四川省成都市崇州の古い通りに、「白熊スーパー」という小さなコンビニがある。隣は幼稚園と麺屋だ。なんの変哲もない個人経営の雑貨屋だが、ネットでは非常に有名だ。なぜなら、1.1万人のクラウド株主がいるユニークな経営のコンビニだからだと河南商報が報じた。
田舎暮らしに憧れ、田舎町にコンビニを開く
この白熊スーパーを開いたのは、35歳の呉天天さん。2020年に田園生活に憧れて、夫と2匹の犬と一緒に成都市内から崇州の黎壩村に引っ越した。田園生活にも慣れてきた2022年5月、呉天天さんは小さな店舗を開こうと考えた。何か仕事があった方が張り合いが出ることと家計の足しにしたかったからだ。
崇州の街である正東街で、借りられそうな物件を探して、酒とタバコの専門店を開こうと考えていた。正東街の近くにはこの辺りでは有名な罨画池という名勝地があるために飲食店が多い。酒とタバコの需要はあるのではないかと考えたからだ。しかし、適した物件がなかなか見つからなかった。
その時、現在の白熊スーパーのある場所を見つけた。20平米と小さいため、酒タバコ店を開くにはふさわしくないが、隣が幼稚園であることから、スナック菓子などを置くコンビニであればいけるのではないか。呉天天さんは看板なども自分でデザインして、ここに白熊スーパーを開店した。
開店しても赤字、SNSに助けを求める
しかし、開店して1ヶ月、毎日赤字だった。商売はそう簡単ではない。呉天天さんは夫と白熊スーパーについて話し合う中で、SNS「小紅書」(シャオホンシュー、RED)に毎日の経営状態を公開してみたらどうかという話になった。それをすることで、誰かがいいアドバイスをしてくれるかもしれないと考えたのだ。
1.1万人のクラウド株主が意見を言ってくれる
呉天天さんの表現の仕方もうまかったため、次第に多くの人がコメントを寄せてくれるようになった。そういうアドバイスの中には、この立地であれば、おもちゃや調味料を置くと売れるのではないかというものもあり、呉天天さんはそのアドバイスに従った。
スーパーの経営経験がある人は、商品をどのように配置をすれば来店客が手に取りやすくなり、購入率を高めることができるかというノウハウも教えてくれ、呉天天さんはそれに従った。子ども用の専用棚を用意するといいというアドバイスがあると、呉天天さんはそれに従った。
呉天天さんは店舗経営は初めてであり、彼女の性格もあって、このようなアドバイスに素直に従う。そして、その結果を「今日は稼いだ」「今日は損をした」と小紅書で公開してくれる。アドバイスをする人たちも面白くなって、一緒になって、白熊スーパーの経営状態が上向くアイディアを出してくれるようになった。
白熊スーパーの小紅書のファンは、1.1万人になったが、この人たちは次第に「クラウド株主」と呼ばれるようになっていった。
近所でもフレンズができ始める
さらにクラウド株主たちのアドバイスにより、トートバッグやノートなどの白熊スーパーのオリジナルグッズもつくり始め、これを店舗と小紅書のショップで販売を始めた。すると、近所にも仲間ができ始めてきた。
近所に住んでいる蔡蔡は、小学校にあがる娘を連れて、白熊スーパーのトートバッグを購入した。そして、写真を撮影し、白熊スーパーの小紅書で公開することに同意をしてくれた。
このような近所の協力者が続々と増えていった。四川大学の新入生、宅配便を届けてくれるスタッフ、隣の麺屋のご主人などが続々と白熊スーパーフレンズとして小紅書に出演してくれる。
クラウド株主とフレンズに支えられ、ゆる〜く経営される白熊スーパー
白熊スーパーは、黒字になる日も増えてきたが、トータルではいまだに赤字だ。しかし、クラウド株主とフレンズに支えられて、ゆる~く経営をされ、その様子を多くの人が楽しんでいる。クラウド株主からは、「白熊スーパーは商品だけでなく、幸せも売っている」と言われ、支えられ続けている。