代理注文という不思議なビジネスが広がっている。飲食店などが配布をしているクーポンを転売するというものだ。そのクーポンを使えば半額程度で購入できるため、若者を中心に利用が広がっている。また、飲食店側もやめられない理由があると海報新聞が報じた。
なんでも半額で買える代理購入
販売価格50元の映画のチケットが19.9元で、ファストフードの飲食品が半額で、1500元のホテルの部屋が1100元で購入できる。そんな「代下単」(代理注文)と呼ばれる仕組みが広がっている。利用しているのは当然若者だ。
EC「淘宝網」(タオバオ)、フリマサービス「閑魚」などで「KFC 代下単」などで検索すると、半額程度で購入できるアイテムが山ほど見つかる。
購入をすると、半額クーポンが送られてくる
実際に使うのも簡単だ。タオバオで代理注文のアイテムを購入し、決済をすると、メッセージでクーポンコードやQRコードが送られてくる。その後の方法は店舗よって異なるが、使い方は一般的なクーポンと同じだ。モバイルオーダーの時にクーポンコードを入力するか、店頭でQRコードを読み取ってもらうと、その商品が手に入れられる。
多くの場合、半額程度になるため、利用する人が増えてきている。
なぜ代理注文では安く購入できるのか
しかし、多くの人が疑問に思っているのは「なぜこんな安く買えるのか」ということだ。
この代理注文のコードの入手先に秘密がある。銀行のデビットカード、各種スマホ決済、各チェーンの会員アプリなどでは利用度に応じて大量のクーポンを会員にサービスとして提供してくれる。しかし、往々にして自分だけでは使いきれないのだ。クーポンが多すぎて自分一人では消費しきれない、自分が欲しいものではないということもある。特に銀行は経営が苦しくなり、生き残りを図らなければならなくなっているため、顧客を呼び込むために、さまざまな消費者企業と提携をして利用者にクーポンを配布しているが、利用者にとってはそのほとんどが自分では消費しようとは思わない製品だったりする。
そこで、このようなクーポンが、コードだけあればよく、利用する時に身分証などを必要としていないことに気がついて、クーポンを転売する人が現れ始めた。当初は、閑魚で不要なクーポンを2割程度のマージンを乗せて転売をするというものだったが、すぐに業者が、クーポンを大量に配布しているサービスに加入をし、取得したクーポンをタオバオなどで販売するようになった。
専門家はトラブルなどのリスクを指摘
消費の専門家たちは、リスクの高い消費行動であり、避けた方がいいとアドバイスをしている。このようなクーポンの転売をしているのは、個人か小規模事業者がほとんどで、購入したクーポンの有効期限が切れていたなどのトラブルに見舞われた時、丁寧な対応はとってもらえない可能性がある。何度もやり取りをして、最終的に返金に応じてくれればいい方で、連絡を断ってしまうケースもあるという。
また、そのクーポンはどこかで配布をされているもので、それに業者のマージンが乗せられている。自分で探せばもっと安くクーポンそのものを手に入れることができるのだ。
それでもやめられない消費者と飲食店
しかし、若者たちは代理注文をそれでも利用する。トラブルになるケースがそう頻繁にあるわけではないし、なにより便利なのだ。これからKFCに行って食事をしたいと思った時、タオバオで検索をすると、代理注文がすぐに見つかる。その場で決済をすると、メッセージで瞬時にクーポンコードが送られてくる。自分であれこれクーポンを探して、管理をしておいてというよりもはるかに手間が少ない。クーポンを探す手間賃と考えれば、多少のマージンは納得できる。
クーポンを発行する業者も配布をする業者も集客のためにクーポン配布をやめるわけにはいかない。しかも、代理注文という仕組みが広がり、「不要なクーポンは転売でき、おこづかいが稼げる」とわかった人たちは、クーポンを大量配布するサービスに加入をするようになる。飲食店もサービス業者もクーポンの利用度が上がり集客ができる。代理注文を販売する方は小銭が稼げて、購入する側は小銭が節約できる。誰も損をしてないという不思議な仕組みが広がり始めている。