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北京で始まっている無人運転車の一般道路走行試験。累計走行距離は15万km

北京市が「北京市自動運転車両道路実証実験2018年度報告」を公開した。北京市としては初めての自動運転実験の報告書になる。自動運転試験は、大方の予想通り、百度がリードしていることが明らかになったとDONewsが報じた。

 

無人運転の試験走行距離は累計15万km

北京市では、早くから自動運転車の実験を認めている。車両そのものに運転免許試験を実施し、人間と同程度の機能があるかどうかを確認し、合格後は閉鎖区間内での走行実験が可能になる。この閉鎖区間内での走行実験が5000kmに達すると、市内の指定された一般道路での走行実験が可能になる。当然、一般車両も通行する中での試験となる。

今回の報告書によると、現在54台の自動運転車両が路上試験中で、その試験距離はすでに15万kmを超えている。

このうち、車両台数では45台、試験距離では13.9万kmが百度バイドゥ)によるものだ。

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▲北京での路上試験の現在状況。百度が本格的な試験を行っている。

 

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▲2018年の月別の試験車両数と走行距離。2018年の9月頃から試験走行が本格化していることがわかる。

 

5段階の難易度に分類される試験解放道路

試験用に開放されているのは、44路線123kmになる。また道路を自動運転の難易度別にR1からR5まで分類し、各社とも段階的に試験を行っている。報告書によると、現在R3までの試験が進んでおり、百度、小馬智行、滴滴の3社がR3での試験を行っている。

また、スマート道路施設の設備も一部の道路に設置されていて、こちらはRXに分類される。RXで試験を行っているのは、百度と北汽新エネルギーの2社になる。

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北京市の試験用の解放道路は、44カ所、123kmに渡っている。2022年までに2000kmに増やす予定だ。

 

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▲解放している試験道路は、状況によって難易度別に分類されている。

 

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▲解放道路は5段階の難易度に分類され、難易度ごとに試験が行われている。

 

ウェイモーに大きく遅れをとる百度

百度は北京だけでなく、全国各都市で試験走行を行なっている。長沙市では、すでにL3、L4の自動運転試験を行っており、2019年後半には自動運転タクシー(L4)の営業運転を目指している。

国際的には、グーグル傘下のウェイモーが最も試験走行が進んでおり、カリフォルニア交通局が公開した2018年のデータによると走行距離は127万マイル(約204万km)で、百度は大きく遅れを取っている。

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▲試験道路ではさまざまな状況にどのような対応をしたかが記録される。一般の車両も通行する状況での試験を行っている。

 

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百度無人運転車プラットフォーム「アポロ」を搭載した車両。オープンプラットフォームであるため、中国内外の多くの企業が参加をしている。

 

世界で初めて無人運転車が走る都市を目指す北京市

北京市は、「世界で初めて無人運転車が走る都市」を目指していて、国内の試験走行距離の半分以上は北京市でのものだ。国内では最も自動運転に積極的な都市になっているが、世界を見るとまだまだ遅れていることは否めない。

北京市南東郊外にある北京経済技術開発区内に、約12kmのV2X(Vehicle to Everything)設備を備えたスマート道路を開放し、時間によりセンターラインを変えて、車線数を変化させる実験も始めている。

また、2022年までに試験に開放する道路延長を2000kmに増やす計画で、世界に先駆けて、自動運転の試験手法を確立することを目指している。


百度Apollo自动驾驶车队首次亮相雄安新区,让您安全出行!

▲河北省の国家開発区「雄安新区」でのアポロの路上走行実験の様子。