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中国ローカル路線バス乗り継ぎの旅。青島・上海4日間、15歳のバス好き少年の一人旅

山東省青島市を出発し、38のローカル路線バスを乗り継ぎ、上海市にゴールした15歳の高校生が話題になっている。まとめ動画をビリビリに配信すると、多くの人が再生し、路線バス旅を楽しむ人が増えていると斉魯晩報が報じた。

 

路線バスが大好きな高校1年生

このローカル路線バス乗り継ぎの旅をしたのは、山東省青島市の高校1年生、孟想(モン・シャン)さん。孟想さんは自分で言うほど内向的な少年。子どもの頃から路線バスが大好きで、昨年ある人が路線バスだけを乗り継いで上海から北京まで旅行したビデオをビリビリで見て、自分でもやってみたくなってしまった。

▲孟想さんが刺激を受けた動画。大学生が上海から北京まで路線バスを乗り継いで旅をした映像。

 

県境でバス路線が途切れる問題

そこで、地図アプリを使って、路線バスだけで上海まで行けるかどうかを調べてみた。すると、大きな問題が発覚した。中国の公共交通は基本的にその地域の市、県などの地方政府が運営をする。そのため、県境を超えて他県まで路線が設定されることは少なく、県境では路線バスが途切れてしまう。

このような場所を避けて、路線バスがうまく接続されているルートを発見するのに手間がかかった。このような旅行を実際にできるのは夏休みしかない。ぎりぎりまでルートの検討をし、ようやく7月下旬になって、納得のいくルートが確定をした。

▲孟想さんがビリビリで発表したまとめ映像。この動画に刺激されて路線バス乗り継ぎ旅を楽しむ人が増えている。

https://www.bilibili.com/video/BV1zS4y1s7gH/

 

小学生の時から路線バス旅が好きだった

孟想さんは小さい頃からバスマニアで、12歳ぐらいの頃から、青島市の隣の市である煙台市や連雲港市などに路線バスを乗り継いで日帰り旅行をしていた。孟想さんは「人に迷惑をかけるのが嫌い」というほど独立心に富んでいて、旅行の計画をきちんと立ててから出発する。両親は最初は心配をしたものの、きちんと計画を立て、旅の途中途中からきちんと連絡を入れることなどから、独立心を養うにもいい効果があると考え、一人旅をすることを許すようになったという。

 

地下鉄駅から路線バスの乗り継ぎ旅が始まった

出発日を2022年8月8日に定めると、前日は興奮をして寝れなくなってしまったという。朝4時に起きてしまい、持ち物を点検した。スマートフォンを2台、モバイルバッテリー、一眼レフカメラ、充電ケーブル、マスク、身分証、タオル、ティッシュ、折り畳み傘、替えの衣類などを一度すべて出して、確認してからまたパッキングをした。

まずは、青島5路線のバスに乗って自宅から青島駅に行き、そこから地下鉄1号線で井岡山路駅に行き、地下鉄13号線に乗り換えて董家口駅に到着。ここからはすべて路線バスで上海に向かう。

まずは隣の日照市に入るのだが、ここが最初の難関になる。青島902路線のバスに乗ると、終着バス停が宋家嶺で、そこから400m歩かないと、日照市のバスに乗ることができない。しかし、2年前から、902路線は今では日照の王家灘バス停まで乗り入れるようになったので、そこから日照市の35路線に乗り換えられるようになった。

▲県境はバス路線が途切れることが多いが、最近は利用者の便を考え、隣の県、市まで乗り入れをする路線バスが増えている。

 

親切な地元の人に助けられて路線バス旅を完走

4日間の旅行中、毎日12時間はバスに乗っている。「人に迷惑をかけることが嫌い」という孟想さんは計画を立て、道や路線を人に尋ねることなく、一人で黙々と移動をした。

しかし、地元の人たちに助けられることもあった。宿遷市沭陽県の312路線は終バスが午後6時だが、その前のバスが遅延をしたため間に合わず、乗り遅れてしまい、計画が狂ってしまった。しかたなく、バス停付近で宿泊できることを探し、明朝の始発に乗ることにした。

スマホで調べると、宿泊場所はバス停から400mほどのところにある。道順を調べていると、オート三輪に乗った地元の人が声をかけてきた。宿に泊まるということを話すと、ついでだからとオート三輪に乗せてくれた。着いた時に、孟想さんがお礼を言おうとすると、その地元の人はあたりまえのことをしたかのように、去っていった。

宿について、部屋について荷物を置くと、すぐに買い物に出かけた。喉が乾いていたので水が飲みたかったのだ。宿に帰ってみると、エアコンが入って部屋が涼しくなっていた。宿の人がエアコンを入れてくれたようだ。

あるバス停でバスを待っていたが、次のバスまで1時間ほど待たなければならず、近くにあった売店で水を買った。売店の中はエアコンが効いている。孟想さんは理由を話して、バスが来るまで売店の中にいてもいいか尋ねた。すると、店主は何も言わず、丸いすを出してくれた。

孟想さんは、ごくあたりまえのように親切にしてくれる人がいることを知った。

走行距離1133km。9つの都市を抜け、38の路線バスに乗った。バス運賃は合計で153元(約3100円)だった。

▲路線バスを乗り継いでいく旅であるため、普通なら訪れることもないであろう農村にも立ち寄る

▲朝から夜まで毎日12時間はバスに乗る旅。普通の人には苦行だが、孟想さんにとってはこれ以上ない楽しい旅になった。

▲路線バスがフェリーとも接続をしている箇所もある。このフェリーは、バス路線として認められている。

▲4日間で青島から上海に到着。上海では、バス好きの仲間と会って食事をした。

 

動画は30万回再生、路線バス旅をする人も増える

孟想さんは、この路線バス旅を毎日ビリビリなどで配信をし、上海から高鉄で帰宅後、まとめた映像を配信した。この映像は30万回以上再生され、同様に路線バス旅を楽しむ人が増えている。