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夏の北京は、夜10時から12時までがゴールデンタイム。成長する深夜経済

北京が夏の間、「夜北京」政策を行った。モールやスーパーが夜10時以降、セールを行い、周辺の公共交通も運行時間を延長するというものだ。北京の夏は暑く、昼間の消費は低迷する。それを補うための施策だとINSIGHT商業観察が報じた。

 

夜10時以降にセールをする夜北京

北京の夜が賑やかになっている。この数年、深夜まで営業するレストランが増え「深夜食堂」がブームになっていた。この動きを見て、薈聚ショッピングモール西紅門店や家具のイケア、永輝スーパーなどが夏の間だけ、続々と深夜営業を始めている。それぞれが優待施策を打っていることもあり、どこも多くの人が殺到し、北京の深夜経済がにわかに盛り上がっている。

この深夜営業は通常閉店時間が9時から11時前後であるところを深夜12時までに延長をするもの。特に10時から12時までは深夜のゴールデンタイムとしてさまざまな優待を行う。

薈聚モールでは、夜10時以降、どの店でも30元として使える金券を3元で販売、永輝スーパーでは指定日の夜10時から深夜12時までを51%引きにする優待を行なっている。薈聚モールでは夜9時にもなると、金券が使えるようになる午後10時が待ちきれない消費者が集まり始め、その人たちのためにパフォーマンスを行なっている。集客効果は抜群だ。

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▲永輝スーパーでは、夜10時以降に51%引きにするセールを行ったところ、多くの消費者が訪れ、混雑をした。夏の間の「夜北京」セールは大成功だった。

 

北京市政府が主導し、公共交通も運行時間を延長

このような深夜経済が始まったのは、北京市商務局が「北京市・さらなる夜間経済の促進についての消費増長促進措置」を発表したことがきっかけになっている。大柵欄、三里屯、国貿、五棵松を「夜北京」の中心地とし、さらに夜北京の商圏、生活圏を設定。営業時間などに関する規制を撤廃し、周辺の公共交通も運行時間を変更して人の移動をサポートする。頤和園、天壇公園、オリンピック公園などの景観地、博物館、美術館なども開館時間を延長し、夜間にイベントなどを開催する。16カ所で夜市を開催するなど、夜間消費を促進する施策を打ち出した。

北京で14カ所のショッピングモールを運営する華聯集団は、フードコートを深夜2時まで営業する「深夜食堂」を始めた。営業時間の規制がなくなったことにより、市中の火鍋店、カラオケ店なども続々と深夜営業を始めている。

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▲ショッピングモールではフードコートが深夜2時まで営業する「深夜食堂」が人気。外売(フードデリバリー)に押され気味だった飲食店も深夜食堂を始めて、来店客を呼び戻そうとしている。

 

夏の昼間に低迷する消費を補う「深夜経済」

この深夜経済は確実に消費を押し上げている。先行して5月上旬の連休に「深夜経済」が試行された望京や中関村の商業地区では、火鍋などの名物料理レストランでは49%、ファストフードでは35%も売り上げが増加した。

北京は北に位置する都市であるのに、夏は暑い。多くの人が昼間の活動は避けるか、地下街を利用する。そのため、夏の間の消費は低調になってしまう。これを補うための「深夜経済」が、北京市民の生活時間をも変えようとしている。

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▲ショッピングモールでは、夜10時以降限定で使える優待クーポンを発行。夜9時頃になると、待ちきれない消費者が集まり始めるため、楽器演奏などのパフォーマンスを行っている。