中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

中国ゲーム企業が狙う日本市場。「荒野行動」「PUBG」の成功に続け

中国はすでに世界最大のゲーム市場になっているが、2017年頃からはっきりと頭打ち感が出ている。そのため、各ゲーム開発企業が海外進出を進めている。「海外のゲームをモバイル化」「オリジナルゲームで進出」「現地開発スタジオを設立」の3つの方法で海外進出を図っていると游娯大事件が報じた。

 

海外進出を活発化させる中国ゲーム企業

伽馬データとNewzooは「2019グローバルスマートフォンゲーム市場中国企業競争力報告」を公開した。

これによると、2019年のスマホゲーム市場規模の速報値は、グローバルで681.6億ドル。国別では、中国215.7億ドル、米国119.6億ドル、日本114.8億ドルとなった。

しかし、グローバル市場、中国市場ともに2017年以降、頭打ち感は否めない。そのため、中国のゲーム企業は2017年から海外進出を活発化させている。欧米、東南アジア、日本、韓国がターゲットとなり、中国ゲーム企業は積極的に海外市場を開拓している。

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▲グローバルのゲーム市場は成長を続けている。しかし、各国とも国内市場が頭打ちになり、海外展開が活発になっている。

 

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▲中国のゲーム市場は、急成長の時代が終わり、国内市場は2017年から頭打ちになっている。それでも市場規模が拡大しているのは、海外展開がうまく行っているからだ。

 

テンセントゲームズ:グローバルIPをモバイルゲーム化

テンセントゲームズは、「王者栄耀」、「穿越火線:槍戦王者」「ナルト疾風伝」などを中国国内で配信し、配信からすでに3年以上が経過しているにもかかわらず、収益ランキングに入るなどドル箱ゲームになっている。

「王者栄耀」は「伝説対決Arena of Valor」としてグローバル版を開発し、海外展開をしている。

また、韓国のPUBG Corporationが開発した「Player Unknown’s Battlegrounds」のモバイル版「PUBG Moible」、米国のInfinity Wardが開発した「コールオブデューティー」のモバイル版「Cal of Duty : Mobile」などを開発してグローバル展開をしている。

テンセントは、海外のPCゲームや専用機ゲームなどの優れたゲームのスマホ版を開発し、グローバル展開するという手法で売上を伸ばしている。

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▲テンセントは、韓国発の「PUBG」をモバイル化して、海外展開している。日本でも人気ゲームになっている。

 

網易ゲーム(ネットイーズ):オリジナルを海外展開

ネットイーズは、オリジナル開発のゲームを海外展開している。提供しているゲームの98.4%はオリジナルゲームだ。特に日本市場に注力していて、「荒野行動」「Identity V」「大三国志」の3つは、2019年の日本市場ランキングトップ100に入っている。

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▲ネットイーズの「荒野行動」は、日本でも歓迎された。すでにプレイヤーは、ゲームの開発国など気にせずに遊ぶようになっている。

 

Happy Elements:日本スタジオを設置

Happy Elementsは、日本法人を置き、日本のスタジオでオリジナルゲームを開発することで、日本市場に進出している。「あんさんぶるスターズ!」では、日本の声優が起用され、親会社が中国Happy Elementsであるというだけで、日本オリジナルのゲームになっている。

また、2018年10月からは、日中が協力をして、バーチャルアイドルをリアルタイムで育成するプロジェクト「ReVdol!」も始めている。日本と中国のファンと交流をしながら、バーチャルアイドルが育っていくというコンテンツだ。

Happy Elementsは、日本法人を設立し、日本で開発することで日本進出を図っている。日中で共同して、バーチャルアイドルを育てる「ReVdol!」プロジェクトを始めている。

 

紫龍ゲーム:日本開発のゲームをモバイル化

1991年に発売されたメガドライブ用ゲーム「ラングリッサー」のモバイル版を開発して、日本と韓国で提供している。

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▲日本独特のRPGをモバイル化して、日本+各国で展開する動きもある。


中国ゲーム企業が海外に展開する3つのパターン

以上は、日本に関係のある中国ゲーム企業のみだが、他の企業も欧州や米国、東南アジア市場を開拓しようとしている。

中国ゲーム企業の戦略は3つにまとめられる。

1)オリジナルゲームを海外展開:ネットイーズ

2)海外市場のPCゲームなどをスマホゲーム化して、海外展開:テンセントゲームズ、紫龍ゲーム

3)相手先市場のスタジオと資本関係を結び、共同開発:Happy Elements

 

日本は米国と市場規模がほぼ同じ。今後も海外からゲームが入ってくる

以前、中国では、日本のゲーム市場は閉鎖的だと思われ、日本人は日本製ゲームしか遊ばないと考えられていた。しかし、網易の「荒野行動」の成功により、それが思い込みであることがはっきりした。日本人は、優れたゲームであれば、開発国にこだわらず楽しむのだ。それでいて、世界第3位の市場であり、人口数を考えればゲーム大国と言える。

今後も、中国のゲーム企業が、日本市場に入ってくる頻度は高くなっていくものと思われる。

Nintendo Switch Lite ターコイズ

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  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 任天堂
  • 発売日: 2019/09/20
  • メディア: Video Game