アリババ傘下の物流企業「菜鳥」(ツァイニャオ)は、7月25日から29日まで、浙江省杭州市及びライブ配信で「ツァイニャオ・オープンウィーク」を開催し、さまざまな物流技術を公開した。この中で、倉庫を完全自動化する「4Dパレット」が話題になっていると羅戈網が報じた。
自走式パレットが普及をしている倉庫
倉庫に保管する荷物はパレットと呼ばれるスノコ状のものに載せるのが基本だ。フォークリフトのフォーク部分をこのパレットに差し込み、フォークリフトで荷物を移動させる。
近年、倉庫の省力化、自動化で重要な技術になってきているのが、自走式パレットだ。タイヤを備え、電力で荷物を乗せたまま自走をする。倉庫の中にラックを組み、その中をパレットが荷物を載せて走行することで、荷物の出し入れをする。
2方向自走か4方向自走かの大きな違い
しかし、このパレットが、2方向に自走できるか、4方向に自走できるかの違いは大きい。2方向にしか自走できないパレットの場合、1列分の荷物しか運ぶことができない。
そのため、パレットを二重化することも行われる。横方向に走るパレットの上に縦方向に走るパレットを乗せ、横方向のパレットが先に移動をし、そこから縦方向に移動するパレットだけが移動し、荷物を乗せて戻るというものだ。
ところが、これも問題がある。荷物の「先入れ先出し」ができない。1列に並んだ荷物の中で、いちばん最後に入れた荷物を取り出すことになってしまう。これを避けるには、常に余剰の1列を確保しておき、先入したものが手前にくるように配置を入れ替えるという手間がかかることになる。
4方向自走パレットで先入先出が可能になる
これが4方向に動くパレットであれば、先入れ先出しが可能になる。手前にある新しい荷物を取り出し、空きスペースに移動をし、先に入れた荷物を取り出せばいいからだ。
どの荷物がどこにあるのかはシステムが管理をするため、同じ種類の荷物を同じ列に保管しなければならない理由はどこにもない。また、夜間に先入れ先出しをしやすいように配置を最適化させておくことも可能になる。
菜鳥が発表した4Dパレットは、最大積載量1500kg。また、急速充電に対応していて12分の充電で4時間稼働することができる。さらに、通常は油圧式である荷物のリフト部分を機械式を採用した。油圧式は性能としては優れているが、メンテナンスが必要であるためだ。機械式にしたことで、20万回のリフト動作までメンテナンスフリーとなった。
倉庫の完全自動化を可能にした菜鳥
これにより、倉庫をブラックボックスとみなすことができる完全自動化が可能になる。また、ラックを組み上げることで、倉庫の面積だけでなく、上下方向の空間まで有効に活用することができるようになる。さらに、倉庫の形状が特殊な場合でも、形状を活かしたラック組みをすることで、倉庫の空間を最大限に活用することができる。
すでに菜鳥の無錫にある倉庫では、1000台以上の4Dパレットが稼働し、自律走行ロボットと協調する完全自動化巨大倉庫が実現されている。