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コロナ終息後のキーワードは「宅消費」「周辺游」「忙復工」

新型コロナ終息後の中国では「宅消費」「周辺游」「忙復工」の3つがキーワードになっている。ECを使って自宅で消費をし、遊びに行くのは近所、休みよりも職場復帰に忙しいというものだ。

アリババが、各サービスから得られた5月の連休中のデータを公開したところ、この3つのキーワードが裏付けられたと手機中国が報じた。

 

5月の連休で目立った「宅消費」「周辺游」「忙復工」

中国の今年の5月の連休は5連休だった。5月1日(金)から土日を挟んで、5月5日(火)まで。土日+3日という構成だが、休日は5月1日の労働節(メーデー)のみで、4月26日(日)と5月9日(土)は出勤日となり、これを振り替えて連休にしている。

アリババは、各サービスから得られたデータをまとめ、SNSの公式アカウントで公表した。これによると、「宅消費」「周辺游」「忙復工」の3つの行動がはっきりとした。

 

高速道路の渋滞は減少、近隣へ出かけている

高徳地図から得られるデータを分析すると、連休中に遠出をする人は少なく、連休初日は家にいた人が多かったと見られる。5月1日の高速道路の渋滞の長さは、昨年よりも11.6%減少した。また、渋滞が発生する時間帯も10時から12時の間に集中した。

例年であれば、渋滞は朝と夕方に集中をする。それが昼に移動したということは、朝遅く、近隣に出かける人が多かったということだ。

アリババ傘下の旅行予約サービス「飛猪」からも、周辺游が主体になっていることが窺われる。最も多かった旅行の出発地は「上海、杭州成都、深圳、北京」。しかし、目的地も「上海、杭州成都、広州、深圳」となっている。これは同じ市内に出かけているか、近隣の都市に出かけていることを示している。

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▲遠出せず、多くの人が近隣で休日を楽しんだ。

 

市内に出かけ、自宅ですごす人も

高徳地図のデータによると、上海の人が出かけた場所は「上海野生動物園」「上海科技館」「東方明珠塔」。北京では「北京オリンピック公園」「朝陽公園」「北京動物園」など、市内に出かける人が多かったことが明らかになっている。

また、アリババと提携している銀泰百貨店の客数は、今年の清明節(4月4日の休日)の1.5倍となった。

また、自宅で休みを過ごす人も多かった。EC「Tmall」では図書の売上が昨年の1.24倍となり、その中でも経済書の売上は1.45倍になっている。この傾向は、広州、北京、上海、杭州重慶で顕著だった。

 

マスクを着用し、市内の公園ですごす

EC「Tmall」の売上では、マスクの売上が昨年の6.67倍となり、消毒関連商品の売上が2.26倍となり、出かける際には感染防止にも気を使っていることがわかる。

アリババ傘下の外売(フードデリバリー)の「ウーラマ」では、公園への配達が急増をした。上海ではコーヒー、昆明ではバーベキュー、ハルビンでは麻辣湯の注文が目立った。

 

家電、調理器具など宅消費が好調

EC「Tmall」では、自宅をアップグレードする商品の売行きが好調だった。家電製品は2.96倍、調理器具は1.89倍、内装素材は2.01倍、照明器具は1.53倍となった。

輸入品を扱う「Tmall国際」でも、家電製品が4.81倍、美容用品が1.425倍となった。特に、95后(95年以降生まれ、20代後半)では、英国の多機能鍋と日本のホットサンドメーカーの人気が目立った。また、人気の輸入元は、海外旅行に行きたい国とほぼ一致している。人気の製品は、日本、韓国、米国、オースオラリア、タイだった。

アリババ傘下の宅配サービス「菜鳥」のデータによると、5月1日から3日までの宅配便は、昨年の1.45倍となった。

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▲家電製品、調理器具などの宅消費関連の売れ行きが好調だった。

 

地方都市では、連休中も職場復帰、職場再開

職場復帰に忙しく、連休中も仕事をしている人も多かった。特に2級、3級都市と呼ばれる地方都市にその傾向が強かった。アリババは、多くの地方政府と提携して健康コードを提供している。これは位置情報を追跡して、新型コロナの陽性確定者と同じ場所に一定時間いた人に感染リスクがあることを知らせるためのものだ。感染リスクがあると、コードが黄色または赤色になり、多くの都市では外出が実質的にできなくなる。

この健康コードの移動情報から、宿遷、淪州、開封、揚州、煙台などの地方都市では、連休中も業務に当たっている人が多かった。

アリババはさまざまな生活関連サービスを展開しているため、アリババの持つビッグデータを分析することで、終息後の人々の行動が浮き彫りになった。

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▲地方都市では、営業再開、職場復帰が進み、多くの人が連休返上で出勤をした。