中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

中関村の栄枯盛衰を見守ってきた聖地「理想国際ビル」

北京のシリコンバレー「中関村」にある理想国際ビルは、百度、新浪、ofoなどが入居し、24時間灯りが消えることがないことから「中関村の宝石」とも呼ばれてきた。理想国際ビルに入居することが成功企業の証となり、中関村の栄枯盛衰を15年にわたって見守ってきたと人物が報じた。

 

「中関村の宝石」理想国際ビル

北京市四環西路58号にある理想国際ビルは、2004年に建設されて以来、北京のシリコンバレー中関村のシンボルであり続けてきた。早くからSNS「ウェイボー」を運営する新浪(シンラン)が入居し、その後、検索サイトを運営する百度バイドゥ)が入居した。さらに、シェアリング自転車のofoが入居し、24時間灯りが消えることのない「中関村の宝石」とも呼ばれた。しかし、現在、この3社はもうここにはいない。

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▲ガラス張りの理想国際ビルは、24時間灯りが絶えないことから「中関村の宝石」とも呼ばれ、中関村の聖地であり続けてきた。

 

成功したスタートアップの証「理想国際ビル」

新しい時代を築いたシェアリング自転車のofoは、2016年に理想国際ビルの10階、11階、15階を借り、成功したスタートアップであることを証明した。北京で起業する若者たちは、いつか事業を大きくして、この理想国際ビルにオフィスを構えることが夢になっているのだ。

ところが2017年末には、資金が不足しているという報道が流れ始め、2018年4月からは、資金や買収に関する観測報道が流れるようになり、ofoはその度に否定をし続けたが、同時に大規模なリストラを行っていった。2018年11月になって、家賃の安いインターネット金融センターに規模を縮小して移転した。ofoの都落ちだった。

このビルを管理する理想集団の毛煥華氏は言う。「理想国際ビルは、起業家の発射台なのです。ここから多くの企業が株式公開をしていきました」。このビルに、失敗をした企業が留まることは許されない。

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▲元ofoのオフィス。もぬけの殻になっている。経営状況が悪化したため、規模を縮小して、家賃の安いオフィスに都落ちした。

 

ビル壁面にロゴを掲げることが成功企業の証になる

2004年4月28日に、理想国際ビルがオープンした時、入居率はすでに60%を超えていた。その中に新浪がいた。新浪は入居すると、すぐにウェイボーなどで急成長をし、それを見て、百度も入居してきた。当時の北京は、まだ高層のオフィスビルが少なく、理想国際ビルは成功者のシンボルになっていった。

このビルでは、4500人が働いていたが、そのうちの3000人は新浪の社員だった。百度は当時まだ数百人規模の企業でしかなく、理想国際ビルの主人は新浪だったのだ。そのため、ビルの壁面には瞳をデザインした新浪のロゴの看板が掲げられた。

その後、mp3プレイヤー「月光宝盒」でサムスンソニーを抑えてトップシェアとなった愛国者が入居して、新浪の隣にロゴを掲げた。

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▲2017年にはofoのロゴが掲げられた。左側は投資会社の「エベレスト」。この2社がこの時の理想国際ビルの主人だった。

 

理想国際ビルが最も輝いた2005年

2005年に百度がナスダック市場に上場をすると、李彦宏CEOは、百度のロゴをビルに掲げることにこだわった。

しかし、管理をする理想集団は、規定では家賃を最も多く支払っている2つの企業しかロゴを掲げられないことになっていると拒否し続けた。交渉回数は数十回に及び、結局規定を改めて、百度のロゴをビルの側面に掲げることで落ち着いた。この理想国際ビルに自社ロゴを掲げるということが、成功した企業の面子にとって極めて重要なことだったのだ。

百度がナスダック市場に上場したことは、理想国際ビルの歴史にとって最も大きな事件だった。このビルから中国で成功した企業だけでなく、世界で成功した企業が誕生したのだ。しかも、一夜にして8人の1兆元級の富豪、50人の1千万元級の富豪、200人の百万元級の富豪が誕生した。理想国際ビルは、北京で最もたくさんの富豪が集まるビルになった。

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▲2005年、百度がナスダック市場に上場した時の記念写真。理想国際ビルは、中央の李彦宏CEOを始めとして、300人近い富豪が働くオフィスビルとなった。

 

成功して巣立った百度、新浪。都落ちする愛国者、ofo

しかし、この時を頂点として、理想国際ビルはその役割を終えていった。事業が拡大し続ける百度は2009年に自社ビルを建設して、理想国際ビルを巣立っていった。愛国者は事業を縮小してオリンピックセンターに転居した。新浪も2016年に自社ビルを建設して巣立っていった。理想国際ビルにロゴを掲げている3社がいずれも去っていった。

これに入れ替わるようにして入居したofoも、すでに退居している(2020年まで契約がある一部のオフィスは残っている)。

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▲事業を拡大する百度、新浪は自社ビルを建設して、理想国際ビルを巣立っていった。写真は北京市の新浪本部ビル。

 

主人不在の理想国際ビル

現在も、理想国際ビルに入居したいという企業は列をなしている。ofoの後には人工知能の商湯科技の入居が決まっている。しかし、今の理想国際ビルにはどの企業のロゴも掲げられていない。このビルの主人がまだ決まっていないからだ。今入居している企業の中からいずれロゴを掲げる企業が生まれ、成功して自社ビルに転居していくことになる。でなければ、ひっそりと都落ちをしていくかのいずれかだ。

理想国際ビルは、中関村のシンボルとして、中関村の栄枯盛衰を見守ってきた。

ジオクレイパー ベーシックユニット 高層ビル TYPE-C

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フーマフレッシュがマンション価格を押し上げる?新たな住宅選び基準「フーマ区」

住宅の選び方が変わった。以前は名門小学校と地下鉄の駅が近くにあることが条件だったが、今ではアリババの新小売スーパー「フーマフレッシュ」がそばにあることが条件に加わった。フーマ区のマンション価格も上昇していると銭江晩報が報じた。

 

住宅を選ぶ基準は、名門小学校、地下鉄駅、フーマフレッシュ

中国の住宅の買い方が変わった。以前は、子どものいる家庭であれば「学区房」を最重要視した。中国の小学校は学区制なので、住んでいる地域によって、自動的に入学する小学校が決まってしまう。そのため、どの親も、名門小学校の地域に引っ越そうと考え、「学区房」の不動産価格は高騰をしている。

もうひとつは「地鉄房」だ。これはいわゆる地下鉄の駅に近い住宅。従来は、この2つを指標として、マンションを探していた。

これに加えて、現在では「盒区房」(フーマ区住宅)という新しい指標が加わった。アリババ系列の新小売スーパー「盒馬鮮生」(フーマフレッシュ)の配達地域になっていることだ。

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▲街中のマンション売買の看板。「フーマ区」「地下鉄」「小学校」の3つがアピールポイントとして挙げられている。

 

フーマフレッシュ配達地域はマンション価格が上昇する

杭州市では、現在フーマ区が8地域あり、その中に250以上のマンションがある。その多くのマンション価格が、1平米あたり4万元(約67万円)になっている。他の地域では、学区、地下鉄の影響があるので一概に言えないが、1平米あたり3万元から3.5万元が相場になっている。フーマ区になることで、5000元程度の価格上昇があるようだ。

フーマフレッシュの候毅CEOは、昨年四川省成都市で開催された電子商務発展サミットの講演で、成都市にフーマフレッシュが開店すると、フーマ区の不動産価格は1平米あたり2000元は上昇すると発言した。

価格幅は都市ごとに異なるが、北京でも上海でも、フーマ区の住宅価格が上昇するという現象が起きていることは間違いのない事実になっている。

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杭州市のフーマ区の現状。2019年中に10店舗に増える予定だ。

 

▲電子商務発展サミットでのフーマフレッシュ候毅CEOの講演。成都市では、フーマ区になるとマンション価格が1平米あたり2000元上昇すると発言した。

 

帰りの地下鉄内で買い物、駅で発注

自宅がフーマ区になると、生活スタイルが大きく変わる。それまで共働きをする夫婦の場合、仕事が早く終わった方が帰りにスーパーに寄り、買い物をして、夕飯を作って待つというのが一般的な習慣になっていた。夕方は最もスーパーの混む時間帯で、その中を重たい荷物を持って帰宅しなければならなかった。

それがフーマ区になると、帰りの地下鉄の中でスマホから注文を入れ、自宅最寄駅に着いた頃に注文をしておく。30分配送なので、自宅に戻って一休みした頃に商品が配送される。配送料は無料で、しかもわずかな料金で調理もしてくれるので、あとはご飯か麺をゆでるだけで夕食ができあがる。

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▲ネットで入手できる地下鉄路線図にもフーマフレッシュの位置が記載されているものがある。カバはフーマフレッシュのマスコットキャラクター。

 

フーマからお取り寄せのホームパーティーが女性のあこがれ

フーマ区に住みたがるのは、女性が多い。特に独身女性は、地下鉄の駅に近いフーマ区の新築マンションに住むというのが夢になっている。休日に友人を呼んで、ホームパーティーをするときも、自分で料理をするのではなく、フーマから取り寄せてしまう。自分で料理をしないため、見栄えのするネイルを楽しむことができる。オシャレを楽しみながら、豪華なホームパーティーが開けるというのが、若い女性にとってひとつのステータスになっているのだ。

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▲フーマフレッシュ店内の広告。「フーマ区に住む」という広告コピー。

 

フーマ区が高級住宅地の代名詞に

フーマ区はそもそもが不動産価格の高い場所が多い。フーマフレッシュは、アリババが保有している膨大なビッグデータを解析して、出店場所を決定している。スマホ決済「アリペイ」の履歴データから、各人の収入を推測することは簡単だ。そして、ECサイトタオバオ」「Tmall」の履歴データから、EC利用度合いもわかる。このようなデータから、「高収入の人が多く住み、EC利用も活発」な地域がフーマ区に選ばれる。

フーマフレッシュの生命線は、宅配ECだ。店舗の売上は、物理的な限界がある。しかし、宅配ECであれば配送スタッフを用意すれば売上は無限に伸ばすことができる。フーマフレッシュでは、積極的に宅配ECへの誘導を行っていて、売上の60%以上が宅配ECによるものになっている。そのため、高収入でEC利用に積極的な人が住む地域に戦略的に出店していく。

フーマ区に選ばれる地域は、もともと不動産価格が高い。それがフーマ区になるとさらに価格が上昇する。すでに、フーマ区は高級住宅地の代名詞になりつつある。

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▲オープンを告げるフーマフレッシュの広告。「フーマがやってきた!」というもの。フーマ区になるということは、その地域が高級住宅地であることを保証されたように感じる人が増えている。

 

都市指標としてフーマカバー率も議論される

杭州市の場合、現在8店舗のフーマフレッシュが営業し、1店舗で半径3km圏が配送地域=フーマ区となる。面積に換算するとひとつのフーマ区は28平方キロになる。ここに25万人から30万人の人が暮らしている。

杭州市全体では、フーマ区の面積は224平方キロになり、フーマ区人口は200万人から240万人ということになる。

杭州市の市区面積は3068平方キロ、市区人口は800万人だ。ということは、フーマ区カバー率は面積で7.3%、人口で30%弱ということになる。

最近、このフーマカバー率を、都市の住みやすさの指標に加えるべきだという議論も起きているという。

フーマフレッシュの店舗数は、全国ですでに100店舗を突破している。アリババの資本があったとは言え、起業から100店舗突破を2年11カ月で達成している。2019年中に、なんと300店舗開店を目標にしている。ますます加速をしていくことになるが、フーマフレッシュの創業以来の目標は、1000店舗、フーマ区人口3億人だからだ。

創業時には、この目標を話半分で聞いていた人も多かったが、現在では極めて現実的な目標設定だと見られるようになっている。本当に、都市の住みやすさ指標の欄に「フーマカバー率」という項目が登場する日がやってくるかもしれない。

 

高齢者を特殊詐欺から守るアリペイの2つの機能

中国でも中高年を狙った詐欺が横行している。アリペイではこのような詐欺被害を守るため、最高24時間まで送金を遅らせることができる機能、不審な送金をすると息子、娘などのスマートフォンに通知が飛ぶ機能などを用意していると北京日報が報じた。

 

発生件数は横ばいでも、被害金額が急増中

中国でも特殊詐欺はあるどころか、横行をしている。特にスマホ決済が普及してからは簡単に送金ができるようになったため、被害者が続出していて、大きな社会問題になっている。

セキュリティプラットフォーム「猟網プラットフォーム」が、把握をしている特殊詐欺の件数は2018年で2万1703件。これはプラットフォームに通報があって分析対象になった件数のみなので、実際にはこの何倍の規模になっているのかわからない。

発生件数はこの5年間、ほぼ横ばいだが、一人当たりの被害額が2万4476元(約41万円)となり、急増している。この5年間、被害額は毎年記録を更新している状況だ。

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▲ここ5年間の詐欺通報件数と平均被害額。件数は横ばいであるものの、平均被害額が急増している。

 

中高年の出資詐欺、若者の就職詐欺が横行

最も多い詐欺は、偽の投資話を持ちかける出資詐欺だ。年利◯◯%で配当がつくという上手い話を持ちかけて、大金を送金させる。主に50代、60代の女性が被害者になっている。

次の多いのが、就職詐欺。有名企業の名前を騙って、就職の世話をするが、その前に登録料、研修費用などを送金させるというもの。一件あたりの被害額は大きくないものの、若者が狙われている。

 

詐欺から守るアリペイの時間差送金

特に問題になっているのが、中高年向きの出資詐欺だ。スマートフォンスマホ決済が次第に中高年の間にも普及すれにつれ、中高年の被害件数が急増している。

これを防ぐために、スマホ決済「アリペイ」には、以前から「延時転帳」という機能がある。

これは、アリペイから他のアカウントへの送金、銀行口座への送金を、2時間または24時間遅延させるというものだ。送金予約をするような感覚で、時間内に詐欺であることが判明したら、送金をキャンセルできるというものだ。

ただし、簡単にキャンセルできてしまうと、今度はそれが悪用されかねないので、送金キャンセルの手続きは厳格だ。まず、警察に行って被害相談をしなければならない。警察の方で、詐欺被害の可能性が高いとなると、受理証明を発行してもらえるので、その受理番号をアリペイのサポートに伝える。これで送金が凍結される。

さらに警察が詐欺被害であると認定すると、返金してもらえるというものだ。

現在では、アリペイ側で送金先の口座情報を自動分析し、不審な動きをしている口座だと、通常の送金をしようとしても「延時転帳」を勧める警告が表示されるようになっている。

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▲アリペイの延時転帳設定。2時間または24時間を設定しておくと、送金が設定した時間、遅らされる。その間に詐欺の疑いがあった場合は、警察に被害届を出すことで、凍結、キャンセルできる。

 

不審な送金は、守護者に通知が飛ぶ

もうひとつの機能が「安全守護」だ。これは中高年向きの機能で、守護者を指定する必要がある。一般には、息子や娘が守護者となる。

この設定をしておくと、対象者が送金をした時に、アリペイ側が対象口座を分析して、特殊詐欺の可能性がある場合は、守護者のスマホにプッシュ通知が送られる。対象者が「延時転帳」の設定をしていれば、この時点で守護者が対象者と連絡を取って、適切な処置をとることができる。

また、金額を設定し、一定額以上の送金をした場合、新しいスマホで対象者のアリペイアカウントが使われた場合に、守護者に通知をする機能もある。

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▲安全守護機能の解説。息子や娘を守護者に定めておくと、不審な送金があった場合に、守護者のスマートフォンに通知が飛ぶ。

 

犯罪者を兵糧攻めにすることで犯罪をなくす

特殊詐欺がなくならない理由。それは騙される人が大量に存在するからだ。多くの詐欺グループは、国外に拠点を持ち、中国国内に対して詐欺を行うため、犯人逮捕には限界がある。スマホの機能を使って、騙されない、騙されても送金されないという防止策を講じることで、詐欺が割に合わない犯罪になっていけば、特殊詐欺は自然に消えていくことになる。

送金や決済の利便性が高いスマホ決済は、犯罪者にとっても利便性が高い。善意の利便性を高め、悪意の利便性を抑えていく方策を取らない限り、どのようなキャッシュレス決済手段も、現金決済を超えることはできない。

 

時速350kmの中国版新幹線も年内に無人運転。2022年までに無人路線も拡大

中国の地下鉄などではすでに無人運転化が当たり前になりつつあるが、今度は時速350kmで走行する中国版新幹線「高鉄」の無人化試験も始まっている。2019年内には北京、張家口市間での営業運行をする計画だと新浪看点が報じた。

 

無人の方が正確。定時運行率を上げるための無人

最高速度時速350kmで走る中国版新幹線「高鉄」の無人運転の試験運転が始まっている。年内には北京、張家口市間で正式運行を始め、2022年北京冬季五輪開催までに各路線に積極的に投入していく予定だ。

人間が運転する場合、人により技量差が生まれてしまう。新人では停車位置がずれ、正しい位置に修正するなどの無駄が生まれる。しかし、自動運転ではこのようなミスが起こらないため、高鉄全体の定時運行率を上げることができる。

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▲運転席は有人のものと大きな違いはない。監視員が乗務し、緊急時には手動運転に切り替える。

 

当面は「無人運転、有人監視」

無人運転といっても、運転士は乗務をする。運転はしないが、監視をして緊急時には手動運転ん切り替える「無人運転、有人監視」のスタイルを当面は採用する。

すでに北京地下鉄燕房線、上海地下鉄10号線などでは無人運転が行われていて、車両を製造している中車四方車両は、無人運転対応車両をシンガポールなどに輸出し始めている。

しかし、路線延長が100km以内、最高速度時速100km程度の地下鉄と、長距離で最高速度時速350kmの高鉄では、要求される無人運転技術のレベルが違う。

昨年6月には、広東省の東莞市と恵州市を結ぶ都市間高速鉄道で、無人運転を正式運行している。全延長は96kmだが、最高速度は時速200kmになる。中国鉄路総公司は、低速、中速、高速のすべてで無人運転を積極的に導入していくという。


Automatic Train Control System Successfully Tested on China's High-speed Train

▲試験運転の様子を伝えた中央電視台の報道。

 

無線で車両を制御するCTCS

試験運行は、3ヶ月間、18.6万kmを予定している。

従来の列車制御方式は、レールに電気信号を流して、列車とセンターがやり取りする軌道回路方式だった。しかし、この方式では、軌道にさまざまな装置を設置する必要があり、敷設に時間とコストがかかり、軌道の安全点検が必須となる。

一方で、車両と無線でやり取りをするCTCS(China Train Control System)方式であれば、このような施設や安全点検の負担が大きく軽減できる。中国ではこのCTCS技術に早くから注目をし、欧州のETCSを参考に国産化を進め、現在、すべての情報を無線のみでやり取りするCTCSレベル3に達している。無人運転は、このCTCS3に自動運転技術を組み合わせて実現している。

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無人運転高速鉄道の拡大時期を2022年に定めているのは、冬季五輪北京大会が開催されるから。この時には、北京を起点とした高鉄の各路線が無人運転化される。

 

無人運転高速鉄道技術の国際競争が始まっている

高速鉄道無人運転化は、フランスのTGVも目指していて、今年2019年から試験運行を始め、2023年までに正式運行する予定だ。

中国はこの技術をアジア圏を中心に輸出する重点技術としており、高速鉄道無人運転技術の輸出競争が激化するとみられている。

 

キャッシュレス社会の闇が大学生を蝕む。半数が利用する違法「校園貸」

キャッシュレス社会は、決済だけでなく借金の利便性も高めてしまった。スマホで簡単に金が借りられるため、大学生たちが借金苦で苦しむようになり、中には自殺を選ぶ学生もいて、大きな社会問題になっていると 壱点新娯楽が報じた。

 

決済だけでなく、借金の利便性も高まったスマホ決済

キャッシュレス化が進む中国で、その弊害が若い世代を襲っている。現金がキャッシュレス化され支払いの利便性が上がるとともに、借金の利便性も上がる。現金時代のように金融会社を訪ね、申込書に記入をし、毎月返済しに行かなければならなかったものが、スマートフォンからお金が借りられ、返済も自動で行われるようになる。

銀聯カード、アリペイ、WeChatペイともに簡単にお金が借りられる機能があり、もはや借金をしているという感覚はなくなり、単に現在残高がプラスになっているかマイナスになっているかの違いしか感じなくなる。

決済ツール運営会社にとっては、この利息が大きな収益となるため、「先消費、後払い」というスタイルが、あたかも現代的でスマートな消費生活であるかのようにプロモーションをしている。

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スマホ決済「アリペイ」に付属している花唄機能。算出された信用スコアに基づいて、借金可能枠が表示される。アリペイの中にあるため、気軽に利用してしまう人が多い。


借金残高は8年前の11倍、貯金はわずか2万円

中央銀行が公開した「決済システム運営総合状況」によると、銀聯カード、銀行カードの半年以上未返済の残高は、2018年第3四半期に880.98億元(約1.5兆円)に達している。これは8年前の2010年の約11倍以上になっている。

また、アリペイの運営元であるアントフィナンシャルが公開した「中国養老将来調査報告」によると、18歳から34歳の若い世代の平均貯蓄額(生命保険、年金などを含む)はわずか1339元(約2万2000円)で、多くの人が貯蓄をせず、稼いだお金をほとんど使ってしまうことがわかった。

 

5万円の借金が15ヶ月には1150万円に

といっても、「先消費、後払い」は定収入がある人にとっては悪いサービスではない。支出の平準化ができるため、消費生活を楽しむことができる。しかし、収入がない学生にとっては、転落のきっかけになってしまうことがあり、大学生の借金苦が社会問題になっている。

話題になったのがある女子大生の事件だ。この大学生は服を買うお金や友人と遊ぶお金が必要になったため、ネット金融から3000元(約5万円)の借金をした。しかし、収入がないため、すぐに返済に困り、別のネット金融から借りて返済するという自転車操業状態になった。それから15ヶ月で、55カ所のネット金融を使い、借金総額は69万元(約1150万円)に膨らんでしまった。

両親は驚いたが、自宅が差し押さえられ競売され、58万元を返済したが、11万元の返済がどうにもならない。女子大生は遺書を書いて、自殺を図ったため、父親が娘を連れて公安に助けを求めたことから、事件が明らかになった。

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▲左の黄色のが女子学生。右の青いのが金融業者。裸の写真を撮影して担保として差し出すことを要求している。金融業者のアイコンは若い女性になっているが、もちろん女性であるかはわからない。WeChatなどを使って、簡単に借金を申し込むことができてしまう。他人にも知られることがない。

 

借金苦で死を選ぶ学生も

この他、内モンゴル自治区の赤峰市で、若い夫婦がネット金融の借金を返済するために、自分たちの子どもを13万元(約220万円)で売って逮捕された。武漢理工大学の大学院生が17カ所のネット金融から5万元(約83万円)を借りて、返済に行き詰まり自殺をした。河南牧業経済大学の2年生が、58.95万元(約985万円)の借金が返済できず、青島のホテルの8階から飛び降り自殺をした。このような事件が相次いでいる。

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▲湖南工学院が調査した校園貸の利用状況。人数は多くはないが、5万元(約80万円)前後の借金をしている学生がいる。借金をする理由は、生活苦ではなく、服やバッグ、時計を買うためだ。

 

大学生の半数が利用、40%が金利を正しく理解していない

今年になって、武漢大学、江漢大学、武漢職業技術大学などの10の教育機関が、学生に対して緊急アンケート調査を行なった。1500名にアンケートを実施し、有効回答は1205。これによると、55.6%の大学生が学生向けのネット金融を使った経験があった。また、44.4%の大学生が、借金を返済するために別のネット金融から借りるということをしていた。

しかも、正確に金利計算ができたのはわずか35.1%で、40%の学生は金利について正しく理解していなかった。

 

逃げられない大学生はうってつけのカモ

違法な学生向け金融「校園貸」がなくならない。なぜなら無届けで個人で行ってしまうので、摘発が難しいからだ。貸し借りの交渉はWeChatなどのSNSで行い、お金の受け渡しもキャッシュレスで行われる。

信用のない学生になぜお金を貸せるのか。学生は卒業するまで逃げないからだ。信用度の低い社会人は、借金で首が回らなくなると、転職をしたり、別の都市に逃げてしまうが、学生は必ず大学で捕まえることができるし、逃げる先は実家ぐらいしかない。返済ができなくなると、他の校園貸を紹介し、そちらで借りさせて自分のところの分は完済させる。最後のババさえ引かなければ、確実に返済がしてもらえるのだ。

しかも、学生は金利に関する知識がなく、違法な高金利を得ることができる。さらに、違法な校園貸に手を出しているというのは恥ずかしいことであり、友人にも相談しづらく、ましてや学校には絶対に知られては困るという気持ちがあるので、違法行為が発覚しづらい。

 

利息を天引きして、違法な高金利で貸す

人民日報は、公式ウェイボーで、校園貸に対する注意喚起のスライドを公開している。

多くの校園貸が、借りるときに利息分を天引きする。しかし、ここに金利のトリックがある。例えば、年利12%で12万元を12ヶ月返済で借りた場合、金利総額は12万元×12%=1.44万元となり、これを天引きして10.56万元を手渡し、毎月1万元を返済する。しかし、金利は本来、残金に対してかかるのに、毎月12万元に対する利息を支払っていることになる。実質の金利は倍の24%に相当してしまうのだ。

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▲人民日報がウェイボーで公開した利息に関する注意喚起。利息分を天引きして貸すので、約束した利息よりも高い利息になってしまう。大学生の40%がこの仕組みを理解していなかった。

 

大学生をカモにする5つの手口

人民日報は、典型的な校園貸の手口として5つをあげている。

「培訓貸」は、高報酬であるという触れ込みの企業が、就職希望者に訓練費用として、校園貸から借りさせる手口。

「回租貸」は、担保としてスマホを預かってしまうもの。その個人情報から、学生の家族親戚、友人などに借金の営業をする。

「裸条貸」は、女子学生に対して、身分証を持った裸の写真を撮らせ、それを担保とするもの。返済が遅れるとその写真を公開すると脅される。

「刷単貸」は、校園貸の人間が営業成績を上げたいと持ちかけ、報酬を渡して借りてもらうというもの。一定額を借りさせて、そこから報酬分を引いた額を口座に返済させ、これで借金は完済したと錯覚させるが、その口座は校園貸とは関係がなく、翌月から返済の催促が始まる。

「美容貸」は、美容整形を受けたい学生に手術費用を無利息で貸し付け、さらに追加貸付の営業をしつこくするもの。

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▲女子学生が被害を受ける「裸条貸」。借りるときに、身分証を持った裸の写真を自分で撮影し、それを担保として差し出すことを要求する。返済が滞ると、その写真がネットにばら撒かれると脅される。

 

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▲返済期限を過ぎたら、担保として入れた写真をどのように扱うことにも同意をするという念書も書かされる。最近では動画の撮影も強要される。このような念書は法的な意味はまったくないが、無知な学生を脅かすにはじゅうぶんな効果がある。

 

悪徳金融に狙われる消費者弱者たち

人民日報は、お金が必要な場合は、必ず銀行などの正規の金融機関で借りて欲しいと訴えている。しかし、手続きの面倒な銀行に行く学生はいないし、収入のない学生にお金を貸す銀行は少ない。

キャッシュレスが進んで、決済の利便性が高まると同時に、借金の利便性も高まってしまった。速度超過で進化する中国社会の歪みが、消費弱者である大学生を襲っている。

 

時速200kmの高速リニア鉄道も無人運転。2020年に開通

中国中車株洲電力機車は、無人運転の高速リニア鉄道を2020年3月までに開通させることを公表した。すでに試験車両が完成し、試験走行をする段階に達していると観察者網が報じた。

 

時速200kmの無人運転リニアの試験が始まる

3月に開催された全国人民代表大会で、中国中車株洲電力機車(CRRC)の周清和董事長は、無人運転のリニア高速鉄道を2020年3月に開通させることを明らかにした。最高時速は時速200kmで、都市交通に投入する。すでに試験車両を製造し、走行試験を行っているという。

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無人運転高速リニアの試験車両。最高時速200kmの無人運転を目指している。

 

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▲試験走行中の無人運転高速リニア。すでに試験運転も行われ、2020年3月の開通を目指している。

 

登坂能力が高いリニアは都市交通に向いている

中国が都市交通のリニア鉄道に注目している理由は、高速であるとともに、その登坂能力だ。CRRCの第3世代リニアモーターカーでは、100mで4階建ビルの高さを登坂する能力がある。またカーブでの速度も上げることができ、アップダウンやカーブが多くなる都市交通に向いている。

総延長50kmから200km程度の都市交通あるいは近郊鉄道に向いている。この無人リニアは、すでに30都市に投入する計画が進んでいる。

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無人運転高速リニアの車両。ドイツ製の第1世代、国産低速の第2世代とすると、無人高速リニアは第3世代にあたる。市内交通や都市間交通に利用される。

 

第1世代はドイツ製。第2世代は国産低速リニア

中国はリニア鉄道の導入を以前から進めている。2002年には、上海市と上海国際空港浦東空港の30kmをわずか8分で結ぶリニア鉄道の営業運行を開始している。この時は、ドイツから技術輸入をした。そのため、導入コスト、運営コストが高く、運営元の上海市軌道交通に大きな負担を与えてしまっている。

これがきっかけになって、中国独自のリニア鉄道の研究が始まったが、速度を追求するよりも、その登坂能力、高速でのカーブ走行能力に注目をし、中低速リニアとして都市交通に応用する方向に進んでいった。

2016年には長沙市で長沙リニア快線を開通。時速100kmで18kmの路線を運行している。また、2017年には北京市で北京地下鉄S1線が開通。時速100kmで10.2kmの路線を運行している。

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上海市内と上海浦東空港を結ぶ上海トランスピッド。最高時速は431kmと高速だが、ドイツから輸入したため利益が出ない。この反省から、リニア開発の国産化が進んだ。

 

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▲長沙のリニア線。最高時速100kmの低速リニア。

 

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▲北京地下鉄S1線を運行している低速リニア。時速100kmで10.2kmの路線を運行している。

 

第3世代は高速無人リニア。海外展開も

このような都市交通向けの中低速リニアに、無人運転機能を搭載した第3世代のリニア鉄道の運行が目前となっている。

CRRCは、中国各都市での営業運行を目指すとともに、すでに海外への輸出も積極的に考えているという。この中低速リニアが将来、中国の重要な輸出製品になるかもしれない。


中国超级高铁来了,磁悬浮加无人驾驶,英国网友评价亮了

▲リニアの技術開発の歴史をまとめた「すごいぞ我が国」の報道。中国では地下鉄などでもATO運転(自動運転、無人運転)が進んでいる。

世界の美しい地下鉄マップ 166都市の路線図 を愉しむ

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200都市以上の公共交通が利用可能。WeChatの乗車カードはNFC採用

WeChatのミニプログラム「テンセント乗車カード」が出張族から歓迎されている。NFCを利用するため、交通カード感覚でタッチをするだけで全国200都市以上の地下鉄やバスに乗車できる。スマホ乗車の決定版になりそうだと捜狐が報じた。

 

都市ごとに異なる交通カード

中国でも、日本のSuicaにあたる交通カードがほぼすべての都市で使われている。あらかじめチャージをしておく方式で、市内の地下鉄、バスが利用でき、タクシーの料金を支払える都市も多い。ただし、大きな問題が存在する。それは市交通局が発行主体であるため、他の都市では使えないのだ。日本のSuicaなどの交通カードは相互乗り入れをしているので、日本国内であればほとんどの公共交通で利用することができるが、中国ではそれが進んでいない。一部、都市間で共通化を図っているところもあるが、どこのカードがどこで使えるのか分かりづらい。

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▲WeChatのミニプログラムとして提供される「テンセント乗車カード」。NFCである点が大きく、従来のQRコード方式よりも、素早く改札を通ることができる。

 

QRコードスマホ決済乗車が普及をした

この問題は、出張の多いビジネスマンの間で以前から問題になっていた。他都市に行った場合は、小銭を用意していちいち切符を買って地下鉄に乗らなければならないからだ。交通カードを買ってもいいが、チャージしたお金が無駄になる。

そこで、多くの都市でQRコード対応改札の導入が進んでいる。スマホ決済「アリペイ」「WeChatペイ」などで乗車賃を支払えるもので、これであれば、出張先の都市についてから交通カードを買ったり、切符を買ったりしなくても、すぐに乗車できる。

 

スムースではないQRコード乗車

しかし、これにも不満がある。やはりQRコードをかざすというのは、交通カードに比べて手間がかかるということだ。バスに乗る前、改札を通る前に、アプリを起動しておかなければならない。さらに、QRコードの読み取りは速くなったとは言え、微妙な間が必要になる。NFCの交通カードであれば歩きながらタッチすればいい感覚だが、QRコードの場合はいったん立ち止まってかざさないとならない感覚だ。

 

NFC、200都市で使えるテンセント乗車カード

テンセントが運営するWeChatは、全国200都市以上で地下鉄やバスに乗車できるミニプグラム「テンセント乗車カード」をリリースした。これはQRコード方式ではなく、NFCを利用している。そのため、スマホを交通カードと同じ感覚で使って、地下鉄やバスに乗ることができる。出張族からは、「これが欲しかった!」と喜びの声が上がっている。

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▲10元以上チャージしておかないと乗車できないが、チャージはスマホ内でいつでもできる。

 

ようやくNFCスマホ乗車環境が整った

現在、Androidのみ対応で、支払いはポストペイではなく、事前チャージ方式。と言っても、スマホ内で紐づけた決済手段からいつでもチャージができる。専用アプリではなく、WeChatペイのミニプログラム方式での提供なので、WeChatを起動→テンセント乗車カードを表示→改札にタッチという手順が必要だが、ブックマークやショートカットに相当する機能もあり、テンセント乗車カードをホーム画面に追加することもできる。

テンセント乗車カードは、公共交通の新たな決済方式ではなく、以前からあるNFC交通カードの仕組みをそのまま利用している。そのため、交通局側では改札のハードウェア的な改修作業は必要ない。そのため、多くの都市が対応できた。

問題はNFCを利用するという点。スマートフォンNFCがほぼ標準装備されるようになったのは2017年頃で、まだNFC未対応のスマホを使っている人もかなりの数いる。そのためQRコード方式を利用する人も多いが、NFC対応スマホが普及をするにつれ、このテンセント乗車カードの利用率も上がっていくものと予想されている。中国も、ようやく日本の交通カード並みの環境が整った。