2019年９月より、アモイ航空機内で、WeChatペイによる決済が可能になっている。機内販売を利用する時に、現金ではなくキャッシュレスで決済ができるようになったと太平洋電脳網が報じた。
制限がまだ多い機内WiFi
キャッシュレス決済WeChatペイが、航空機内の機内販売の決済に対応をした。最近の飛行機はWiFiに対応をしているため、キャッシュレス決済も利用可能だが、ひとつ大きな問題がある。それは、航空機のWiFiは、地上局あるいは衛星からの回線を利用するために、回線の容量が制限されるということだ。そのため、利用にはいろいろ制限がある。
多くの場合、動画や音楽のストリーミングサービスのような流量が大きいサービスは利用できず、SNSやメールなどのテキストサービスやウェブサービスなどに限定をされている。
専用アプリが必要だったり、料金が必要になる機内WiFIも
流量の大きなサービスを機内で利用するには、あらかじめ専用アプリをインストールしておき、アカウント登録が必要なことが多い。
つまり、何もしないで飛行機に乗ってしまって、それから専用アプリをダウンロードしたい、アカウントを作成したいといっても、もう手遅れになっていることが多い。
また、航空機WiFiは、運用コストもかかるため、有料サービスにしている航空会社もある。搭乗客にしてみれば、キャッシュレス決済をするのに、WiFiに接続をして、利用料金を払うというのであれば、現金で決済する、あるいは機内販売を我慢するということになってしまうだろう。
▲機内WiFiを利用するには、専用アプリのインストールやアカウント登録などが必要なことが多いが、WeChatペイの空中決済は、そのような煩わしい事前操作不要で、決済ができる。
機内WiFiにログインしなくても決済できる空中決済機能
そこでWeChatペイでは、アモイ航空と共同で、空中決済機能を開発した。現在、アモイ航空の６機の航空機に導入済みで、順次、すべての787型機に導入する予定だ。
この機能は、WiFi接続を自動化したものだ。まず、機内WiFiを選ぶ。すると、通常であればアカウント認証ページが表示されるが、それを無視して、WeChatを起動して、通常通りの支払いをする。いつもの決済方法の前に、機内WiFiを選んでおくだけだ。
つまり、WeChatペイの決済であれば、機内WiFiにログインをしなくても利用できるようにした。ただし、利用をするには、WeChatペイの信用スコア550点以上が必要になる。
▲WeChatペイの空中決済の手順。機内WiFiのSSIDを選び、そのままWeChatペイを開くだけで、決済が可能になる。
フルサービスからオプションサービスへ
また春秋航空でも試験導入が始まっていて、近日中に正式導入をする予定だ。航空路線、特に国内線では、従来のフルサービスの考え方が崩れ始めていて、LCC（ローコストキャリア）感覚になってきている。
これは、「サービスレベルを落とす」というのではなく、全員に不必要なサービスはやめて、必要な人に必要な負担をしてもらう公正なコスト負担という考え方になっている。例えば、座席にモニターをつけて映画やドラマを配信するサービスなども不要になりつつある。見たい映画があれば、自分のスマホで、見ることができるからだ。
機内食も時間帯や搭乗時間によっては要らないという人もいるし、２種類からしか選べない機内食よりも、お金を払ってもかまわないので、機内で好きなメニューを注文したいという人もいる。
▲春秋航空でも、空中決済の試用が始まっている。
厳しい競争の中で重要になる機内販売収益
全員が必要としていないサービスは、オプションにして、基本の運賃を下げ、競争力をつけるというのが基本的な考え方になりつつある。
その中では、機内販売は収益を得る手段として重要になってきている。飲料や食事、記念グッズだけではなく、到着空港から市内までのバスや列車のチケット、ビジネス客にはリムジンやレンタカーの予約、観光客にはオプションツアーの販売などが始まっている。機内WiFIがあるので、空席情報などを問い合わせることも可能だ。
機内販売が、搭乗客のサービスではなく、収益の柱となりつつある現在、航空会社にとって、機内でキャッシュレス決済が使えるかどうかは、重要なことになっている。
▲機内販売は、飲食物や記念グッズだけでなく、リムジンバスのチケットやオプションツアーなど多岐に渡るようになっている。航空会社にとって、機内販売が重要な収入源になりつつあるからだ。
