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台湾に移住をした香港人が感じた、香港と台湾が違う6つのこと

台湾に移住をした香港人が、移住をして見て香港との違いに驚いた6つのことを旅行サイトGOtripに投稿して話題になっている。多くの香港人が、台湾は香港と大きくは変わらないと思っているが、やはりいろいろ違いがあった。

 

香港人が見た台湾の生活

台湾に遊びにいく香港人は多い。同じ中華圏であるため、香港と台湾の空気感は似ておりながら、違うところもあり、安心をして異文化体験を楽しめるからだ。多くの香港人が台湾には親近感を持っており、生活の仕組みはさほど変わらないと感じている。これにより、いろいろ自由が奪われる香港で、台湾への移住を考える人が増えている。

ところが、里奥という香港人のネット民が、実際に台湾に移住してみたら、生活の違いに驚いたことが6つあると、香港の海外旅行サイト「GOtrip」に投稿をした。この投稿が話題となり、香港メディアである「点新聞」が取り上げることになり、ここから中国、台湾のメディア、ネットにも転載され、中華圏で話題になっている。

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▲中国大陸と違って、台湾も香港も道が狭く、ごちゃごちゃしている。このごちゃごちゃ感が香港人には落ち着き、親近感を覚える。

 

多くの香港人が台湾と香港の生活は似ていると考えている

香港と台湾は飛行機で1.5時間ほどであり、台湾に旅行した人で「台湾は香港とまったく違う」と言う人はほとんどいない。「香港と同じ感じで暮らすことができる」と誰もがいう。里奥も台湾に旅行をして同じ感想を持ったため、家族を伴って台湾に移住をして5年が経った。しかし、実際に移住をしてみると、やはり香港とは感覚が異なるところが見えてきたという。

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▲台湾で有名な観光地、九份香港人にとって、台湾は安心をして異文化体験ができる場所だと考えられている。

 

1:移住に対して意外に厳しい台湾

まず驚いたのは、移住に関して台湾は意外と厳しいということだ。里奥が香港人であるため、パスポートや身分証が複雑な仕組みになっていることも関係しているが、移住するまでに、2週間に一度は台湾に行き、学校、住居などの手続きをしなければならなかった。

住居を探すのは簡単だった。香港からでもネットで賃貸の仮契約をすることができるからだ。しかし、契約を決めるには、オーナーと面会する必要があった。そのために台湾に行き、オーナーと会うと、まだ移住の手続きが済んでいない香港人ということもあって、根掘り葉掘りプライベートなことまで尋ねられたという。どんな仕事をするのか、月給はいくらなのかとまで聞かれて驚いたという。

 

2:仲介業者も移住に厳しい

里奥は、オーナーがたまたまそういう人だったのかもしれないと思い、その後にオーナーとの関係がうまく築けるか心配になり、不動産仲介の業者を探した。しかし、そこでも必要以上にプライベートなことまで聞かれる。どうも、移住手続きが済んでいない外国人に対して警戒をしているようだった。

里奥は、今度は外資系の不動産仲介業者を探した。すると、こちらはごく常識的な手続きで、高雄市にある4LDKの部屋を42000台湾ドル(約17.3万円)で借りることができた。

 

3:階下の住人から苦情を言われる

引っ越しで1ヶ月ほどした頃、管理人から階下の住人から生活音がうるさいと苦情が入っていると告げられた。確かに子どもが新しい生活に興奮をして、部屋の中で走ったり飛んだりしていた。苦情を言われるのももっともだと感じた。

その週末、台湾の友人が遊びにきてくれて、食事をしてお酒を飲んだ。とても楽しくすごした。すると夜9時ごろになって、管理人室に階下の住人から「声がうるさい」という苦情が入ったと告げられた。確かに賑やかではあったと思うが、常識的な楽しい食事とお酒で、しかもまだ夜9時だ。少し神経質なのではないかと思ったが、台湾の友人たちは管理人に謝っている。友人は台湾ではよくある問題で、苦情を言われた以上、静かにするしかないという。香港と台湾では、他人の生活音に対する感覚がかなり違うことを初めて知った。

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▲台湾名物朝のバイクラッシュ。バイクラッシュが起きる場所には観光客が写真を撮っており、観光資源のひとつになろうとしている。

 

4:銀行の手続きに時間がかかる

銀行口座を開設するために銀行に行った。長い行列ができていて、それに並ばなければならなかった。それは仕方のないことだ。行列に並んで、口座を開設し、そこにある程度の現金を入れたいと思って、担当者に告げると、入金は別の手続きになるので並び直してくれという。しかたなく、また長い行列に並んで入金をした。

台湾はすべての生活サービスの手続きがこの調子だ。長い行列に何度も並び直さなければならない。台湾人の生活ぶりを見て、のんびり、ゆったりしていると感じ好ましく思っていたが、生活サービスのすべてに時間がかかるため、のんびり生活せざるを得ないのだと気がついた。

 

5:レストランものんびりしている

レストランに食事に行き、「4人です」と告げた後、待たされる。夕飯時は仕方のないことだ。しかし、店内を見ままわすと、空いている席がある。そこに案内してくれればいいのにと思ったが、清掃や餐具の準備が必要なのだろうと思って待っていた。しかし、5分間、そのテーブルに対して何の作業をするわけでもなく、そのまま案内された。だったら、待たされた5分間にはいったい何の意味があったのだろうか。台湾のレストランは、どこに行ってもだいたいこんな調子でのんびりとしている。

 

6:レストランの冷房が弱い

食事をする時は体が熱くなる。そのため、香港のレストランはどこでも冷房を効かせていて、快適に食事ができるようにしてくれている。しかし、台湾のレストランは冷房が弱い。誰もが大汗を流しながら食事をしている。台湾の友人に聞くと、それが台湾では当たり前で、汗をかきながら食べる方が美味しいだろうと言う。

 

自分が台湾人になっていくことを楽しむ

里奥は台湾に移住したばかりの頃、香港と台湾の習慣の違いに驚き、暮らしていけるだろうかと不安になることもあった。しかし、数ヶ月で、自分は香港の習慣が標準になっていて、その視点で台湾を見ていることに気がついた。それからは台湾の標準を見るようにした。今では、自分がどんどん台湾人になっていることを感じる。きっと、今香港に戻ったら、「香港で何でこうなの?」と思うことがたくさんあるのではないかと思うと言う。こういう些細な異文化カルチャーをデメリットと感じるか、それとも楽しめるか。それが移住を成功させる上でとても重要だと言う。