中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

中国のAI開発体制と2020年のAI応用例

 

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明日、vol. 055が発行になります。

 

「AI(人工知能)は幻滅期に入った」「PoC(概念実証)を行ってみたが、成果は芳しくなかった」という話を耳にしたことがあるかもしれません。

AI幻滅期とは、米ガートナーが、新しいテクノロジーに対する市場の期待度を調査したハイプサイクル調査で、日本市場は2018年10月までは「過度な期待のピーク期」にあったものの、その後幻滅期に入ったとする調査結果です。

しかし、幻滅期に入ったからといって、AIが一過性の流行であって消えていくわけではありません。ガートナーのハイプサイクルでは、幻滅期の後は「啓蒙活動期」「生産性の安定期」と続くのです。幻滅期とは過剰な期待により、質の低いプロダクトが淘汰され整理される段階にすぎません。

もし「幻滅期」という言葉に惑わされて、「AIなんて結局一時の流行だ。RPAだのDXと同じように、テック企業の宣伝文句にすぎない」などと思ったとしたら、それはかなり危険なことだと思います。なぜなら、AI、特に機械学習は、ビジネスに関わる人全員が使いこなす時代がもうやってきています。数年で、機械学習ビジネスパーソン必須スキルのひとつになるでしょう。

 

一言で言えば、機械学習Excelのような感覚になっていくのです。今、関わり方の濃淡はあるものの、業務でスプレッドシートを使わないという人はいないでしょう。ある人は、与えられたシートに今日の売上を入力して提出する程度かもしれませんし、ある人は分析ツールを使いこなして、売上低下の原因を探したり、売上予測をしたりするかもしれません。

機械学習の主な用途は、予測と分類です。過去のデータから売上を予測をしたり、顧客をタイプ別に分類したりすることができます。当然、Excelを使って、データ分析をしたり、予測をしたり、顧客の分析をする人は、機械学習を使うことになります。マイクロソフトがそうするかどうかはわかりませんが、機械学習機能を備えたスプレッドシートというのはいつ登場してもおかしくありません。

社内のデータサイエンティストは、このような機械学習を使ってデータ分析を行い、現場の社員たちはそのような分析結果を見て仕事をし、最新データを追加していくという働き方が当たり前のことになりますし、すでにそうなりつつあります。

つまり、機械学習は、Excelの上位版のようなもので、すでに誰でも簡単に使えるデータテクノロジーになっているのです。

 

簡単に使えるようになった最大の理由は、プログラミング言語Python(パイソン)のライブラリが充実をしたことです。機械学習のライブラリscikit-learn(サイキットラーン)、ディープラーニングのライブラリkeras(ケラス)などのオープンソースライブラリ、あるいはグーグルが開発したTensorFlow(テンソルフロー)などを利用すると、わずか1行のPythonコードで、機械学習モデルやニューラルネットワークの構築ができます。

サンプルのデータを使って、機械学習をやってみる、ディープラーニングをやってみるというだけであれば、高校の情報科の課題にしてもおかしくないほどの簡単さです。プログラミング経験があれば、中学生でも問題なくできる程度です。

 

しかし、機械学習モデルを作ってみるということと、精度の高い実用的なモデルを構築することには、天と地ほどの開きがあります。モデルのパラメーターなどを変えていき、試行錯誤をしていく必要があるからです。

特にディープラーニングでは、ニューラルネットワークをどの程度多層化するか、活性化関数をどう設定するか、どのような学習のさせ方をするかに、法則や正解はありません。与えられた課題ごとに、最適化をしていかなければなりません。論文として発表されている実例を見て、試行錯誤で試していくしかないのです。もちろん、やみくもにパラメーターを変えてもうまくいくわけがなく、AIに対する深い理解が必要になります。

使ってみることと、実用的な学習モデルを作ることには天と地ほどの開きがある。ここがAIテクノロジーの大きなポイントです。

このような事情があるため、AIの精度をあげていく体制づくりをせずに、1行のコードで機械学習モデルを作ってみて、結局、「店長の勘の方が、AIよりも予測精度が高いじゃないか」となって、「AIの本格導入は時期尚早」という結論を安易に出してしまっている例もあるようです。

 

AIを産業として成熟させるのに必要なのは、次の3つだと言われています。

1:AI理論をサイエンスとして研究できるサイエンティスト人材

2:大量のデータを生成、整理できる膨大な人手

3:学習モデルを試行錯誤しながら開発を継続できる資本と体制

中国は米国とともに、AIを次世代の産業として定め、国策として力を入れています。では、この3要素がそろっているのでしょうか。今、中国のAI分野でどのような成果が上がっているのでしょうか。

今回は、中国のAI産業がどのような体制にあるのか、そして、2020年どのような応用例が出てきたのかをご紹介します。

 

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