中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

即時配送が変える小売業態。新小売と社区団購

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明日、vol. 023が発行になります。

 

私たちの日常生活時間の多くが、消費行動により占められています。つまり、買い物です。中国の都市部では、この買い物のあり方が、日本とはまったく違うようになってしまいました。
消費行動には、楽しみのための買い物と必要に迫られた買い物の2種類があります。趣味のものを買う、おしゃれを楽しむためのものを買う、美味しいものを食べるという楽しみを目的とした消費行動は日本も中国も大きな違いはありません。ショッピングモールや百貨店、繁華街にいって、商品を見ながら買うというのが一般的です。


しかし、必要に迫られた買い物の世界は大きく違ってきました。日々の生鮮食料品を買う、日用品を買うなどでは、日本の場合は近所のコンビニやスーパーに行くか、商店街にいき、近所にないものはECサイトで注文する、大きな街の専門店い行くなどします。いずれの場合も、自分が商品のある場所まで移動するというのが基本になります。
しかし、中国では逆で、商品を自分がいる場所まで移動させるというのが当たり前になってきました。コンビニ、スーパー、ドラッグストアの商品、飲食品、薬品、化粧品、さらには公的機関が発行する証明書類なども、自分が取りに行く、買いに行くではなく、宅配してもらうことが当たり前になりつつあります。人と商品で、日本では人が移動し、中国では商品が移動するようになっています。

 

このようなことができるのは、外売(フードデリバリー)というビジネスが普及をしたからです。外売は、餓了麼(ウーラマ)、美団(メイトワン)などが始めたサービスで、スマホでファストフードや飲食店の料理を注文し、出前をしてくれるサービスです。日本のウーバーイーツや出前館にあたるサービスです。
この外売は、次第に飲食物以外のものも扱うようになり、即時配送と呼ばれるようになっています。2018年、即時配送された商品の81%は飲食品でした。ところが、2019年には70%にまで低下をしています。その他の配送品が増えたのです。その他のものとは生鮮食料品や商店で販売されている商品です。また、誕生日や記念日への贈り物として生花やケーキなどの配送も増えています。

 

即時配送が宅配便と異なるのは、短距離配送であるということです。多くの場合、商店から消費者宅までの5km以内を注文から30分から2時間以内に配送をします。宅配便の場合は、広域配送で注文から翌日または翌々日配送になります。
この即時配送が外売から広がってきたため、ウーラマ、美団という外売企業だけでなく、即時配送を専門に行うスタートアップ企業、さらに既存の宅配便企業も参入するというホットな領域になっています。
また、商店側も即時配送に対応をし、店舗ECに対応するところが増えています。中央倉庫から発送をして翌日配送をするのではなく、店舗の在庫から短時間配送をします。
「携帯電話が壊れた」「今晩の食材が欲しい」「会食があるのに、化粧品を忘れて出社した」「お腹が痛くなって、すぐに薬が飲みたい」「外に出るために着替えるのが面倒、化粧をするのが面倒」「宅配便は何時にくるのかわからず、受け取りが面倒」。こういった需要に応えてくれるのが店舗ECです。

 

中国の消費生活は、日本とは大きく異なるようになりました。もはや、日常消費をする場所は商店ではなく、自宅なのです。従来は人が商品を探していましたが、今では商品が人を探すようになっています。
このような新しい消費社会が構築できた核になったのがスマホ決済です。アリペイ、WeChatペイのスマホ決済は、QRコードを使った対面決済では紙幣と硬貨を電子化したただのキャッシュレス決済ですが、その狙いはスマホ決済にありました。スマホで決済ができるようにすることで、例えばECのアプリからオンライン決済ができるようになり、記録が残るので、何も商品を受け取る時に決済をしなくても事前に決済をしておくことができます。スマホの機能と連動させることで、さまざまな決済方法が取れるようになりました。つまり、お金の電子化ではなく、決済手段の電子化が目的だったのです。
さらに、これをリアル世界で支えているのが即時配送です。即時配送により、商品の短時間、短距離配送が可能になり、「どこでも消費」が可能になりました。
スマホスマホ決済と即時配送。この3つによって、中国の消費社会は大きく変貌しました。


今回は、この即時配送に焦点を当てて、どのような働きをしているのかをご紹介します。


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