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アリババ数学コンペで出題されたメビウス麺の問題。世界で5万人が参加

2020年のアリババグローバル数学コンペティションが終わり、8カ国73人の選手が入賞した。金メダル受賞者には2万ドルの奨学金が授与されたと機器之心Proが報じた。

 

第2回アリババ数学コンペがオンラインで開催

アリババグロバール数学コンペティションは、昨年に続いて今年で2回目になる。今年は新型コロナの感染拡大を受けて、すべてがオンラインで開催された。出題は中国語と英語の両方で行われた。予選には73カ国の約5万名が参加をし、516名が決勝に参加した。決勝は4月18日、約6時間のオンライン試験という形で開催された。

入賞した73名のうち、最も多いのは北京大学の学生で20名、次がマサチューセッツ工科大学の12名、プリンストン大学の5名、スタンフォード大学の3名、ケンブリッジ大学の3名、中国科学技術大学の2名となった。また、清華大学香港大学シンガポール国立大学の学生も入賞した。

最年少は19歳だったが、最年長は36歳だった。

ゴールドメダル受賞者には、2万ドル(約210万円)の奨学金、シルバーメダル受賞者には1万ドル、ブロンズメダルには5000ドルの奨学金、優秀賞には証書が送られる。また、上位入賞者は、数学の天才として各方面から注目をされることになる。

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▲入賞者は多くが中国人。しかし、在籍大学は世界中に散らばっている。中国人がいかに海外の大学に留学をしているかがわかる。

 

メビウスの幅広麺を切り分ける問題

ほとんどの問題が、数学の専門的な内容で、一般の人には難易度が高すぎるが、予選の最初の1問は、私たち一般人にも理解できる内容のものだ。ただし、正解をするのは簡単ではない。ご紹介をしてみるので、興味がある方は挑戦してみていただきたい。

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▲予選で出題されたユニークなメビウス麺の問題。100回ねじったメビウス麺を中心から切ると、どのような状態になるかを問うたもの。

 

麺は中華の伝統グルメだが、そのスタイルは常に進化をしている。幅広麺を作っている店主が、工夫をして、輪のようにつなげるという幅広麺を考案した(図1)。

そして、いつものように、輪になった幅広麺を中心から切り分けた。すると、幅が半分になった2つの輪ができあがる(図2)

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店主は思い立って、幅広麺を作るときに、ねじり(180度回転)を加えてみた。これは数学でいうメビウスの帯に相当する(図3)。

これだけでは面白くないので、ねじりの回数をさらに加えていき、2回ねじり、3回ねじり、7回ねじりのものを作った(図4)。

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それから、最初にしたように、麺の中心で切り分けると、不思議なことが起きる。

このメビウス麺を売り出してみると、あっという間に人気商品となった。すると、ある人が、100歳の老人をお祝いするために、100回ねじった麺を作ってくれという注文を出した。

 

問題:この100回ねじった麺をいつものように、中心線で切り分けると、どのような状態になるだろうか。

A:200回ねじれた帯がひとつと、問題文では触れていない構造の帯がひとつ

B:200回ねじれた帯が2つと、問題文では触れていない構造の帯がひとつ

C:200回ねじれた帯がひとつと、ねじれていない帯がひとつ

D:200回ねじれた帯が2つと、ねじれていない帯がひとつ

E:以上のいずれでもない

 

1回ねじったメビウスの帯を切り分けると、4回ねじられた(つまり2回転)大きな1つの輪になることはよく知られている。では、100回ねじった帯ではどうなるかという問題だ。2回ねじり、3回ねじりの帯を実際に切ってみて、メビウスの帯の性質を発見していく必要がある。難問ではあるが、メビウスの帯の法則性を発見すればあっさりと解ける。ぜひ、挑戦してみていただきたい。