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シャオミのショップが1万5000店舗に。下沈市場とインド市場でさらなる成長をねらう

小米が、直営店舗「小米之家」の5000店舗目の出展計画を発表した。さらにファランチャイズ方式の店舗も1万店に増やす。ねらうのは下沈市場と言われる地方市場だ。小米はインドと下沈市場という特製のよく似た2つの市場を軸にすることで、さらに成長をしていこうとしていると江瀚視野が報じた。

 

各業界が注目をする下沈市場

中国の小売業界で注目される下沈市場=地方市場。ソーシャルEC「拼多多」(ピンドードー)が「発見」をして成功して以来、多くの消費者向けサービス、小売が新たなフロンティアとして注目をしている。

下沈市場は大雑把には三線都市(地方中核都市)以下を指し、300の都市、3000の県、4万の郷鎮、66万の村があると言われている。一線都市から二線都市までの人口は3.9億人だが、下沈市場の人口は10億人になる。以前は、購買力が小さいために消費者として想定されることは少なかったが、拼多多の成功以来、想像以上に購買力がついていることが明らかとなっている。

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▲小米の直営店舗「小米之家」は全国5000店舗となった。オンライン販売限定で、都市部で売れた小米も、市場を大きく変えようとしている。

 

シャオミが下沈市場に注目

10月に、小米(シャオミ)の中国、国際部の責任者であり、Redmiブランドの総経理である盧偉氷がウェイボーで、下沈市場に関するメッセージを発信した。それは、激安ドリンクスタンド「蜜雪氷城」やフードデリバリー「美団」(メイトワン)の下沈市場ビジネスは素晴らしく、小米も県以下の出店を続けるという内容だった。

小米では、すでに5000店舗目となる小米ショップ「小米之家」を来年4月に遼寧省瀋陽市に開店する計画を発表している。また、郷鎮(地方の町)にフランチャイズ方式で1万店の「小米之家」を開店することも発表している。

小米之家は、小米のスマートフォンだけでなく、小米が主導して開発をした炊飯器や電動歯ブラシといった家電製品も扱っている。いずれも単なる家電ではなく、スマート家電だ。このようなスマート家電は大都市の意識の進んでいる消費者にしか受け入れられないと見られていたが、小米はこれを下沈市場にまで浸透させようとしている。

すでに、拼多多、蜜雪氷城、美団が下沈市場で成功しているため、小米もそれに続こうとしている。小米はインド市場で成功をしており、中国国内の新たな市場も開拓をしようとしている。

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▲小米の直営店舗「小米之家」の店内。小米のスマホを実際に触って選ぶことができる。

 

インドと国内の下沈市場をねらう小米

下沈市場でもスマートフォンは広く浸透をし、中国全体の普及率は70%程度になっているが、下沈市場の消費者はネットで情報を収集するリテラシーがまだ高くないために、店頭でスマートフォンを見て選ぶ傾向がある。そのため、オンライン販売から出発した小米にとって、下沈市場への浸透は遅れている。これをショップを大量展開することで巻き返そうとしている。

すでに、大都市市場は飽和状態になっている。一方で、小米は世界レベルの下沈市場と言えるインドで成功した。この手法を国内の下沈市場に適用し、海外市場と国内市場の両輪で安定成長を図る戦略だ。

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▲小米之家には、スマホだけでなく、小米主導で開発されたさまざまなスマート家電も販売されている。このようなスマート家電が下沈市場にも浸透するかが注目される。