中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

ショッピングモールは消滅する。体験消費が物質消費に取って代わる。 モールが生き残る4つの方法

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今回は、ショッピングモールについてご紹介します。

 

中国の大都市に行くと、都市の中に無数のショッピングモールがあることに驚かれる方も多いのではないでしょうか。

日本の場合、ショッピングモールというと、都市の中というよりも近郊にあるのが一般的です。広大な敷地を確保しやすいというのが最大の理由ですが、都市方面からは公共交通機関での来客、郊外方面からは自動車による来客と、広い商圏を確保しやすいいう理由もあります。また、少し遠い方がお出かけ気分が出て、ついつい消費し過ぎてしまうという心理もあるのかもしれません。若い世代がデートで行っても、ファミリー世代が家族で行っても、半日から1日遊べるというのが日本のショッピングモールです。

中国にももちろん郊外型のショッピングモールもありますが、目につくのは何と言っても都市型のショッピングモールです。例えば、北京市故宮博物館の東側には、北京で最も有名な繁華街「王府井」(ワンフーチン)がありますが、この大通りの東側がまるごとショッピングモールになっています。

厳密には、昔自由市場であった地域が東安市場となり、建て替えをして新東安広場というショッピングモールになり、さらに北側には「北京apm」というショッピングモールが連結をして一体化をしています。

本来繁華街というのは、さまざまなお店があり、ぶらぶらするだけでも楽しめる場所ですが、その楽しみが完全にショッピングモールに取って変わられました。雨が降った時、暑い時や寒い時は、ショッピングモールの中をぶらぶらできるので快適です。

 

そのショッピングモールが危機を迎えています。5万平米以上あるショッピングモールは8000カ所あると言われていますが、調査会社フロスト&サリバン中国のデータによると、2020年には空き店舗率が30%を突破して大きな問題となりました。この年は新型コロナの感染拡大があったため、契約を更新せず解約をした店舗が多く、新しく入居する店舗もほとんどなかったためです。

2021年になって改善をして、空き店舗率は21.1%まで下がりました。しかし、この数字自体が非常に問題です。一般的なショッピングモールでは、空き店舗率が20%を超えたら存続の危険水域と言われます。確かに、5軒に1軒が閉店というショッピングモールがあったら、テンションが下がりそうです。

 

このような原因のひとつはショッピングモールが過剰になっていることです。ショッピングモールの入居率が下がっているため、店舗に有利な条件で契約をすることが多く、店舗は新しくオープンした、より売上が立ちそうなショッピングモールに引っ越してしまいます。

つまり、立地がよく、集客ができるショッピングモールは来客も多く、賑わっていて盛況に見えますが、条件の悪いショッピングモールは閑古鳥が鳴いているという二極化が起きています。今後、ショッピングモールの閉鎖が続くことは確実です。

実際、閑古鳥が鳴いているショッピングモールに平日に行くと、怖いぐらい人がいません。本当にここは中国なのかと思うぐらい人がいないのです。そういうところに名店と呼ばれる商店や飲食店も出店をしていて、並ばずに買える穴場になっています。SNSでバズったお菓子などは、どの店に行っても売り切れだったり、行列をしないと買えませんが、この閑古鳥が鳴いているショッピングモールのお店に行くとすんなり買えたりします。

おそらく、話題になったお菓子だから、手近で手に入るなら買ってみるけど、わざわざ遠くまで買いに行くほどではないという考え方をする人が多いのだと思います。

 

このような状況のところに、2020年の年末、経済評論家の呉暁波氏が、50人の経済学者に行った2021年の中国経済に関するアンケートを基にしたライブ配信を行いました。この中で、2021年の中国経済に起こる8つの予測をしました。そのひとつが「ショッピングモールは消滅する。変化の時がきている。サービス消費(体験消費)が物質消費に取って代わる」というもので、大きな話題を呼んだのです。

「ショッピングモールが消滅する」という強い言葉を使ったことにより、さまざまな賛同、反論が起こりました。

呉暁波氏が根拠としているのは、自身が行った80后、90后(30代、40代)10万人に対する消費行動調査です。これは「新中産白書」としてまとめられています。この調査で、外出をする目的を複数回答で尋ねたところ、次のような結果になりました。

▲30代と40代に訪ねた「外出をする理由」。外食や人に会うのが主で、買い物は19%でしかない。買い物は外出のついでにすることになっている。

 

6位に入っている「SNS撮影」とは、SNSでバズった場所、店などに行き、写真を撮り、SNSに上げる行為です。呉暁波氏も「そのような理由でわざわざ外出するというのは私にはよくわからないけど」と言っていますが、今や、買い物というのはSNS撮影よりも外出の動機になっていないのです。

買い物というのは、ECで買うのが当たり前になっていて、その他の外食や映画などの理由で外出をし、たまたま欲しいものを見つけたらその場で買うぐらいになってしまっています。呉暁波氏はこのような理由で「ショッピングモールは消滅する」と論じました。

ここで言う「ショッピングモール」はあくまでも都市型ショッピングモールで、日本で一般的なアウトレットモールやイオンモールとは性格が異なることにご注意ください。日本のショッピングモールの多くは複合型で、買い物だけでなく食事や映画、SNSの撮影スポットも兼ねています。

一方、都市中心部の再開発で誕生した商業施設は、中国のショッピングモールと性格がよく似ています。新しくオープンした都市型モールには、大勢の人が詰めかけますが、数年前、10年前にオープンした都市型モールで、交通の便があまりよくないところは経営が苦しくなっています。東京お台場のパレットタウンが閉鎖したことは大きなニュースになりました。東京も都心部の再開発が進み、次々と商業施設がオープンしたため、ショッピングモールが過剰になっているのは、中国の都市部と同じ状況です。

しかし、中国の都市型モールは、効果があるかどうかはともかくさまざまな方法で生き延びようとしています。今回は、ショッピングモールが生き延びる4つの方法をご紹介します。

 

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