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配車を頼んでも車がこないライドシェア。すぐそばにいるのにきてくれない乗車拒否が横行

ライドシェアで配車依頼をしても、車がきてくれないという乗車拒否が起こり始めている。しかも、すぐそばまで車がきているのに、迎えにきてくれない。ライドシェアのノルマが関係していると封面新聞が報じた。

 

ライドシェアの乗車拒否が起こり始めている

中国で便利に利用されているライドシェア。スマホで簡単に呼べる、事前に料金が確定をする、支払いはオンラインで自動的に行なわれる、オフピーク時には安くなるという体験のよさから、大都市ではライドシェアの利用は7割ほどにまでなり、タクシーよりも使われるようになっている。

しかし、このライドシェアで乗車拒否の問題が起こり始めている。しかも、待たされた挙句に車がこないというもので、時間を無駄にすることから苦情があがり始めている。

 

車はこないのにキャンセル料は取られる

四川省成都市の羅さんは、今年2024年5月6日に、スマートフォンからライドシェアの注文を入れた。車は8分で到着すると表示された。ところがいつまで待っても車がこない。注文をしてから18分後に、アプリで確かめると、車は2.1kmほど離れたところにいて、あと6分で到着するという表示が出た。もうすぐくると思い、羅さんは待ち続けたが、その車は2.1km地点からぴたりと動かなくなってしまった。運転手にメッセージを送っても返答がなく、電話をかけても出てくれない。結局、羅さんは34分を待ち、車がまったく動かなくなってしまったために、注文をキャンセルした。すると、3元のキャンセル料を徴収されてしまった。このライドシェアでは、注文後3分以上経ってからのキャンセルにはキャンセル料が必要になる。

羅さんは、ライドシェアの顧客センターに連絡を入れ、苦情を言った。すると、3元のキャンセル料は払い戻され、10元の利用クーポンをくれるという。羅さんはしぶしぶ納得するしかなかった。

▲羅さんが配車依頼した車は、2.1kmの地点まで近づいたが、そこから一歩も動かなくなってしまった。運転手に連絡を入れても無視された。

 

原因を説明してくれないライドシェア側

羅さんがこのような乗車拒否に遭うのは、これで3回目だった。2月29日と4月28日も同じ乗車拒否に遭っている。いずれの場合も顧客センターに苦情を入れると、キャンセル料が返金され、10元の利用クーポンをくれた。

5月6日の3回目の乗車拒否の時は、羅さんは怒りを感じていた。なぜ、たびたびこういうことが起きるのか、その原因を説明してもらい、改善をしてほしいと訴えた。すると、担当者は「50元の利用クーポンを進呈すること」を提案してきた。これが羅さんをさらに怒らせた。得をしたいのではなく、気持ちよくライドシェアを利用したいだけなのだと訴え、調査をしてその結果を連絡してもらう約束を取り付けた。

翌日、担当者から電話がかかってきたが、原因の説明はなく、当該運転手の怠慢であるため処罰をしたという。どのような運転手で、どのような処罰をしたかは、運転手のプライバシーに関わるのでお伝えできないという。また、原因に関しての説明もなかった。

▲羅さんと顧客センターのやり取り。顧客センターはキャンセル料の返金と10元のクーポンの進呈を提案したが、羅さんは乗車拒否の原因調査を主張した。

 

他にも同じ被害にあっている人が

羅さんは納得がいかず、ネットを検索して同じような体験をした人がいないかどうかを探したところ、けっこうな数の人が同じ乗車拒否に遭っていることを発見した。消費者の苦情を投稿するサイト「黒猫投訴」では、マイナス20度の屋外で同じような乗車拒否に遭い、運転手に何度も電話をかけるとようやく出てくれたが、相手の運転手は「そのような注文は受けていない」と言い張るばかりだったと報告している。

また、1日に2回も同じ乗車拒否に合っている人もいた。

そのすべてに共通しているのは、全員が「特恵快車」を利用しているということだ。

▲ライドシェアは配車注文後、キャンセルすることもできるが、注文後一定時間経ってからのキャンセルにはキャンセル料がかかる。

 

料金が割引される特恵快車

ライドシェアには何種類かの車がある。一般的なのは快車だが、ハイヤーと同じ高級車の「専車」、相乗りをすることで料金が安くなる「拼車」などがある。その中でもよく使われるのが「特恵快車」だ。特恵快車は、優待割引がされている快車で、いつもあるわけではないが、車が多く、乗客の少ない供給過剰の時に現れる。一種の割引セールだ。内容は快車とまったく同じで、料金が安くなるのだから、特恵快車がいるときは多くの人が特恵快車を利用する。

 

割引分は運転手が負担をする特恵快車

しかし、この特恵快車は運転手側から見ると、正直、受けたくない注文だ。なぜなら、プラットフォーム手数料は変わらないからだ。たとえば、快車で50元の乗務があった場合、プラットフォーム手数料が2割の10元だったとしたら、運転手の手取り収入は40元になる。

しかし、特恵快車では同じ乗務が40元で提供されるが、プラットフォーム手数料は割引前の価格で計算され、同じ10元となる。運転手の報酬は30元に減ってしまう。つまり、特恵快車の割引分は、運転手が負担をしていることになる。

 

ノルマがあるため、運転手は受けても放置する

だったら、特恵快車の乗務を受けなければいいのではないか。ライドシェアの運転手アプリには、特恵快車の注文を拒否する設定がある。それをオンにしておけばいいのだ。しかし、特恵快車の注文を拒否すると、通常の快車の注文での優先度が下げられるために、他の運転手に注文がいってしまい、乗務のオファーがこなくなってしまう。仕方なく、運転手の中には特恵快車の注文を受け、それを無視して走行し、乗客がキャンセルするのを待つようになっている。乗客がキャンセルしたのであれば、運転手に責任はなく、特恵快車を受けたという実績になるからだ。

苦情を言えば、徴収されたキャンセル料は返金され、さらには優待クーポンまでくれる。プラットフォームは明らかにしていないが、運転手は罰則の対象になったり、格付けを下げられたりしているのだと思われる。しかし、たびたびこのようなことが起こるのでは、乗客はライドシェアを気持ちよく利用できない。プラットフォーム側に改善を望む声があがり始めている。