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国慶節の人出は7.65億人、国内旅行は完全復活。自分の時間を楽しむ慢充旅行とは

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今回は、国慶節の旅行状況についてご紹介します。

 

中国の国慶節は日本の建国記念日にあたり、毎年10月1日に決まっています。その後の7日間、多くの企業が休暇になる秋のゴールデンウィークにもなっています。中国では春節に次ぐ大きな休暇で、気候もいいことから多くの人が旅行に行きます。

今年の国慶節の人出は7.65億人となり、昨年の国慶節よりも5.9%増加し、コロナ前の2019年国慶節と比べると10.2%の増加となりました。国内旅行については完全に復活をしました。一方、海外旅行は8割程度の回復と奮いません。今ひとつ弱い状況が続いています。

 

今年の国慶節の旅行で明らかになったのは、人数などの点では完全復活をしたものの、旅行スタイルに大きな変化が起きたことです。後ほどご紹介しますが、「慢充旅行」という言葉がキーワードになっています。スローで充実した旅行のことです。ホテルだけ決めておき、あるいはそれさえ決めずに車中泊をして、目的地を決めない、観光名所に行かない、映えるスポットに行かないという旅行です。観光名所を巡回するような旅行から、自分が楽しめる旅行に変化をしています。

また、特に若い層で顕著ですが、いわゆるみやげ物を買わなくなっています。ケチっているというのではなく、観光客用に用意されたみやげ物や飲食品には目もくれず、SNS「小紅書」などで調べた「地元の人が美味しいと思う店、飲食品」に興味を示すようになっています。そのため、観光商店街などに行っても、見るだけで何も買わず、最近ではNPC(Non Player Character)などと自認するようになっています。NPCとはロールプレイイングゲームに登場する村人などで、何もしないで、ただ存在するだけという意味です。見物をして、そこの雰囲気を楽しむだけで、何も買わずに帰ってしまいます。

 

日本のインバウンド関係者にとっては、8割まで回復した中国人旅行客がコロナ前まで戻ってくれるのか、あるいはこの低調なまま推移をしてしまうのかは気になるところだと思います。

観光庁では、3ヶ月に一度「インバウンド消費動向調査」(https://www.mlit.go.jp/kankocho/tokei_hakusyo/gaikokujinshohidoko.html)を公表するようになっています。非常に詳しい調査であるため、インバウンド関係者にとっては非常に貴重な情報源になっています。

最新版の7-9月期の調査が10月に公表されたばかりですが、これに関して気になる報道の仕方があったため、まずはこの消費動向調査の結果からご紹介したいと思います。

観光庁が公表したインバウンド消費動向調査の観光レジャー目的の1人辺りの旅行支出。航空券などの旅行前支出は除外され、日本でいくら使っているかを示したもの。

 

多くの報道では、分析記事ではなく短い事実報道であるため仕方ありませんが、総額のところだけを見て、「インバウンド消費は欧米各国が多く、韓国などのアジア圏では少ない」と報道をしていました。総額を順位順に並べると、次のようになり、確かに欧州が高く、アジア各国が低くなっています。

▲消費総額で見ると、欧州の人が大きく、アジア圏の人が小さくなる。

 

これは間違いではありませんが、誤ったイメージを伝えることになってしまいます。

というのは、欧米のインバウンド旅行客は遠いために、1回の旅行の宿泊日数が長くなります。反対に、アジア圏のインバウンド旅行客は近いために短い休みを利用してくることもできることから、宿泊日数が短くなります。

つまり、1泊あたりの旅行支出に直して比較しなければ、「どの国の人がお金を使ってくれやすいのか」はわかりません。そこで、1泊あたりの旅行支出を計算すると、次のようになります。

▲一泊あたりに換算をすると、中国と香港が上位にくる。いずれも国内旅行をする日本人の旅行支出よりも小さい。

 

すると中国、香港、シンガポール、台湾が上位にきます。この4つの国と地域の方は、日本にきてたくさんお金を使ってくれるということになります。また、欧州、東南アジアの旅行客は使ってくれる金額は少なめです。面白いのはイタリアで、なぜか高くなっています(日本国内での交通費が突出して多くなっています)。

なお、同じ観光庁のデータから日本人の観光・レジャーによる支出のデータ(4月-6月期)を使い、1泊あたりに換算をして、比較のために入れています。これを見ると、実は日本人がいちばんお金を使っています。インバウンドは重要なお客様ですが、日本人を取り込む対応も考えておかないと、肝心の国内旅行客を逃してしまうことになりかねません。

 

観光庁の調査では、総額だけでなく、内訳別支出も調べてくれています。この内訳支出を調べてみると、インバウンド旅行客にもお国柄があることがわかってきます。大雑把に結論だけご紹介すると、中華圏の人は買い物、欧州圏の人は移動、韓国の人は娯楽と飲食という傾向が見えてきます。

今回は、中国の国慶節休暇で完全復活した中国人の旅行と、明らかになった大きな変化についてご紹介します。

 

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