北京の高速道路「大興空港線」では、有人ゲートのすべてがロボットに置き換えられた。ロボットが通行カードを渡してくれて、出口ではスマホ決済をする仕組みだ。今後、多くの高速道路でゲートの無人化が進んでいくと新京報が報じた。
ETC装着率がなかなかあがらない中国
中国のETC装着率は2023年末で86%になった。自動車保有台数が3.19億台、ETC装着台数は2.7億台になる。2024年末までには90%に達すると見られている。
しかし、ETCを使わない人もまだ残っていることから、高速道路の料金所では有人ゲートを設置せざるを得ない。装着率を考えると、10台ある有人ゲートのうち2台を有人にすれば需要を満たすことができるが、それだと事故が起きる可能性が生まれる。ETC未装着の車が、料金所前で有人ゲートを目指して斜めに走行する可能性があるからだ。
そこで、多くの高速道路では、半分をETC専用とし、半分を有人にして「ETC/有人」両用とするようにしている。このため、ETC普及率があがっても、有人ゲートを減らせないという課題が生まれていた。
中国のETC装着率があがらないのは、スマートフォン決済が早くから普及をしたからだ。有人ゲートであっても、スマホのQRコードを見せればそれで支払いが済んでしまう。わざわざETCを使わなくても、さほど不便ではないと考える人も多かった。特に年に数回しか高速道路を使わない人は、ETCを導入しない人が多い。
有人ゲートをロボットに置き換えた大興空港線
北京の高速道路「大興空港線」では、有人ゲートをすべてロボットに置き換えた。大興空港線では101ヶ所の料金ゲートがあり、そのうちの44ヶ所が有人だった。これをすべてロボットに置き換えた。スタッフは、機器の管理をするだけになり、必要なスタッフ数を一気に1/10程度にまで減らすことができた。
不必要な混雑も解消
このロボットによる料金ゲートでは、チケット発券で5秒程度、支払いで10秒程度短縮ができる。ETC/有人ゲートで課題だったのは、「スマホ決済支払いの人が時間がかかる」というもので、ETC支払いの人は徐行をして通過できるのに、スマホ決済払いの人がいると停止をして待たなければならなくなる。これが待てずに、中にはバックをしてETC専用ゲートに入り直す人もいて、トラブルや事故の原因にもなっていた。
ロボット導入により、スマホ決済支払いでも数秒から10秒程度で処理ができるようになり、ETC/有人ゲートの問題も軽減をされた。
自動車の窓の高さと距離を自動で判断
このロボットは、料金支払い機に装着されたロボットアームだ。自動車が進入してきて、ETC信号がない場合は非ETC車と判断して、ロボットアームが伸びてきて、通行カードを渡す。このロボットアームは、自動車の窓の高さ、距離を自動判別し、取りやすい位置にカードを差し出してくれる。乗用車の場合は低く、トラックなどの場合は高く差し出してくれる。
通行カードを受け取った人は、支払いゲートで、通行カードを料金機のトレーの中に放り込む。すると、料金が自動計算されるので、問題がなければスマホ決済のQRコードをかざすと、それが読み取られ、料金が支払えるという仕組みだ。
通行カード受け取り時にはナンバープレートも読み取られているため、途中で通行カードを交換して料金をごまかすということもできないようになっている。また、問題が発生した場合は、ヘルプボタンを押すと、スタッフとビデオ通話ができるようになっている。
このロボットアーム料金所は、他の高速道路でも採用されており、通行量の多い高速道路から料金所の無人化が始まっている。