中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

地下鉄の駅広告に個人でも出稿ができる。記念日に地下鉄広告で楽しむ人々

広告出稿の減少により、広州地下鉄は駅広告を個人にも開放をした。すると、誕生日や結婚記念日の広告を出す人が急増をした。みな、広告の前で写真を撮りSNSにあげる。記念日を楽しむために広告を出す人が増えたと大象新聞が報じた。

 

デフレ時代で屋外広告も空きが目立つように

経済が低迷する中国では、あらゆるものの消費が低迷する冬の時代を迎えている。輸出などの指標はすでに上向きに転じ始めているものの、個人消費がまったく上向かない。マインドが萎縮をしてしまっていて、消費者向け製品は値下げをしないと売れないようになっていて、デフレ時代に突入し始めている。

屋外広告も出稿主が見つからず、空き状態のままの広告スペースが目立つようになってきた。

 

個人にも開放した地下鉄駅広告

その中で、広州地下鉄の車内、構内の広告を担当する「広州地下鉄メディア」では、今年2024年1月から個人にも本格的に広告出稿を開放することにした。価格は3日間で380元から999元までで、1日から広告を出すことができる。

広州地下鉄広告メディアのミニプログラムにアクセスすると、その場所の通行人の量や広告を出稿している業種別の分布などの情報を見ながら、場所を選ぶことができる。広告制作は、広州地下鉄メディアが豊富なテンプレートを用意しているのでそれを使うこともできるし、ゼロから自分で制作をしてもかまわない。

ただし、広告投入の5日前にはデザインを決定し、入稿しなければならない。国の広告法と広州地下鉄ガイドラインに沿っているかどうかの審査があるからだ。個人が出せる広告と言っても、公序良俗に反するような内容のものや、他人のプライバシーを侵害するようなものは拒否される。広告に登場する人物は、すべて身分証と掲載同意書が必要になる。

▲話題になった食生活アドバイザーの広告。海外ドラマ「ベターコールソウル」のパロディー。

▲自分の履歴を表示して、就職活動に活用した人もいる。WeChatアカウントのQRコードも掲載した。

▲結婚を記念した広告。広告を出し、その前で写真を撮り、SNSにあげるというところまでがワンセット。

▲柱の部分のディスプレイ広告も、個人で出稿することができる。

▲各人それぞれに好きな広告を出している。駅広告を個人に開放したのは成功だった。

 

低コストで出せる駅内広告

個人に公開できるようになったのは、屋外広告の制作が非常に低コストでできるようになったこと関係している。電子ディスプレイは、データがあれば掲示できる。また、ライトボックス広告も、データを特殊シートにプリントし、それを差し替えるだけだ。

最も多いのは誕生日や結婚記念日を祝う広告で、その広告の前で本人が写真を撮り、SNSにアップするところまでが、ひとつのイベントになっている。そのSNSを見て、広州以外のネット民の間で「うちの街でも地下鉄広告を個人に開放してほしい」という声があがっている。個人広告は、地下鉄やバス、屋外にまで広がっていくかもしれない。

▲ミニプログラムから場所や通行人量などを参考に出稿する場所を選ぶことができる。

▲ミニプログラムにはテンプレートが用意されていて、これを使うと簡単に広告が作成できる。