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フーマフレッシュが再始動。新CEOは売却を否定。新規出展計画、海外展開も。

新小売スーパー「フーマフレッシュ」が再始動をしている。上場失敗、売却話、創業者の電撃解任と異常事態が続いていたが、新CEOが就任し、行き過ぎた施策を修正。さらに売却話を否定し、新規出展計画や海外への商品展開も始めたとFoodTalksが報じた。

 

フーマフレッシュが再始動

アリババの新小売スーパー「盒馬鮮生」(フーマフレッシュ)が再び動き出している。フーマは、3月から6月までの最もオフシーズンとなる4ヶ月間に、黒字運営を初めて達成したと発表した。春節での買い物が終わり、夏の清涼関連品が売れるようになるまでの4ヶ月間、スーパーは最も売上が落ちる時期で、多くのスーパーが赤字運営となる。しかし、この時期にも黒字が達成できたということは、フーマの運営基盤が確固たるものになったことを意味している。

 

上場失敗、売却話、創業者の解任

今年になって、フーマは大きな困難に直面をしていた。香港証券取引所への上場準備を進めていたが、フーマが考える企業価値60億ドルから100億ドルに対して、投資家たちは40億ドルと見積もり、上場計画はいったん仕切り直しになった。

タイミング悪く、本体のアリババの不調が露呈をし、アリババの本業とのシナジー効果が得られない事業を売却するという方針が打ち出された。フーマの売却先探しも始められた。

さらに、今年2024年3月には、フーマの創業者である侯毅(ホウ・イ)CEOが事実上の解任をされるという事態になり、フーマは空中分解をしたかのように見えた。

▲新CEOに就任した厳篠磊氏。行き過ぎた施策を戻し、新規出展計画も公開した。特に内部に向けて「売却はされない」という宣言をしたことにより、社内の空気が明るくなった。

 

強烈な顧客第一主義が生んだ破綻

フーマが躍進をしたのは侯毅CEOの功績であり、フーマが苦境に陥ったのも侯毅CEOの責任だ。侯毅CEOは、強烈な「顧客第一主義」の考え方を持っていた。そこから、オンラインでもオフラインでも購入でき、30分で宅配するというフーマの新小売モデルが生まれてくる。

侯毅CEOは、さらに「高品質の食品を低価格で販売する」ことにこだわり、消費者からは大いに歓迎された。しかし、その無謀な価格設定で苦しんだのは、サプライヤーたちだった。サプライヤーは常に価格を下げる圧力を受け、ウォルマート系のホールセラー「サムズクラブ」に対抗するための「移山価」計画では、納入価格を一律20%下げる通知を受け取った。それを実現するには、品質を落とすしかない。しかし、フーマは厳しい品質基準を適用し、容赦なく不合格品として突き返していく。

多くのサプライヤーがフーマとの契約を打ち切り、さらに一部の感情的になったサプライヤーは、フーマには商品を提供しない申し合わせをするようにまでなった。商品が調達できなくなったフーマの商品棚は、空きが目立つようになった。最盛期には5000SKU(Stock Keeping Unit、商品種目)あったものが、2000SKU程度にまで落ち込んでしまった。一般的なコンビニが3000前後であるため、コンビニよりも品揃えの悪いスーパーになってしまった。

 

行き過ぎた施策を戻した新CEO

侯毅CEOの退任後に、新しいCEOに就いたのは、CFOだった厳篠磊(イエン・シャオレイ)氏だった。厳篠磊CEOは、侯毅氏の行き過ぎた施策を戻すことから始めた。

フーマではサムズクラブに対抗するために、店頭価格とオンライン価格に食い違いが出始めていた。店頭価格を安くすることで、店舗に集客をし、そこで他の商品も見てもらい消費を拡大しようとした。店頭でたくさん買っても、フーマはそれを宅配してくれるため、店舗にお客さんがきてくれれば客単価があがると見込んだ。

一方、宅配にはコストがかかるため、以前は水1本から無料で宅配をしてくれていたが、最低購入価格を設定し、一部の都市では99元以上買わないと、宅配には料金がかかる仕組みになっていた。これを49元以上に調整をした。

店頭価格と宅配料無料基準を調整することで、再び「オンラインで注文、宅配」というフーマ本来の利用をする消費者が増え始めた。侯毅氏は、なんとか上場をしたいと焦るあまり、無謀な施策を打っていったが、厳篠磊CEOは、これをあるべき姿に戻していった。

▲フーマの店舗でも、サプライヤーとの関係を修復し、品揃えが戻りつつある。

 

久々の新規出展計画

そして、今年2024年6月には、年内に70店舗を新規オープンする計画を打ち出し、従業員に向けて「フーマは売却されない」という宣言をした。従業員にとってはフーマがどうなるかわからない不安が取り除かれ、社内はひさびさに前向きで明るい空気になっているという。

さらに、厳篠磊CEOは3年後にGMV1000億元という目標も打ち出した。フーマが再び成長の道を歩み出そうとしている。

▲米国の中国人向けスーパー「大華」などに商品の展開を始めた。

 

商品の海外展開も始める

商品の海外進出も始めている。今年2024年6月には、フーマで人気商品になっているインスタント食品などを、米国の中国人向けスーパー「大華」、中国人向けEC「亜米」での販売を始めた。

さらに、8月には東南アジア市場でアリババ傘下のECとして有名なLazadaにも商品を出品し始めた。フーマでは、扱っている商品を海外のスーパー、ECでの販売を拡大していく予定だ。サプライヤーも納入価格が厳しく利益が低いとしても、数が桁違いに出るのであれば取引ができる。

厳篠磊CEOは、行き過ぎた顧客第一主義を、あるべき顧客第一主義に戻し、フーマが再び成長軌道に乗せる基盤づくりをしている。再び、フーマが成長の勢いを取り戻せるかどうかが注目されている。

▲フーマで人気になっているインスタント食品を中心に販売されている。