長沙市に総合充電ステーションがオープンした。1km1秒のウルトラスーパーチャージャー、バッテリー交換ステーションを備えるだけでなく、太陽光パネルや蓄電設備も用意されたものだと掌上長沙が報じた。
1km1秒の超高速充電器が広がり始める
湖南省長沙市に、長沙市初の「光貯蔵式充電交換」充電ステーションが運用を開始しした。長沙市天心区南二環南郊公園の南側、約3000平米(テニスコート12面分)の敷地があり、同時に25台が充電などをすることができる。
建設をしたのは、天心国資集団傘下の湖南晟威信息科技。この充電ステーションには、1km1秒(5分で600km分)充電できる超高速充電器が2台備えられ、さらにバッテリー交換式の施設も備えられている。バッテリー交換の場合、かかる時間はわずか1分半だ。充電/交換時間が短くなるため、1日に540台程度の電気自動車(BEV)に対応することができる。これは同面積のガソリンスタンドの対応台数とほぼ同じになる。
屋根の太陽光パネルの電気を利用
また、屋根には太陽光パネルが設置され、電力を貯蔵するバッテリーも設置されている。年間発電量は10万kWhに達する。また、外部電源も利用をしており、電力料金の安い深夜などに蓄電をする仕組みになっている。どの時間帯にどの程度蓄電をするかは、最も運営コストが安くなるように自動的に決定され、自動的に調整されていくようになっている。
超高速充電器は、NEV充電にとっての決定的なソリューションだが、問題は大電力を必要とするため、設置には地域の送電網の組み直しが必要になることがあるという難点を抱えていた。充電ステーション側に太陽光発電設備と蓄電設備を用意することで、この電力負担が軽減され、設置できる場所が大きく広がることになる。
充電ステーションは短時間化、大規模化が必須
このような総合型の充電ステーションが各都市、高速道路に登場し始めている。充電スポットの数は2024年8月時点で1099.9万台分となり、新エネルギー車保有台数は2472万台であることから、その比は1:2.25となり、必要と言われる1:3をクリアしている。
しかし、現実には大都市に集中をし、充電に時間がかかるために、見つからない、空いていないという問題も起きている。そのためには、南郊公園ステーションのように「大規模」「短時間」の充電ステーションが必須となる。南郊公園ステーションは今後の充電ステーションのモデルステーションとなっている。
充電設備が先行することで、EVシフトが進む
充電設備とBEVの関係は、よく「たまごとニワトリ」に例えられるが、現実には先に充電設備を充実させる必要がある。BEVの購入を考える人の最大の懸念は、「充電場所を見つけるのに苦労をするのではないか」というもので、先に充電設備を充実させることで、この懸念を払拭する必要がある。それで、ようやくBEVが購入の選択肢に入ってくるのだ。
実際、中国のEVシフトは2019年に危機を迎えた。2019年には補助金が縮小したこともあって、初めての前年割れとなり、予想販売台数を大きく下回った。そのままコロナ禍が始まってしまったため、中国はEVシフトに失敗をしたのではないかと見る専門家もいたほどだ。
しかし、その間にも中国政府は着々と充電設備の拡充を進め、充電設備台数はBEVの販売台数よりも多くなるほどだった。これが消費者に安心感を与え、コロナ禍が落ち着いた2021年に突然BEVが売れ始めることにつながった。
EVシフトを進めるには、「たまごとニワトリ」などという様子見をするのではなく、まず、充電設備を先行投資で拡充をしていく必要がある。この南郊公園ステーションは、まだBEVを購入していない人の不安をすべて解決するものになっている。この全方位型の充電ステーションが今後どの程度増えていくかで、今後のEVシフトの進み方が大きく左右されることになる。