

中国ではビットコインの取引については厳しい制限がある。しかし、それでもビットコインブームが席巻していて、案の定、偽物ビットコインを利用した詐欺事件が後を絶たない。実態のない仮想通貨「亜欧幣」による大掛かりな詐欺事件が発生し、4万人が被害を受け、40億元(約700億円)以上が騙した取られたと中国新聞網が報じた。

 

ブームに乗ったニセモノ仮想通貨

ビットコイン相場の話題をほぼ毎日耳にするようになった。ビットコインにいろいろ問題があるにしても、将来の通貨の姿を変えてしまうイノベーションであることは間違いない。

問題は、ビットコインよりも、ビットコインブームに乗った限りなく詐欺に近いニセモノ仮想通貨にある。日本でもすでにビットコインではない仮想通貨への投資を誘う限りなく違法に近い広告、限りなく詐欺に近い投資案件を目にするようになった。

もちろん、こういったものが大好きな中国では、すでに亜欧幣と呼ばれるニセモノ仮想通貨の詐欺が横行し、4万人が騙され、40億元以上が詐取された。

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▲逮捕された亜欧幣発行会社の責任者。相場価格はまったくの捏造であることを告白した。

 

最初は8円の投資から始まる詐欺の手口

詐欺に誘う手口も巧妙だ。「亜欧幣は中国製の仮想通貨の中では最も有名で安心できるもの」という口上で、「上がるばかりで下がることがない」「ノーリスクで5倍になる」と耳に入りやすくセリフを並べる。

そして、「まずは0.5元(約8円)だけ投資してみない?」と言って誘うのだという。0.5元であれば小銭だし、しつこい勧誘を断るために0.5元を出してしまう人もいる。それでもきちんと書類のようなものは作成し、金銭の預かり証を発行する。そして、数日後、「あなたの0.5元が100元になりましたよ」と言って、100元(約1700円)を届けにくる。ちゃんと相場のグラフなども持ってくるので、そこで結構な人が信用してしまい、次第に大金を投資し始めてしまうのだ。

 

捏造される上昇相場。最後は夜逃げ

逮捕された亜欧幣の発行会社の責任者は中央電視台の取材の応えた。「相場価格は会社の中で勝手に決定していました。だから、上昇し続ける相場の推移グラフを簡単に作ることができました」。

当然、大金を投資した人が売却をしたいと言い出すと、なぜか相場は急落をする。「売却ができない」というクレームが多くなると、担当者や営業所が一夜のうちに消えてしまう。

つまり、まったくの工夫もない単純で乱暴な詐欺なのだが、ビットコインの話題があるために、騙される人が続出した。

公安局が発表した統計によると、このようなニセモノ仮想通貨は、ほかにも107種類が存在し、公安が立件した事件は5900を超え、被害金額は300億元(約5200億円)になるという。

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▲亜欧幣の相場グラフ。実際に相場は立ってなく、発行会社が自分たちの都合のいいように捏造していた。



監視の目が弱い地方都市で蔓延するニセモノ仮想通貨

中央財経大学の黄震教授は、中央電視台の取材の応えた。「このようなニセモノ仮想通貨は、多くが第2級、第3級都市などの地方都市で出回っています。地方都市では金融監督機関の監視の目がなかなか及ばないのです。多くの場合、地方政府の金融機関が監督の役目を負うことになりますが、人手が足りず、綿密な捜査を行うことができません」。

できるのは、市民に対して、ニセモノ仮想通貨に騙されないように啓蒙することぐらいだ。ニセモノ仮想通貨の詐欺被害は、まだまだこれからも起こると見られている。

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