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自動運転ロードーローラーで、高速道路の舗装作業を完全無人化

四川省の攀大高速道路で、世界初となる自動運転ロードローラーによる高速道路建設工事が行われた。1台のフィニッシャーと4台のロードローラーのチームで、舗装作業を完全無人化することが可能になったと二十四簡史が報じた。

 

自動運転で有害気体の出る舗装作業を無人

攀大高速道路は四川省の攀枝花市と雲南省の大理を結ぶ全長40.9kmの高速道路。険しい山地を通るため、81%が橋梁かトンネルとなる。そのため、通常の高速道路よりも平面度の基準が厳しく、作業員による舗装作業は通常以上の手間がかかる。また、アスファルトが150-170度に加熱されて生じる有害気体への対策も必要になる。

そこで、無人の自動運転アスファルトフィニッシャー1台、自動運転ロードローラー4台が投入された。作業は、納入されたアスファルトをフィニッシャーが路面に撒いていき、それを4台のロードローラーが押し固めていくことで行われた。


清华团队助力智慧交通建设 实现全球首次高速公路无人机群施工

清華大学が公開した舗装作業の様子。5台の自動運転車が通信をして、強調しながら作業が進められていく。

 

2年間の実証研究の後、実戦投入

この自動運転土木機器は、清華大学の「地下空間開発利用及びスマート建造研究」チームが開発をし、土木機器建設メーカーの徐工集団と共同製作、四川路橋集団が運用する形で、実戦投入された。すでに2年間の実証実験を行い、9月の高速道路完成まで実際の工事に用いられる。

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▲舗装作業は8人の作業員が必要になる。それが自動運転車を利用すると、1人の監督だけで作業が進められるようになった。

 

5台の自動運転車は通信をし、協調して作業を遂行する

5台の機器は、それぞれにGPSマイクロ波通信、ミリ波レーダーを搭載し、自動で舗装作業の手順を計画し、5台の機器が協調しながら作業を進めていく。施工精度は2-3mm。通常なら8人の作業員が必要になる作業を、1人の監督で行えるようになる。人間よりも高い精度の作業が行え、建設に必要な人件費を大幅に下げることに貢献する。

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▲加熱されたアスファルトからは人体に有害な気体も出るため、作業員にはその対策も必要になる。完全無人作業にすることで、そのような対策も必要がなくなり、コストは大きく下がり、工期の短縮も可能になる。

 

5G通信の普及で、土木建設の無人化が加速する

清華大学では、無人運転土木建設機器の研究開発を2016年から進めてきた。すでに河南省前坪の堤防工事などで実証実験を進めてきた。5Gネットワークの普及に伴い、土木建設機器の無人化がさらに進むと見られることから、清華大学の研究チームは今後も多方面に応用をしていく予定だ。